猫の罪深い料理店~迷子さんの拠り所~

碧野葉菜

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奇妙な仲間たち

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 二人のポカンとした表情が脳裏をすり抜けてゆく。
 絶対不審に思われているだろうけど、今はそれどころじゃない。
 オフィス街の明かりの中、電車の駅に向かい車両に乗り込む。
 無事に自宅の最寄駅に着くと、一安心して構内を出た。
 いつも通り、腕時計を気にする。
 動作は同じでも、理由が違う。
 なにかに追い立てられているような、神経がひりつく感じがない。
 隠しきれない期待に、チラつくほのかな不安。
 また、あの店に行く。
 猫宮さんに会いに行く。
 だけどいかんせん、行き方がわからない。
 開いている時間だって聞いていなければ、また来てとも言われていない。
 だからとにかく、あの店と出会った時と同じ状況を作ってみようと考えたのだ。
 仕事帰り、私は再び例の場所を訪れた。
 しかし、そこには昨夜のような光は見られない。
 僅かに膨らむ不安を抑えながら、時計が八時二十三分を示しているのを確認すると、小さく頷き足を伸ばす。
 クリーム色のアパートと煉瓦色をしたアパートの狭間。
 ゴクリと唾を飲み、ドクドクと波打つ鼓動を覚えながら、一気に裏道に出た。
 ――が。
 そこにあったのは、望んでいた景色ではなかった。
 建物の裏側、微かな光しか届かない場所は薄暗く、そして狭い。
 幻想とはほど遠い現実に、茫然と立ち尽くすしかなかった。
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