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スピンオフ 怪異蒐集譚
夢喰
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骸:やぁ、僕は骸
キミは何をしているんだい?
夕凪:…………
骸:なるほど
それじゃあ…僕の家に招待するよ
夕凪:…………
骸:さぁ、行こうか
怪異蒐集譚 夢喰
樺涅:だめ
取り憑かれた状態と同じ
普通の夢遊病じゃないよ
骸:夢遊病なんだけどね、実際
これも怪異譚の一部ってことかな
僕が調べてた件と同じだ
……"閂"
樺涅:先生?
骸:お客さんだよ
茜:お邪魔します
骸:やぁ、二度目だね
茜:……ここが
骸:警戒しなくても大丈夫
怪異ではあるけど、家は家なんだよ
樺涅:そんなことまで教えたの?
茜:女の子…?
樺涅:私は樺涅、不老不死
茜:不老不死!?
骸:ハハ、いい反応だね
それじゃあ、茜ちゃんに手伝ってもらおうか
茜:え、えっ!?なんですか?
樺涅:オサキのところの子だね
こっち
茜:えっ、あ!ちょっと!
【間】
骸:色々気にするタイプの茜ちゃんには教えてあげる
カバネは不老不死だから成長も止まっている
つまり、この見た目で君より年上だよ
茜:えっ!?あ、ごめんなさい!
樺涅:いい、気にしてない
成長が止まっているから年下
骸:ははっ、物は捉え方次第で変わるね
茜:それで、何を手伝えば…
樺涅:これ、何か解る?
茜:これ、は……
【間】
阿僧祇:チッ
何処かに持って行かれたか
この新解釈の弱点はコレだな
標的は一人ってことか
さっさと探して乗せねぇと次が始まらねーわ
……こっちか
【間】
茜:……動こうとしてる?
骸:夢遊病みたいなものだからね
本来の行きたい場所に向かってるのかも
茜:行きたい場所……
樺涅:猿夢って知ってる?
茜:猿夢?確かインターネット怪談で
調べたので少しは
骸:あの時、話した新解釈怪異譚だよ
まぁ、僕が調べた範囲での話だけどね
茜:新解釈……てことは、また
樺涅:アナタはどうしたらいいと思う?
この子を起こすには
茜:え?普通に起こしたらダメなんですか?
骸:……うん?
茜:確か、猿夢も夢を見ている間の話でしたよね?
起こしたら怪異から離れるんじゃないんですか?
樺涅:先生、盲点
骸:アッハハ!見えすぎるのも困ったもんだね
そう、そうだよ茜ちゃん
僕たちは難しく考えすぎなんだ
じゃあ、起こしてあげようか
茜:?あ、はい
【間】
夕凪:う……ん…
骸:やぁ、初めまして
夕凪:えっ…?ここは…?
茜:えっと、信じられないと思うんですけど
幽霊に取り憑かれてて
夕凪:……嘘?
樺涅:本当
夕凪:助けてくれたんですか?
茜:助けたと言うか、起こしたと言うか
夕凪:……そう、あの時ね
骸:…飲み込みが早いね
それに、よく見ると君って
夕凪:あー…怪異には関わりがあると言うか、なんと言うか
骸:鳳の匂いがする
夕凪:……えっ?
自分を嗅ぐ夕凪
樺涅:あの変態、女の子囲ってるの?
骸:さぁ?最近会ってないから
茜:鳳って、骸さんが前に話してくれた
その…排泄物を使う人、でしたっけ
夕凪:……嫌な伝わり方してる?
いや、間違ってないけど
骸:最近流行ってるのかな?女の子を連れ歩くの
樺涅:先生も仲間だね
私がいるし
骸:じゃあ、僕が最初かな?
茜:…次に尾先さん?
あ、日和も
骸:オサキより前に銀色もだったね
茜:銀色?
樺涅:同業だよ
骸:それで、次はキミだね
夕凪:……もしかして、怪異屋?
骸:色々、鳳から聞いてるみたいだね
目を逸らすのはそのせいかな?
夕凪:見るなって言われてるから
樺涅:知ってるなら大丈夫
先生は無闇にやらないよ
夕凪:そう、それなら良かった
茜:あの、あなたは?
夕凪:あ、私は牛水 夕凪
鳳さんのところでお世話になって……
いや、お世話してる
樺涅:アレの世話は大変
今すぐ逃げたほうがいいよ
夕凪:あはは、確かに
骸:それじゃ、少し話をしようか
間接的に知り合いだからね、僕たち
茜:そうですね
樺涅:待ってて、用意してくる
夕凪:あんな小さい子がいるなんて
聞いてた話と随分違うような
茜:あの子、不老不死らしいです
夕凪:不老不死!?この世界、なんでもアリだ…
骸:怪異って面白いよね
茜:それは、骸さんだけだと思いますよ…
【間】
阿僧祇:チッ
全然掴めねぇ!
途中で消えてるな?これ
クソ、早くやらねぇと四月一日のボケが五月蝿えのに
鳳:人の印象は、まずは視覚から始まる
良い印象も、悪い印象もその時に決まる
つまり、視覚情報がとても重要だね
メラビアンの法則と名前まである
第一印象とは、それほどに重要だね
阿僧祇:……
鳳:更に、態度、言葉遣い、姿勢、声のトーンなど
それらを追加して、その人を評価する
阿僧祇:はぁ……誰だ?お前
五月蝿ぇんだけど
鳳:今、君の評価は最悪だ
私は君に良い印象を持っていない
阿僧祇:初めて会うヤツに変なこと言われて
こっちもテメーの評価は最低だよ
鳳:あはは
それはそれは、奇遇
私の友達を知らないかな?
阿僧祇:知らねーよ
鳳:そうなんだね?
君から私の友達の匂いがするもので
あ、私は鼻も良いんだ
阿僧祇:キモいな、お前
鳳:それと、怪異の匂いもするね?
妖怪のモノもある
阿僧祇:……誰だ?
鳳:私は、鳳
成人済み、好きなお酒は日本酒
其処等中に居るただの人間
ただ、趣味で……
妖怪退治をしているんだ
阿僧祇:鳳……
(命様が言っていたリストに入ってたな
確かそこまで動いてなかった筈だが…)
そんで?その妖怪退治野郎がなんだよ
鳳:フフ、その発言こそミスだよ
普通は、私のことを変な人だと思うからね
そんなに冷静に話す馬鹿はいない
阿僧祇:チッ
五月蝿ェヤツだな
鳳:チッ、チッ、チッと舌打ち
癖かい?小鳥だね
阿僧祇:…テメェ、本当に
鳳:おや?煽り耐性もない
今の時代、生き難いね
阿僧祇:殺してやるよ
鳳:是非!やってみてくれ
死とは怪異と関わる上で避けて通れない
自分の身に起こったことは、まだ無いんだ
どうだろう?やれるかな?
