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お礼
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「そうです、そうなんでス、猫様は――」
それから今まであった猫宮さんとお客さんのやり取りなどを、武勇伝のように語った白鳥さん。
私も話に夢中になり、うんうん、わかるー、と頷いては同意した。
自分の好きな人を称賛し合える、これは相手が人外である限り、人間とはできないこと。
猫宮さんと出会ってまた、初めてのことが一つ増えた。
――そっか、これが恋バナってやつね。
私にとっては驚きの連続で、真新しいことばかりだけど、あの猫宮さんが大昔から生きていて、恋の一つも知らないとは考えにくい。
今まで恋人がいたのだろうか。
同じ人外か、それとも人間か。
どちらにしろ数多の女性たちを虜にしてきたに違いない。なんと罪深い人なのか。
「猫宮さん、いつも店主として、周りを癒してばかりで……」
「そうですネ、たまには猫様が、癒されてほしいものデス」
「ええ、本当に、その通り――」
猫宮さん自身の癒し。
それを考えた瞬間、私のモヤついていた思考がパッと晴れた気がした。
「……それだ」
私の閃きに、白鳥さんは首を傾げている。
極上のおもてなし。
いつも彼にしてもらっている、お返しができたら――。
「猫宮さんのためだけに、ごちそうを用意して、労う場を作りたい……!」
意識するよりも先に、勝手に口が動く。
白鳥さんはまぁるい鳥目をパチパチ瞬かせたあと、みるみるうちに表情を明るくした。
それから今まであった猫宮さんとお客さんのやり取りなどを、武勇伝のように語った白鳥さん。
私も話に夢中になり、うんうん、わかるー、と頷いては同意した。
自分の好きな人を称賛し合える、これは相手が人外である限り、人間とはできないこと。
猫宮さんと出会ってまた、初めてのことが一つ増えた。
――そっか、これが恋バナってやつね。
私にとっては驚きの連続で、真新しいことばかりだけど、あの猫宮さんが大昔から生きていて、恋の一つも知らないとは考えにくい。
今まで恋人がいたのだろうか。
同じ人外か、それとも人間か。
どちらにしろ数多の女性たちを虜にしてきたに違いない。なんと罪深い人なのか。
「猫宮さん、いつも店主として、周りを癒してばかりで……」
「そうですネ、たまには猫様が、癒されてほしいものデス」
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「猫宮さんのためだけに、ごちそうを用意して、労う場を作りたい……!」
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