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第一章
第八話 おにごっこ
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命:『命の名の下に、命を下し、命を与える
さぁ、物語を創れ、意味を与えろ
この世は全て、掌の上で踊り出す』
オサキ怪異相談所 おにごっこ
四月一日:あっははははは!いやぁ、傑作や!
コトリバコ八種セット、売れるでぇ!
………あー、水子が足りないな……狩るか
梵:……なんだ、居たのか…曲
四月一日:あー、ちゃうちゃう
今は四月一日って名乗ってまんねん
梵:……四月一日?……あぁ、ソレか
……あと、その喋り方…なんなんだ?
四月一日:えぇ!?忘れてしもたん!?
ワイは関西人やでぇ~~
梵:……巫山戯ているのか?
四月一日:はぁ~、ノリ悪っ!
これだからオッサンはあかんねん
梵:……なんだと?
四月一日:頭固固人間は、去ねや
梵:……女ばかりを狙うガキに
何を言われても関係ない……か
四月一日:……アンタ、怪異を解ってないな?
なぁ~んで、昔からこの手の話は、女が多いと思っとるん?
穢れとるからや、汚いんや
そう思われてきたし、そう扱われてきたんや
男尊女卑ちゃうで?今がおかしいだけや
梵:……今が正常だろう、何を言っている
四月一日:あーあ、頭固いし阿呆もかよ
俺たちは何だ?人間か?
こっちの世界に足突っ込んどるやろ
見てみろよ、自分の足をさ
良い人ぶってんのも大概にしとけよ、梵
はっ!それともあれかい、お前の梵は、凡人の凡やったか?あははは!
梵:下衆が
四月一日:あー、まだあったわ
さっきガキ言うたな?
ガキばっかり狙とるお前に言われたないわ
この、ペドフィリア
梵:殺すぞ
四月一日:やってみーや、異常性癖オッサン
梵:……"石は流れる、木の葉は沈む
牛は嘶き 馬吼ゆる"
四月一日:はっ!マジでやるってのか?
ええで、覚悟せぇよ?容赦はしな…
命:(遮り)何をしている
梵:……うっ…
四月一日:…なんやねん、良いところやったろ?
命:殺し合いを見ていろと?四月一日
四月一日:あれぇ?名前変えたこと言ったかな?俺
命:馬鹿にするな
私は見ている
梵:すみませんでした!許してください!命様!
命:ふん、頭を上げろ梵
別に怒ってない
梵:は、はい……
四月一日:てか、他はどうしたんや?
どうせ命ちゃんが集めたんやろ?
命:あぁ、お前たち2人で十分だ
梵:貴様!様を付けろ!何様だ!
四月一日:俺様や、文句あるんか?
あぁ、貴様でもええで?
言うてくれとるし
梵:き……貴様…!
命:それぐらいにしておけ、四月一日
梵も熱くなるな、お前らしくない
梵:うっ…ぐっ…ずみまぜん……
四月一日:(小声で)なんで泣いとんねん、キモいわ
命:さて、どうだ?四月一日
四月一日:どれの話や?
命:あぁ、まずは……そうだな
取られたコトリバコについては
四月一日:あれは怪異屋が持って行った
手出しはできへん
狐憑きと、茜ちゃんは何とかなる
怪異屋は別格や
命:…だろうな
次、狐狗狸
梵:は、はい!
鬼の降霊は成功でした……
出たのは餓鬼の欲食…
相手が ヒヒッ、子供だったので
フフッ、盗る物が無く
互いを ヒッ、食べだしました
ヒヒッ、あれは フフ、凄く
四月一日:あー、あかん……発作や
梵:僕好みの惨劇でしたァ……
命:ふむ、結果は良しということだな
四月一日:なぁ、命ちゃん
コイツ、マジで大丈夫なんか?
梵:ヒヒッ…ヒヒヒヒ…
命:他人のこと言えるか?
異常だから、良いんだろう?怪異は
四月一日:ま、そうですねー ホンマ
梵:ただ
命:ん?どうした?
梵:その子供を助けにきた奴がいた
む、む、胸が少し大きくて……
あ、あれは!ダメだ!女だ……
子じゃない、女だった……
……追いかけてくるから、牛鬼を使いました……
命:牛鬼?学校で起こしたんだろう?
証拠が残りそうなことをしたのか?
梵:いえ!ち、違います!小さな小屋です……
不審火で片付きます……
四月一日:なぁ、コイツに牛鬼渡すと碌な事にならへんで
女見るとビビって、男見るとムスっとするんやから
…そんで、子供見るとアレや
命:だが、臆病だ
牛鬼と相性が良い
そうだろう?四月一日
現にお前は、ぬらりひょんを持っている
飄々としたお前と相性が良いからだ
四月一日:そうでっか
命:あぁ、猿夢はどうなった?
