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奇妙な仲間たち
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彼に見惚れながら、脳内で反響する言の葉。
ぼんやりと繰り返される文の流れがふと止まる。
とある箇所が引っかかったからだ。
――僕、たち……?
その複数系の正体は、思わぬ形で参上する。
突如、ビールジョッキをテーブルに叩きつけるような音がして、ビクッと身体を跳ねさせた。
恐る恐る後ろを振り返ると、姿を確認する以前にどす黒いオーラで圧倒されそうになる。
「ぬえぇこおぉみいぃやあぁぁ……!!」
奈落の底から這い出すような低い唸り声。
私の真後ろ、四角いテーブル席に腰かけた人物が、恨めしそうに下から睨み上げ身を乗り出していた。
――な……何事……!?
恐怖のあまり胸の内で叫ぶしかない。
黄色と黒のしま模様の短髪、それと同じ柄をしたベストとニッカポッカのように裾が膨らんだ服を着ている。
鳶の人――?
いや、それにしても逞しすぎやしないか。
小麦色に焼けた隆々とした筋肉を惜しみなく晒している。
見たくもないのに、見えてしまう。
上半身ベスト一枚なんて、絶対に関わっちゃいけない人だ。
あれ、でもさっき、猫宮さんっぽい名前を呼んでいたような。
「猫宮ぁぁ! てめえなーっ!」
聞き間違いならいいのに、と考える暇もなく、彼は右手に持ったビールジョッキをテーブルに叩きつけた。
先ほどの異音は想像通りだったわけだ。
そもそもこの店にテーブル席なんてあっただろうか。
昨日来た時はカウンターしかなくて困った記憶があるのに。
ぼんやりと繰り返される文の流れがふと止まる。
とある箇所が引っかかったからだ。
――僕、たち……?
その複数系の正体は、思わぬ形で参上する。
突如、ビールジョッキをテーブルに叩きつけるような音がして、ビクッと身体を跳ねさせた。
恐る恐る後ろを振り返ると、姿を確認する以前にどす黒いオーラで圧倒されそうになる。
「ぬえぇこおぉみいぃやあぁぁ……!!」
奈落の底から這い出すような低い唸り声。
私の真後ろ、四角いテーブル席に腰かけた人物が、恨めしそうに下から睨み上げ身を乗り出していた。
――な……何事……!?
恐怖のあまり胸の内で叫ぶしかない。
黄色と黒のしま模様の短髪、それと同じ柄をしたベストとニッカポッカのように裾が膨らんだ服を着ている。
鳶の人――?
いや、それにしても逞しすぎやしないか。
小麦色に焼けた隆々とした筋肉を惜しみなく晒している。
見たくもないのに、見えてしまう。
上半身ベスト一枚なんて、絶対に関わっちゃいけない人だ。
あれ、でもさっき、猫宮さんっぽい名前を呼んでいたような。
「猫宮ぁぁ! てめえなーっ!」
聞き間違いならいいのに、と考える暇もなく、彼は右手に持ったビールジョッキをテーブルに叩きつけた。
先ほどの異音は想像通りだったわけだ。
そもそもこの店にテーブル席なんてあっただろうか。
昨日来た時はカウンターしかなくて困った記憶があるのに。
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