オサキ怪異相談所

てくす

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スピンオフ 怪異蒐集譚

陰陽

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骸:…面白い話がある、勿論報酬も
あまり猶予のある話ではない、できれば2日以内には来て欲しい、ね
なるほどね、面白い話か
最近はオサキといることが多かったからね
たまにはいいか…よし、行きますか


外伝 ー怪異蒐集譚 陰陽ー




骸:と、いうことで来てはみたけど
ふーん?ちょっと、よろしくないね
報酬は弾んでもらおう

【部屋に入る骸】

骸:やぁ、お邪魔するよ

冷:骸様、ここから先は立入禁止です

炎:すぐに横の椅子にお掛けになってください

骸:招待したのは、君たちのほうじゃないか
粗雑ぞんざいに扱うのは失礼じゃないかい?

冷:生憎、主様は仕事中です

炎:荷物があればお渡し下さい

骸:君たちに渡すものは無いよ
偽物姉妹、解ったから視界から消えてくれ

冷:承知しました

炎:主様が伺うまでそこを動かないで下さい

骸:僕にそんな態度を取れるのは、君たち姉妹くらいだよ
少し頭にも来るけど、ね

冷:でしたら、もう口を開きません

炎:箝口かんこう……

骸:いい、どうせ君たちに何かすれば、こっちが割を食うからね


【奥から男が現れる】

道唵:すまないな、迷惑かけて

骸:いいのかい?まだ対応中だろう?

道唵:あぁ、後はアイツ次第ってね

骸:生霊…か

道唵:浮気した男に取り憑いたら帰り方が解らなくなったらしい
本当に恋は盲目だな

骸:面白い話だ
そのまま憑いてればいいものを

道唵:ハハッ!その男がオサキん所に行って、迷惑かけるんじゃないか?

骸:そしたらオサキが対応するさ
それに面白い子もいることだしね

道唵:あぁ、そういえば最近、女をたらしこんだんだろ?

骸:それ、オサキに言うと怒るよ

道唵:短気は損気ってな
おい、冷、炎!茶の一つでも出してやれ

冷:承知しました

炎:お待ちください

骸:そんな悠長にしてていいのかい?
ずっと2階が騒がしいけど

道唵:あぁ、そのこともあるが、あの女を先に終わらせる
粗茶だが気にするな

冷:お待たせしました

炎:どうぞ

骸:ははっ、本当に粗茶だね

冷:はい、コンビニで買ってきました

炎:ペットボトルから直接です

骸:もう少し人間を勉強するべきだよ
そういうことは言わないんだ

冷:申し訳ございません

炎:失礼いたしました

骸:それにしても…うん
二人は何か聞いているのか?

冷:何か、とは何でしょう?

炎:察しました、2階について…ですね

冷:でしたら、少しだけ話せます

炎:主様に聞かなくていいのでしょうか?

冷:ここに呼んだ時点で話すものでしょう?

炎:それもそうかもしれません

冷:話しましょう

骸:それじゃあ、聞こうか



【回想】


冷:あれは3日前のことでした

炎:人間が一人、ここに来たのです


【間】


男:開けろ!ここだろ!?なぁ!!開けてくれ!

冷:ここは立入禁止です

炎:帰ってください

男:ふざけるな!いいから入れろ!

道唵:…すまない、少し待っててもらえるかな?うん、すまないね
冷、炎、この子を奥の間に

冷:はい、かしこまりました

炎:こちらへ

道唵:んで、誰だ?お前

男:なぁ!アンタ、心霊現象とか……なんだ、えっと、そういうのに詳しいんだろ!?

道唵:礼儀がなってないな
そうだとしたら何だと言うんだ?

男:お前なら助けてくれるんだろ!?
頼むよ、助けてくれよ!

道唵:どうしてここを知っている?

男:そ、そんなことどうでもいいだろ!
早く助けて…

道唵:どうして知っている?

男:そ、それは…聞いたから

道唵:聞いた…だと?得体が知れんな
だが、一つだけ教えてやる

男:な、何だよ…

道唵:確かに俺は心霊現象に詳しい

男:それは聞いてるって!
お前、陰陽師なんだろ!?なぁ、頼むよ

道唵:…誰から聞いた?
お前は今、有り得ないことを言っている
理解しているか?

男:俺だってわかんねぇよ!
ただ、ここに行けって言われて!

道晻:……まぁいい
確かに俺は心霊現象に詳しい
だが、俺が助けるのは人じゃない……霊体の方だ

男:な、なんだよそれ…
じゃあコレはどうすればいいんだよ!!

