127 / 175
歪みの原因はそれでしたか。
24
しおりを挟む
「固いことを言うでない、見たところ通紋に変化もなし、わずかに滞在時間が長引いたところで問題あるまい、たまには自らの責務を忘れ、羽を伸ばすことも大事であるぞ」
まったく引く気のない残月に妙な説得力を発揮され、夢穂はだんだん断る気持ちが薄れてきた。
「のお、夢穂」と妖しく誘う残月の瞳には魔力的なものを感じた。
「あやかしたちは恐ろしくも愉快であろう」
まるで今すぐ帰ってしまうのが名残惜しいという気持ちを、見透かされたようだった。
抵抗するだけ無駄だ、ここは素直に乗るが吉。
そう判断した夢穂は観念したように、肩の力を抜いて笑った。
「わかったわよ、もう、わかりました、参加させていただきます」
「それはよき、せっかく来たのだ、堪能せよ」
どこか通じ合ったように視線を交差させる二人を見て、影雪が夢穂の肩を掴むと自分の元へ引き寄せた。
「ちょっと、いきなり何」
驚いた夢穂が背後を見上げると、そこには拗ねたように口の先を尖らせる影雪がいた。
「あまり俺以外の男と仲良くするな、胸の辺りがムカムカする」
突然に継ぐ突然に、夢穂は頭が回らず目を点にするしかなかった。
それを見ていた残月は目を丸くした後吹き出すと、胃の空くような爽快な笑い声を響かせた。
まったく引く気のない残月に妙な説得力を発揮され、夢穂はだんだん断る気持ちが薄れてきた。
「のお、夢穂」と妖しく誘う残月の瞳には魔力的なものを感じた。
「あやかしたちは恐ろしくも愉快であろう」
まるで今すぐ帰ってしまうのが名残惜しいという気持ちを、見透かされたようだった。
抵抗するだけ無駄だ、ここは素直に乗るが吉。
そう判断した夢穂は観念したように、肩の力を抜いて笑った。
「わかったわよ、もう、わかりました、参加させていただきます」
「それはよき、せっかく来たのだ、堪能せよ」
どこか通じ合ったように視線を交差させる二人を見て、影雪が夢穂の肩を掴むと自分の元へ引き寄せた。
「ちょっと、いきなり何」
驚いた夢穂が背後を見上げると、そこには拗ねたように口の先を尖らせる影雪がいた。
「あまり俺以外の男と仲良くするな、胸の辺りがムカムカする」
突然に継ぐ突然に、夢穂は頭が回らず目を点にするしかなかった。
それを見ていた残月は目を丸くした後吹き出すと、胃の空くような爽快な笑い声を響かせた。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
狐塚町にはあやかしが住んでいる
佐倉海斗
キャラ文芸
狐塚町には妖狐が住んでいる。妖狐の名前は旭。狐塚稲荷神社にて祀られてしまったことにより神格を与えられた「あやかし」だ。
「願いを叶えてやろう」
旭は気まぐれで人を助け、気まぐれで生きていく。あやかしであることを隠すこともせず、旭は毎日が楽しくて仕方がなかった。
それに振り回されるのは、いつだって、旭の従者である鬼の「春博」と人間の巫女「狐塚香織」だった。
個性的な三人による日常の物語。
3人のそれぞれの悩みや秘密を乗り越え、ゆっくりと成長をしていく。
※
物語に登場する方言の一部にはルビを振ってあります。
方言は東海のある地域を参考にしています。
婚活パーティーで、国一番の美貌の持ち主と両想いだと発覚したのだが、なにかの間違いか?
ぽんちゃん
BL
日本から異世界に落っこちた流星。
その時に助けてくれた美丈夫に、三年間片思いをしていた。
学園の卒業を目前に控え、商会を営む両親に頼み込み、婚活パーティーを開いてもらうことを決意した。
二十八でも独身のシュヴァリエ様に会うためだ。
お話出来るだけでも満足だと思っていたのに、カップル希望に流星の名前を書いてくれていて……!?
公爵家の嫡男であるシュヴァリエ様との身分差に悩む流星。
一方、シュヴァリエは、生涯独り身だと幼い頃より結婚は諦めていた。
大商会の美人で有名な息子であり、密かな想い人からのアプローチに、戸惑いの連続。
公爵夫人の座が欲しくて擦り寄って来ていると思っていたが、会話が噛み合わない。
天然なのだと思っていたが、なにかがおかしいと気付く。
容姿にコンプレックスを持つ人々が、異世界人に愛される物語。
女性は三割に満たない世界。
同性婚が当たり前。
美人な異世界人は妊娠できます。
ご都合主義。
浮遊霊は山カフェに辿り着く ~アロマとハーブティーで成仏を~
成木沢ヨウ
キャラ文芸
高校二年生の死にたがり、丸井 恵那(まるい えな)は、授業中に遺書を書き上げた。
この授業が終わったら、恵那は自殺しようと計画していたのだった。
闇サイトに載っていた自殺スポット『一ノ瀬山の断崖絶壁』へと向かった恵那は、その場所で不思議な山小屋を発見する。
中から出てきたのは、ホストのような風貌をした背の高い男で、藤沢 椋野(ふじさわ りょうの)と名乗った。
最初は恵那のことを邪険に扱うも、ひょんなことから、恵那はこのお店を手伝わなければいけなくなってしまう。
この山小屋は、浮遊霊が行き着く不思議な山カフェで、藤沢は浮遊霊に対して、アロマの香りとハーブティーの力で成仏させてあげるという、謎の霊能者だったのだ。
浮遊霊と交流することによって、心が変化していく恵那。
そして、全く謎に包まれている藤沢の、衝撃的な過去。
アロマとハーブティーが、浮遊霊と人を支える、心温まる現代ファンタジー。
校長からの課題が娘の処女を守れ…だと!?
明石龍之介
キャラ文芸
落葉武帝(らくようぶてい)高校、通称ラブ高に通う二年生 桜庭快斗(さくらばかいと)は、突然校長に課題を押し付けられる。
その課題とは、娘の落葉カレンの処女を守り抜けというものだった。
課題をクリアすれば1億円やると言われ安易に受けてしまったが最後、守れなかったら退学という条件を課せられ、カレンの天然な性格にも振り回されて快斗の高校生活は無茶苦茶になっていく。
更に課題はエスカレートしていき、様々な難題を課せられる中、果たして快斗は見事にカレンの処女を守り抜くことができるのか!?
秘伝賜ります
紫南
キャラ文芸
『陰陽道』と『武道』を極めた先祖を持つ大学生の高耶《タカヤ》は
その先祖の教えを受け『陰陽武道』を継承している。
失いつつある武道のそれぞれの奥義、秘伝を預かり
継承者が見つかるまで一族で受け継ぎ守っていくのが使命だ。
その過程で、陰陽道も極めてしまった先祖のせいで妖絡みの問題も解決しているのだが……
◆◇◆◇◆
《おヌシ! まさか、オレが負けたと思っておるのか!? 陰陽武道は最強! 勝ったに決まっとるだろ!》
(ならどうしたよ。あ、まさかまたぼっちが嫌でとかじゃねぇよな? わざわざ霊界の門まで開けてやったのに、そんな理由で帰って来ねえよな?)
《ぐぅっ》……これが日常?
◆◇◆
現代では恐らく最強!
けれど地味で平凡な生活がしたい青年の非日常をご覧あれ!
【毎週水曜日0時頃投稿予定】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる