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軍本部
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軍の本部はエルペイン帝国の中心より東にある小都市。
自分の足を使ってここへ来たのは始めてかもしれません。
大戦時ですらアレクシス・ヴィレン少将、当時は大佐でしたが、彼が直接私の下へ赴いたのですから。
「執事という立場になってしまった以上、こちらから足を運ぶのがマナーでしょう。あなたもそう思いますよね、ルル」
「どうしてボクまで付いてこなくちゃいけないんだよ。それもこんな面倒な方法でさ。何度もこんな場所に来たくないんだよね、この都市は臭いから」
確かに猫の姿のルルにはキツいかもしれませんね。
この都市自体が軍の訓練施設ばかりですから、都市全体が硝煙の匂いに包まれているように感じますし、何よりあちこちで訓練しているため発砲音で煩いと言わざる得ません。
「ここからは人間の姿に化けてもいいのですよ。そちらのほうがまだマシでしょうから」
「だったらそうさせてもらおうかな。目立たない人間のほうがいいよね」
目立たない人間、それがその異様に顔が整った青年ですか。
服装も執事である私よりも上等なものを羽織って目立っているようですし、私が付き人かと思われること間違いなしですね。
「貴様たち見かけない顔だな、ここから先は帝国軍司令本部の敷地のため一般人は立ち入り禁止だ」
「あなたは衛兵ですね、ご苦労さまです。私のことはお構いなく、任務を続行していただいて構いませんよ」
「ふざけるな! それ以上足を進めれば、ただちに俺の銃が貴様の胸に風穴を開けるぞ」
どうやら本気のようですね。
殺意がヒシヒシと伝わってきます。
「私はロイド・バーンです。今日はアレクシス・ヴィレン少将に話があって参上したのです」
「ロイド・バーン? そのような報告は受けていない」
これは困りましたね。
ルルは首を横に振っていますし、ちゃんと伝えているようです。
となると、こちらに落ち度はないでしょう。
「では少将に取り次いでください」
「少将はお忙しいのだ。貴様のような無頼漢と関わっている暇などない!」
「私は構いませんが、私をここで足止めしていてはあなたの首が飛びますよ。いえ、少将の首が飛んでしまうかもしれません」
「戯言を!」
私の忠告を聞き入れるつもりはないようですね。
壁に掛かっている通信機を使って応援を呼びますか……冷静さも持ち合わせている。
実にしっかりしている衛兵です。
ですが、私の邪魔をするというのなら壊れるのもやむなしです。
「ストーップ! ストップだロイド!」
「おや、ヴィレン少将ではありませんか」
応援を呼んだのかと思っていたのですが、一応上に報告していたのですね。
――と思ったのですが、驚いている衛兵を見る限り想定外だったようです。
「表が騒がしいと聞いて急いでやってきて正解だったな。こんなところで何をやっているのだ」
「衛兵が私を中へ入れてくれないのですよ。あなたへの取り次ぎも拒否されましたので、少し強硬手段に出るしかないかと思っていたところです」
「それは君が突然正面からやってくるからだろうが。どうして以前のように突然目の前に現れんのだ。こんな面倒な方法でやってこなくてもいいだろう」
「今はただの執事ですから、正規の方法で訪れたまでですよ。それに本部は初めてですし、敬意を表するほうがいいかと思ったまでのこと」
「……で、隣の男は誰だ? 流石に見知らぬ者まで中に入れるわけにはいかんぞ」
少将のルルを見る目は、完全に不審者扱いですね。
確かにこのルルは人間とは違う異質な雰囲気がありますから、仕方がないことかもしれません。
「これはルルですよ。今はこの姿を取っているだけですから心配はいりません」
「これが、あの使い魔の猫なのか……使い魔というのは実に奇妙な存在なのだな。だったら話は早い、さっさと中へ入るがいい」
さっきの衛兵の目は点になってしまいましたか。
まさかヴィレン少将と本当に接点があるとは思っていなかったのでしょう。
それ以上に少将の態度に驚いているようですね。
「少将は普段、部下からどう見られているのですか。衛兵が驚いていましたよ」
「ははははっ、私が自ら迎えに来ることなどないからだろう。これで君の顔が周知されれば言うことなしか。次からはこんな騒動は御免被りたいところだ」
「本部の最奥部に位置する部屋とは、随分念入りなのですね」
おそらく本部で最も危険が少なく、一部の者しか使えない部屋なのでしょう。
調度品が全て高級品なのは、そういうものに疎い私でもわかります。
壁に掲げらた人物画は歴代の軍のトップでしょうか。
私のセンスでは理解できませんが、きっと需要があるのでしょう。
革張りのソファも座り心地は悪くありません。
「ブラックストン氏は重要人物であり、軍の生命線でもあるからな。彼がいなければ一気に武器の供給が滞ることになる」