四月一日:良好でっせ~
ちゃーんと俺が考えたシナリオ通りや
夢と現実の境界を壊して、強制的に電車に乗せる
まぁ、夢遊病の誘発やな
乗った時点で目が覚める
本人は夢か現実か分からん!
けど電車に乗っとるし、夢やろ~とか思っとったら……あの世行きやった
あっはは!ええやろ?逃げ道は消した
命:しかし、使う命が多すぎる
獏は貴重だ
四月一日:通常運行は無理かー、まぁしゃーないな
梵:…お前、殺したのか?
誰だ?誰をやった?
四月一日:あー?17の男や
梵:ウッ…17……
いい、今回は、いい
四月一日:あらぁ?17はもう大人でっか?
梵:……う、ぐっ…
命:うん、良い
育ってるね、いい子だよ
抱きしめ、梵の頭を撫でる命
梵:ッッ!?あぁ!!あぁ!!
四月一日:……寡黙でゴツいオッサンが
子供の前だと幼児退行するって
誰に刺さるんやこれ
命:なんだ?
四月一日:いやいや、命ちゃんの悪口ちゃうで
しっかし、様になっとるな
その巫女服
命:命を司り、神に仕える私に似合うだろう?
四月一日:ははっ、仕える?神そのものとは言わんのか?
命:そこまで驕ってないよ
四月一日:ま、そこのオッサンまでとは言わんけど
中々、可愛いで?命ちゃん
命:フッ、この形が、か?
四月一日:あぁ、怪異屋もそうやったが
アンタら特別なやつは、実態が全然掴めへん
可憐な少女に見えて、その実……アンタ一体何歳なんや?
命:女に歳を聞くものじゃないよ
梵:あ、ありがとうございました……
…さっそく、次の話を
命:いい子だ、思いついたのかい?
梵:し、しかし……
もう一度だけ、もう一度だけ
既製品を作っても…よろしいですか?
命:構わない
どれを使うのか考えているの?
梵:しょ、少々お待ちください!
そう言うと、どこかへ行く梵
四月一日:……なぁ、なんでアイツなん?
命:何がかな?
四月一日:今日呼んだん
別に他でよかったやろ
命:お前や他の者と梵は違う
四月一日:違う?
命:お前たちは1から創り出すのが上手い
1を2にも10にも出来る
四月一日:オッサンは違うと?
命:あぁ、アレは0から1を創る
四月一日:へぇ……
命:私は新解釈怪異譚と呼ぶが
改変だけでなく新しい怪異を創るのも含めて
命を下し、命を与える事に、この力を使うと決めている
四月一日:なるほどな
帰ってくる梵
梵:命様!これです!これを!
四月一日:まぁ、見させてもらうわ
解釈だけでなく、新しい怪異を生むとこ
あー、あと訂正するわ
命:なんだ?
四月一日:俺は1から10やない
1から100作れるで
命:フッ、驕っているな
四月一日:違うな、自信や
梵:……何を話している?
四月一日:あー、すまんすまん
どーぞ、どーぞ
梵:……これです
命:ぬいぐるみ、か
ひとりかくれんぼ…というところか
梵:はい!流石です!命様
四月一日:ひとりかくれんぼ…また降霊術か
梵:……文句か?
こっくりさんと違い、一人に狙いを絞りたく、使うぬいぐるみ次第では年齢層も…
命:うん、良い
それで?どうするの?
梵:ぼ、僕が考えるに、ひとりかくれんぼは、名付けも行う確実性のある降霊なので
呼び出す怪異を確定させるのはどうかと
命:ふむ……鬼は使ったから
いっそのこと思い切って悪魔、か
四月一日:海外の怪異ってことか?
だったら、ブラッディメアリーの方が 確実とちゃうか?
命:それもそうか
梵:癪ですが……くねくねを呼び出すのも
強制的に嵌めれるので、被害は増えます
命:怪異と怪異を混ぜる
良い案だとは思うけど
四月一日:かくれんぼが消えるな
逆に隠れてくねくねを見なければ防げる
それに塩水含んでいれば、姿は見つからないルールがある
命:そこの核を変えるのであれば
ひとりかくれんぼとしては弱いかな
梵:……はぃ…
四月一日:まぁ、ええ案や
落ち込まんでええで
あ、そうや
命:なんだ?
