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序章
第四話 殺意
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ハンダが目を覚ましたその場所は、見慣れたオフィスの中だった。
しかし、見慣れたその景色にいくつか異なる部分がチラついている。
その空間にいる人々は皆オフィスの後ろにある出口へ逃げ惑い、中には頭や体から血を流して倒れているものもいる。
オフィスの奥は一面がガラス張りになっていたようで、その周辺にはガラスらしきものが粉々になって散乱している。
外が丸見えになったその先をハンダは目を凝らして覗く。
そこには今まで見てきた中でも最も奇異な形をした生き物が列を成している。
象の形の顔に大きな一つ目を持った生き物。
細長い蛇のような体に無数の目が着いただけで頭のない生き物。
それらは明らかに動物や生き物といった優しいものではなく、怪物、と言うべきである気持ちの悪い見た目である。
ハンダの顔が青白くなる。
「なんだよ、、、あれ、、、」
ハンダは数歩先の目に見える死を意識した訳では無い。しかし、ハンダの本能はそれらのリスクを避けることを脳に伝達している。
次の瞬間、ハンダは背後の出口へ駆け出した。
出口をくぐると、その周辺には踏まれて亡くなったと思われる人々が沢山倒れている。
手や顔は泥やホコリにまみれ、無惨に息絶えている。
その死体を跨ぎ、ハンダは多くの人々が向かっている非常口に自身も参入した。
急いで階段を駆け下り、息を切らした。
1番下の階に着いたのだろう。階段が途切れている。
広い廊下に出ると、3つに道が別れていた。
オフィスの人々は道を理解しているのか、それぞれ別の道に迷いなく向かっていた。
そんな中、冷静を少しとりもどしたハンダは、ひとつの非常扉を見つけた。
段々と人が減り、非常扉への道が開ける。
「ここ、、、どこに出るんだ?」
少し不安ながらも背に腹は変えられないとて扉を開き、足を踏み入れる。
そして金属製の扉をバタンと閉めると、そこは真っ暗になった。
あれほどオフィスが荒れていたのだ。きっと配電設備が故障してしまっているのだろう。
「怖いな、、、ここ、、、」
不気味なほど静かな故、小さな音でも大きく響く。
コツンコツンとハンダの足音が響く。
しばらく歩いていると何となく悪い予感が頭をよぎる。
この道を使わないのはみんなに焦っていたからなのか。
それとも、、、
「いやいやいや!そんな事ないって、、、」
よく分からないテンションで自身をつっこむ。
「いや、、、まさかな、、、」
そう言いつつも不安は残っている。
そしてそこから数分すると、その予感の答え合わせの時が来た。
その予感は正解だった。
闇の中から不気味な横顔が現れる。
「、、、っ!!」
そこに居たのは明らかに人間では無い。
馬の骨格のような顔の左右の頬の上辺りから大きな曲がった角を持ち、痩せ細った人間のような体の怪物。
『シュルルルルルル』
という不気味な声とともにハンダを振り返る。
ハンダは未だかつて無いほどに怯えている。
しかし、怯えているのはそのおびただしい姿にではなく、その足元にある“肉片”だった。
その肉片はどこかグロテスクさを感じさせる。
そしてその異変に気がついた。
肉片は男用のスーツに包まれている。
一瞬でハンダはそれが人間だったものであると確信した。
その真実にさらに怯え、腰を抜かした。
「あ、、、あ、、、っ!!」
頼りなく動作のない足腰を必死に手と腕で引きづり、なんとか得体の知れない怪物から離れようとする。
『シュルルルルルルルルルルルルル』
しかし、なんの恐怖も覚えない怪物の足はこちらに向かってくる。
「や、、、め、、、っ!!」
声も出ないほど怯えているとこに自身も気がつく。
「こっちに、、、くる、、、な、、、っっ!!」
震える手で手元にあったコンクリートの欠片を投げつける。
助けが来ることを祈り、怪物の後ろに出口があるか見ようとする。
しかし、先はまだ程遠かった。
「うっ、、、」
こうなると、人間はなんとか対抗しようと武力を行使し出す。火事場の馬鹿力、とも言えるのだろうか。
「うおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
叫ぶことでストレス、すなわち恐怖心を強制的に消し去る。
さっきまで無能だった足腰と手は目の前の敵を殺すことを望むように力を湧かせ始める。
ハンダはその力ではね起きる。