阿僧祇:『黒雲一村たち来て、
御殿の上に たなびいたり。
頼政きッとみあげたれば、雲のなかに あやしき物の姿あり』
鳳:……
阿僧祇:小鳥じゃねーぞ
鳴くのは専売特許だがな
鳳:その声を聞いただけで心を病み、病に侵される
だったね?確かに君の声は不快だね
阿僧祇:そっちは妖怪退治なんだろ?
どんなモンか見せてみろよ?
鳳:ではでは、御言葉に甘えて
あ、でも殺さないから安心していいよ?
聞きたいことが山ほどあるからね
阿僧祇:殺せないの間違いだろ?
それにお前は俺に殺される
鳳:よく鳴く
流石は専売特許
あぁ、弱い犬ほどよく吠えるとも言うね?
吠えるのも鳴くと同義だね
それに、確かに犬っぽい
阿僧祇:鵺を知らねぇのか?
虎だよ、馬鹿
鳳:知らないわけないだろう?
言葉を借りようか?馬鹿
私は妖怪退治が専売特許だよ
阿僧祇:煽り合いはもういい
殺す
鳳:では、こちらも
少々、抵抗しようじゃないか
【間】
樺涅:先生
骸:なんだい?
樺涅:何だか嫌な予感がする
骸:それは、どっちのかな?
樺涅:……さぁ
骸:まぁ、気持ちは解るよ
それに、そういう勘は当たるからね
樺涅:この業界の専売特許
骸:そう、以前も当たった実績があるからね
樺涅:はぁ、準備はしておくね
骸:あの二人は……
まぁ、見ていいものではないかな
樺涅:その時は私が相手しておく
茜には話していいんでしょ?
夕凪って子は?
骸:鳳の関係者なら構わない
話していいよ
樺涅:そう、わかった
【間】
鳳:噂程度に
阿僧祇:あ?
鳳:君たちの話は耳に入っていたから
出会えて良かったよ
阿僧祇:なんだ?テメェ…気持ち悪ぃ
鳳:良い手土産ができそうだ……
『陣血結界』
【間】
樺涅:先生は少し準備があるみたい
まずはちゃんと自己紹介
私は樺涅、不老不死
先生に拾われて、此処で暮らしてる
尾先や廻門も知り合い
新解釈怪異譚のことも少しは知ってる
茜:尾先さんから聞いたことなかったけど
よろしくお願いします!
私は山本 茜
大学生で、尾先さんのところでお世話になってます
あと……凪って狐の幽霊が守ってくれてる
樺涅:まだ玉なんだ
あと、敬語はいい
さっきも言ったけど、私は歳下
茜:……うん、分かった
夕凪:じゃあ、私かな?
牛水 夕凪
私も大学、多分タメかな?
さっきも言ったけど鳳さんのお世話してる
樺涅:牛水?もしかして丑三の方?
夕凪:何?やっぱり有名なの?
樺涅:怪異関係者ならある程度は
夕凪:そう、そっちの家系らしい
幽霊に守られたりは私はないけど
霊感があるし、あと感覚が鋭いって
茜:よろしく、夕凪ちゃん
夕凪:夕凪でいいよ
けど、私はそういう家系のせいだけど
あなたは?訳あり?
茜:……私は、友達に呪いをかけられて…それから
夕凪:…ごめん、地雷踏んだ
茜:ううん!大丈夫
樺涅:先生のことは、茜はよく知ってるかもしれない
夕凪はどれくらい聞いてる?
夕凪:性別が関係ない、目を見るな
くらいかな
確かに男か女か分からない感じ
あと、全然察せない、何考えてるか分からない
樺涅:より怪異に近い存在として完成された人間
先生は自分でそう言ってた
茜:私も全然分からない
みんな骸さんには気をつけろって言うから
けど、悪い人って感じはしないけど
樺涅:茜は先生に気に入られてるから
多分、守られてる
茜:えっ、そうなの?
…あ、確かに廻門さんにそんなこと言ってたっけ
夕凪:ふーん、好かれやすい人?
茜:いや、そんなことないよ…私は
樺涅:…実際、霊に好かれる方だよ茜は
主に動物霊だけど
夕凪:私は好かれるじゃなくて
目を惹くんだっけ
鳳さんから言われたなぁ
樺涅:そうね、夕凪は血のせいで
好かれると言うより見つかりやすい方
今回もそれかな?
夕凪:気をつけてはいたんだけど
鳳さんから貰った結界も意味なかったし
樺涅:……違う
夕凪:違う?
樺涅:さっきの、あれは都市伝説
それは妖怪用
夕凪:…はぁー…
茜:鳳さんってどんな人?
夕凪:うーん…お喋りで、ぼっちで
お酒好きで、よく分からないけど
茜:けど?
夕凪:……多分、あの人
樺涅:……
夕凪:物凄く、強い
【間】
阿僧祇:ハァ…ハァ…
鳳:そんなものか
ほら、吠えないと
君の良さが消えてしまう
阿僧祇:ハァ…クソ、がっ…
鳳:鵺の怪異譚は、呆気ないものでね
創作物の世界では強力な妖怪として登場するし、大妖怪に分類される
それは、功績も大きいからだけどね
阿僧祇:何が、言いたい
鳳:知っていれば大して怖くない
それこそ…九尾の狐や八岐大蛇だったら
少しは苦戦したかもね?
阿僧祇:死ね!
鳳:死なない
君の声は届かない
阿僧祇の頭を地面に叩きつける鳳
阿僧祇:ガッ……
鳳:君が使う鵺は、呪言に近いね
君から霊感は見えるけど、呪師の様なモノはない
この鵺を使うなら、まずは呪師を目指そうか
阿僧祇:その…手ェ…退けろ……
鳳:一度言ってみたかったセリフがあるんだけど
阿僧祇:巫山戯…ン、な
鳳:地面とキスする気持ちは、どうだい?
阿僧祇:…………、殺す
殺す殺す殺す殺す、殺す!!
鳳:良い顔だね
それは好感が持てるよ
怪異とは、そうでなくてはね
阿僧祇:知るか!クソが!
千切れて死ね
四方を囲む盛り塩と酒瓶
その一つが割れる
鳳:凄い、酒瓶が一つ割れたよ
あと三つ
阿僧祇:……テメェ…これ
鳳:結界の中、だからね?
私に届くのは結界を壊してからだよ
阿僧祇:(クソ、こんな巫山戯た奴に…!!)
気を失う阿僧祇
鳳:おや、もう終わりかな?
それじゃあ行くよ
【間】
茜:強い?
夕凪:私が最初に会った時も
ストーカーというか、不審者というか
私を追いかけてきた人を投げ飛ばしてたし
茜:凄っ…
樺涅:鳳は変態だけど、強いのは確か
肉体的もそうだけど、霊的にも凄いのは認める
先生と同じで色々網羅してる
茜:もしかして、骸さんも投げ飛ばしたりするの?
樺涅:先生が武術を使うのは見たことない
ある程度はできるとは思うけど
先生は、どちらかというと言葉の人だから
茜:…ある程度はできるんだ…
樺涅:っ!
夕凪:樺涅?
樺涅:嫌な予感、当たったかも
骸:閂
鳳:やぁ、骸
久しぶりだけど変わらないね
骸:キミも相変わらずだね
それは?
鳳:手土産だよ
……うん、居るね?
骸:丑三の子かい?
悪いけど、終わらせてからでいいかな?
鳳:構わないよ
骸:樺涅が相手してる間に終わらせようか
【間】
二人は移動し、ある部屋に着く
そして、その部屋の中
鳳:入るのは初めてだったかな?
骸:鳳はそうかな
さて、縛ろうか
鳳:気を失っているんだけど
持っておこうか?
骸:いや、勝手にやってくれるよ
『縛居』
鳳:起こそうか
骸:さて、楽しい時間の始まりだね
【間】
樺涅:先生が話していいって
夕凪も聞いて大丈夫
本当は先生から茜に話す予定だったけど、どうやら来客
茜:来客?大丈夫なの?
樺涅:うん、気にしないで
まず、この家は怪異
マンションの都市伝説知ってる?
夕凪:そういうの多すぎるから
どの話?
樺涅:404号室
茜:ごめん、知らないかも
夕凪:私も
樺涅:存在しない部屋の話
必要な時に現れて、そこに閉じ込める怪異
その話の目的だったりは調べて
茜:分かった
樺涅:その怪異は、マンションだけじゃなくて
ある部屋だったり、家だったり
姿は様々で、その一つがこの家
普段は存在しない家
必要な時に現れる
茜:あ!尾先さんが言ってたのって
あの時、私が必要としたから?
樺涅:くねくねのこと?
そう、先生も気づいたから近くに現れた
夕凪:くねくねに取り憑かれたの?
茜:あはは…うん…
夕凪:それは…災難だね
樺涅:この怪異を先生は飼ってる
先生が許可した私も一部だけ使える
まずは閂、家に入ること、出ることを許可する
あと転帰、物置部屋に移動できる
先生と許可された私にしか見えない
いつでも呼び出せる
夕凪:とんでも能力…怪異ってやっぱりよく分からない
樺涅:それから、部屋から出られなくする縛居
これは私も使える
茜:いいものって言ってたけど
骸さんにとって便利なものってことなんだ
樺涅:あとは先生しか使えないものがある
一つは、無の部屋
夕凪:無の部屋?
樺涅:先生の目と繋がってて、先生の結界として使ってる
それ以上は私からは説明できない
茜:骸さんの目って見えるだけじゃないんだ
そういえば、映せるって言ってたっけ
夕凪:鳳さんに聞いてた以上に
本当にヤバい人みたいだ
樺涅:無の部屋は時間が止まってる
なのに、その中に居る人は死ねない
茜:死ねない?
樺涅:食料はいつの間にか補充される
ライフラインは途絶えない
病気にもならない
もし、出られなかったら怪異に、永遠に飼い殺される
茜:…っ
樺涅:だけど、それはこの家に来てからの話
先生の結界は、その内の少しを使ってるだけ
夕凪:よく分からないけど、とんでもないのは分かった
樺涅:それで十分だよ、今は
【間】
鳳:無の部屋、住み心地はどうだい?
骸:僕は此処にはいないよ
今回は偶々使うけどさ
鳳:時間が惜しいからね
さて、どうしようか?
骸:キミに任せてもいいんだけど
起こす前に話そうか
鳳:うん、それがいいね
骸:猿夢をばら撒いた新解釈怪異譚
だと思うんだけど
鳳:なるほど、夕凪が捕まったのは都市伝説
私の結界が使えないからね
骸:まぁ、改変は色々やってると思うけど
核は、獏だろうね
鳳:最近見ないと思ったら使われていたのか
可哀想に
骸:僕が欲しいのは情報のみ
復讐は任せるけど
鳳:私の友達に手を出したんだからね
それなりの事はやらせてもらおうかな
骸:別のことで猿夢は対処するつもりだったけど
これはこれで僕は有難い
久しぶりに鳳のことが見れるからね
鳳:じゃあ、遠慮なく
少し準備をするよ
骸:残念だけど
死んだらちゃんと帰してあげるよ
フフフ、アハハ!
【間】
阿僧祇:ウッ……此処は
骸:やぁ、僕は骸
残念だけど捕まえたよ
阿僧祇:むく…ろ…?
ッッ!?テメ、これ……!!
骸:動けないよ
ここはそういう場所だ
阿僧祇:(骸……命様が言っていた要注意人物……俺は出会ったら逃げろと言われてたか…クソ)
鳳:よし、いいよ
阿僧祇:っ!テメェ…
鳳:やぁ、負け犬
もう吠えなくて大丈夫かい?
阿僧祇:……
骸:喧嘩はよくないよ
鳳:じゃあ、色々吐いてもらおうかな?
阿僧祇:口割るなんざするかよ、馬鹿
黙って死んでやるよ
骸:置かれた状況は理解しているね
鳳:だけど、そういう台詞は言わない方がいい
阿僧祇:あぁ?
鳳:よくそういう台詞を吐く人はいる
仲間は売らないと根性を見せる
けど、それって創作物の中の話だよ
拷問なんて生きていて受ける事は稀だ
骸:さて、此処からは僕じゃない
鳳にやってもらうよ
阿僧祇:(骸じゃない?…だったら)
骸:僕は精神的に責める事はできる
だけど、鳳は違う
阿僧祇:……えっ?
阿僧祇の口に手を突っ込む
阿僧祇:オブッ…!
鳳:食え
阿僧祇:ウッ……オエぇ……
鳳:吐くのかい!?勿体無い!
阿僧祇:何……しやがった…ウッ…
鳳:獣の血、排泄物、体毛、体液
あとは企業秘密
阿僧祇:!?ウッェ……
鳳:だから、勿体無い!
まぁ、もう口に入ったからいいけどね
さて、私が得意とすることは、結界、封印…それから儀式だ
阿僧祇:ハァ……ハァ…
骸:いつまで保つかな?
