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導きの時
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「そっ、そんなのデタラメよ!」
「誰だ、こんな変な奴らを呼んだのは!」
親戚中がパニックになる中、会場の出入り口に細長い影が二つ落ちた。
「人ならざる者にハ、人には見えないものが、見えるものデ」
「悪行とは透けて見えて気持ちのよいものではありませんがね」
まん丸目玉の白鳥さんに、仕立てのよいスーツ姿の未國さん。
どことなく不気味で妖怪感のある二人に、周りの人々はいよいよ普通でないと察し始めた。
私だって、どうしてこんな事態になっているのかわからない。
まるでなにかの儀式のように、祝いのように、十二支たちが集まっている。
「ちょっとちーちゃん、これはあなたの仕業なの?」
黙って見守っていた私に、めくじらをたてたまりちゃんが振り向いた。
そしてズンズンと大きな歩幅で接近してくる。
「さっき、話していたでしょ、そこの……ツノが生えたのと! 一体なんのつもり!? 私が幸せそうだから、壊そうってこと――」
――リーーン。
涼やかな音と同時に、爽やかな風が吹き抜ける。
私とまりちゃんの間を割って入るように参上した煌めき。
視界の下部、飴色に輝く柔らかでしなやかな肢体が私を守るように降り立っていた。
一般的な成猫より一回り大きいだろうか、凛とした佇まいの背面からも、右耳についた鈴のピアスが見えた。
「みゃ~お」
高い一鳴きに釣られるように、私の手首のお守りもリーーンと音を奏でる。
幻かと見まごうほど美しい金の猫。
彼である証明なんて、それだけで十分だった。
「誰だ、こんな変な奴らを呼んだのは!」
親戚中がパニックになる中、会場の出入り口に細長い影が二つ落ちた。
「人ならざる者にハ、人には見えないものが、見えるものデ」
「悪行とは透けて見えて気持ちのよいものではありませんがね」
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どことなく不気味で妖怪感のある二人に、周りの人々はいよいよ普通でないと察し始めた。
私だって、どうしてこんな事態になっているのかわからない。
まるでなにかの儀式のように、祝いのように、十二支たちが集まっている。
「ちょっとちーちゃん、これはあなたの仕業なの?」
黙って見守っていた私に、めくじらをたてたまりちゃんが振り向いた。
そしてズンズンと大きな歩幅で接近してくる。
「さっき、話していたでしょ、そこの……ツノが生えたのと! 一体なんのつもり!? 私が幸せそうだから、壊そうってこと――」
――リーーン。
涼やかな音と同時に、爽やかな風が吹き抜ける。
私とまりちゃんの間を割って入るように参上した煌めき。
視界の下部、飴色に輝く柔らかでしなやかな肢体が私を守るように降り立っていた。
一般的な成猫より一回り大きいだろうか、凛とした佇まいの背面からも、右耳についた鈴のピアスが見えた。
「みゃ~お」
高い一鳴きに釣られるように、私の手首のお守りもリーーンと音を奏でる。
幻かと見まごうほど美しい金の猫。
彼である証明なんて、それだけで十分だった。
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