四月一日:本来のひとりかくれんぼ知っとるか?
梵:あ、あたりまえだろ!
四月一日:ひとりかくれんぼ
降霊した霊は探さんやつが多い
霊障撒き散らして、ビビらして
それにビビって手順間違えて
見つかって、死ぬ
命:……なるほど
梵:探す霊、それを下ろすのか?
四月一日:ほんまのかくれんぼは
ちゃぁんと、鬼が探さんとおもろくないやろ?
どこー!どこおるーん?って叫んでるだけじゃ
隠れとる方はクスクス笑うだけや
梵:……なるほど
四月一日:それとな、感染力高めん?
命:感染?
四月一日:最近、馬鹿が増えたやろ?
霊障バンバン起こる降霊術なら
ネット配信するやつがおる
梵:見た人がやるような催眠をかけるのか?
四月一日:いいや、違う
馬鹿は、馬鹿だ
ひとりかくれんぼってのを壊そう
なぁ、梵…お前、0から1作るのが得意なんやろ?
梵:な、何を言っている
まだそのレベルじゃないから
今、こうやって
命:待て
四月一日、何を考えてる?
四月一日:俺は1を100にする
力を合わせようじゃないか…フフッ、あっははは!
【間】
?:はい!今日はこんなものを用意しました!なんと!絶対に幽霊が現れるぬいぐるみ!
これを使ってひとりかくれんぼをすると
絶対に幽霊が来るそうです!
怪しいし、嘘っぽいですよね
なので検証してみます!
梵:……よくあんなものを思いつくな
四月一日:アンタも凄いで
ちゃんと0から話、作ってくれたしな
梵:枠は……あったからな
四月一日:まぁ、今回はズルしたかもしれんけど
…どや?新しい怪異を創った感想は
梵:……悪くない
命:始まるぞ
四月一日:さて、どうなるか
梵:手順はひとりかくれんぼと同じ
違うところはぬいぐるみが決められている
そこだけだ
命:ははっ、霊子ちゃんだって
名付けのセンスは、ない子だね
四月一日:ぶふーっ!笑かさんでくれ!
どや?コメントは
命:うん、閲覧500人
コメントもいい感じで増えてる
梵:……新人の子…らしい
ヒヒッ 良い…
四月一日:15やったか?
命:あぁ、馬鹿だね
知名度の為に、こんなものに手を出すから馬鹿を見る
四月一日:しゃーない
今はネット社会や
ネットで有名になればなんとでもなるし
梵:……そのおかげで観察もしやすい
命:さ、様子を見よう
?:足音…してる気がする……
ちょっと怖くなってきました
皆さん聞こえますか?
あっ、ほら今、音が
梵:……降霊成功だ
四月一日:言うた通りしてくれたん?
命:あぁ、降霊するのは近くにいる
自縛、浮遊霊を含めて、この世に未練の残ってる好戦的な霊だ
そこはランダムだから、良いやつ引き当ててくれれば、こっちとしてもありがたいんだけど
梵:…すみません、地縛霊の解除まで…
命:いや、いい
縛りを無くすのは難しいが、この新解釈怪異譚の為なら安い
四月一日:…動くで
?:ひっ……近づいてる…?
ごめんなさい、怖くなったので、終わらせてもいいですか?
四月一日:配信上にも音は乗っとるんか?
命:あぁ、聴こえてるやつもいるな
元々霊感があれば、しっかり聴こえているだろうけど
梵:そこは改良……ですか
命:どうだろう……
やってる本人がおかしいと、視聴者も気づくと思うけど
四月一日:これでいい
全員に見られても面白くない
気づく奴は少なくていい
命:ふむ…それもそうか
?:すみません!もう塩水飲んで終わりにします!
ちょっと、怖すぎて……
えっ……?
四月一日:始まった!
梵:ははははははははははは!!
いいぞ!ヒヒッ!逃げろ!逃げろォォオ!!
四月一日:うわっ!?びっくりした
なんやねん
命:楽しませてやれ
さて、ここからが本番だよ
“ひとりおにごっこ”の始まりだ
?:嘘、嘘嘘嘘!なんで!?
いやだ…いやだぁぁぁぁあ!!
四月一日:ひとりおにごっこ
日本には色んな鬼ごっこがある
色鬼、氷鬼、エトセトラ…ってな
地域なんかで呼び方も変わるが、大体は鬼から逃げる遊びや
今回ので言えば…隠れ鬼、とでも言えばええか
命:降霊した霊から隠れて、見つかったら逃げる
かくれんぼと鬼ごっこの合作だね
まぁ、普通逃げるよね…あんなの見たら
梵:はーっははは!逃げろ!逃げろ!
