70 / 206
奇妙な仲間たち
33
しおりを挟む
彼に見惚れながら、脳内で反響する言の葉。
ぼんやりと繰り返される文の流れがふと止まる。
とある箇所が引っかかったからだ。
――僕、たち……?
その複数系の正体は、思わぬ形で参上する。
突如、ビールジョッキをテーブルに叩きつけるような音がして、ビクッと身体を跳ねさせた。
恐る恐る後ろを振り返ると、姿を確認する以前にどす黒いオーラで圧倒されそうになる。
「ぬえぇこおぉみいぃやあぁぁ……!!」
奈落の底から這い出すような低い唸り声。
私の真後ろ、四角いテーブル席に腰かけた人物が、恨めしそうに下から睨み上げ身を乗り出していた。
――な……何事……!?
恐怖のあまり胸の内で叫ぶしかない。
黄色と黒のしま模様の短髪、それと同じ柄をしたベストとニッカポッカのように裾が膨らんだ服を着ている。
鳶の人――?
いや、それにしても逞しすぎやしないか。
小麦色に焼けた隆々とした筋肉を惜しみなく晒している。
見たくもないのに、見えてしまう。
上半身ベスト一枚なんて、絶対に関わっちゃいけない人だ。
あれ、でもさっき、猫宮さんっぽい名前を呼んでいたような。
「猫宮ぁぁ! てめえなーっ!」
聞き間違いならいいのに、と考える暇もなく、彼は右手に持ったビールジョッキをテーブルに叩きつけた。
先ほどの異音は想像通りだったわけだ。
そもそもこの店にテーブル席なんてあっただろうか。
昨日来た時はカウンターしかなくて困った記憶があるのに。
ぼんやりと繰り返される文の流れがふと止まる。
とある箇所が引っかかったからだ。
――僕、たち……?
その複数系の正体は、思わぬ形で参上する。
突如、ビールジョッキをテーブルに叩きつけるような音がして、ビクッと身体を跳ねさせた。
恐る恐る後ろを振り返ると、姿を確認する以前にどす黒いオーラで圧倒されそうになる。
「ぬえぇこおぉみいぃやあぁぁ……!!」
奈落の底から這い出すような低い唸り声。
私の真後ろ、四角いテーブル席に腰かけた人物が、恨めしそうに下から睨み上げ身を乗り出していた。
――な……何事……!?
恐怖のあまり胸の内で叫ぶしかない。
黄色と黒のしま模様の短髪、それと同じ柄をしたベストとニッカポッカのように裾が膨らんだ服を着ている。
鳶の人――?
いや、それにしても逞しすぎやしないか。
小麦色に焼けた隆々とした筋肉を惜しみなく晒している。
見たくもないのに、見えてしまう。
上半身ベスト一枚なんて、絶対に関わっちゃいけない人だ。
あれ、でもさっき、猫宮さんっぽい名前を呼んでいたような。
「猫宮ぁぁ! てめえなーっ!」
聞き間違いならいいのに、と考える暇もなく、彼は右手に持ったビールジョッキをテーブルに叩きつけた。
先ほどの異音は想像通りだったわけだ。
そもそもこの店にテーブル席なんてあっただろうか。
昨日来た時はカウンターしかなくて困った記憶があるのに。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
浅草お狐喫茶の祓い屋さん~あやかしが見えるようになったので、妖刀使いのパートナーになろうと思います~
千早 朔
キャラ文芸
☆第7回キャラ文芸大賞 奨励賞☆
『あやかしは斬り祓う』一択だった無愛想青年と、事情を抱えたあやかしたち。
ときどき美味しい甘味を楽しみながら、あやかしと人の心に触れていく、ちょっと切なくも優しい物語――。
祖母から"お守り"の鳴らない鈴を受け取っていた、綺麗でカワイイもの好きの会社員、柊彩愛《ひいらぎあやめ》。
上司に騙されてお見合いをさせられるわ、先輩の嫉妬はかうわでうんざり。
そんなある夜、大きな鳥居の下で、真っ黒な和服を纏った青年と出会う。
「……知ろうとするな。知らないままでいろ」
青年はどうやら、連日彩愛を追ってくる『姿の見えないストーカー』の正体に気づいているようで――?
祓い屋? あやかし?
よくわからないけれど、事情も聞かずに祓っちゃダメでしょ――!
こじらせ無愛想青年がポジティブヒロインに振り回されつつ、絆されていくお話。
※他サイトでも掲載中です
水族園・植物園・昆虫園・動物園・博物園・文学館・歴史館・産業科学館・天文科学館・美術館・音楽館・食文化館・図書館 etc.
淀川 乱歩
エッセイ・ノンフィクション
https://www.irasutoya.com
いらすとやは季節のイベント・動物・子供などのかわいいイラストが沢山見つかるフリー素材サイトです。
ガラスの地球を救え―二十一世紀の君たちへ (知恵の森文庫)
文庫 – 1996/9/1
手塚 治虫 (著)
文庫
¥638 Amazon
麻雀少女激闘戦記【牌神話】
彼方
キャラ文芸
この小説は読むことでもれなく『必ず』麻雀が強くなります。全人類誰もが必ずです。
麻雀を知っている、知らないは関係ありません。そのような事以前に必要となる『強さとは何か』『どうしたら強くなるか』を理解することができて、なおかつ読んでいくと強さが身に付くというストーリーなのです。
そういう力の魔法を込めて書いてあるので、麻雀が強くなりたい人はもちろんのこと、麻雀に興味がある人も、そうでない人も全員読むことをおすすめします。
大丈夫! 例外はありません。あなたも必ず強くなります! 私は麻雀界の魔術師。本物の魔法使いなので。
──そう、これは『あなた自身』が力を手に入れる物語。
彼方
◆◇◆◇
〜麻雀少女激闘戦記【牌神話】〜
──人はごく稀に神化するという。
ある仮説によれば全ての神々には元の姿があり、なんらかのきっかけで神へと姿を変えることがあるとか。
そして神は様々な所に現れる。それは麻雀界とて例外ではない。
この話は、麻雀の神とそれに深く関わった少女あるいは少年たちの熱い青春の物語。その大全である。
◆◇◆◇
もくじ
【メインストーリー】
一章 財前姉妹
二章 闇メン
三章 護りのミサト!
四章 スノウドロップ
伍章 ジンギ!
六章 あなた好みに切ってください
七章 コバヤシ君の日報
八章 カラスたちの戯れ
【サイドストーリー】
1.西団地のヒロイン
2.厳重注意!
3.約束
4.愛さん
5.相合傘
6.猫
7.木嶋秀樹の自慢話
【テーマソング】
戦場の足跡
【エンディングテーマ】
結果ロンhappy end
イラストはしろねこ。さん