阿僧祇:(これは……)
鳳:『陣血結界』
それと、『呼蟲の儀』
阿僧祇:!?アッ!?ガボッッ……
鳳:知っているかい?吸血虫という妖怪がいる
それは人間の血を吸い、吸い尽くすまで棲みつく
しかし、それは少々大きくてね?
偽蟲という別の妖怪が使えるんだ
骸:偽蟲は虫の姿に変化できる妖怪だね
ただ、かなり小さくて例え変化しても意味のない
ただの小さな蟲の妖怪
鳳:だけどね?こういうことに使える
今、君の口の中に無数の偽蟲を儀式で呼び出した
結界で蠢く蟲はまだ解らないだろう?
鏡で見せてあげようか?
阿僧祇:(クソ…クソ…!!なんだ、なんなんだ…!)
鳳:喋りたくても喋れないかな?
手を叩く鳳
鳳:はい、喋っていいよ
阿僧祇:クソが!何しやがった!
骸:解るだろう?
阿僧祇:出せ!此処から出せ!
骸:もう弱音を吐くかい?
じゃあ、喋ってもらおうか?
阿僧祇:そ、それは…
(例え此処を出てもアイツらから殺される…!!
詰んだ……?俺が?……嘘だ)
手を叩く鳳
阿僧祇:ゴポッ…!!
鳳:こんな感じですぐに戻せるよ
君の口は、もう儀式の場として完成している
阿僧祇:(俺は……俺は……)
鳳:心を折るのは難しくない
今の絶望を越えればいい
阿僧祇:っ!
鳳:今は結界で蟲の感覚がないだろう?
時間と共に結界は薄れて、段々と感覚が戻ってくる
阿僧祇:!?
鳳:不快感と嫌悪感
見ての通り、身体も動かせないし
結界で吐き出すこともできない
結界が完全に無くなり偽蟲が君の血を吸うまで
4日間、更に血を吸い切るまで12時間
私が寝て仕舞えば、その時点で結界は消える
阿僧祇:(だったら、喋らず済む
そのくらいなら我慢だろうが何だろうがしてやる…
寝て消えるなら、そのうち…)
鳳:私は夜更かしなんだ
今から3日は起きてても平気なんだ
阿僧祇:…………
鳳:ゆっくり感覚が戻る中でいつまで耐えれるかな?
骸:ここは時間が止まった部屋
君が死ぬまで何日かかろうが
実際は一秒たりとも進んでない
迷惑じゃないから存分に夜更かししていいよ
阿僧祇:………
鳳:本当は喋ってもらうのが一番いいけど
ここまでやったなら骸も怒らないよね?
骸:そうだね、耐えられたら凄いと思うよ
ただの人間が、ね
阿僧祇:(ただの……人間…俺は、ただの…人間…?コイツらにとって俺は……)
ッッ!?オッ…ゥ
鳳:どうやら、感覚が戻ってきたみたいだね
さっきも言ったけど、吐けないよ?
骸:じゃあ、楽しもうか
【間】
阿僧祇:みこ……と…様……すみま……せん…
みこと……さ……ま……
鳳:つまらないね、随分早かった
骸:君が言ったんじゃないか
拷問なんて受ける方が稀だって
鳳:フフ、そうだった
聞きたい情報は少しだけだったね
骸:みこと、ね
鳳:もしかしたら……
骸:うん?
鳳:いや、解ったら話すことにするよ
骸:そう
じゃあ、獏の核は貰うよ
これで新解釈の猿夢は終わりだね
鳳:『吸い尽くせ』
骸:それじゃ、行こうか
鳳:そうだね
【間】
阿僧祇:(俺は……結局……あー…血が……
死にたく……ねぇ……俺は……俺は……)
血が吸い尽くされていく感覚の中、阿僧祇は眠りについた
【間】
樺涅:終わったみたい
茜:え?
鳳:あ、いたいた
助けに来たよ
夕凪:いや、遅いですけど
鳳:アッハハ!けどちゃんと犯人は捕まえたからね
茜:てことは、新解釈怪異譚の!
鳳:みたいだね、茜だったかな?
骸から話は聞いてるよ
私は鳳、夕凪から話は聞いているかな?
茜:あ、はい…色々
夕凪:変態で通ってるのウケるんだけど
鳳:それは風評被害
私は普通だよ
樺涅:何言ってるの?鳳
鳳:やぁ、樺涅
成長しないね!
樺涅:本当、ムカつく
骸:ありがとう、樺涅
樺涅:色々教えたけど
茜:本当とんでもない家なんですね
骸:本来は僕から話すつもりだったけど、急用でごめんね
新解釈怪異譚のことはまた今度ね
茜:わかりました
夕凪:帰るよ、鳳さん
鳳:長居するのも迷惑かな
うん、帰ろうか
夕凪:あ、茜
茜:え?
夕凪:何かあったら連絡して
似た者同士、また会うかも
茜:うん!よろしく夕凪
鳳:なるほど、そうやって友達を増やすんだね
骸:僕がいるじゃないか、鳳
鳳:君は友達だけど、もっと欲しいじゃないか
樺涅:今すぐ友達やめるべき
骸:検討しようかな
鳳:何かしたかい!?
夕凪:帰るよ
鳳:それじゃ、骸
骸:キミを指としてみたいところだけど
まだなのかい?
鳳:私は違うよ、骸
指は特別なナニカを持っていないといけない
私は其処等中にいるただの人間
その席には座らないよ
骸:そうだね、キミは友達のままが一番かもね
茜:指?
骸:フフ、僕の話だよ
茜:…そうですか
夕凪:じゃあ、ありがとうございました
鳳:また来るよ、骸
骸:気をつけて…閂
樺涅:五月蝿いのが帰った
茜:思ってたより普通の人でした
骸:あはは、一仕事終えたあとだけどね
茜:捕まえたんでしたっけ
骸:もう終わったことだけどね
茜:骸さん
骸:何かな?
茜:私はあの人たちが許せないです
だから、私も知りたいです
骸:……うん
またオサキのところでね
茜:……はい
樺涅:茜
茜:え?
樺涅:全部を背負わなくていい
あなたはあなたに出来ることをするといい
茜:樺涅ちゃん…
樺涅:オサキによろしくね
茜:うん、今日はありがとうございました
骸:茜ちゃんも気をつけてね
【間】
骸:樺涅
樺涅:何?先生
骸:樺涅にも友達ができたみたいだね
樺涅:……どうだろう
骸:それじゃあ、後始末しようか
樺涅:私にはこっちの方が合ってる
骸:……そうだね
僕たちは、僕たちの夢を
樺涅:うん、先生
夢喰 終
キミは何をしているんだい?
