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白昼の衝撃
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翌朝、耳をつんざくような鶏の声に叩き起こされた。
頭に「ン 」のつくコケコッコーは彼女特有の鳴き方だろうか。
まだ静まり返ったスマートフォンを手に取ると、画面の表示は五時三十分になっている。
昨日の朝は五時に鳴いていた。
白鳥さんに希望したのは六時。
互いの意思を尊重した「真ん中」の時間に決定したらしい。
――まあ、いいか。
遅すぎるよりは早い方が。ゆとりある朝は嫌いじゃない。
起きるのが辛いなら、夜寝る時間を前倒しにすれば済む話。
以前の私ならきっと苛立っていたようなことも、今は特に気にならなかった。
朝一に目にする右手のお守りに癒され、リビングの置き物に元気をもらう。
この二つは私の中で猫宮さん最強セットと命名した。
身体が軽いのは、今夜も彼に会いに行こうと決めているから。
ほんの少しだけ、お菓子でも買ってしまおうか。
いつもの手作りお弁当に、余計なプラスアルファ。
カロリー計算は、今日はいい、かな?
自分に対する問いに「いいと思うよ」と都合よく答えてくれる脳内の猫宮さん。
お母さんの言いつけで小学一年生から続けている毎日の行い。初めて言い訳とともにサボった、私の悪い子記念日。
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