裏路地古民家カフェでまったりしたい
雪那 由多
大衆娯楽
夜月燈火は亡き祖父の家をカフェに作り直して人生を再出発。
高校時代の友人と再会からの有無を言わさぬ魔王の指示で俺の意志一つなくリフォームは進んでいく。
あれ?
俺が思ったのとなんか違うけどでも俺が想像したよりいいカフェになってるんだけど予算内ならまあいいか?
え?あまい?
は?コーヒー不味い?
インスタントしか飲んだ事ないから分かるわけないじゃん。
はい?!修行いって来い???
しかも棒を銜えて筋トレってどんな修行?!
その甲斐あって人通りのない裏路地の古民家カフェは人はいないが穏やかな時間とコーヒーの香りと周囲の優しさに助けられ今日もオープンします。
第6回ライト文芸大賞で奨励賞を頂きました!ありがとうございました!
羅刹の花嫁 〜帝都、鬼神討伐異聞〜
長月京子
キャラ文芸
自分と目をあわせると、何か良くないことがおきる。
幼い頃からの不吉な体験で、葛葉はそんな不安を抱えていた。
時は明治。
異形が跋扈する帝都。
洋館では晴れやかな婚約披露が開かれていた。
侯爵令嬢と婚約するはずの可畏(かい)は、招待客である葛葉を見つけると、なぜかこう宣言する。
「私の花嫁は彼女だ」と。
幼い頃からの不吉な体験ともつながる、葛葉のもつ特別な異能。
その力を欲して、可畏(かい)は葛葉を仮初の花嫁として事件に同行させる。
文明開化により、華やかに変化した帝都。
頻出する異形がもたらす、怪事件のたどり着く先には?
人と妖、異能と異形、怪異と思惑が錯綜する和風ファンタジー。
(※絵を描くのも好きなので表紙も自作しております)
第7回ホラー・ミステリー小説大賞で奨励賞をいただきました。
ありがとうございました!
料理屋「○」~異世界に飛ばされたけど美味しい物を食べる事に妥協できませんでした~
斬原和菓子
ファンタジー
ここは異世界の中都市にある料理屋。日々の疲れを癒すべく店に来るお客様は様々な問題に悩まされている
酒と食事に癒される人々をさらに幸せにするべく奮闘するマスターの異世界食事情冒険譚

おきつねさんとちょっと晩酌
木嶋うめ香
キャラ文芸
私、三浦由衣二十五歳。
付き合っていた筈の会社の先輩が、突然結婚発表をして大ショック。
不本意ながら、そのお祝いの会に出席した帰り、家の近くの神社に立ち寄ったの。
お稲荷様の赤い鳥居を何本も通って、お参りした後に向かった先は小さな狐さんの像。
狛犬さんの様な大きな二体の狐の像の近くに、ひっそりと鎮座している小さな狐の像に愚痴を聞いてもらった私は、うっかりそこで眠ってしまったみたい。
気がついたら知らない場所で二つ折りした座蒲団を枕に眠ってた。
慌てて飛び起きたら、袴姿の男の人がアツアツのうどんの丼を差し出してきた。
え、食べていいの?
おいしい、これ、おいしいよ。
泣きながら食べて、熱燗も頂いて。
満足したらまた眠っちゃった。
神社の管理として、夜にだけここに居るという紺さんに、またいらっしゃいと見送られ帰った私は、家の前に立つ人影に首を傾げた。

地獄の業火に焚べるのは……
緑谷めい
恋愛
伯爵家令嬢アネットは、17歳の時に2つ年上のボルテール侯爵家の長男ジェルマンに嫁いだ。親の決めた政略結婚ではあったが、小さい頃から婚約者だった二人は仲の良い幼馴染だった。表面上は何の問題もなく穏やかな結婚生活が始まる――けれど、ジェルマンには秘密の愛人がいた。学生時代からの平民の恋人サラとの関係が続いていたのである。
やがてアネットは男女の双子を出産した。「ディオン」と名付けられた男児はジェルマンそっくりで、「マドレーヌ」と名付けられた女児はアネットによく似ていた。
※ 全5話完結予定
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる