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白昼の衝撃
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「そうです、夜の帝王、竜迅と嬢王の蘭蛇とか、バイオリニストの秀馬も知り合いで。一体なに繋がりなのか謎大きミーチューバーです」
その謎は今の私なら容易く解けそうな気がするけれど、言ったところで誰も信じないし、広げるつもりもないので黙っておく。
「自分自身が戌年だとか言ってるイタイ系ミーチューバーだったのに、今となっては登録者数一千万超えだもんねー」
ああ、もう、確実だ。
なに繋がりって干支しかない。
そう思いながらようやく自分のデスクにたどり着く。今までで一番時間がかかった。
「あたしあの人好きなんだよねー、超絶色男の若旦那」
「ああ、老舗旅館の……名前なんでしたかね、確か餃子みたいな」
「――ぶっ!」
今口に飲み物が入っていたなら、間違いなく噴射していただろう。
少し離れた場所からでもハッキリ聞こえた誤名に、デスクに置こうとした書類が滑り落ちる。
ぎゅうざ、と、ぎょうざ。
確かに似ているけれども。
そんなこと言ったら怒るだろうなと、本人の反応を想像するとちょっと笑えた。
――って、面白がってる場合じゃない。
今の状況を思い出してしゃがみ込むと、急いで散乱した用紙を拾い始めた。
すると一瞬驚いたように固まっていた男性社員たちが、ちらほら手助けに集まってきた。
「ちょっと課長! あざとスキルはあたしの専売特許なんですから、キャリアウーマンにおっちょこちょいなんて萌えギャップ披露しないでください!」
そんな大声で自身の生態を晒して、せっかく習得していたあざとスキルとやらも、もう使いものにならないだろう。
その謎は今の私なら容易く解けそうな気がするけれど、言ったところで誰も信じないし、広げるつもりもないので黙っておく。
「自分自身が戌年だとか言ってるイタイ系ミーチューバーだったのに、今となっては登録者数一千万超えだもんねー」
ああ、もう、確実だ。
なに繋がりって干支しかない。
そう思いながらようやく自分のデスクにたどり着く。今までで一番時間がかかった。
「あたしあの人好きなんだよねー、超絶色男の若旦那」
「ああ、老舗旅館の……名前なんでしたかね、確か餃子みたいな」
「――ぶっ!」
今口に飲み物が入っていたなら、間違いなく噴射していただろう。
少し離れた場所からでもハッキリ聞こえた誤名に、デスクに置こうとした書類が滑り落ちる。
ぎゅうざ、と、ぎょうざ。
確かに似ているけれども。
そんなこと言ったら怒るだろうなと、本人の反応を想像するとちょっと笑えた。
――って、面白がってる場合じゃない。
今の状況を思い出してしゃがみ込むと、急いで散乱した用紙を拾い始めた。
すると一瞬驚いたように固まっていた男性社員たちが、ちらほら手助けに集まってきた。
「ちょっと課長! あざとスキルはあたしの専売特許なんですから、キャリアウーマンにおっちょこちょいなんて萌えギャップ披露しないでください!」
そんな大声で自身の生態を晒して、せっかく習得していたあざとスキルとやらも、もう使いものにならないだろう。
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