【首元をめくる男】

道晻:(首筋に赤い線?…呪いか?)

冷:主様、この者

炎:飛ばしますか?

道晻:いや、いい
それは何だ?

男:俺だって知らねぇよ!
ただ、これが一週間前から届いて

道晻:手紙?

男:悪戯だと思ってたんだよ
そしたら、こんなことに!



【話を聞いていると、奥から主様と呼ばれる人物が戻ってくる】



道晻:そこからは俺が話そう

骸:やぁ、終わったのかい?

道晻:あぁ、冷、アレを持ってこい

冷:はい、すぐに

骸:首筋に赤い線、それが霊障だね
手紙と陰陽師を知る者
多分これは同一人物っぽいね

道晻:あぁ、普通じゃないのは確かだろ?

骸:君はなんていったって、表舞台の陰陽師の末裔じゃないからね
もっと暗く、深く…影の中の陰陽師だ
歴史にさえ名前も出ないほどの…ね

道晻:あぁ、だから俺を知ってるとなれば、同業だと思ったんだがな

炎:主様、冷が

冷:持って参りました

道晻:あぁ、コイツを見てくれ

骸:コレが手紙かい?……ん?

道晻:降霊術の一種だろうな
だが、手順も術式も出鱈目でたらめ

骸:これは…なるほど
偶々、偶然、思いがけず、不意に、何故か、こうなった

道晻:あぁ、そういうタイプのヤツだろう
だが、最後の手紙に

骸:!!…これは

道晻:新解釈怪異譚
それだけ書かれている

骸:なるほど、そっか

道晻:その反応、知っていたのか?
面白い話だと食いつくと思ったが…
なるほど、最近オサキと一緒にいるのはソレか

骸:僕が出会ったのは二つ
くねくねとコトリバコ

道晻:コトリバコだと!?

冷:冗談が過ぎます

炎:コトリバコとは本来…

骸:それが新解釈怪異譚だよ
現実に存在する霊も空想の怪異も
そういえば妖怪の伝承もあったなぁ……
それを創作している者がいる
より強力な呪いとして、怪異として

道晻:馬鹿な…

冷:あまりに信じられません

炎:普通の人間がそんなこと

道晻:そういえば確かあの男……


【回想】



男:知らない!俺は何も知らない!

道晻:妙だな、霊障はあるのに本体がいない

男:見た…俺は見たぞ…手紙に書いてある通りに
偶然だったんだ…!俺はわざとやってない! 
……わざとじゃないんだ!!けど、来たんだ!アイツが!

道晻:落ち着け

男:あぁ…痒い…痛い、痒い、痒い、痒い

道晻:やめろ、それ以上

男:痛い、痛い、痛い、痛い痛い痛い痛い痛い痛い!

道晻:冷!

冷:すいの印、角端かくたん

男:ウッ…グゥぅゥウ…

道晻:炎

炎:の印、礼

道晻:悪いな、強制的に上下関係を作らせて貰った
とりあえず…"話せ"

男:俺は…たまたま手紙に書いてある…
その…格好になって…気づいたら視線を…感じて…顔中にふだのある…変なヤツが…
後ろに…立って…それで…痒くて痛くて
痒くて痒くて痒くて、それで

道晻:炎、術を解いたのか?

炎:いえ、解いてません

道晻:なんだと?

冷:術は発動しています、呪いの力が強すぎるかと

道晻:この降霊術で、そんなモノ呼び出せるはず…

男:ウッ…それで…家から飛び出して…
それから…痛くて…
気づいたら…知らない人と喋ってて…
痒くて、痛くて、場所を聞いて…

炎:続けますか?かなり危険な状態だと

道晻:あと少しだ、続けろ

男:今まで届いた手紙があれば、ここに行けるって…言われて…
部屋からは異臭がしてた…だけど
手紙だけ取ってすぐに…ここに…
痛い痛い痛い痛い…

道晻:わかった、"眠れ"

男:うっ…

道晻:冷、炎
お前らは交代で結界を張れ
目覚めたら手の自由を奪え
俺はアイツに連絡する

冷:承知しました

炎:2階に運びます


【戻り、現在】



道晻:ってことがあってな

骸:つまり、この2階に現在進行形で、呪われている者がいる
話を聞く感じだと都市伝説の怪異だね

道晻:知っているのか?

骸:まぁ、ほら趣味だから
怪談噺を蒐集しゅうしゅうするのは

道晻:それで、どう見る?

骸:うん、創作物の怪異
それを新解釈怪異譚で変異させた
とりあえずその人を見ていいかい?

