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あやかしの世界に行ってみましょう。
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「まったく、万物の創設者でもあるまいし、私もなんでもできるわけではありませんよ。例えば通紋を分けてみるとか……あ、できましたね」
業華が自身の右目にある通紋に立てた人差し指と中指で触れ、思いを込めて夢穂の右目瞼に触れる。
すると花火のような斜線……花弁と呼ぶべきか、その数枚が捲れたように浮き上がり、夢穂へと移動した。
夢穂の右目尻に長いまつ毛のように貼りついた真紅の紋様。
夢穂をあちら側へ送るならこの方法しか思いつかなかった業華だったが、やってみるとあっさり成功してしまった。
そんなことだからなんでもできると思われるのだ、と影雪は一連の流れを遠い目で眺めていた。
「とはいえ、このような付け焼き刃のやり方で長く保つとは思えません。恐らく時間が経てば紋様はあるべき場所である私のところに戻ってくるでしょうから、長居は無用ですよ、なるべく早く帰るように」
「もし、この通紋が消えたら……」
「こちらの世界に戻れなくなる可能性が高いでしょうね」
真剣な面持ちで忠告する業華に、夢穂は生唾を飲み込むと、深呼吸をして改めて決意を固めた。
「わかった、必ず何か見つけて帰ってくるから、待っててね」
「……よい心構えです」
業華はにこりと微笑むと、鳥居に向き直り手のひらを伸ばす。
その指先が門の内側に触れた瞬間、空間が揺らめいた。
泉に雫が落ちるように、中心から絶え間なく波紋が広がる。
「すごい、どうなってるの?」
「通紋の所有者が触れると、出入り口が現れるようになっているのですよ」
感心するように言った夢穂が、透き通る水紋を見つめた。
「……この中に、入ればいいの?」
「ええ、そうですよ、一歩先はあやかし世界です。影雪」
振り向いた業華が促すように影雪を呼んだ。
業華が自身の右目にある通紋に立てた人差し指と中指で触れ、思いを込めて夢穂の右目瞼に触れる。
すると花火のような斜線……花弁と呼ぶべきか、その数枚が捲れたように浮き上がり、夢穂へと移動した。
夢穂の右目尻に長いまつ毛のように貼りついた真紅の紋様。
夢穂をあちら側へ送るならこの方法しか思いつかなかった業華だったが、やってみるとあっさり成功してしまった。
そんなことだからなんでもできると思われるのだ、と影雪は一連の流れを遠い目で眺めていた。
「とはいえ、このような付け焼き刃のやり方で長く保つとは思えません。恐らく時間が経てば紋様はあるべき場所である私のところに戻ってくるでしょうから、長居は無用ですよ、なるべく早く帰るように」
「もし、この通紋が消えたら……」
「こちらの世界に戻れなくなる可能性が高いでしょうね」
真剣な面持ちで忠告する業華に、夢穂は生唾を飲み込むと、深呼吸をして改めて決意を固めた。
「わかった、必ず何か見つけて帰ってくるから、待っててね」
「……よい心構えです」
業華はにこりと微笑むと、鳥居に向き直り手のひらを伸ばす。
その指先が門の内側に触れた瞬間、空間が揺らめいた。
泉に雫が落ちるように、中心から絶え間なく波紋が広がる。
「すごい、どうなってるの?」
「通紋の所有者が触れると、出入り口が現れるようになっているのですよ」
感心するように言った夢穂が、透き通る水紋を見つめた。
「……この中に、入ればいいの?」
「ええ、そうですよ、一歩先はあやかし世界です。影雪」
振り向いた業華が促すように影雪を呼んだ。
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