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スピンオフ 夕刻跳梁跋扈
禁足の地
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鳳:『ソレを産んだ母親は
絶望したと、話したという
産んだものは、ヒトか、バケモノか
失敗したんだよ』
夕刻跳梁跋扈 禁足の地
夕凪:『縛』!
ある霊は何かに掴まれたように動けなくなる
鳳:流石は夕凪!飲み込みと理解が早いね
勘の良さも相まって素晴らしい成長だ
夕凪:この前、悔しい思いをしたから…ね!
夕凪は霊に近づき、ある液体の入った瓶を割る
霊はその液体が触れた箇所から塵の様に消えていく
夕凪:それに、茜は除霊できる様になったって
私だけ何もできないのは嫌なの
鳳:実際今、君は除霊しているわけだけど?
夕凪:半分は鳳さんのものでしょ?
私は動きを止めることしかできないし
鳳:呪いに効かなかったことが
相当トラウマになっているのかな?
仕方がないんだけどね
呪言は性質が似ているから
夕凪:それでも、自分の身は自分で守れでしょ?
鳳:君に伏を初めに教えて良かったよ
夕凪:なんで?
鳳:呪言とは、言霊の力
霊力や呪力と呼ばれるものは
増幅装置の様なものだと教えたね
夕凪:覚えてますよ、ちゃんと
鳳:私が初めに教えた伏を
もし、伏せではなく、調伏として
言霊を込めていたら扱えなかっただろうね
夕凪:未熟だから?
鳳:というより、扱う言葉が強すぎると
その分、跳ね返りがあるんだ
茜が使う除霊も同じだけどね
夕凪:あー……、めっちゃ疲れるって言ってたっけ
鳳:本来、あの除霊方法は人間のみの力じゃ
逆に自分の命を削ることになる
あの子は中に狐がいたね
そのおかげで疲れる程度に収まっているわけだ
夕凪:けど、そういう除霊する人いますよね?
私はそんなに見たことはないけど
鳳:経や道具を使い除霊する方法が一般的
霊力を飛ばして中和させ除霊するのは化物だよ
フフ、怪異と大差ない
夕凪:じゃあ鳳さんも化物ですね
鳳:……さぁ、どうだろう?
私の除霊は一般的な方だと思うけども
夕凪:一般人は瞬間移動はできませんよ
鳳:鍛錬すればできなくはないよ、多分ね
夕凪:それで、伏は何でいいんですか?
鳳:言葉は悪いが、伏せとは何に使う?
夕凪:犬の躾とかですか?
鳳:そうだね
つまりは、人より下のモノに対して使う言葉だ
夕凪:そんな事ないでしょ
鳳:先に断ったはずだよ、言葉は悪いと
意識的に犬や猫、動物を下に見ることはないだけろうけど
潜在的に下に見ているだろう?
檻の中に入れ、見世物の様に陳列してるじゃないか
お座り、待て、伏せ
何故、人の権限でその命に命令をするのだろうね
夕凪:正論なんですけど
時々……いや、鳳さんの言葉は常に意地が悪い!
鳳:まぁ、そんな話は置いておいて
つまり、調伏としての意味で使うと
呪い殺す、支配する…あとは降魔としての意味を持つ
夕凪:降魔?悪魔を降ろすみたいな?
鳳:憑依と捉えるとそうなるし
打ち負かすと捉えたら字が変わるね
どちらにせよ、霊を殺す、支配するなんて
最近、覚えた呪言でどうにかできるレベルではないよね
夕凪:確かに、それは……無理だと思いますね
鳳:だから自分より格下に使う言葉で
さらに、動きを封じるのに最適であり
且つ、一文字で完結しているのが利点
夕凪:一文字の良さって?
鳳:分かりやすい
夕凪:自分が理解しやすくてってこと?
鳳:聞いた相手もね
今回の『しばれ』もだね
『ばく』と言うと聞いた相手は
別の意味として捉える可能性もあるからね
夕凪:『不動』は二文字ですけど
鳳:何を言っているんだい
スキルアップは重要だよ
学生より、働いてからこそ勉強が始まる
夕凪:いや、私まだ学生ですけど!
鳳:尚更、学ばないといけないね
夕凪:あーいえばこーいうー
鳳:拗ねないで欲しいね
他に聞きたいことはあるかな?
夕凪:鳳さんの陣血結界はどんな除霊なんですか?
鳳:結界に閉じ込めて中のモノを除霊する
ただ、自分の力は殆ど使っていなくて
結界を作る時に使っている御神酒だったりを
利用している……ただ
あの御神酒に秘密がある
夕凪:秘密、ですか
鳳:中に私の血を混ぜている
神聖なものを穢すことで
私独自の結界であり、祓う力を持っている
真似はできないよ
夕凪:同じことしても意味ないんでしょ?
ただ穢すだけか、もっと酷くなる
鳳:よく解っているじゃないか
そういうこと
私の場合、殆ど道具を使う
だから、一般的な除霊
夕凪:絶対違うと思いますけどね
なんか握り潰してますし
鳳:あれは印相や、手印の類を真似た……
うん、あれも理解しやすいように
夕凪:なるほど?
鳳:霊は霊で独自の理解を持っている
お経を聞いても理解できないでしょ?
なのに霊に対しては経を読む
霊になったらそれを理解するようになる
夕凪:なんとなく、分かりました
なにか別のルールみたいなのがあるんですね
鳳:そんなところかな……ん?
杏:い、いま……何してたんですか……?
夕凪:誰?……って、今は、えっと
鳳:除霊だよ……見えるんだね?
杏:は、はい……
夕凪:まさか同業……な訳ないか
鳳:だろうね
杏:あ、あの!助けてもらえませんか!
夕凪:え?助ける?
杏:はい、実は……
【間】
夕凪:肝試しをしてたら霊に襲われた
友達を残して自分だけ逃げてきた
よく聞く話ですね
鳳:君以外に見える人は?
杏:多分いないと思います
ただ、襲われた……というか
追いかけてきた時は皆んな見てた、かも
夕凪:そういえば、名前は?
杏:……杏、です
夕凪:どんな霊かもう少し詳しく教えて?
杏:はい……
鳳:夕凪
夕凪:はい?何です?
鳳:いや、少し気になることを調べるから
そのまま話を聞いておいてくれ
夕凪:分かりました
杏:見えた幽霊は、右腕がなくて
左足が木の枝みたいな
夕凪:なにそれ……
杏:よく解らないです……
義足?って言えばいいのかな
夕凪:特徴的な霊だから
何か情報はありそうだけど
杏:噂にあった話とは全然違って
子供の幽霊とか、女の人って聞いてて
夕凪:男性だった?
杏:直感ですけど……
顔は怖かったのと逃げるのに必死で
夕凪:見れなかったわけね
鳳さん、どうです?
鳳:この辺りだと、確かに噂はあるね
……心霊スポットとしては偽物
霊道も無いみたいだけどね
変な霊が棲みついたのかな
杏:あの!助けてもらえそうですか?
夕凪:助けるよ
杏:ありがとうございます!
鳳:手遅れになってなければいいけど
夕凪:ちょ!不安になる様なこと言わないでください!
鳳:じゃあ、急いで向かおうか
【間】
杏:もう少しです
夕凪:……
鳳:どうしたのかな?
夕凪:いえ、気配が無いなって
鳳:……夕凪、もしかしたら
夕凪:はい?
鳳:いや、答え合わせは後でだね
夕凪:答え合わせ?
杏:あれ、ここら辺のはずなのに
みんな、どこに行ったんだろう
夕凪:ここ?
杏:別れたのはこの辺りだったはず
鳳:食われたかな
杏:っ…食われ……!?
夕凪:だとしたら、妖怪!?
鳳:本当に食べてたらの話だけどね
杏:そ、そんな……うっ…うぁ…
夕凪:でも、何も気配が無い
鳳:最近、見え方に変化はあるかい?
夕凪:え?見え方?
鳳:もし、私の仮説が正しければ
夕凪には一度、授業をしないとね
夕凪:ちょ、今関係ないですよ!
何の話なんですか!
鳳:いや?関係が無いわけではないよ
それに、もう大丈夫そうだから
夕凪:大丈夫?
杏:いただきます
夕凪:えっ……
そう言うと、牙を剥き出し夕凪に襲いかかる杏
しかし、何かにそれを阻まれる
杏:ぎゃっ!?
夕凪:……壁?
鳳:結界だよ
杏:な、何だ?これは?
鳳:さて、正体を現したところで
『陣血結界』
杏:!?
鳳:と、今までならそう言って退治する所だけどね?
夕凪の今後の為にも、師匠である私が
目標設定でもしてあげようか
夕凪:師匠……?
鳳:ははは、呪言を教えたのは私だからね
『 不動静止固定影踏』
杏:アッ!な、ん……だ……動け…ない……
夕凪:不動?
いや、何だろう?違う気がする……
鳳:察しがいいね、私が込めたのは八文字
不動、静止、固定、影踏
影踏は遊びでもあるんだけど
動きを止める意味を持っているんだ
夕凪:八文字……時間が止まったみたい
なに、これ……
鳳:夕凪にはこうなって欲しいね
さて、動けないし、良い機会だ
授業でもしようか
夕凪:……
杏:クソ!!おい!なんだこれ!!
なにしやがった!!
鳳:私は最初に見た時から
彼女が怪異の部類だと解った
種類は不明だったけどね
道中、気配云々の話を夕凪は出していたが
最近、夕凪の見える力が強まってるね
夕凪:なんで、そう思うんですか?
鳳:最近、霊糸を見てないね?
本来、霊糸は霊から見えるものだけど
境界が曖昧になるとね、見えなくなってくる
夕凪:境界が曖昧になる?
怪異に近くなってるってこと?
鳳:霊感が強まってるが正しい
だから、見える人ほど見落としがちなんだ
生きている人と区別が出来なくなる
ゆえに、私たちはまた別の方法で見分ける
今度はそれを教えてあげるよ
夕凪:じゃあ、鳳さんはそれで見分けたの?
鳳:そうなんだけど
さっきまでは霊体だと思ってたんだけどね
現場に着いて解ったよ
君は、妖怪だね?
杏:なん、なんだ……お前、は!
鳳:私たちを見つけた時、私は何もしなかった
除霊を最後まで行ったのは夕凪だ
杏:な、に…を
鳳:君は勘違いをしたんだ
夕凪が力を持っていて
私は夕凪ほど力は無い、もしくは
同等くらいである、と
杏:!?……っ
鳳:能ある鷹は爪を隠すが自然に出来ていて
私は嬉しい限りだよ
夕凪:違うと思いますけど?
鳳:そのおかげで夕凪を狙ってくれたし
こうして授業まで出来て有難いね
ははっ、流石は動物
脳が小さいのかもしれないね
さて、反論はあるかな?
杏:巫山戯るな!!馬鹿にしやがって!!
これを解け!!食わせろ!
鳳:正体を当ててあげようか?
君は、獺だ
夕凪:カワウソ?あの?
鳳:あの可愛らしい奴がって?
妖怪である獺は人に化ける
そして、人を襲い、食う妖怪だよ
子供に化ける奴が多いよね?
杏:なん、で……そこまで解って
鳳:専門なものでね
それと最近、物騒な話を聞いていたんだ
子供のグループに一人異物が混じり
食っているってね……君だね?
杏:っ……
夕凪:何の話ですか、それ?
鳳:いつからかグループの人数が一人増え
そのグループの子達が行方不明になっている
私に依頼が来ているわけではなかったから
特に調べることも無かったんだけど
夕凪:知らなかったです……それ
鳳:夕凪個人で依頼を受けている訳ではないし
知らなくて当然ではあるけどね
杏:……あぁ、そうだ
私が食った!!はははは!!
結構な数を食ったぞ!
夕凪:っ!この……!
鳳:待った
夕凪:鳳さん!こいつは駆除対象です!
なんで、止めるんですか!
鳳:まだ話をしている最中だよ
何故、夕凪を狙ったのかな?
杏:人は食い飽きた
だけど、食えば力を増やせる
それで良いことを聞いた!
違う種類を食えばいいって
そうすれば、普通を食うより数倍良いって
だから探していたんだ!
夕凪:違う種類……?
杏:お前らだ!!人のくせにこっちの奴らだ!
今日も食べ終わって満足していたのに……
まさか……ヒヒ、ヒヒヒ
あんな所で、お前たちを見つけるなんて
食べなきゃ損、じゃないかぁ……!!
夕凪:じゃあ、アンタが話した人たちは!
杏:食ったさ!!肝試しに誘って
私の力で少し驚かしたら腰を抜かしていた
あはははは!!簡単に食えた
人は馬鹿で単純だからなぁ!