道晻:あぁ、2階に行こうか


【間】


道晻:なるほど、そんなことがな

骸:オサキも大変だよね
守る人が出来たんだ
今のままでいられなくなった

道晻:茶化しに行ったらヤベェかな?

骸:今の状況よりヤバいかもね

冷:ここから結界が強まります

炎:冷の結界です

骸:大丈夫、視えてる

道晻:それで、その四月一日わたぬきってのは

骸:話によれば、オサキの元に来た子を狙った犯行だけど、多分誰でも良かったんだと思う
最初はオサキを狙っていたのかもしれないし、呪殺にくねくね、それから水子
姿を現したのがコトリバコの時、直接見に来たって感じかな
僕たちのことも知っていたし、案外昔から何かしてたかも

道晻:なるほどな
それでコトリバコは発動したのか?

骸:しっかり、ね

道晻:霊体に対しての態度含め
俺だったらその場で殺してるぞ

骸:君は霊との関わりが密接だからね
というより、霊体“がわ”の人間だから

道晻:水子霊をそんなことに使いやがって
話だけでも殺したくて仕方がないな

冷:そうと決まれば

炎:私たちが殺してきます

骸:無理、無駄と言おうか
多分探せないよ

冷:妖怪変幻のことでしょうか?

炎:でしたら問題ないかと

骸:それは君たち基準の話だ
アレはまた、別のナニカだよ

道晻:とりあえずは、こいつを解決してからだな


【扉を開ける】


骸:…へぇ

冷:炎、交代です

炎:の印、炎駒えんく

男:アッ…ああっ!!
…いつまで、こうしてれば…いいんだ…!
あぁ、痒い、痒い、痒い…

道晻:首を掻き毟って死にたくなければ我慢しろ
どうだ?

骸:視えないね、この場にいないのか

道晻:いなくてこのレベルって
流石に手に負えんぞ

骸:いや、いるのか
なるほど、変異ってわけね

道晻:変異?

骸:言っただろう?新解釈怪異譚とは、元ある話を変えて変異させたりするって

道晻:どこを変異させたか
それを探ればいいのか?

骸:いいや、核は違えない
それは絶対のルールだろう?
対処法なんかは一緒なんだ

男:何…話してるんだ…!早く…助けてくれよぉ!!あぁぁぁあ!!痛い痛い痛い!

冷:主様、また眠らせますか?

炎:それとも口の自由を奪いますか?

道晻:いや、とりあえず骸次第だな

骸:じゃあ、報酬の話からしようか
最初に提示していたモノじゃ足りないかな
これはそれほどだよ

道晻:元ある霊体じゃないことは俺も解った
架空であり、創作された怪異なら、俺だけじゃ対処できない可能性もある

冷:私たちがいます

炎:対処します

道晻:やる気があることはいい事だがな
そんな甘いもんじゃねーよ
だから、コレを追加する

骸:……へぇ、いいのかい?

道晻:あぁ、コピーだしな

男:さっきから何の話してんだよ!!
報酬とか…お前らふざけてるのか!!

冷:貴方の命の価値を決めているのです

炎:黙りなさい

男:何でもいいから、助けてくれよ!

骸:君が無償で助かると思っている時点で助からないよ
助かる努力をしないとね

男:は…?何言って…

骸:これは占事略决せんじりゃっけつだね
こんなモノを外に出していいの?

道晻:あぁ、言ったようにコピーだ
それ自体には何の力もない
それに、それは本来の占事略决じゃない
……裏だ

骸:これは少し貰い過ぎかもしれないね
期待以上の働きをしないと

冷:主様!

炎:何かいます!

道晻:…こいつか

骸:うん、正解だ
リアル、だね

道晻:リアル?

骸:ネットで創作された怪異、都市伝説
コイツに名前はない
話の冒頭から抜き取って、リアル
そう呼ばれている

冷:どうしますか?

炎:全く動く気配がありません

道晻:……
コイツは、ヤバくないか…?

骸:あぁ、あの札も呪殺の類だね
封印かと思ったけど、呪いが封印の役割も果たしてる

男:ひっ…いるのか…
いや、解る…解る…
近くにいる…ダメだ、もう、ダメだ…

道晻:骸、話を聞かせてくれ
アイツは何なんだ?

骸:解らない
そう、話の中で正体が解らなかった

道晻:対処方法は?

骸:…それもない
正確に言えば、どうすればいいのか解らない

道晻:どういうことだ?

骸:一旦、祓ってみたら?