少将でも気を遣うとは、本当に大物のようですね。
どのような人物なのか、興味が湧いてきましたよ。
「ブラックストン氏はまだのようですね。では、ルルから聞いているアントライオンという組織、それについて知っていることを全て提供してください」
「そのことだが、君がどうして犯罪組織に興味を抱く。軍でも追ったことはあるが、奴らは常に拠点を変えるため、居所が掴めんのだ。組織の末端の者を捕縛し拷問にかけてみたが、幹部の名さえ知らぬ始末」
「それは困りましたね。組織の規模によっては少将にこの件はお任せしようかと思っていたのですが。末端しか捕縛できていないのでしたら軍に期待はできませんね。アントライオンの頭領の名はブライアン・ハート。この名に覚えはありませんか?」
答えを聞くまでもないですか。
表情が物語っていますね。
「聞いたことはないが……どこからその名を掴んだんだ」
「今回、組織の者がメイドにちょっかいを出しまして、少し可愛がってあげただけですよ。人間を吐かすのは私のほうが得意なのかもしれません」
「なぜブラックストン家のメイドを……」
――――コンコンコンッ――――
「失礼いたします、エドガー・ブラックストン様がおいでになりました」
「こちらは問題ない。どうぞ入ってもらえ」
少将の声の若干の震えは、緊張からくるものでしょうか。
扉を開けて入ってきたのは、少将よりも年下ながら威圧感のある男性。
キリリとした眉に娘と同じ金髪、間違いなくシャリア・ブラックストンの父親でしょう。
「初めまして、お初にお目にかかります」
「君がロイド・バーンかね。私に話があると伺ってきたのだが」
彼の目がルルへと向けられましたね。
猫は嫌いなのでしょうか?
「猫はお嫌いですか?」
「いや、この場になぜいるのか疑問に思っただけだ」
ルルは私の横でお行儀よく座っているだけで害はありません。
流石に無関係の人の姿のままでは警戒されるかと思ったのですが、どちらにしても駄目だったようです。
「お気になさらず。これは少将のペットですよ」
「ほう、ヴィレン少将にこのような可愛い趣味があったとは存じ上げなかった。で、用件というのはこの可愛い猫と関係あるのかね? これでも私は時間がなくて手短にお願いしたいのだが」
「では単刀直入に申し上げます。ブラックストン家所有の炭鉱で事故が多発しているため、資金を投入し事故を防止していただきたいのです。事故で親を失った子が孤児院にあふれてしまい、運営に支障をきたしているようですので」
ブラックストンの表情は芳しくありませんね。
どうにも私の指摘が気に入らないようです。
怒りまでは見せていませんが、眉間に深く刻まれたシワは不快からくるものでしょう。
「話はそれだけかね? だったら君にいくつか忠告しておかなくてはいけないな。一つ、君はただの執事であり、いらぬことに首を突っ込むことが仕事ではない。二つ、被雇用者である君が雇用主である私に意見することは許されない。三つ、炭鉱での事故は私も把握しているが、軟弱地盤ゆえこれ以上金をかけていられないということだ。理解できたかね?」
「では私からもいくつか発言することをお許しください。一つ、孤児院の負担が増えますと、それはシャリア様のご負担にも直結するのです。ゆえに執事である私の仕事の範疇かと思われます。二つ、炭鉱にこれ以上資金を投入できず、問題を解決できないのでしたら私が解決いたしましょう」
「ふむ、一つ目は理解できるが、二つ目はただの戯言でしかないな。君一人で何ができるというのだ? ヴィレン少将、あなたが執事に相応しいからと推薦した者がここまで愚かだとは思いませんでしたよ。私はこの者をこのまま執事として雇うのは問題があると判断します」
少将も困った顔をこちらに向けるのはやめてもらいたいですね。
そこはハッキリと反対していただかないと。
まあ、反対してもこの男は受け入れないでしょうが。
「一つ言い忘れておりました。勘違いされているようなのでお伝えしておいたほうがいいでしょう、私は自分の意思で執事をやってあげているのです。雇用主だからと私に命令することは許しませんよ」
「これは面白い。見た目に似合わずなかなか豪胆な男のようだが、それを私に言うのは愚の骨頂だと理解できなかったのかね。ヴィレン少将、この男をつまみ出していただけませんか。執事の職をとき、今ここでクビとしますので」
眉一つ動かさないのは絶対的な自信の表れか。
しかし、その自信も今日この時をもって失っていただきましょう。
「ヴィレン少将、私とブラックストン氏、どちらの言葉が正しいのか答えていただけますか。言うまでもないと思いますが私は短気ですので、くれぐれもお間違いなきよう」
少将の答えは最初から決まっているのですから、少々意地悪が過ぎたでしょうか。
彼は間違うことができない。
私を選ばないということは、このエルペイン帝国そのものが消滅することを意味するのですから。
