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歪みの原因はそれでしたか。
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「夢穂、通紋が……」
次に夢穂に訪れたのは、影雪のぬくもりではなく、深刻そうな声だった。
目を開けその意図を理解した夢穂は、焦って顔を触った。
しかし、感触では何もわからない。
「えっ、どうしたの、通紋が」
「消えかかっている」
業火から授かった通紋は、あくまで仮だ。
丸二日と経たないうちに、夢穂の右目尻からその姿を消そうと薄れ始めていた。
「まずいな、鳥居まで間に合うか」
「え、影雪はっ?」
緊急事態に戸惑った夢穂から、つい本音が漏れる。
今しがた残れと言ったところなのに、その手は影雪の着物の袖を引いていた。
「行くに決まっている」
影雪は夢穂を落ち着かせるように微笑むと、立ち上がって氷天丸を鞘から抜いた。
影雪の振り下ろした刃に沿って、空間に亀裂が走る。
夢穂の手から、リンゴ飴が滑り落ちる。
膝から崩れ落ち、地面に両手をついた。
「こうした方が早く戻れるだろう、夢穂、早く中に」
「なんで……?」
「俺が思うに、鳥居に近い方が空間を切りやすい、津波を止めた時は何も起こらなかったしな」
「そうじゃなくてっ」
夢穂の青ざめた顔を見て、影雪はようやくその意味に気がついた。
「なんで……眠りは解決したはずなのに、空間の歪みが治ってないの」
影雪は見開いた目で、動きを止めた。
切り裂いた空間からは、あの次元の狭間のような暗い宇宙が垣間見えていた。
しかもその傷は、以前より容易くできたと影雪は感じていた。
眠りが乱れていたのは間違いない。墓荒らしを抑え、匂い袋で処置したことにより、その件は解決を迎えた。
しかしそれは、あくまでこの世界の問題にとどまり、空間に影響を及ぼすほどではなかった。
空間と眠りが深く関係していることはわかっている。
原因がこちらでないとしたら、残る可能性は一つしかなかった。
その条件が導き出す答えを、夢穂はついに突きつけられた。
歪みの原因は、私――?
次に夢穂に訪れたのは、影雪のぬくもりではなく、深刻そうな声だった。
目を開けその意図を理解した夢穂は、焦って顔を触った。
しかし、感触では何もわからない。
「えっ、どうしたの、通紋が」
「消えかかっている」
業火から授かった通紋は、あくまで仮だ。
丸二日と経たないうちに、夢穂の右目尻からその姿を消そうと薄れ始めていた。
「まずいな、鳥居まで間に合うか」
「え、影雪はっ?」
緊急事態に戸惑った夢穂から、つい本音が漏れる。
今しがた残れと言ったところなのに、その手は影雪の着物の袖を引いていた。
「行くに決まっている」
影雪は夢穂を落ち着かせるように微笑むと、立ち上がって氷天丸を鞘から抜いた。
影雪の振り下ろした刃に沿って、空間に亀裂が走る。
夢穂の手から、リンゴ飴が滑り落ちる。
膝から崩れ落ち、地面に両手をついた。
「こうした方が早く戻れるだろう、夢穂、早く中に」
「なんで……?」
「俺が思うに、鳥居に近い方が空間を切りやすい、津波を止めた時は何も起こらなかったしな」
「そうじゃなくてっ」
夢穂の青ざめた顔を見て、影雪はようやくその意味に気がついた。
「なんで……眠りは解決したはずなのに、空間の歪みが治ってないの」
影雪は見開いた目で、動きを止めた。
切り裂いた空間からは、あの次元の狭間のような暗い宇宙が垣間見えていた。
しかもその傷は、以前より容易くできたと影雪は感じていた。
眠りが乱れていたのは間違いない。墓荒らしを抑え、匂い袋で処置したことにより、その件は解決を迎えた。
しかしそれは、あくまでこの世界の問題にとどまり、空間に影響を及ぼすほどではなかった。
空間と眠りが深く関係していることはわかっている。
原因がこちらでないとしたら、残る可能性は一つしかなかった。
その条件が導き出す答えを、夢穂はついに突きつけられた。
歪みの原因は、私――?
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