「、、、殺せば、、、出られるよな?」
そう問うハンダの目はケモノを狩る前の狩人と同じ輝きを放っている。
しかし、見慣れたその景色にいくつか異なる部分がチラついている。
その空間にいる人々は皆オフィスの後ろにある出口へ逃げ惑い、中には頭や体から血を流して倒れているものもいる。
オフィスの奥は一面がガラス張りになっていたようで、その周辺にはガラスらしきものが粉々になって散乱している。
外が丸見えになったその先をハンダは目を凝らして覗く。
そこには今まで見てきた中でも最も奇異な形をした生き物が列を成している。
象の形の顔に大きな一つ目を持った生き物。
細長い蛇のような体に無数の目が着いただけで頭のない生き物。
それらは明らかに動物や生き物といった優しいものではなく、怪物、と言うべきである気持ちの悪い見た目である。
ハンダの顔が青白くなる。
「なんだよ、、、あれ、、、」
ハンダは数歩先の目に見える死を意識した訳では無い。しかし、ハンダの本能はそれらのリスクを避けることを脳に伝達している。
次の瞬間、ハンダは背後の出口へ駆け出した。
出口をくぐると、その周辺には踏まれて亡くなったと思われる人々が沢山倒れている。
手や顔は泥やホコリにまみれ、無惨に息絶えている。
その死体を跨ぎ、ハンダは多くの人々が向かっている非常口に自身も参入した。
急いで階段を駆け下り、息を切らした。
1番下の階に着いたのだろう。階段が途切れている。
広い廊下に出ると、3つに道が別れていた。
オフィスの人々は道を理解しているのか、それぞれ別の道に迷いなく向かっていた。
そんな中、冷静を少しとりもどしたハンダは、ひとつの非常扉を見つけた。
段々と人が減り、非常扉への道が開ける。
「ここ、、、どこに出るんだ?」
少し不安ながらも背に腹は変えられないとて扉を開き、足を踏み入れる。
そして金属製の扉をバタンと閉めると、そこは真っ暗になった。
あれほどオフィスが荒れていたのだ。きっと配電設備が故障してしまっているのだろう。
「怖いな、、、ここ、、、」
不気味なほど静かな故、小さな音でも大きく響く。
コツンコツンとハンダの足音が響く。
しばらく歩いていると何となく悪い予感が頭をよぎる。
この道を使わないのはみんなに焦っていたからなのか。
それとも、、、
「いやいやいや!そんな事ないって、、、」
よく分からないテンションで自身をつっこむ。
「いや、、、まさかな、、、」
そう言いつつも不安は残っている。
そしてそこから数分すると、その予感の答え合わせの時が来た。
その予感は正解だった。
闇の中から不気味な横顔が現れる。
「、、、っ!!」
そこに居たのは明らかに人間では無い。
馬の骨格のような顔の左右の頬の上辺りから大きな曲がった角を持ち、痩せ細った人間のような体の怪物。
『シュルルルルルル』
という不気味な声とともにハンダを振り返る。
ハンダは未だかつて無いほどに怯えている。
しかし、怯えているのはそのおびただしい姿にではなく、その足元にある“肉片”だった。
その肉片はどこかグロテスクさを感じさせる。
そしてその異変に気がついた。
肉片は男用のスーツに包まれている。
一瞬でハンダはそれが人間だったものであると確信した。
その真実にさらに怯え、腰を抜かした。
「あ、、、あ、、、っ!!」
頼りなく動作のない足腰を必死に手と腕で引きづり、なんとか得体の知れない怪物から離れようとする。
『シュルルルルルルルルルルルルル』
しかし、なんの恐怖も覚えない怪物の足はこちらに向かってくる。
「や、、、め、、、っ!!」
声も出ないほど怯えているとこに自身も気がつく。
「こっちに、、、くる、、、な、、、っっ!!」
震える手で手元にあったコンクリートの欠片を投げつける。
助けが来ることを祈り、怪物の後ろに出口があるか見ようとする。
しかし、先はまだ程遠かった。
「うっ、、、」
こうなると、人間はなんとか対抗しようと武力を行使し出す。火事場の馬鹿力、とも言えるのだろうか。
「うおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
叫ぶことでストレス、すなわち恐怖心を強制的に消し去る。
さっきまで無能だった足腰と手は目の前の敵を殺すことを望むように力を湧かせ始める。
ハンダはその力ではね起きる。
「、、、殺せば、、、出られるよな?」
そう問うハンダの目はケモノを狩る前の狩人と同じ輝きを放っている。
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