オサキ怪異相談所

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スピンオフ 夕刻跳梁跋扈

禁足の地

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鳳:『ソレを産んだ母親は
  絶望したと、話したという
  産んだものは、ヒトか、バケモノか
  失敗したんだよ』


夕刻跳梁跋扈 禁足の地


夕凪:『しばれ』!

ある霊は何かに掴まれたように動けなくなる

鳳:流石は夕凪!飲み込みと理解が早いね
  勘の良さも相まって素晴らしい成長だ

夕凪:この前、悔しい思いをしたから…ね!

夕凪は霊に近づき、ある液体の入った瓶を割る
霊はその液体が触れた箇所から塵の様に消えていく

夕凪:それに、茜は除霊できる様になったって
   私だけ何もできないのは嫌なの

鳳:実際今、君は除霊しているわけだけど?

夕凪:半分は鳳さんのものでしょ?
   私は動きを止めることしかできないし

鳳:呪いに効かなかったことが
  相当トラウマになっているのかな?
  仕方がないんだけどね
  呪言は性質が似ているから

夕凪:それでも、自分の身は自分で守れでしょ?

鳳:君に伏を初めに教えて良かったよ

夕凪:なんで?

鳳:呪言とは、言霊の力
  霊力や呪力と呼ばれるものは
  増幅装置の様なものだと教えたね

夕凪:覚えてますよ、ちゃんと

鳳:私が初めに教えたふせ
  もし、伏せではなく、調伏として
  言霊を込めていたら扱えなかっただろうね

夕凪:未熟だから?

鳳:というより、扱う言葉が強すぎると
  その分、跳ね返りがあるんだ
  茜が使う除霊も同じだけどね

夕凪:あー……、めっちゃ疲れるって言ってたっけ

鳳:本来、あの除霊方法は人間のみの力じゃ
  逆に自分の命を削ることになる
  あの子は中に狐がいたね
  そのおかげで疲れる程度に収まっているわけだ

夕凪:けど、そういう除霊する人いますよね?
   私はそんなに見たことはないけど

鳳:経や道具を使い除霊する方法が一般的
  霊力を飛ばして中和させ除霊するのは化物だよ
  フフ、怪異と大差ない

夕凪:じゃあ鳳さんも化物ですね

鳳:……さぁ、どうだろう?
  私の除霊は一般的な方だと思うけども

夕凪:一般人は瞬間移動はできませんよ

鳳:鍛錬すればできなくはないよ、多分ね

夕凪:それで、ふせは何でいいんですか?

鳳:言葉は悪いが、伏せとは何に使う?

夕凪:犬の躾とかですか?

鳳:そうだね
  つまりは、人より下のモノに対して使う言葉だ

夕凪:そんな事ないでしょ

鳳:先に断ったはずだよ、言葉は悪いと
  意識的に犬や猫、動物を下に見ることはないだけろうけど
  潜在的に下に見ているだろう?
  檻の中に入れ、見世物の様に陳列してるじゃないか
  お座り、待て、伏せ
  何故、人の権限でその命に命令をするのだろうね

夕凪:正論なんですけど
   時々……いや、鳳さんの言葉は常に意地が悪い!

鳳:まぁ、そんな話は置いておいて
  つまり、調伏としての意味で使うと
  呪い殺す、支配する…あとは降魔としての意味を持つ

夕凪:降魔?悪魔を降ろすみたいな?

鳳:憑依と捉えるとそうなるし
  打ち負かすと捉えたら字が変わるね
  どちらにせよ、霊を殺す、支配するなんて
  最近、覚えた呪言でどうにかできるレベルではないよね

夕凪:確かに、それは……無理だと思いますね

鳳:だから自分より格下に使う言葉で
  さらに、動きを封じるのに最適であり
  且つ、一文字で完結しているのが利点

夕凪:一文字の良さって?

鳳:分かりやすい

夕凪:自分が理解しやすくてってこと?

鳳:聞いた相手もね
  今回の『しばれ』もだね
  『ばく』と言うと聞いた相手は
  別の意味として捉える可能性もあるからね

夕凪:『不動うごかず』は二文字ですけど

鳳:何を言っているんだい
  スキルアップは重要だよ
  学生より、働いてからこそ勉強が始まる

夕凪:いや、私まだ学生ですけど!

鳳:尚更、学ばないといけないね

夕凪:あーいえばこーいうー

鳳:拗ねないで欲しいね
  他に聞きたいことはあるかな?

夕凪:鳳さんの陣血結界はどんな除霊なんですか?