夕凪:このっ……!!
鳳:禁足地
夕凪:えっ?
杏:はぁ?
鳳:各地に存在する足を踏み入れてはいけない場所
神の住む場所であったり、理由は様々だが
そう呼ばれる場所がある
杏:それが何だ
鳳:そして、人には全員に禁足地がある
それが何か解るかな?
杏:人に禁足地ぃ?何を言っているんだ、お前
鳳:命、だよ
夕凪:命……
鳳:私が駆除対象と言って妖怪退治をするのは
妖怪に限らず、怪異全てに線引きをしている
禁足地に足を踏み入れたかどうかだ
杏:………な、に、っ
鳳:人の命に足を踏み入れたお前は
禁足地を侵した害虫と同義
つまり、駆除対象だ
杏:待て、なんだ、なぁ、なんだ
鳳:時間は結構与えたつもりだが?
逃げ出せなかったのは、お前が弱いからだ
私は別に、呪言は得意ではない
杏:ヒッ……
鳳:だが、もっとやる事もできる
『 口止息止音無不発』
杏:……………!!!!
鳳:さぁ、どうかな?喋ってみてくれ
もう一度言おう
私は別に、呪言は得意ではない
杏:……!バ、ケモ………ノ
鳳:フフ、喋れるじゃないか
ほら、言った通りだ
夕凪:もう、いいですか?鳳さん
鳳:あぁ、今回は夕凪に任せようか
狙われたのも夕凪だからね
夕凪:……もう解ったと思うけど
お前は駆除対象だ
杏:嫌、嫌だ
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌
夕凪:『祓』
【間】
鳳:除霊用の呪言も土壇場で成功かな
夕凪:はぁ……はぁ……
これ、ちょっと……
鳳:跳ね返りかな?
祓えより、還ってくらいが丁度良いね
夕凪:私も少し、ムカついてたので……
それに、途中で鳳さんの呪言解きましたね?
普通に喋ってましたけど
鳳:ははは、冷静に対処しないとね
夕凪:鳳さんも怒ってたクセに
鳳:私かい?私は別に冷静だよ
夕凪:そういえば
鳳:ん?
夕凪:妖怪にまでバケモノって言われてましたね
鳳:ははっ、あれは褒め言葉だよ
夕凪:何でそうなるんですか……
鳳:……ソレを産んだ母親は
絶望したと、話したという
産んだものは、ヒトか、バケモノか
夕凪:……何の話ですか?それ
鳳:失敗したんだよ
人じゃないモノを産んでしまったと
夕凪:……
鳳:産んだ子は双子
一人は産声を上げずに笑っていた
一人はじっと母親を見ていたそうだ
夕凪:それが……鳳さん、ってこと?
鳳:聞いた話だよ
夕凪:じゃあ、その双子は化け物なんですか?
鳳:さぁ、どうだろう
バケモノかヒトか
違いはなんだろうか
そんな話を聞いたから、私も色々と話をした
夕凪:話、ですか
鳳:人の生き死にこそ怪異だ、と
そう考える様になった
だからこそ、人の命に踏み入る怪異は
私は赦してはいけない
命とは、誰のもでもない自分の物だ
誰もその命に踏み入ってはいけない
夕凪:そう……ですね
この前の……あの子もそうでした
鳳:蝕穢に憑かれてはいたが
それも言い訳に過ぎない
夕凪:はい
鳳:……まぁ、例外はあるけど
夕凪:え?例外ですか?
鳳:自業自得や責任、かな
人の命に踏み入った者は
自分の命に踏み入られる覚悟が問われる
夕凪:……分かるような、分からないような
鳳:はははっ、それでいいよ
まだ経験しない方がいいからね
夕凪:鳳さんは、どんな経験をしたんですか
鳳:それこそ、色々だよ
この世界は綺麗事は言えても
その通りにいくことなんて稀だから
夕凪:それは、怪異だけじゃないですよ
それこそ、化物も人も変わらないです
鳳:達観してるねぇ……
さて、遅くなってしまった
送って行こうじゃないか
夕凪:あ!明日一限からだ……
はぁ……帰ったらすぐら寝なきゃなぁ
鳳:学生は大変だ
夕凪:行きましょう、鳳さん
鳳:あぁ……
(化物、ねぇ
バケモノはバケモノらしく
自分勝手に、生きていきたいね)
夕刻跳梁跋扈 禁足の地 終
絶望したと、話したという
産んだものは、ヒトか、バケモノか
失敗したんだよ』
夕刻跳梁跋扈 禁足の地
夕凪:『縛』!