夕凪:…………
骸:なるほど
それじゃあ…僕の家に招待するよ
夕凪:…………
骸:さぁ、行こうか
怪異蒐集譚 夢喰
樺涅:だめ
取り憑かれた状態と同じ
普通の夢遊病じゃないよ
骸:夢遊病なんだけどね、実際
これも怪異譚の一部ってことかな
僕が調べてた件と同じだ
……"閂"
樺涅:先生?
骸:お客さんだよ
茜:お邪魔します
骸:やぁ、二度目だね
茜:……ここが
骸:警戒しなくても大丈夫
怪異ではあるけど、家は家なんだよ
樺涅:そんなことまで教えたの?
茜:女の子…?
樺涅:私は樺涅、不老不死
茜:不老不死!?
骸:ハハ、いい反応だね
それじゃあ、茜ちゃんに手伝ってもらおうか
茜:え、えっ!?なんですか?
樺涅:オサキのところの子だね
こっち
茜:えっ、あ!ちょっと!
【間】
骸:色々気にするタイプの茜ちゃんには教えてあげる
カバネは不老不死だから成長も止まっている
つまり、この見た目で君より年上だよ
茜:えっ!?あ、ごめんなさい!
樺涅:いい、気にしてない
成長が止まっているから年下
骸:ははっ、物は捉え方次第で変わるね
茜:それで、何を手伝えば…
樺涅:これ、何か解る?
茜:これ、は……
【間】
阿僧祇:チッ
何処かに持って行かれたか
この新解釈の弱点はコレだな
標的は一人ってことか
さっさと探して乗せねぇと次が始まらねーわ
……こっちか
【間】
茜:……動こうとしてる?
骸:夢遊病みたいなものだからね
本来の行きたい場所に向かってるのかも
茜:行きたい場所……
樺涅:猿夢って知ってる?
茜:猿夢?確かインターネット怪談で
調べたので少しは
骸:あの時、話した新解釈怪異譚だよ
まぁ、僕が調べた範囲での話だけどね
茜:新解釈……てことは、また
樺涅:アナタはどうしたらいいと思う?
この子を起こすには
茜:え?普通に起こしたらダメなんですか?
骸:……うん?
茜:確か、猿夢も夢を見ている間の話でしたよね?
起こしたら怪異から離れるんじゃないんですか?
樺涅:先生、盲点
骸:アッハハ!見えすぎるのも困ったもんだね
そう、そうだよ茜ちゃん
僕たちは難しく考えすぎなんだ
じゃあ、起こしてあげようか
茜:?あ、はい
【間】
夕凪:う……ん…
骸:やぁ、初めまして
夕凪:えっ…?ここは…?
茜:えっと、信じられないと思うんですけど
幽霊に取り憑かれてて
夕凪:……嘘?
樺涅:本当
夕凪:助けてくれたんですか?
茜:助けたと言うか、起こしたと言うか
夕凪:……そう、あの時ね
骸:…飲み込みが早いね
それに、よく見ると君って
夕凪:あー…怪異には関わりがあると言うか、なんと言うか
骸:鳳の匂いがする
夕凪:……えっ?
自分を嗅ぐ夕凪
樺涅:あの変態、女の子囲ってるの?
骸:さぁ?最近会ってないから
茜:鳳って、骸さんが前に話してくれた
その…排泄物を使う人、でしたっけ
夕凪:……嫌な伝わり方してる?
いや、間違ってないけど
骸:最近流行ってるのかな?女の子を連れ歩くの
樺涅:先生も仲間だね
私がいるし
骸:じゃあ、僕が最初かな?
茜:…次に尾先さん?
あ、日和も
骸:オサキより前に銀色もだったね
茜:銀色?
樺涅:同業だよ
骸:それで、次はキミだね
夕凪:……もしかして、怪異屋?
骸:色々、鳳から聞いてるみたいだね
目を逸らすのはそのせいかな?
夕凪:見るなって言われてるから
樺涅:知ってるなら大丈夫
先生は無闇にやらないよ
夕凪:そう、それなら良かった
茜:あの、あなたは?
夕凪:あ、私は牛水 夕凪
鳳さんのところでお世話になって……
いや、お世話してる
樺涅:アレの世話は大変
今すぐ逃げたほうがいいよ
夕凪:あはは、確かに
骸:それじゃ、少し話をしようか
間接的に知り合いだからね、僕たち
茜:そうですね
樺涅:待ってて、用意してくる
夕凪:あんな小さい子がいるなんて
聞いてた話と随分違うような
茜:あの子、不老不死らしいです
夕凪:不老不死!?この世界、なんでもアリだ…
骸:怪異って面白いよね
茜:それは、骸さんだけだと思いますよ…
【間】
阿僧祇:チッ
全然掴めねぇ!
途中で消えてるな?これ
クソ、早くやらねぇと四月一日のボケが五月蝿えのに
鳳:人の印象は、まずは視覚から始まる
良い印象も、悪い印象もその時に決まる
つまり、視覚情報がとても重要だね
メラビアンの法則と名前まである
第一印象とは、それほどに重要だね
阿僧祇:……
鳳:更に、態度、言葉遣い、姿勢、声のトーンなど
それらを追加して、その人を評価する
阿僧祇:はぁ……誰だ?お前
五月蝿ぇんだけど
鳳:今、君の評価は最悪だ
私は君に良い印象を持っていない
阿僧祇:初めて会うヤツに変なこと言われて
こっちもテメーの評価は最低だよ
鳳:あはは
それはそれは、奇遇
私の友達を知らないかな?
阿僧祇:知らねーよ
鳳:そうなんだね?
君から私の友達の匂いがするもので
あ、私は鼻も良いんだ
阿僧祇:キモいな、お前
鳳:それと、怪異の匂いもするね?
妖怪のモノもある
阿僧祇:……誰だ?
鳳:私は、鳳
成人済み、好きなお酒は日本酒
其処等中に居るただの人間
ただ、趣味で……
妖怪退治をしているんだ
阿僧祇:鳳……
(命様が言っていたリストに入ってたな
確かそこまで動いてなかった筈だが…)
そんで?その妖怪退治野郎がなんだよ
鳳:フフ、その発言こそミスだよ
普通は、私のことを変な人だと思うからね
そんなに冷静に話す馬鹿はいない
阿僧祇:チッ
五月蝿ェヤツだな
鳳:チッ、チッ、チッと舌打ち
癖かい?小鳥だね
阿僧祇:…テメェ、本当に
鳳:おや?煽り耐性もない
今の時代、生き難いね
阿僧祇:殺してやるよ
鳳:是非!やってみてくれ
死とは怪異と関わる上で避けて通れない
自分の身に起こったことは、まだ無いんだ
どうだろう?やれるかな?