鳳:結界に閉じ込めて中のモノを除霊する
  ただ、自分の力は殆ど使っていなくて
  結界を作る時に使っている御神酒だったりを
  利用している……ただ
  あの御神酒に秘密がある

夕凪:秘密、ですか

鳳:中に私の血を混ぜている
  神聖なものを穢すことで
  私独自の結界であり、祓う力を持っている
  真似はできないよ

夕凪:同じことしても意味ないんでしょ?
   ただ穢すだけか、もっと酷くなる

鳳:よく解っているじゃないか
  そういうこと
  私の場合、殆ど道具を使う
  だから、一般的な除霊

夕凪:絶対違うと思いますけどね
   なんか握り潰してますし

鳳:あれは印相いんそうや、手印しゅいんの類を真似た……
  うん、あれも理解しやすいように


夕凪:なるほど?

鳳:霊は霊で独自の理解を持っている
  お経を聞いても理解できないでしょ?
  なのに霊に対しては経を読む
  霊になったらそれを理解するようになる

夕凪:なんとなく、分かりました
   なにか別のルールみたいなのがあるんですね

鳳:そんなところかな……ん?

杏:い、いま……何してたんですか……?

夕凪:誰?……って、今は、えっと

鳳:除霊だよ……見えるんだね?

杏:は、はい……

夕凪:まさか同業……な訳ないか

鳳:だろうね

杏:あ、あの!助けてもらえませんか!

夕凪:え?助ける?

杏:はい、実は……


【間】


夕凪:肝試しをしてたら霊に襲われた
   友達を残して自分だけ逃げてきた
   よく聞く話ですね

鳳:君以外に見える人は?

杏:多分いないと思います
  ただ、襲われた……というか
  追いかけてきた時は皆んな見てた、かも

夕凪:そういえば、名前は?

杏:……杏、です

夕凪:どんな霊かもう少し詳しく教えて?

杏:はい……

鳳:夕凪

夕凪:はい?何です?

鳳:いや、少し気になることを調べるから
  そのまま話を聞いておいてくれ

夕凪:分かりました

杏:見えた幽霊は、右腕がなくて
  左足が木の枝みたいな

夕凪:なにそれ……

杏:よく解らないです……
  義足?って言えばいいのかな

夕凪:特徴的な霊だから
   何か情報はありそうだけど

杏:噂にあった話とは全然違って
  子供の幽霊とか、女の人って聞いてて

夕凪:男性だった?

杏:直感ですけど……
  顔は怖かったのと逃げるのに必死で

夕凪:見れなかったわけね
   鳳さん、どうです?

鳳:この辺りだと、確かに噂はあるね
  ……心霊スポットとしては偽物
  霊道も無いみたいだけどね
  変な霊が棲みついたのかな

杏:あの!助けてもらえそうですか?

夕凪:助けるよ

杏:ありがとうございます!

鳳:手遅れになってなければいいけど

夕凪:ちょ!不安になる様なこと言わないでください!

鳳:じゃあ、急いで向かおうか


【間】


杏:もう少しです

夕凪:……

鳳:どうしたのかな?

夕凪:いえ、気配が無いなって

鳳:……夕凪、もしかしたら

夕凪:はい?

鳳:いや、答え合わせは後でだね

夕凪:答え合わせ?

杏:あれ、ここら辺のはずなのに
  みんな、どこに行ったんだろう

夕凪:ここ?

杏:別れたのはこの辺りだったはず

鳳:食われたかな

杏:っ…食われ……!?

夕凪:だとしたら、妖怪!?

鳳:本当に食べてたらの話だけどね

杏:そ、そんな……うっ…うぁ…

夕凪:でも、何も気配が無い

鳳:最近、見え方に変化はあるかい?

夕凪:え?見え方?

鳳:もし、私の仮説が正しければ
  夕凪には一度、授業をしないとね

夕凪:ちょ、今関係ないですよ!
   何の話なんですか!

鳳:いや?関係が無いわけではないよ
  それに、もう大丈夫そうだから

夕凪:大丈夫?

杏:いただきます

夕凪:えっ……

そう言うと、牙を剥き出し夕凪に襲いかかる杏
しかし、何かにそれを阻まれる

杏:ぎゃっ!?

夕凪:……壁?

鳳:結界だよ

杏:な、何だ?これは?

鳳:さて、正体を現したところで
  『陣血結界』

杏:!?