道晻:炎、そのまま結界を張れ
冷、俺に合わせろ

炎:わかりました
冷:いつでもどうぞ

道晻:急急如律令きゅうきゅうにょりつりょう、冷
九字剣印くじけんいん
『青龍・白虎・朱雀・玄武・勾陳こうちん帝台ていたい文王ぶんおう三台さんたい玉女ぎょくにょ
祓え

冷:五芒水の印、退魔の法


【消える霊体】


道晻:!?消えた?

骸:祓えなかったみたいだね

男:な、なぁ、何してるんだ…?
いるのか?いるんだろ!?

炎:黙りなさい

骸:この話に除霊したとは明記されていない
有名な宗派の総本山に行き、数ヶ月の修行、後に回復したことにより下山
その総本山に行くことを提案した霊媒師が亡くなり、この霊に取り憑かれた者に手紙が来る

道晻:それで?

骸:手紙の内容は、祓えたか不明
ただ近くに気配を感じなくなり、大丈夫だと判断した
もしかしたら、祓えたのかもしれない
だが、本当に強い悪霊であれば、機会を伺い、いつかまた来るかもしれない
そんな曖昧な話さ

道晻:つまり、新解釈するとしたら
より強力な悪霊化、普通じゃ祓えない
手紙を使ったのは、最後の部分からの引用か
手紙の主が亡くなったこと、その事象も呪力として、上乗せしたってのが妥当か

骸:そんなところかな
この話は降霊術の一種で偶々たまたま起こり、取り憑かれる話だけど
多分、手紙の呪力は偶々を必然に変えるものかもね

炎:!?これは!冷!二重結界を

冷:遅いです…やられました…

道晻:…厄介すぎるな、全く

骸:へぇ、憑依するのは話になかったよ

男:…シテ…ド…シテ…

道晻:あ!?ぐっぅ…呪言…!?

骸:これは原本同様かな

冷:これは…私たちにも効く…

炎:呪いの力が強すぎます…

骸:へぇ?式神に効く呪いだって?
それはそれは、興味深い

道晻:ちっ…俺には無理だな…骸

骸:存在しない怪異にめっぽう弱いのは、陰陽師の弱点だね

道晻:具象化してるんだろうが…
存在しているヤツと形が違いすぎる

骸:まぁ、報酬の占事略决に比べれば、これは引き受けるよ
じゃあ、行ってきます

道晻:頼む

男:…シテ、…ウシテ…

骸:ははっ、残念だけど効かないよ
もっと深く、暗く、僕の目を見て


【骸の目を見て静まりかえる】


男:ドウ…シテ…ド…シテ…

骸:さぁ、ここからは僕の番だ
ここは精神世界とでも言おうか
ゆっくり話しでもしよう

男:…ウシテ…シテ…

骸:それは、君次第なんだけど?
どうして呪いが効かないのか
どうして自分が悪霊になったのか
どうしてこの男が降霊術をしたのか
まだまだ選択肢はいくらでもあるけど、何を答えて欲しいんだい?
原本でもずっと疑問を口にしていたね
誰も答えてくれなかった、君の問いには
それが鍵かい?けど、それに近い答えは聞いたはずだよ?

男:ドウシテ…?


【男が顔に付いた札を取ろうと顔に手を向ける】

骸:見せてくれるのかい?それは見えなかった部分だ
…あぁ、なるほど

男:アッ…

骸:そう、無駄だよ
僕には全部、視えてるから


【間】


冷:これは…一体…

炎:どういうことでしょうか

冷:二人とも黙ってしまいました

炎:呪力も霊力も0に近い

道晻:アイツの目の力だ
六道の力はそれほど強大で、俺たち陰陽師の終着点で、必ず到達できない場所だ

冷:あれはもう、この世のものでは

炎:生きていることが枷になるはず

道晻:そんな力を使っている
本来、あの目を見たらダメなんだ
お前たちも興味があるなら一度、本気で目を合わせるといい
人の姿なんて一瞬で保てなくなるぞ

冷:しかし、そんなものを使っているとしたら

炎:あの霊体はどうなってしまうのでしょうか

道晻:憑依しているが、元の器はただの人間だ
その人間と目を合わせている
仮死状態、廃人……とりあえず生きているか死んでいるかわからない状態まで落ちている
そうなれば、あの霊体も手を出すのが難しい
今頃、そんな最強の結界の中で話し合い中だろう

冷:話し合い?

炎:アレと話を?