阿僧祇:『黒雲一村たち来て、
御殿の上に たなびいたり。
頼政きッとみあげたれば、雲のなかに あやしき物の姿あり』
鳳:……
阿僧祇:小鳥じゃねーぞ
鳴くのは専売特許だがな
鳳:その声を聞いただけで心を病み、病に侵される
だったね?確かに君の声は不快だね
阿僧祇:そっちは妖怪退治なんだろ?
どんなモンか見せてみろよ?
鳳:ではでは、御言葉に甘えて
あ、でも殺さないから安心していいよ?
聞きたいことが山ほどあるからね
阿僧祇:殺せないの間違いだろ?
それにお前は俺に殺される
鳳:よく鳴く
流石は専売特許
あぁ、弱い犬ほどよく吠えるとも言うね?
吠えるのも鳴くと同義だね
それに、確かに犬っぽい
阿僧祇:鵺を知らねぇのか?
虎だよ、馬鹿
鳳:知らないわけないだろう?
言葉を借りようか?馬鹿
私は妖怪退治が専売特許だよ
阿僧祇:煽り合いはもういい
殺す
鳳:では、こちらも
少々、抵抗しようじゃないか
【間】
樺涅:先生
骸:なんだい?
樺涅:何だか嫌な予感がする
骸:それは、どっちのかな?
樺涅:……さぁ
骸:まぁ、気持ちは解るよ
それに、そういう勘は当たるからね
樺涅:この業界の専売特許
骸:そう、以前も当たった実績があるからね
樺涅:はぁ、準備はしておくね
骸:あの二人は……
まぁ、見ていいものではないかな
樺涅:その時は私が相手しておく
茜には話していいんでしょ?
夕凪って子は?
骸:鳳の関係者なら構わない
話していいよ
樺涅:そう、わかった
【間】
鳳:噂程度に
阿僧祇:あ?
鳳:君たちの話は耳に入っていたから
出会えて良かったよ
阿僧祇:なんだ?テメェ…気持ち悪ぃ
鳳:良い手土産ができそうだ……
『陣血結界』
【間】
樺涅:先生は少し準備があるみたい
まずはちゃんと自己紹介
私は樺涅、不老不死
先生に拾われて、此処で暮らしてる
尾先や廻門も知り合い
新解釈怪異譚のことも少しは知ってる
茜:尾先さんから聞いたことなかったけど
よろしくお願いします!
私は山本 茜
大学生で、尾先さんのところでお世話になってます
あと……凪って狐の幽霊が守ってくれてる
樺涅:まだ玉なんだ
あと、敬語はいい
さっきも言ったけど、私は歳下
茜:……うん、分かった
夕凪:じゃあ、私かな?
牛水 夕凪
私も大学、多分タメかな?
さっきも言ったけど鳳さんのお世話してる
樺涅:牛水?もしかして丑三の方?
夕凪:何?やっぱり有名なの?
樺涅:怪異関係者ならある程度は
夕凪:そう、そっちの家系らしい
幽霊に守られたりは私はないけど
霊感があるし、あと感覚が鋭いって
茜:よろしく、夕凪ちゃん
夕凪:夕凪でいいよ
けど、私はそういう家系のせいだけど
あなたは?訳あり?
茜:……私は、友達に呪いをかけられて…それから
夕凪:…ごめん、地雷踏んだ
茜:ううん!大丈夫
樺涅:先生のことは、茜はよく知ってるかもしれない
夕凪はどれくらい聞いてる?
夕凪:性別が関係ない、目を見るな
くらいかな
確かに男か女か分からない感じ
あと、全然察せない、何考えてるか分からない
樺涅:より怪異に近い存在として完成された人間
先生は自分でそう言ってた
茜:私も全然分からない
みんな骸さんには気をつけろって言うから
けど、悪い人って感じはしないけど
樺涅:茜は先生に気に入られてるから
多分、守られてる
茜:えっ、そうなの?
…あ、確かに廻門さんにそんなこと言ってたっけ
夕凪:ふーん、好かれやすい人?
茜:いや、そんなことないよ…私は
樺涅:…実際、霊に好かれる方だよ茜は
主に動物霊だけど
夕凪:私は好かれるじゃなくて
目を惹くんだっけ
鳳さんから言われたなぁ
樺涅:そうね、夕凪は血のせいで
好かれると言うより見つかりやすい方
今回もそれかな?
夕凪:気をつけてはいたんだけど
鳳さんから貰った結界も意味なかったし
樺涅:……違う
夕凪:違う?
樺涅:さっきの、あれは都市伝説
それは妖怪用
夕凪:…はぁー…
茜:鳳さんってどんな人?
夕凪:うーん…お喋りで、ぼっちで
お酒好きで、よく分からないけど
茜:けど?
夕凪:……多分、あの人
樺涅:……
夕凪:物凄く、強い
【間】
阿僧祇:ハァ…ハァ…
鳳:そんなものか
ほら、吠えないと
君の良さが消えてしまう
阿僧祇:ハァ…クソ、がっ…
鳳:鵺の怪異譚は、呆気ないものでね
創作物の世界では強力な妖怪として登場するし、大妖怪に分類される
それは、功績も大きいからだけどね
阿僧祇:何が、言いたい
鳳:知っていれば大して怖くない
それこそ…九尾の狐や八岐大蛇だったら
少しは苦戦したかもね?
阿僧祇:死ね!
鳳:死なない
君の声は届かない
阿僧祇の頭を地面に叩きつける鳳
阿僧祇:ガッ……
鳳:君が使う鵺は、呪言に近いね
君から霊感は見えるけど、呪師の様なモノはない
この鵺を使うなら、まずは呪師を目指そうか
阿僧祇:その…手ェ…退けろ……
鳳:一度言ってみたかったセリフがあるんだけど
阿僧祇:巫山戯…ン、な
鳳:地面とキスする気持ちは、どうだい?
阿僧祇:…………、殺す
殺す殺す殺す殺す、殺す!!
鳳:良い顔だね
それは好感が持てるよ
怪異とは、そうでなくてはね
阿僧祇:知るか!クソが!
千切れて死ね
四方を囲む盛り塩と酒瓶
その一つが割れる
鳳:凄い、酒瓶が一つ割れたよ
あと三つ
阿僧祇:……テメェ…これ
鳳:結界の中、だからね?
私に届くのは結界を壊してからだよ
阿僧祇:(クソ、こんな巫山戯た奴に…!!)
気を失う阿僧祇
鳳:おや、もう終わりかな?