鳳:と、今までならそう言って退治する所だけどね?
  夕凪の今後の為にも、師匠である私が
  目標設定でもしてあげようか

夕凪:師匠……?

鳳:ははは、呪言を教えたのは私だからね
  『 不動静止固定影踏うごかず

杏:アッ!な、ん……だ……動け…ない……

夕凪:不動うごかず
   いや、何だろう?違う気がする……

鳳:察しがいいね、私が込めたのは八文字
  不動、静止、固定、影踏かげふみ
  影踏かげふみは遊びでもあるんだけど
  動きを止める意味を持っているんだ

夕凪:八文字……時間が止まったみたい
   なに、これ……

鳳:夕凪にはこうなって欲しいね
  さて、動けないし、良い機会だ
  授業でもしようか

夕凪:……

杏:クソ!!おい!なんだこれ!!
  なにしやがった!!

鳳:私は最初に見た時から
  彼女が怪異の部類だと解った
  種類は不明だったけどね
  道中、気配云々の話を夕凪は出していたが
  最近、夕凪の見える力が強まってるね

夕凪:なんで、そう思うんですか?

鳳:最近、霊糸を見てないね?
  本来、霊糸は霊から見えるものだけど
  境界が曖昧になるとね、見えなくなってくる

夕凪:境界が曖昧になる?
   怪異に近くなってるってこと?

鳳:霊感が強まってるが正しい
  だから、見える人ほど見落としがちなんだ
  生きている人と区別が出来なくなる
  ゆえに、私たちはまた別の方法で見分ける
  今度はそれを教えてあげるよ

夕凪:じゃあ、鳳さんはそれで見分けたの?

鳳:そうなんだけど
  さっきまでは霊体だと思ってたんだけどね
  現場に着いて解ったよ
  君は、妖怪だね?

杏:なん、なんだ……お前、は!

鳳:私たちを見つけた時、私は何もしなかった
  除霊を最後まで行ったのは夕凪だ

杏:な、に…を

鳳:君は勘違いをしたんだ
  夕凪が力を持っていて
  私は夕凪ほど力は無い、もしくは
  同等くらいである、と

杏:!?……っ

鳳:能ある鷹は爪を隠すが自然に出来ていて
  私は嬉しい限りだよ

夕凪:違うと思いますけど?

鳳:そのおかげで夕凪を狙ってくれたし
  こうして授業まで出来て有難いね
  ははっ、流石は動物
  脳が小さいのかもしれないね
  さて、反論はあるかな?

杏:巫山戯るな!!馬鹿にしやがって!!
  これを解け!!食わせろ!

鳳:正体を当ててあげようか?
  君は、かわうそ

夕凪:カワウソ?あの?

鳳:あの可愛らしい奴がって?
  妖怪であるかわうそは人に化ける
  そして、人を襲い、食う妖怪だよ
  子供に化ける奴が多いよね?

杏:なん、で……そこまで解って

鳳:専門なものでね
  それと最近、物騒な話を聞いていたんだ
  子供のグループに一人異物が混じり
  食っているってね……君だね?

杏:っ……

夕凪:何の話ですか、それ?

鳳:いつからかグループの人数が一人増え
  そのグループの子達が行方不明になっている
  私に依頼が来ているわけではなかったから
  特に調べることも無かったんだけど

夕凪:知らなかったです……それ

鳳:夕凪個人で依頼を受けている訳ではないし
  知らなくて当然ではあるけどね

杏:……あぁ、そうだ
  私が食った!!はははは!!
  結構な数を食ったぞ!

夕凪:っ!この……!

鳳:待った

夕凪:鳳さん!こいつは駆除対象です!
   なんで、止めるんですか!

鳳:まだ話をしている最中だよ
  何故、夕凪を狙ったのかな?

杏:人は食い飽きた
  だけど、食えば力を増やせる
  それで良いことを聞いた!
  違う種類を食えばいいって
  そうすれば、普通を食うより数倍良いって
  だから探していたんだ!

夕凪:違う種類……?

杏:お前らだ!!人のくせにこっちの奴らだ!
  今日も食べ終わって満足していたのに……
  まさか……ヒヒ、ヒヒヒ
  あんな所で、お前たちを見つけるなんて
  食べなきゃ損、じゃないかぁ……!!

夕凪:じゃあ、アンタが話した人たちは!

杏:食ったさ!!肝試しに誘って
  私の力で少し驚かしたら腰を抜かしていた
  あはははは!!簡単に食えた
  人は馬鹿で単純だからなぁ!

夕凪:このっ……!!