さぁ!どうする!?外に行くか!?
良い、良い!いいぞ!逃げまくれ!
はははは!ほぉら!すぐ後ろだ!
四月一日:饒舌やなぁ
どっか探せば、隠れ鬼ありそうやけど
似たような遊びもあるしな
命:いいんじゃないか?
ひとりおにごっこで
四月一日:コメントどうなっとる?
命:見えたってコメントもあったけど、大半は何が起こってるのか解ってないね
本人は携帯捨てて逃げ回ってるから
配信は止まらない
四月一日:ははっ、「どうした?」「何があった」「通報した方がいいかな?」
揃いも揃って馬鹿ばっかりや
梵:ヒヒッ、ほぉら、捕まるぞぉ
どうした…逃げないと…ヒヒッ
命:……どうして、逃げ道を作ったの?
四月一日:あ?…せやな、本人気付いてないし
そもそも意味あるか分からんけど
……どの怪異譚でも逃げ道は用意されている
昔からのルールだと俺は考えている
口裂け女に出逢ったらポマードとか、死ぬことが救いとするものもある
まぁ、それが救いと思うかは人それぞれだが
命:猿夢は消したんだろう?
四月一日:いや、本当は消してない
電車に乗るまでに起きればいい
それが困難だということだ
命:なるほど
四月一日:…まぁ、ひとりかくれんぼの
絶対のルールさえ守れば助かるんや
ただ、塩水含んだまま走れるならの話やけどな
梵:それと人形だ!
解除方法も変えてない!
それに気付けない限り、鬼ごっこは続く!
命:複合させたのはその為、か
梵:はい!……良い、良い良い良い!
子供が汗と涙を流しながら
愚直に逃げる様は素晴らしい!
ヒヒッ!恐怖に歪むその顔も愛おしい!
四月一日:それともう一つ
この馬鹿供や
「通報した方がいいかな」
なんてコメント打ちおって
したらええんや
そしたら助かるかもしれんのに
命:それにも気づかないよ
四月一日:これは“ひとり”おにごっこや
参加者が増えたら終いやのに
命:怖いものみたさで集まった烏合の衆
今頃、心の中では笑いながら見ているさ
梵:ヒヒッ!捕まる!捕まるぞ!
命:これで終わりかな
四月一日:もうちょい頑張れや
最近の若い子は外で遊ばんから
?:嫌だ……、来ないで……
?:うわぁぁァァァアああ!!!!
梵:……あぁっ…終わった……あぁ…あぁ…!!
四月一日:最後は呆気ないな
命:離れよう、誰かに見られたら厄介だよ
【間】
ある何処かの誰も知らない場所ーー。
命:うん、素晴らしかったよ二人とも
梵:あ、ありがとうございます!
自信が、つきました……
僕はこれから…新しい物語を作ります…
それと、回収した人形です…
命:ありがとう、期待しているよ、梵
梵:あっ…あぁ!勿体ないお言葉……
すぐに!すぐに作り上げます!
そう言い、走りさる梵
四月一日:なんか段々可愛く見えてきたわ
命:ははっ、純粋なんだよ
四月一日:さて、ここからが本番や
命:そうだね、感染力を高めるだっけ?
四月一日:あぁ、そうや
見た人を参加者にさせる
それもええけど、もっと怪異っぽくや
鬼に捕まったら即死
そんで、その一瞬で、霊体に情報を流す
命:この遊びのルール
逃げ切る為にはどうすればよかったか
それを死ぬ間際、知ることで未練が生まれる
未練が生まれれば成仏はできない
四月一日:怨みも残る
誰かが助けてくれれば、助かったかもしれへん…ってな
命:そうすることで悪霊と成る
その悪霊の行き場は、人形に…
それで出来上がった曰く付きの人形
使えば幽霊が現れるが本物になる
四月一日:そんで、次はそいつが鬼になる
気が済むまで居続けるやろ
まさに、増え鬼やな
ひとりおにごっこ言うたけど
鬼が増えへんとは言うてないからなァ
命:最終的に何人集まるのか
考えるだけでも嫌な遊びだね
四月一日:この噂が広まっても、やる奴はやる
俺は死なへんとか思っとるんやろな
ははっ、物語の主人公でもないモブが
生きがるから死ぬんや
命:ふぅ…久しぶりに少し疲れたよ
四月一日:何度見ても 命を与える姿は、神々しさがあるで、命ちゃん
俺らは物語を考えるだけやけど
命:それが仕事だから
そのおかげで退屈しないよ
四月一日:そんなら俺も、新しい話作ってきますわ
命:期待しているよ、四月一日
四月一日:ははっ!勿体ないお言葉やで
0:そう言い、帰る四月一日
命:命の名の下に、命を下し、命を、与える
さぁ、物語を創れ、意味を与えろ
ふふっ、フフフ、あははははは!
