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奇妙な仲間たち
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「な……なんで、か、監視システム……!?」
「ないない、うちにそんな技術。ちょっぴり外の様子もわかるだけだよ」
そう言って頭を傾けると、彼の右耳にある鈴がコロコロ揺れる。
穏やかな波のように頬にかかる髪は、この世の星屑みんな集めて、散りばめたように煌めいている。
――やっぱり、すごく綺麗。
昨日は突然の驚きと、得体の知れない恐怖が邪魔をして、ここまで冷静でいられなかった。
少なくとも前回よりは余裕を持って眺めてみると、息を呑むほど美しく神々しい。
なのにどこか蠱惑的な雰囲気があり、あやかしだと言われても納得してしまいそうだ。
「あの、別に私、そんなにがんばって来たわけじゃないので」
「うんうん」
「なんとなく、またあるのかなって、帰り道ついでに覗いてみただけですから」
「あ、そっか、来店の仕方を教えてなかったもんね? またここに来たいな~って強く願ってくれたらいいんだよ」
あっさり重要な事実を述べられ、目が点になる。
「……え? それだけ、ですか?」
「うん、一日一回までなら、どこでも場所は問わないから」
「どこ、でも?」
「そうだよ。家でも職場でも、海の中や雲の上だって大歓迎」
誇らしげにグーサインをしてみせる猫宮さんは、やっぱり猫宮さんで。
そんな大事なこともっと早く言ってほしかったなんて、愚痴をこぼす気にもならなかった。
「ないない、うちにそんな技術。ちょっぴり外の様子もわかるだけだよ」
そう言って頭を傾けると、彼の右耳にある鈴がコロコロ揺れる。
穏やかな波のように頬にかかる髪は、この世の星屑みんな集めて、散りばめたように煌めいている。
――やっぱり、すごく綺麗。
昨日は突然の驚きと、得体の知れない恐怖が邪魔をして、ここまで冷静でいられなかった。
少なくとも前回よりは余裕を持って眺めてみると、息を呑むほど美しく神々しい。
なのにどこか蠱惑的な雰囲気があり、あやかしだと言われても納得してしまいそうだ。
「あの、別に私、そんなにがんばって来たわけじゃないので」
「うんうん」
「なんとなく、またあるのかなって、帰り道ついでに覗いてみただけですから」
「あ、そっか、来店の仕方を教えてなかったもんね? またここに来たいな~って強く願ってくれたらいいんだよ」
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「……え? それだけ、ですか?」
「うん、一日一回までなら、どこでも場所は問わないから」
「どこ、でも?」
「そうだよ。家でも職場でも、海の中や雲の上だって大歓迎」
誇らしげにグーサインをしてみせる猫宮さんは、やっぱり猫宮さんで。
そんな大事なこともっと早く言ってほしかったなんて、愚痴をこぼす気にもならなかった。
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