ある霊は何かに掴まれたように動けなくなる
鳳:流石は夕凪!飲み込みと理解が早いね
勘の良さも相まって素晴らしい成長だ
夕凪:この前、悔しい思いをしたから…ね!
夕凪は霊に近づき、ある液体の入った瓶を割る
霊はその液体が触れた箇所から塵の様に消えていく
夕凪:それに、茜は除霊できる様になったって
私だけ何もできないのは嫌なの
鳳:実際今、君は除霊しているわけだけど?
夕凪:半分は鳳さんのものでしょ?
私は動きを止めることしかできないし
鳳:呪いに効かなかったことが
相当トラウマになっているのかな?
仕方がないんだけどね
呪言は性質が似ているから
夕凪:それでも、自分の身は自分で守れでしょ?
鳳:君に伏を初めに教えて良かったよ
夕凪:なんで?
鳳:呪言とは、言霊の力
霊力や呪力と呼ばれるものは
増幅装置の様なものだと教えたね
夕凪:覚えてますよ、ちゃんと
鳳:私が初めに教えた伏を
もし、伏せではなく、調伏として
言霊を込めていたら扱えなかっただろうね
夕凪:未熟だから?
鳳:というより、扱う言葉が強すぎると
その分、跳ね返りがあるんだ
茜が使う除霊も同じだけどね
夕凪:あー……、めっちゃ疲れるって言ってたっけ
鳳:本来、あの除霊方法は人間のみの力じゃ
逆に自分の命を削ることになる
あの子は中に狐がいたね
そのおかげで疲れる程度に収まっているわけだ
夕凪:けど、そういう除霊する人いますよね?
私はそんなに見たことはないけど
鳳:経や道具を使い除霊する方法が一般的
霊力を飛ばして中和させ除霊するのは化物だよ
フフ、怪異と大差ない
夕凪:じゃあ鳳さんも化物ですね
鳳:……さぁ、どうだろう?
私の除霊は一般的な方だと思うけども
夕凪:一般人は瞬間移動はできませんよ
鳳:鍛錬すればできなくはないよ、多分ね
夕凪:それで、伏は何でいいんですか?
鳳:言葉は悪いが、伏せとは何に使う?
夕凪:犬の躾とかですか?
鳳:そうだね
つまりは、人より下のモノに対して使う言葉だ
夕凪:そんな事ないでしょ
鳳:先に断ったはずだよ、言葉は悪いと
意識的に犬や猫、動物を下に見ることはないだけろうけど
潜在的に下に見ているだろう?
檻の中に入れ、見世物の様に陳列してるじゃないか
お座り、待て、伏せ
何故、人の権限でその命に命令をするのだろうね
夕凪:正論なんですけど
時々……いや、鳳さんの言葉は常に意地が悪い!
鳳:まぁ、そんな話は置いておいて
つまり、調伏としての意味で使うと
呪い殺す、支配する…あとは降魔としての意味を持つ
夕凪:降魔?悪魔を降ろすみたいな?
鳳:憑依と捉えるとそうなるし
打ち負かすと捉えたら字が変わるね
どちらにせよ、霊を殺す、支配するなんて
最近、覚えた呪言でどうにかできるレベルではないよね
夕凪:確かに、それは……無理だと思いますね
鳳:だから自分より格下に使う言葉で
さらに、動きを封じるのに最適であり
且つ、一文字で完結しているのが利点
夕凪:一文字の良さって?
鳳:分かりやすい
夕凪:自分が理解しやすくてってこと?
鳳:聞いた相手もね
今回の『しばれ』もだね
『ばく』と言うと聞いた相手は
別の意味として捉える可能性もあるからね
夕凪:『不動』は二文字ですけど
鳳:何を言っているんだい
スキルアップは重要だよ
学生より、働いてからこそ勉強が始まる
夕凪:いや、私まだ学生ですけど!
鳳:尚更、学ばないといけないね
夕凪:あーいえばこーいうー
鳳:拗ねないで欲しいね
他に聞きたいことはあるかな?
夕凪:鳳さんの陣血結界はどんな除霊なんですか?