それじゃあ行くよ
【間】
茜:強い?
夕凪:私が最初に会った時も
ストーカーというか、不審者というか
私を追いかけてきた人を投げ飛ばしてたし
茜:凄っ…
樺涅:鳳は変態だけど、強いのは確か
肉体的もそうだけど、霊的にも凄いのは認める
先生と同じで色々網羅してる
茜:もしかして、骸さんも投げ飛ばしたりするの?
樺涅:先生が武術を使うのは見たことない
ある程度はできるとは思うけど
先生は、どちらかというと言葉の人だから
茜:…ある程度はできるんだ…
樺涅:っ!
夕凪:樺涅?
樺涅:嫌な予感、当たったかも
骸:閂
鳳:やぁ、骸
久しぶりだけど変わらないね
骸:キミも相変わらずだね
それは?
鳳:手土産だよ
……うん、居るね?
骸:丑三の子かい?
悪いけど、終わらせてからでいいかな?
鳳:構わないよ
骸:樺涅が相手してる間に終わらせようか
【間】
二人は移動し、ある部屋に着く
そして、その部屋の中
鳳:入るのは初めてだったかな?
骸:鳳はそうかな
さて、縛ろうか
鳳:気を失っているんだけど
持っておこうか?
骸:いや、勝手にやってくれるよ
『縛居』
鳳:起こそうか
骸:さて、楽しい時間の始まりだね
【間】
樺涅:先生が話していいって
夕凪も聞いて大丈夫
本当は先生から茜に話す予定だったけど、どうやら来客
茜:来客?大丈夫なの?
樺涅:うん、気にしないで
まず、この家は怪異
マンションの都市伝説知ってる?
夕凪:そういうの多すぎるから
どの話?
樺涅:404号室
茜:ごめん、知らないかも
夕凪:私も
樺涅:存在しない部屋の話
必要な時に現れて、そこに閉じ込める怪異
その話の目的だったりは調べて
茜:分かった
樺涅:その怪異は、マンションだけじゃなくて
ある部屋だったり、家だったり
姿は様々で、その一つがこの家
普段は存在しない家
必要な時に現れる
茜:あ!尾先さんが言ってたのって
あの時、私が必要としたから?
樺涅:くねくねのこと?
そう、先生も気づいたから近くに現れた
夕凪:くねくねに取り憑かれたの?
茜:あはは…うん…
夕凪:それは…災難だね
樺涅:この怪異を先生は飼ってる
先生が許可した私も一部だけ使える
まずは閂、家に入ること、出ることを許可する
あと転帰、物置部屋に移動できる
先生と許可された私にしか見えない
いつでも呼び出せる
夕凪:とんでも能力…怪異ってやっぱりよく分からない
樺涅:それから、部屋から出られなくする縛居
これは私も使える
茜:いいものって言ってたけど
骸さんにとって便利なものってことなんだ
樺涅:あとは先生しか使えないものがある
一つは、無の部屋
夕凪:無の部屋?
樺涅:先生の目と繋がってて、先生の結界として使ってる
それ以上は私からは説明できない
茜:骸さんの目って見えるだけじゃないんだ
そういえば、映せるって言ってたっけ
夕凪:鳳さんに聞いてた以上に
本当にヤバい人みたいだ
樺涅:無の部屋は時間が止まってる
なのに、その中に居る人は死ねない
茜:死ねない?
樺涅:食料はいつの間にか補充される
ライフラインは途絶えない
病気にもならない
もし、出られなかったら怪異に、永遠に飼い殺される
茜:…っ
樺涅:だけど、それはこの家に来てからの話
先生の結界は、その内の少しを使ってるだけ
夕凪:よく分からないけど、とんでもないのは分かった
樺涅:それで十分だよ、今は
【間】
鳳:無の部屋、住み心地はどうだい?
骸:僕は此処にはいないよ
今回は偶々使うけどさ
鳳:時間が惜しいからね
さて、どうしようか?
骸:キミに任せてもいいんだけど
起こす前に話そうか
鳳:うん、それがいいね
骸:猿夢をばら撒いた新解釈怪異譚
だと思うんだけど
鳳:なるほど、夕凪が捕まったのは都市伝説
私の結界が使えないからね
骸:まぁ、改変は色々やってると思うけど
核は、獏だろうね
鳳:最近見ないと思ったら使われていたのか
可哀想に
骸:僕が欲しいのは情報のみ
復讐は任せるけど
鳳:私の友達に手を出したんだからね
それなりの事はやらせてもらおうかな
骸:別のことで猿夢は対処するつもりだったけど
これはこれで僕は有難い
久しぶりに鳳のことが見れるからね
鳳:じゃあ、遠慮なく
少し準備をするよ
骸:残念だけど
死んだらちゃんと帰してあげるよ
フフフ、アハハ!
【間】
阿僧祇:ウッ……此処は
骸:やぁ、僕は骸
残念だけど捕まえたよ
阿僧祇:むく…ろ…?
ッッ!?テメ、これ……!!
骸:動けないよ
ここはそういう場所だ
阿僧祇:(骸……命様が言っていた要注意人物……俺は出会ったら逃げろと言われてたか…クソ)
鳳:よし、いいよ
阿僧祇:っ!テメェ…
鳳:やぁ、負け犬
もう吠えなくて大丈夫かい?
阿僧祇:……
骸:喧嘩はよくないよ
鳳:じゃあ、色々吐いてもらおうかな?
阿僧祇:口割るなんざするかよ、馬鹿
黙って死んでやるよ
骸:置かれた状況は理解しているね
鳳:だけど、そういう台詞は言わない方がいい
阿僧祇:あぁ?
鳳:よくそういう台詞を吐く人はいる
仲間は売らないと根性を見せる
けど、それって創作物の中の話だよ
拷問なんて生きていて受ける事は稀だ
骸:さて、此処からは僕じゃない
鳳にやってもらうよ
阿僧祇:(骸じゃない?…だったら)
骸:僕は精神的に責める事はできる
だけど、鳳は違う
阿僧祇:……えっ?
阿僧祇の口に手を突っ込む
阿僧祇:オブッ…!
鳳:食え
阿僧祇:ウッ……オエぇ……
鳳:吐くのかい!?勿体無い!
阿僧祇:何……しやがった…ウッ…
鳳:獣の血、排泄物、体毛、体液
あとは企業秘密
阿僧祇:!?ウッェ……
鳳:だから、勿体無い!
まぁ、もう口に入ったからいいけどね
さて、私が得意とすることは、結界、封印…それから儀式だ
阿僧祇:ハァ……ハァ…
骸:いつまで保つかな?