この世は全て、私の掌の上で踊り出す
おにごっこ 終
さぁ、物語を創れ、意味を与えろ
この世は全て、掌の上で踊り出す』
オサキ怪異相談所 おにごっこ
四月一日:あっははははは!いやぁ、傑作や!
コトリバコ八種セット、売れるでぇ!
………あー、水子が足りないな……狩るか
梵:……なんだ、居たのか…曲
四月一日:あー、ちゃうちゃう
今は四月一日って名乗ってまんねん
梵:……四月一日?……あぁ、ソレか
……あと、その喋り方…なんなんだ?
四月一日:えぇ!?忘れてしもたん!?
ワイは関西人やでぇ~~
梵:……巫山戯ているのか?
四月一日:はぁ~、ノリ悪っ!
これだからオッサンはあかんねん
梵:……なんだと?
四月一日:頭固固人間は、去ねや
梵:……女ばかりを狙うガキに
何を言われても関係ない……か
四月一日:……アンタ、怪異を解ってないな?
なぁ~んで、昔からこの手の話は、女が多いと思っとるん?
穢れとるからや、汚いんや
そう思われてきたし、そう扱われてきたんや
男尊女卑ちゃうで?今がおかしいだけや
梵:……今が正常だろう、何を言っている
四月一日:あーあ、頭固いし阿呆もかよ
俺たちは何だ?人間か?
こっちの世界に足突っ込んどるやろ
見てみろよ、自分の足をさ
良い人ぶってんのも大概にしとけよ、梵
はっ!それともあれかい、お前の梵は、凡人の凡やったか?あははは!
梵:下衆が
四月一日:あー、まだあったわ
さっきガキ言うたな?
ガキばっかり狙とるお前に言われたないわ
この、ペドフィリア
梵:殺すぞ
四月一日:やってみーや、異常性癖オッサン
梵:……"石は流れる、木の葉は沈む
牛は嘶き 馬吼ゆる"
四月一日:はっ!マジでやるってのか?
ええで、覚悟せぇよ?容赦はしな…
命:(遮り)何をしている
梵:……うっ…
四月一日:…なんやねん、良いところやったろ?
命:殺し合いを見ていろと?四月一日
四月一日:あれぇ?名前変えたこと言ったかな?俺
命:馬鹿にするな
私は見ている
梵:すみませんでした!許してください!命様!
命:ふん、頭を上げろ梵
別に怒ってない
梵:は、はい……
四月一日:てか、他はどうしたんや?
どうせ命ちゃんが集めたんやろ?
命:あぁ、お前たち2人で十分だ
梵:貴様!様を付けろ!何様だ!
四月一日:俺様や、文句あるんか?
あぁ、貴様でもええで?
言うてくれとるし
梵:き……貴様…!
命:それぐらいにしておけ、四月一日
梵も熱くなるな、お前らしくない
梵:うっ…ぐっ…ずみまぜん……
四月一日:(小声で)なんで泣いとんねん、キモいわ
命:さて、どうだ?四月一日
四月一日:どれの話や?
命:あぁ、まずは……そうだな
取られたコトリバコについては
四月一日:あれは怪異屋が持って行った
手出しはできへん
狐憑きと、茜ちゃんは何とかなる
怪異屋は別格や
命:…だろうな
次、狐狗狸
梵:は、はい!
鬼の降霊は成功でした……
出たのは餓鬼の欲食…
相手が ヒヒッ、子供だったので
フフッ、盗る物が無く
互いを ヒッ、食べだしました
ヒヒッ、あれは フフ、凄く
四月一日:あー、あかん……発作や
梵:僕好みの惨劇でしたァ……
命:ふむ、結果は良しということだな
四月一日:なぁ、命ちゃん
コイツ、マジで大丈夫なんか?
梵:ヒヒッ…ヒヒヒヒ…
命:他人のこと言えるか?
異常だから、良いんだろう?怪異は
四月一日:ま、そうですねー ホンマ
梵:ただ
命:ん?どうした?
梵:その子供を助けにきた奴がいた
む、む、胸が少し大きくて……
あ、あれは!ダメだ!女だ……
子じゃない、女だった……
……追いかけてくるから、牛鬼を使いました……
命:牛鬼?学校で起こしたんだろう?