鳳:結界に閉じ込めて中のモノを除霊する
ただ、自分の力は殆ど使っていなくて
結界を作る時に使っている御神酒だったりを
利用している……ただ
あの御神酒に秘密がある
夕凪:秘密、ですか
鳳:中に私の血を混ぜている
神聖なものを穢すことで
私独自の結界であり、祓う力を持っている
真似はできないよ
夕凪:同じことしても意味ないんでしょ?
ただ穢すだけか、もっと酷くなる
鳳:よく解っているじゃないか
そういうこと
私の場合、殆ど道具を使う
だから、一般的な除霊
夕凪:絶対違うと思いますけどね
なんか握り潰してますし
鳳:あれは印相や、手印の類を真似た……
うん、あれも理解しやすいように
夕凪:なるほど?
鳳:霊は霊で独自の理解を持っている
お経を聞いても理解できないでしょ?
なのに霊に対しては経を読む
霊になったらそれを理解するようになる
夕凪:なんとなく、分かりました
なにか別のルールみたいなのがあるんですね
鳳:そんなところかな……ん?
杏:い、いま……何してたんですか……?
夕凪:誰?……って、今は、えっと
鳳:除霊だよ……見えるんだね?
杏:は、はい……
夕凪:まさか同業……な訳ないか
鳳:だろうね
杏:あ、あの!助けてもらえませんか!
夕凪:え?助ける?
杏:はい、実は……
【間】
夕凪:肝試しをしてたら霊に襲われた
友達を残して自分だけ逃げてきた
よく聞く話ですね
鳳:君以外に見える人は?
杏:多分いないと思います
ただ、襲われた……というか
追いかけてきた時は皆んな見てた、かも
夕凪:そういえば、名前は?
杏:……杏、です
夕凪:どんな霊かもう少し詳しく教えて?
杏:はい……
鳳:夕凪
夕凪:はい?何です?
鳳:いや、少し気になることを調べるから
そのまま話を聞いておいてくれ
夕凪:分かりました
杏:見えた幽霊は、右腕がなくて
左足が木の枝みたいな
夕凪:なにそれ……
杏:よく解らないです……
義足?って言えばいいのかな
夕凪:特徴的な霊だから
何か情報はありそうだけど
杏:噂にあった話とは全然違って
子供の幽霊とか、女の人って聞いてて
夕凪:男性だった?
杏:直感ですけど……
顔は怖かったのと逃げるのに必死で
夕凪:見れなかったわけね
鳳さん、どうです?
鳳:この辺りだと、確かに噂はあるね
……心霊スポットとしては偽物
霊道も無いみたいだけどね
変な霊が棲みついたのかな
杏:あの!助けてもらえそうですか?
夕凪:助けるよ
杏:ありがとうございます!
鳳:手遅れになってなければいいけど
夕凪:ちょ!不安になる様なこと言わないでください!
鳳:じゃあ、急いで向かおうか
【間】
杏:もう少しです
夕凪:……
鳳:どうしたのかな?
夕凪:いえ、気配が無いなって
鳳:……夕凪、もしかしたら
夕凪:はい?
鳳:いや、答え合わせは後でだね
夕凪:答え合わせ?
杏:あれ、ここら辺のはずなのに
みんな、どこに行ったんだろう
夕凪:ここ?
杏:別れたのはこの辺りだったはず
鳳:食われたかな
杏:っ…食われ……!?
夕凪:だとしたら、妖怪!?
鳳:本当に食べてたらの話だけどね
杏:そ、そんな……うっ…うぁ…
夕凪:でも、何も気配が無い
鳳:最近、見え方に変化はあるかい?
夕凪:え?見え方?
鳳:もし、私の仮説が正しければ
夕凪には一度、授業をしないとね
夕凪:ちょ、今関係ないですよ!
何の話なんですか!
鳳:いや?関係が無いわけではないよ
それに、もう大丈夫そうだから
夕凪:大丈夫?
杏:いただきます
夕凪:えっ……
そう言うと、牙を剥き出し夕凪に襲いかかる杏
しかし、何かにそれを阻まれる
杏:ぎゃっ!?
夕凪:……壁?
鳳:結界だよ
杏:な、何だ?これは?
鳳:さて、正体を現したところで
『陣血結界』
杏:!?
鳳:と、今までならそう言って退治する所だけどね?