鳳:禁足地

夕凪:えっ?

杏:はぁ?

鳳:各地に存在する足を踏み入れてはいけない場所
  神の住む場所であったり、理由は様々だが
  そう呼ばれる場所がある

杏:それが何だ

鳳:そして、人には全員に禁足地がある
  それが何か解るかな?

杏:人に禁足地ぃ?何を言っているんだ、お前

鳳:命、だよ

夕凪:命……

鳳:私が駆除対象と言って妖怪退治をするのは
  妖怪に限らず、怪異全てに線引きをしている
  禁足地に足を踏み入れたかどうかだ

杏:………な、に、っ

鳳:人の命に足を踏み入れたお前は
  禁足地を侵した害虫と同義
  つまり、駆除対象だ

杏:待て、なんだ、なぁ、なんだ

鳳:時間は結構与えたつもりだが?
  逃げ出せなかったのは、お前が弱いからだ
  私は別に、呪言は得意ではない

杏:ヒッ……

鳳:だが、もっとやる事もできる
  『 口止息止音無不発しゃべるな

杏:……………!!!!

鳳:さぁ、どうかな?喋ってみてくれ
  もう一度言おう
  私は別に、呪言は得意ではない

杏:……!バ、ケモ………ノ

鳳:フフ、喋れるじゃないか
  ほら、言った通りだ

夕凪:もう、いいですか?鳳さん

鳳:あぁ、今回は夕凪に任せようか
  狙われたのも夕凪だからね

夕凪:……もう解ったと思うけど
   お前は駆除対象だ

杏:嫌、嫌だ
  嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌


夕凪:『はらえ


【間】



鳳:除霊用の呪言も土壇場で成功かな

夕凪:はぁ……はぁ……
   これ、ちょっと……

鳳:跳ね返りかな?
  祓えより、還ってくらいが丁度良いね

夕凪:私も少し、ムカついてたので……
   それに、途中で鳳さんの呪言解きましたね?
   普通に喋ってましたけど

鳳:ははは、冷静に対処しないとね

夕凪:鳳さんも怒ってたクセに

鳳:私かい?私は別に冷静だよ

夕凪:そういえば

鳳:ん?

夕凪:妖怪にまでバケモノって言われてましたね

鳳:ははっ、あれは褒め言葉だよ

夕凪:何でそうなるんですか……

鳳:……ソレを産んだ母親は
  絶望したと、話したという
  産んだものは、ヒトか、バケモノか

夕凪:……何の話ですか?それ

鳳:失敗したんだよ
  人じゃないモノを産んでしまったと

夕凪:……

鳳:産んだ子は双子
  一人は産声を上げずに笑っていた
  一人はじっと母親を見ていたそうだ

夕凪:それが……鳳さん、ってこと?

鳳:聞いた話だよ

夕凪:じゃあ、その双子は化け物なんですか?

鳳:さぁ、どうだろう
  バケモノかヒトか
  違いはなんだろうか
  そんな話を聞いたから、私も色々と話をした

夕凪:話、ですか

鳳:人の生き死にこそ怪異だ、と
  そう考える様になった
  だからこそ、人の命に踏み入る怪異は
  私は赦してはいけない
  命とは、誰のもでもない自分の物だ
  誰もその命に踏み入ってはいけない

夕凪:そう……ですね
   この前の……あの子もそうでした

鳳:蝕穢しょくえに憑かれてはいたが
  それも言い訳に過ぎない

夕凪:はい

鳳:……まぁ、例外はあるけど

夕凪:え?例外ですか?

鳳:自業自得や責任、かな
  人の命に踏み入った者は
  自分の命に踏み入られる覚悟が問われる

夕凪:……分かるような、分からないような

鳳:はははっ、それでいいよ
  まだ経験しない方がいいからね

夕凪:鳳さんは、どんな経験をしたんですか

鳳:それこそ、色々だよ
  この世界は綺麗事は言えても
  その通りにいくことなんて稀だから

夕凪:それは、怪異だけじゃないですよ
   それこそ、化物も人も変わらないです

鳳:達観してるねぇ……
  さて、遅くなってしまった
  送って行こうじゃないか

夕凪:あ!明日一限からだ……
   はぁ……帰ったらすぐら寝なきゃなぁ

鳳:学生は大変だ

夕凪:行きましょう、鳳さん

鳳:あぁ……
  (化物、ねぇ
  バケモノはバケモノらしく
  自分勝手に、生きていきたいね)



夕刻跳梁跋扈 禁足の地 終


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