証拠が残りそうなことをしたのか?
梵:いえ!ち、違います!小さな小屋です……
不審火で片付きます……
四月一日:なぁ、コイツに牛鬼渡すと碌な事にならへんで
女見るとビビって、男見るとムスっとするんやから
…そんで、子供見るとアレや
命:だが、臆病だ
牛鬼と相性が良い
そうだろう?四月一日
現にお前は、ぬらりひょんを持っている
飄々としたお前と相性が良いからだ
四月一日:そうでっか
命:あぁ、猿夢はどうなった?
四月一日:良好でっせ~
ちゃーんと俺が考えたシナリオ通りや
夢と現実の境界を壊して、強制的に電車に乗せる
まぁ、夢遊病の誘発やな
乗った時点で目が覚める
本人は夢か現実か分からん!
けど電車に乗っとるし、夢やろ~とか思っとったら……あの世行きやった
あっはは!ええやろ?逃げ道は消した
命:しかし、使う命が多すぎる
獏は貴重だ
四月一日:通常運行は無理かー、まぁしゃーないな
梵:…お前、殺したのか?
誰だ?誰をやった?
四月一日:あー?17の男や
梵:ウッ…17……
いい、今回は、いい
四月一日:あらぁ?17はもう大人でっか?
梵:……う、ぐっ…
命:うん、良い
育ってるね、いい子だよ
抱きしめ、梵の頭を撫でる命
梵:ッッ!?あぁ!!あぁ!!
四月一日:……寡黙でゴツいオッサンが
子供の前だと幼児退行するって
誰に刺さるんやこれ
命:なんだ?
四月一日:いやいや、命ちゃんの悪口ちゃうで
しっかし、様になっとるな
その巫女服
命:命を司り、神に仕える私に似合うだろう?
四月一日:ははっ、仕える?神そのものとは言わんのか?
命:そこまで驕ってないよ
四月一日:ま、そこのオッサンまでとは言わんけど
中々、可愛いで?命ちゃん
命:フッ、この形が、か?
四月一日:あぁ、怪異屋もそうやったが
アンタら特別なやつは、実態が全然掴めへん
可憐な少女に見えて、その実……アンタ一体何歳なんや?
命:女に歳を聞くものじゃないよ
梵:あ、ありがとうございました……
…さっそく、次の話を
命:いい子だ、思いついたのかい?
梵:し、しかし……
もう一度だけ、もう一度だけ
既製品を作っても…よろしいですか?
命:構わない
どれを使うのか考えているの?
梵:しょ、少々お待ちください!
そう言うと、どこかへ行く梵
四月一日:……なぁ、なんでアイツなん?
命:何がかな?
四月一日:今日呼んだん
別に他でよかったやろ
命:お前や他の者と梵は違う
四月一日:違う?
命:お前たちは1から創り出すのが上手い
1を2にも10にも出来る
四月一日:オッサンは違うと?
命:あぁ、アレは0から1を創る
四月一日:へぇ……
命:私は新解釈怪異譚と呼ぶが
改変だけでなく新しい怪異を創るのも含めて
命を下し、命を与える事に、この力を使うと決めている
四月一日:なるほどな
帰ってくる梵
梵:命様!これです!これを!
四月一日:まぁ、見させてもらうわ
解釈だけでなく、新しい怪異を生むとこ
あー、あと訂正するわ
命:なんだ?
四月一日:俺は1から10やない
1から100作れるで
命:フッ、驕っているな
四月一日:違うな、自信や
梵:……何を話している?
四月一日:あー、すまんすまん
どーぞ、どーぞ
梵:……これです
命:ぬいぐるみ、か
ひとりかくれんぼ…というところか
梵:はい!流石です!命様
四月一日:ひとりかくれんぼ…また降霊術か
梵:……文句か?
こっくりさんと違い、一人に狙いを絞りたく、使うぬいぐるみ次第では年齢層も…
命:うん、良い
それで?どうするの?
梵:ぼ、僕が考えるに、ひとりかくれんぼは、名付けも行う確実性のある降霊なので
呼び出す怪異を確定させるのはどうかと
命:ふむ……鬼は使ったから
いっそのこと思い切って悪魔、か
四月一日:海外の怪異ってことか?
だったら、ブラッディメアリーの方が 確実とちゃうか?