夕凪の今後の為にも、師匠である私が
目標設定でもしてあげようか
夕凪:師匠……?
鳳:ははは、呪言を教えたのは私だからね
『 不動静止固定影踏』
杏:アッ!な、ん……だ……動け…ない……
夕凪:不動?
いや、何だろう?違う気がする……
鳳:察しがいいね、私が込めたのは八文字
不動、静止、固定、影踏
影踏は遊びでもあるんだけど
動きを止める意味を持っているんだ
夕凪:八文字……時間が止まったみたい
なに、これ……
鳳:夕凪にはこうなって欲しいね
さて、動けないし、良い機会だ
授業でもしようか
夕凪:……
杏:クソ!!おい!なんだこれ!!
なにしやがった!!
鳳:私は最初に見た時から
彼女が怪異の部類だと解った
種類は不明だったけどね
道中、気配云々の話を夕凪は出していたが
最近、夕凪の見える力が強まってるね
夕凪:なんで、そう思うんですか?
鳳:最近、霊糸を見てないね?
本来、霊糸は霊から見えるものだけど
境界が曖昧になるとね、見えなくなってくる
夕凪:境界が曖昧になる?
怪異に近くなってるってこと?
鳳:霊感が強まってるが正しい
だから、見える人ほど見落としがちなんだ
生きている人と区別が出来なくなる
ゆえに、私たちはまた別の方法で見分ける
今度はそれを教えてあげるよ
夕凪:じゃあ、鳳さんはそれで見分けたの?
鳳:そうなんだけど
さっきまでは霊体だと思ってたんだけどね
現場に着いて解ったよ
君は、妖怪だね?
杏:なん、なんだ……お前、は!
鳳:私たちを見つけた時、私は何もしなかった
除霊を最後まで行ったのは夕凪だ
杏:な、に…を
鳳:君は勘違いをしたんだ
夕凪が力を持っていて
私は夕凪ほど力は無い、もしくは
同等くらいである、と
杏:!?……っ
鳳:能ある鷹は爪を隠すが自然に出来ていて
私は嬉しい限りだよ
夕凪:違うと思いますけど?
鳳:そのおかげで夕凪を狙ってくれたし
こうして授業まで出来て有難いね
ははっ、流石は動物
脳が小さいのかもしれないね
さて、反論はあるかな?
杏:巫山戯るな!!馬鹿にしやがって!!
これを解け!!食わせろ!
鳳:正体を当ててあげようか?
君は、獺だ
夕凪:カワウソ?あの?
鳳:あの可愛らしい奴がって?
妖怪である獺は人に化ける
そして、人を襲い、食う妖怪だよ
子供に化ける奴が多いよね?
杏:なん、で……そこまで解って
鳳:専門なものでね
それと最近、物騒な話を聞いていたんだ
子供のグループに一人異物が混じり
食っているってね……君だね?
杏:っ……
夕凪:何の話ですか、それ?
鳳:いつからかグループの人数が一人増え
そのグループの子達が行方不明になっている
私に依頼が来ているわけではなかったから
特に調べることも無かったんだけど
夕凪:知らなかったです……それ
鳳:夕凪個人で依頼を受けている訳ではないし
知らなくて当然ではあるけどね
杏:……あぁ、そうだ
私が食った!!はははは!!
結構な数を食ったぞ!
夕凪:っ!この……!
鳳:待った
夕凪:鳳さん!こいつは駆除対象です!
なんで、止めるんですか!
鳳:まだ話をしている最中だよ
何故、夕凪を狙ったのかな?
杏:人は食い飽きた
だけど、食えば力を増やせる
それで良いことを聞いた!
違う種類を食えばいいって
そうすれば、普通を食うより数倍良いって
だから探していたんだ!
夕凪:違う種類……?
杏:お前らだ!!人のくせにこっちの奴らだ!
今日も食べ終わって満足していたのに……
まさか……ヒヒ、ヒヒヒ
あんな所で、お前たちを見つけるなんて
食べなきゃ損、じゃないかぁ……!!
夕凪:じゃあ、アンタが話した人たちは!
杏:食ったさ!!肝試しに誘って
私の力で少し驚かしたら腰を抜かしていた
あはははは!!簡単に食えた
人は馬鹿で単純だからなぁ!
夕凪:このっ……!!
鳳:禁足地
夕凪:えっ?