道晻:あぁ、アイツはそういう奴だよ



【間】



骸:へぇ、なるほど、面白い

男:アッ…アッ

骸:動くな

男:ドウシテ…アッ…シテ…

骸:質問にならいつでも答えるさ
うん、原本はどうか知らないけど、これが強化された部分かな?
いや、元々そういう霊なのかい?
あぁ、答えられないよね
じゃあもっと見せてよ

男:タス…ケ…

骸:喋れるじゃないか
その感じ、自分以外を拒絶しているね
その顔を見せたいんじゃないのかい?
それが君の一番の呪力だろう?
耳無し芳一と口裂け女のハイブリッドみたいだね
札という封印と呪いで自身に強固な結界を張ってるね
それを解いたら溜めた呪力を出せるのかい?
並の人間なら札付きの言葉だけで精神異常にできるみたいだけど

男:ドウシ…テ…、タス…ケテ…

骸:自分以外が札に触れるとダメなのかい?
それで自分で札を剥がし顔を見せるとより強力な呪いを使えるんだね
口裂け女のマスクに近い役割だね
限定条件があるのも似ているし
原本で書かれていない不明瞭な部分は、新解釈って感じがする
ということはつまり、君を作るのにも
最低でも3体の霊体の要素があるね

男:ミル…ナ…ドウシテ…ミルナ…

骸:あぁ、だったら自分から消えたほうがいい
僕は興味があるものには容赦はしないよ
君が苦しもうが、消えようが関係ないからね
ハハ!原本じゃ君が一番強かったね?
誰も君に勝てなかった
だけど、ここじゃ話が違う
僕がいる、君にも勝てる

男:た、すけ、てく…れ

骸:おや?もう逃げるのかい?
まだまだ観察し足りないんだけど?

男:アッ…ヤメ…て…くれ

骸:除霊方法は、より強力な力で札を剥がす
本来ならその札さえ、触れられないんだろうけどね
うん、解った
……もういいよ飽きた




【間】




道晻:戻ったか

骸:うん、除霊終わり
オサキでも無理そうだから、アレの対処は結構大変かも

道晻:札を剥がすんだろ?

骸:強制的に除霊するならって感じかな
あとは原本通り、修行するしかないね
何十年かかるか知らないけど、神聖なものには近づけないから
元々、呪いが核っぽいし

男:うっ…俺…は

道晻:まだ動くな、消耗しているはずだ

冷:水です

炎:それを飲み、休みなさい

男:あ、ありがとうございます…

道晻:はぁ…また変な奴が現れたもんだな

骸:まぁ僕は、“僕としては”楽しいけどね

道晻:そういう奴だよ、お前は

骸:だけど、あまりに行きすぎたことをするから、見過ごせないし、嫌悪してるよ

道晻:…そういう奴だよ

骸:と!いうことで…はい

道晻:あぁ、悪用するなよ

骸:ハハッ!蒐集品に加えるだけだよ!
君が死んだら原本も欲しいところだけど

道晻:俺が持ってるわけねーだろ
安倍晴明の子孫でもないのに

骸:そういうことにしておくよ

男:ありがとう…ございました
おかげで助かりました…

道晻:あぁ、気をつけろよ

骸:少しの間は首に痕が残るよ
だけど、それを見て迂闊うかつなことはしないと
教訓にするといいよ

男:はい、変なものに関わらないように注意します…

道晻:(注意しても無駄なこともあるけどな)

骸:(そういうこと言わない)

冷:落ち着いたら声をかけてください

炎:出口に案内します

男:ありがとうございます
本当にご迷惑をおかけしました


【間】



骸:いや、本当に楽しかったよ

道晻:俺はそうでもない

骸:報酬貰い過ぎたと思うから
彼女とデートしてあげようかな

道晻:あぁ…ご自由にどうぞ

冷:では、これが目的地の住所です

炎:その方をよろしくお願いします

骸:彼氏の愚痴を聞いてあげよう
なんでも話してくれていいよ
楽しい帰り道になりそうだね

道晻:しかし、助かった
俺じゃ無理な案件だった…あー、そうか
無理だから此処によこしたのか

骸:あちらも色々調べてるみたいだね
また何かあったら頼ってくれていいよ
報酬も今回のことで期待してるからさ

道晻:もう出せるものねーよ
だが、まぁ、よろしく頼む

骸:うん
それから二人、あんまり目を見ないでね
間違って消しちゃったらどうするのさ?

冷:…気づかれましたか

炎:これは骨が折れそうですね

冷:炎、次までに対策を考えましょう

炎:それがいいですね、必ず

骸:物好きだね

道晻:じゃあな、骸
また

骸:うん、またね
もう一つの怪異相談屋さん



陰陽 終
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