命:それもそうか
梵:癪ですが……くねくねを呼び出すのも
強制的に嵌めれるので、被害は増えます
命:怪異と怪異を混ぜる
良い案だとは思うけど
四月一日:かくれんぼが消えるな
逆に隠れてくねくねを見なければ防げる
それに塩水含んでいれば、姿は見つからないルールがある
命:そこの核を変えるのであれば
ひとりかくれんぼとしては弱いかな
梵:……はぃ…
四月一日:まぁ、ええ案や
落ち込まんでええで
あ、そうや
命:なんだ?
四月一日:本来のひとりかくれんぼ知っとるか?
梵:あ、あたりまえだろ!
四月一日:ひとりかくれんぼ
降霊した霊は探さんやつが多い
霊障撒き散らして、ビビらして
それにビビって手順間違えて
見つかって、死ぬ
命:……なるほど
梵:探す霊、それを下ろすのか?
四月一日:ほんまのかくれんぼは
ちゃぁんと、鬼が探さんとおもろくないやろ?
どこー!どこおるーん?って叫んでるだけじゃ
隠れとる方はクスクス笑うだけや
梵:……なるほど
四月一日:それとな、感染力高めん?
命:感染?
四月一日:最近、馬鹿が増えたやろ?
霊障バンバン起こる降霊術なら
ネット配信するやつがおる
梵:見た人がやるような催眠をかけるのか?
四月一日:いいや、違う
馬鹿は、馬鹿だ
ひとりかくれんぼってのを壊そう
なぁ、梵…お前、0から1作るのが得意なんやろ?
梵:な、何を言っている
まだそのレベルじゃないから
今、こうやって
命:待て
四月一日、何を考えてる?
四月一日:俺は1を100にする
力を合わせようじゃないか…フフッ、あっははは!
【間】
?:はい!今日はこんなものを用意しました!なんと!絶対に幽霊が現れるぬいぐるみ!
これを使ってひとりかくれんぼをすると
絶対に幽霊が来るそうです!
怪しいし、嘘っぽいですよね
なので検証してみます!
梵:……よくあんなものを思いつくな
四月一日:アンタも凄いで
ちゃんと0から話、作ってくれたしな
梵:枠は……あったからな
四月一日:まぁ、今回はズルしたかもしれんけど
…どや?新しい怪異を創った感想は
梵:……悪くない
命:始まるぞ
四月一日:さて、どうなるか
梵:手順はひとりかくれんぼと同じ
違うところはぬいぐるみが決められている
そこだけだ
命:ははっ、霊子ちゃんだって
名付けのセンスは、ない子だね
四月一日:ぶふーっ!笑かさんでくれ!
どや?コメントは
命:うん、閲覧500人
コメントもいい感じで増えてる
梵:……新人の子…らしい
ヒヒッ 良い…
四月一日:15やったか?
命:あぁ、馬鹿だね
知名度の為に、こんなものに手を出すから馬鹿を見る
四月一日:しゃーない
今はネット社会や
ネットで有名になればなんとでもなるし
梵:……そのおかげで観察もしやすい
命:さ、様子を見よう
?:足音…してる気がする……
ちょっと怖くなってきました
皆さん聞こえますか?
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梵:そこは改良……ですか
命:どうだろう……
やってる本人がおかしいと、視聴者も気づくと思うけど
四月一日:これでいい
全員に見られても面白くない
気づく奴は少なくていい
命:ふむ…それもそうか
?:すみません!もう塩水飲んで終わりにします!
ちょっと、怖すぎて……
えっ……?
四月一日:始まった!
梵:ははははははははははは!!
いいぞ!ヒヒッ!逃げろ!逃げろォォオ!!
四月一日:うわっ!?びっくりした
なんやねん
命:楽しませてやれ
さて、ここからが本番だよ
“ひとりおにごっこ”の始まりだ
?:嘘、嘘嘘嘘!なんで!?
いやだ…いやだぁぁぁぁあ!!
四月一日:ひとりおにごっこ
日本には色んな鬼ごっこがある
色鬼、氷鬼、エトセトラ…ってな
地域なんかで呼び方も変わるが、大体は鬼から逃げる遊びや
今回ので言えば…隠れ鬼、とでも言えばええか
命:降霊した霊から隠れて、見つかったら逃げる
かくれんぼと鬼ごっこの合作だね
まぁ、普通逃げるよね…あんなの見たら
梵:はーっははは!逃げろ!逃げろ!
さぁ!どうする!?外に行くか!?
良い、良い!いいぞ!逃げまくれ!
はははは!ほぉら!すぐ後ろだ!
四月一日:饒舌やなぁ
どっか探せば、隠れ鬼ありそうやけど
似たような遊びもあるしな
命:いいんじゃないか?
ひとりおにごっこで
四月一日:コメントどうなっとる?