杏:はぁ?
鳳:各地に存在する足を踏み入れてはいけない場所
神の住む場所であったり、理由は様々だが
そう呼ばれる場所がある
杏:それが何だ
鳳:そして、人には全員に禁足地がある
それが何か解るかな?
杏:人に禁足地ぃ?何を言っているんだ、お前
鳳:命、だよ
夕凪:命……
鳳:私が駆除対象と言って妖怪退治をするのは
妖怪に限らず、怪異全てに線引きをしている
禁足地に足を踏み入れたかどうかだ
杏:………な、に、っ
鳳:人の命に足を踏み入れたお前は
禁足地を侵した害虫と同義
つまり、駆除対象だ
杏:待て、なんだ、なぁ、なんだ
鳳:時間は結構与えたつもりだが?
逃げ出せなかったのは、お前が弱いからだ
私は別に、呪言は得意ではない
杏:ヒッ……
鳳:だが、もっとやる事もできる
『 口止息止音無不発』
杏:……………!!!!
鳳:さぁ、どうかな?喋ってみてくれ
もう一度言おう
私は別に、呪言は得意ではない
杏:……!バ、ケモ………ノ
鳳:フフ、喋れるじゃないか
ほら、言った通りだ
夕凪:もう、いいですか?鳳さん
鳳:あぁ、今回は夕凪に任せようか
狙われたのも夕凪だからね
夕凪:……もう解ったと思うけど
お前は駆除対象だ
杏:嫌、嫌だ
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌
夕凪:『祓』
【間】
鳳:除霊用の呪言も土壇場で成功かな
夕凪:はぁ……はぁ……
これ、ちょっと……
鳳:跳ね返りかな?
祓えより、還ってくらいが丁度良いね
夕凪:私も少し、ムカついてたので……
それに、途中で鳳さんの呪言解きましたね?
普通に喋ってましたけど
鳳:ははは、冷静に対処しないとね
夕凪:鳳さんも怒ってたクセに
鳳:私かい?私は別に冷静だよ
夕凪:そういえば
鳳:ん?
夕凪:妖怪にまでバケモノって言われてましたね
鳳:ははっ、あれは褒め言葉だよ
夕凪:何でそうなるんですか……
鳳:……ソレを産んだ母親は
絶望したと、話したという
産んだものは、ヒトか、バケモノか
夕凪:……何の話ですか?それ
鳳:失敗したんだよ
人じゃないモノを産んでしまったと
夕凪:……
鳳:産んだ子は双子
一人は産声を上げずに笑っていた
一人はじっと母親を見ていたそうだ
夕凪:それが……鳳さん、ってこと?
鳳:聞いた話だよ
夕凪:じゃあ、その双子は化け物なんですか?
鳳:さぁ、どうだろう
バケモノかヒトか
違いはなんだろうか
そんな話を聞いたから、私も色々と話をした
夕凪:話、ですか
鳳:人の生き死にこそ怪異だ、と
そう考える様になった
だからこそ、人の命に踏み入る怪異は
私は赦してはいけない
命とは、誰のもでもない自分の物だ
誰もその命に踏み入ってはいけない
夕凪:そう……ですね
この前の……あの子もそうでした
鳳:蝕穢に憑かれてはいたが
それも言い訳に過ぎない
夕凪:はい
鳳:……まぁ、例外はあるけど
夕凪:え?例外ですか?
鳳:自業自得や責任、かな
人の命に踏み入った者は
自分の命に踏み入られる覚悟が問われる
夕凪:……分かるような、分からないような
鳳:はははっ、それでいいよ
まだ経験しない方がいいからね
夕凪:鳳さんは、どんな経験をしたんですか
鳳:それこそ、色々だよ
この世界は綺麗事は言えても
その通りにいくことなんて稀だから
夕凪:それは、怪異だけじゃないですよ
それこそ、化物も人も変わらないです
鳳:達観してるねぇ……
さて、遅くなってしまった
送って行こうじゃないか
夕凪:あ!明日一限からだ……
はぁ……帰ったらすぐら寝なきゃなぁ
鳳:学生は大変だ
夕凪:行きましょう、鳳さん
鳳:あぁ……
(化物、ねぇ
バケモノはバケモノらしく
自分勝手に、生きていきたいね)
夕刻跳梁跋扈 禁足の地 終
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