猫の罪深い料理店~迷子さんの拠り所~

碧野葉菜

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白昼の衝撃

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 ――買ってしまった。
 昼食を見繕っているであろう、会社員ふうの男女に紛れて、コンビニスウィーツとやらを。
 かぼちゃプリンを選んだのは、多少身体のことを考慮しているという後押しが欲しかったからだろうか。
 なにはともあれ甘いものだ。
 会社に着いたらすぐに冷蔵庫に入れて、お昼にこっそり一人で食べよう。
 こんなに休憩時間が待ち遠しいのは初めてだった。
 オフィスビルのエレベーターを降り、トートバッグに入れた乳白色の小袋を気にする。
 それだけ持って歩かないのは、いかにもコンビニで買い物してきたと周りに知られないためだ。
 自分で言うのもなんだが、私はできる女性で通っている。
 女として価値を見出したことはなくても、キャリアを積むためにがむしゃらにやってきたつもりだ。
 幸い結果もついてきている今現在、せっかく出来上がった隅田川千鶴という像を崩したくはなかった。
 ――なのに。
 この数秒後、私の武装は脆くも砕け散ることになる。

「きゃあっ!」

 前方から向かってきたなにかに、勢いよくぶつかり尻もちをついた。
 同時に飛び出た乙女チックな悲鳴は私のものではない。
 痛たた……と腰を撫でながら前を見ると、私と同じ体勢でピカピカの廊下に座り込んでいる彼女がいた。
 相変わらず薄いブラウスから下着が透けているし、フリル裾のスカートは膝より足の付け根に近い。
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