阿僧祇:(これは……)
鳳:『陣血結界』
それと、『呼蟲の儀』
阿僧祇:!?アッ!?ガボッッ……
鳳:知っているかい?吸血虫という妖怪がいる
それは人間の血を吸い、吸い尽くすまで棲みつく
しかし、それは少々大きくてね?
偽蟲という別の妖怪が使えるんだ
骸:偽蟲は虫の姿に変化できる妖怪だね
ただ、かなり小さくて例え変化しても意味のない
ただの小さな蟲の妖怪
鳳:だけどね?こういうことに使える
今、君の口の中に無数の偽蟲を儀式で呼び出した
結界で蠢く蟲はまだ解らないだろう?
鏡で見せてあげようか?
阿僧祇:(クソ…クソ…!!なんだ、なんなんだ…!)
鳳:喋りたくても喋れないかな?
手を叩く鳳
鳳:はい、喋っていいよ
阿僧祇:クソが!何しやがった!
骸:解るだろう?
阿僧祇:出せ!此処から出せ!
骸:もう弱音を吐くかい?
じゃあ、喋ってもらおうか?
阿僧祇:そ、それは…
(例え此処を出てもアイツらから殺される…!!
詰んだ……?俺が?……嘘だ)
手を叩く鳳
阿僧祇:ゴポッ…!!
鳳:こんな感じですぐに戻せるよ
君の口は、もう儀式の場として完成している
阿僧祇:(俺は……俺は……)
鳳:心を折るのは難しくない
今の絶望を越えればいい
阿僧祇:っ!
鳳:今は結界で蟲の感覚がないだろう?
時間と共に結界は薄れて、段々と感覚が戻ってくる
阿僧祇:!?
鳳:不快感と嫌悪感
見ての通り、身体も動かせないし
結界で吐き出すこともできない
結界が完全に無くなり偽蟲が君の血を吸うまで
4日間、更に血を吸い切るまで12時間
私が寝て仕舞えば、その時点で結界は消える
阿僧祇:(だったら、喋らず済む
そのくらいなら我慢だろうが何だろうがしてやる…
寝て消えるなら、そのうち…)
鳳:私は夜更かしなんだ
今から3日は起きてても平気なんだ
阿僧祇:…………
鳳:ゆっくり感覚が戻る中でいつまで耐えれるかな?
骸:ここは時間が止まった部屋
君が死ぬまで何日かかろうが
実際は一秒たりとも進んでない
迷惑じゃないから存分に夜更かししていいよ
阿僧祇:………
鳳:本当は喋ってもらうのが一番いいけど
ここまでやったなら骸も怒らないよね?
骸:そうだね、耐えられたら凄いと思うよ
ただの人間が、ね
阿僧祇:(ただの……人間…俺は、ただの…人間…?コイツらにとって俺は……)
ッッ!?オッ…ゥ
鳳:どうやら、感覚が戻ってきたみたいだね
さっきも言ったけど、吐けないよ?
骸:じゃあ、楽しもうか
【間】
阿僧祇:みこ……と…様……すみま……せん…
みこと……さ……ま……
鳳:つまらないね、随分早かった
骸:君が言ったんじゃないか
拷問なんて受ける方が稀だって
鳳:フフ、そうだった
聞きたい情報は少しだけだったね
骸:みこと、ね
鳳:もしかしたら……
骸:うん?
鳳:いや、解ったら話すことにするよ
骸:そう
じゃあ、獏の核は貰うよ
これで新解釈の猿夢は終わりだね
鳳:『吸い尽くせ』
骸:それじゃ、行こうか
鳳:そうだね
【間】
阿僧祇:(俺は……結局……あー…血が……
死にたく……ねぇ……俺は……俺は……)
血が吸い尽くされていく感覚の中、阿僧祇は眠りについた
【間】
樺涅:終わったみたい
茜:え?
鳳:あ、いたいた
助けに来たよ
夕凪:いや、遅いですけど
鳳:アッハハ!けどちゃんと犯人は捕まえたからね
茜:てことは、新解釈怪異譚の!
鳳:みたいだね、茜だったかな?
骸から話は聞いてるよ
私は鳳、夕凪から話は聞いているかな?
茜:あ、はい…色々
夕凪:変態で通ってるのウケるんだけど
鳳:それは風評被害
私は普通だよ
樺涅:何言ってるの?鳳
鳳:やぁ、樺涅
成長しないね!
樺涅:本当、ムカつく
骸:ありがとう、樺涅
樺涅:色々教えたけど
茜:本当とんでもない家なんですね
骸:本来は僕から話すつもりだったけど、急用でごめんね
新解釈怪異譚のことはまた今度ね
茜:わかりました
夕凪:帰るよ、鳳さん
鳳:長居するのも迷惑かな
うん、帰ろうか
夕凪:あ、茜
茜:え?
夕凪:何かあったら連絡して
似た者同士、また会うかも
茜:うん!よろしく夕凪
鳳:なるほど、そうやって友達を増やすんだね
骸:僕がいるじゃないか、鳳
鳳:君は友達だけど、もっと欲しいじゃないか
樺涅:今すぐ友達やめるべき
骸:検討しようかな
鳳:何かしたかい!?
夕凪:帰るよ
鳳:それじゃ、骸
骸:キミを指としてみたいところだけど
まだなのかい?
鳳:私は違うよ、骸
指は特別なナニカを持っていないといけない
私は其処等中にいるただの人間
その席には座らないよ
骸:そうだね、キミは友達のままが一番かもね
茜:指?
骸:フフ、僕の話だよ
茜:…そうですか
夕凪:じゃあ、ありがとうございました
鳳:また来るよ、骸
骸:気をつけて…閂
樺涅:五月蝿いのが帰った
茜:思ってたより普通の人でした
骸:あはは、一仕事終えたあとだけどね
茜:捕まえたんでしたっけ
骸:もう終わったことだけどね
茜:骸さん
骸:何かな?
茜:私はあの人たちが許せないです
だから、私も知りたいです
骸:……うん
またオサキのところでね
茜:……はい
樺涅:茜
茜:え?
樺涅:全部を背負わなくていい
あなたはあなたに出来ることをするといい
茜:樺涅ちゃん…
樺涅:オサキによろしくね
茜:うん、今日はありがとうございました
骸:茜ちゃんも気をつけてね
【間】
骸:樺涅
樺涅:何?先生
骸:樺涅にも友達ができたみたいだね
樺涅:……どうだろう
骸:それじゃあ、後始末しようか
樺涅:私にはこっちの方が合ってる
骸:……そうだね
僕たちは、僕たちの夢を
樺涅:うん、先生
夢喰 終
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