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奇妙な仲間たち

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 芳醇な旨味溢れる歯ごたえのある厚切り肉、みずみずしいトマトとレタス、ふんわりかつ香ばしいパテ、すべてを包むように絡みつく濃厚かつスパイシーなソース。
 積まれていた段はみるみるうちに私の体内に吸収されてゆく。
 人生初のジャンキーなフードは想像以上に衝撃的だった。

「……おい、じい……」

 ソースでベタベタになった手で最後の一口を握りしめながら、膨れ上がった頬で奥歯を噛みしめ震えていた。

「……泣いて」
「ませんっ!」
「またまたぁ、そんな嘘つく子にはさらに盛っちゃうぞー」
「キャーーッ!!」

 アツアツのチキンナゲットまで追加され、発作的に悲鳴を上げる。
 これが歓喜の黄色い声なのか、拒絶の雄叫びなのかは自分にも判断がつかない。

「ずいぶんと千鶴には手厚いな」
「どうしたものでちかね」
「おいっ、猫宮ぁ! 俺にももっとサービスしやがれ!」
「繁ちゃんはたくさん食べたばかりでしょ」

 行儀作法からかけ離れた食べ方でも、ここには私をバカにする人はいなかった。
 こんなにも食べ物が美味しいと感じたのは初めてかもしれない。
 今までの私って、なにが好きだったのかさえ思い出せない。
 ああ、そっか。好き嫌いで物事を考えてこなかったから。
 好き、がどういう感情なのか、未だにあやふやなんだ。

「なんだか、身につまされる思いだねぇ」

 牛坐さんたちの逆方向から聞こえた声に、目覚めるように振り返る。
 そうだ。右隣には部長がいたんだった。
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