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奇妙な仲間たち
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「僕もむかーしむかし一口食べてみて驚いたんだよね。肉っぽいけどお豆腐なんだよ。繁寅相手だと本物の肉が出せないんだ」
自分で出した料理の材料がわからないなんておかしな話だ。
とりあえず謎が多い猫宮さんは置いておくとして、なぜ豆腐料理なのか。
ダイエットしていたり健康に配慮するためなら頷けるが、どちらも十二支には関係なさそうなのに。
「……どうして、そんなことに」
「アァ?」
ちょっとつぶやいただけなのに、ギラつく三白眼に睨みつけられる。
耳は私たち人間と同じ形容だけれど、鼓膜が特別発達しているようだ。
背景に本物の虎が見える。
迫力ゆえの偽物だと信じたい。
「どうしてって、てめえ…………かわいそうだろうが」
その台詞のインパクトに猛虎が掻き消える。
よかった、幻覚だった、と安心するより先に、今のが幻聴だったのではと脳が迷走する。
唖然とする私に、繁寅さんはほとんど見えない薄い眉毛をこれでもかと歪めた。
「なんだこら、文句あんのかこら」
「……イエ」
鶏ガラ受付嬢のように片言で応じる。
繁寅さんは「いっつも同じ味だなぁ」とこぼしながらも、次々と肉もどきの豆腐料理を平らげてゆく。
「動物好きな繁ちゃんはエアー肉食なのよ、そんな彼だからあたしのようなか弱い生き物も安心して仲良くできるの」
「でも虎っぽさは出したいから、肉を食べてるふうに見せたいんだろうね、めんどくさいなぁ」
「ひゃんらほっ、ひぇほひや!」
乾いた視線で毒づく猫宮さんに、食べ物でパンパンの口で対抗するビーガンの虎。
怖がっていたのが、だんだんバカらしくなってきた。
自分で出した料理の材料がわからないなんておかしな話だ。
とりあえず謎が多い猫宮さんは置いておくとして、なぜ豆腐料理なのか。
ダイエットしていたり健康に配慮するためなら頷けるが、どちらも十二支には関係なさそうなのに。
「……どうして、そんなことに」
「アァ?」
ちょっとつぶやいただけなのに、ギラつく三白眼に睨みつけられる。
耳は私たち人間と同じ形容だけれど、鼓膜が特別発達しているようだ。
背景に本物の虎が見える。
迫力ゆえの偽物だと信じたい。
「どうしてって、てめえ…………かわいそうだろうが」
その台詞のインパクトに猛虎が掻き消える。
よかった、幻覚だった、と安心するより先に、今のが幻聴だったのではと脳が迷走する。
唖然とする私に、繁寅さんはほとんど見えない薄い眉毛をこれでもかと歪めた。
「なんだこら、文句あんのかこら」
「……イエ」
鶏ガラ受付嬢のように片言で応じる。
繁寅さんは「いっつも同じ味だなぁ」とこぼしながらも、次々と肉もどきの豆腐料理を平らげてゆく。
「動物好きな繁ちゃんはエアー肉食なのよ、そんな彼だからあたしのようなか弱い生き物も安心して仲良くできるの」
「でも虎っぽさは出したいから、肉を食べてるふうに見せたいんだろうね、めんどくさいなぁ」
「ひゃんらほっ、ひぇほひや!」
乾いた視線で毒づく猫宮さんに、食べ物でパンパンの口で対抗するビーガンの虎。
怖がっていたのが、だんだんバカらしくなってきた。
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