命:見えたってコメントもあったけど、大半は何が起こってるのか解ってないね
本人は携帯捨てて逃げ回ってるから
配信は止まらない
四月一日:ははっ、「どうした?」「何があった」「通報した方がいいかな?」
揃いも揃って馬鹿ばっかりや
梵:ヒヒッ、ほぉら、捕まるぞぉ
どうした…逃げないと…ヒヒッ
命:……どうして、逃げ道を作ったの?
四月一日:あ?…せやな、本人気付いてないし
そもそも意味あるか分からんけど
……どの怪異譚でも逃げ道は用意されている
昔からのルールだと俺は考えている
口裂け女に出逢ったらポマードとか、死ぬことが救いとするものもある
まぁ、それが救いと思うかは人それぞれだが
命:猿夢は消したんだろう?
四月一日:いや、本当は消してない
電車に乗るまでに起きればいい
それが困難だということだ
命:なるほど
四月一日:…まぁ、ひとりかくれんぼの
絶対のルールさえ守れば助かるんや
ただ、塩水含んだまま走れるならの話やけどな
梵:それと人形だ!
解除方法も変えてない!
それに気付けない限り、鬼ごっこは続く!
命:複合させたのはその為、か
梵:はい!……良い、良い良い良い!
子供が汗と涙を流しながら
愚直に逃げる様は素晴らしい!
ヒヒッ!恐怖に歪むその顔も愛おしい!
四月一日:それともう一つ
この馬鹿供や
「通報した方がいいかな」
なんてコメント打ちおって
したらええんや
そしたら助かるかもしれんのに
命:それにも気づかないよ
四月一日:これは“ひとり”おにごっこや
参加者が増えたら終いやのに
命:怖いものみたさで集まった烏合の衆
今頃、心の中では笑いながら見ているさ
梵:ヒヒッ!捕まる!捕まるぞ!
命:これで終わりかな
四月一日:もうちょい頑張れや
最近の若い子は外で遊ばんから
?:嫌だ……、来ないで……
?:うわぁぁァァァアああ!!!!
梵:……あぁっ…終わった……あぁ…あぁ…!!
四月一日:最後は呆気ないな
命:離れよう、誰かに見られたら厄介だよ
【間】
ある何処かの誰も知らない場所ーー。
命:うん、素晴らしかったよ二人とも
梵:あ、ありがとうございます!
自信が、つきました……
僕はこれから…新しい物語を作ります…
それと、回収した人形です…
命:ありがとう、期待しているよ、梵
梵:あっ…あぁ!勿体ないお言葉……
すぐに!すぐに作り上げます!
そう言い、走りさる梵
四月一日:なんか段々可愛く見えてきたわ
命:ははっ、純粋なんだよ
四月一日:さて、ここからが本番や
命:そうだね、感染力を高めるだっけ?
四月一日:あぁ、そうや
見た人を参加者にさせる
それもええけど、もっと怪異っぽくや
鬼に捕まったら即死
そんで、その一瞬で、霊体に情報を流す
命:この遊びのルール
逃げ切る為にはどうすればよかったか
それを死ぬ間際、知ることで未練が生まれる
未練が生まれれば成仏はできない
四月一日:怨みも残る
誰かが助けてくれれば、助かったかもしれへん…ってな
命:そうすることで悪霊と成る
その悪霊の行き場は、人形に…
それで出来上がった曰く付きの人形
使えば幽霊が現れるが本物になる
四月一日:そんで、次はそいつが鬼になる
気が済むまで居続けるやろ
まさに、増え鬼やな
ひとりおにごっこ言うたけど
鬼が増えへんとは言うてないからなァ
命:最終的に何人集まるのか
考えるだけでも嫌な遊びだね
四月一日:この噂が広まっても、やる奴はやる
俺は死なへんとか思っとるんやろな
ははっ、物語の主人公でもないモブが
生きがるから死ぬんや
命:ふぅ…久しぶりに少し疲れたよ
四月一日:何度見ても 命を与える姿は、神々しさがあるで、命ちゃん
俺らは物語を考えるだけやけど
命:それが仕事だから
そのおかげで退屈しないよ
四月一日:そんなら俺も、新しい話作ってきますわ
命:期待しているよ、四月一日
四月一日:ははっ!勿体ないお言葉やで
0:そう言い、帰る四月一日
命:命の名の下に、命を下し、命を、与える
さぁ、物語を創れ、意味を与えろ
ふふっ、フフフ、あははははは!
この世は全て、私の掌の上で踊り出す
おにごっこ 終
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