武器を供給しているというブラックストン氏も大切かもしれませんが、その比ではありません。
「申し訳ない。今回ばかりはミスターブラックストン、あなたを支持することはできない。軍にとって、このエルペイン帝国にとって彼を失うわけにはいかぬのだ」
予想外の答えに一瞬言葉を失ったようですが、すぐさまそれも戻りましたか。
エドガー・ブラックストンにとってこの返答はありえないものだったというのに、なかなか落ち着いていますね。
「私の聞き間違いかな? このブラックストン家の力がなくとも他国とわたりあえると? この男がそれほど重要だと言うのですね?」
かなりの怒気が含まれていますね。
この程度で感情が高ぶるとは、私以上に短気な人物なのかもしれません。
当然の結果だというのに、何が不満なのでしょうか。
「それは私のほうからお答えしましょう。このロイド・バーンに歯向かうことは基本許されることではないのですよ。それはたとえこの国の皇帝であろうとも。エドガー・ブラックストン、あなたは黙って私の行動を見守ればそれでよいのです。さもなければ、殺しますよ」
「――私を殺すだと? 皇帝であろうと歯向かえないなどと大ぼらを。雇われ風情が調子に乗るなよ」
脇のホルスターからから取り出したのは見たことがない拳銃ですね。
最新型なのかもしれませんが、それがどういう意味を持っているか理解できないというのはそれだけで罪なのですよ。
「私に銃口を向けるということは、死にたいのだと受け取りますがよろしいですか? 先日も屋敷にとある組織の者が侵入してそれらを私に向けてきましてね、結果は言わなくともわかっていただけると思いますが」
「なんだと!? それでシャリアは無事だったのだろうな!」
「問題はありませんよ。そもそも侵入者はメイドの一人を狙っての犯行でしたので」
「シャリアではなくメイドだと?」
「ええ、メイドの一人が元暗殺者らしく、組織から追われていたようです」
おや、表情に焦りが見えますね。
そこまで焦ることではないと思うのですが。
結果がわかっているというのに、どうしてそこまで過程にこだわるのか。
「そのメイドはどうしたのだ。まさか、まだ屋敷にいるのではないだろうな」
「当然いますよ。私が許したのですから。言っておきますが、あなたの指図は受けません。彼女にはメイドとして働いてもらうことで話はついているので。組織のことが気になっているのでしたら、すぐに私が壊滅させますからご心配には及びません」
銃口を下げたのはいいですが、もう私に対する敵愾心は隠すつもりがないようですね。
「ヴィレン少将、この男は何者なのですか。銃口を向けても何の反応も示さない。雇用主の私に対しても引かないどころか絶対的優位性を示す。イかれているのか、それとも裏があるのか、彼がこのまま執事を続けるというのなら私にはそれを知る権利があるはずだ」
少将も板挟みになって大変ですね。
ここは私から助け舟を出して差し上げましょう。
「私のことなら話していただいて結構ですよ。ただし、エドガー・ブラックストン、あなたにはここで知り得た情報は漏らさないことを誓ってもらいます」
これで少将も安心して私のことを話せるでしょう。
問題はそれを聞いて尚、エドガー・ブラックストンが私に対して敵愾心を持ち続けるようなことがあった場合、私の取れる行動が限られてしまうこと。
まあ、こればかりは考えるだけ無駄というもの。
少将の話が終わるまで待つとしましょう。
「――――――というわけでして、このロイド・バーンはこの世における唯一の魔法使いにして、世界を滅ぼす力を持つ男なのですよ。我が帝国は何があろうと彼を敵に回すことはできないのです」
「にわかには信じられませんね。魔法使いなど過去の遺物であり、既に存在しないただのおとぎ話ですよ。あの大戦を終わらせたのがこの男だというのですか」
「灰の魔女のことはご存知でしょう。彼はその灰の魔女が生み出した最高傑作なのです」
「灰の魔女などと……あれは魔法使いが現存すると思わせるための伝承にすぎない。魔法使いは疾うの昔に地上から消え去っているのだ。ヴィレン少将、私を騙すならもう少しリアリティのある話にしていただかないと」
仕方がありませんね。
彼はその目で見なければ理解しない類いの人間で間違いありません。
てっとり早く納得させるには、よほどインパクトのある証拠を見せるべきでしょう。
「ルル、人間の姿になってください。魔法使いには立派な使い魔がいるということを証明するのが、かような人間を納得させるには一番効果的です」
「仕方ないなぁ……じゃあこの姿でどう?」
これはまた意地悪な姿になりましたね。
エドガー・ブラックストンが目を丸くして固まってしまいましたよ。
「……シャリア……どういうことだ。一体どんなマジックを使ったのだ。こんな場所に娘を連れてくるとはどういう了見だ」
「聞いていなかったのですか? これは使い魔のルルです。今はシャリア様の容貌ですが、これは彼の気まぐれでなった姿にすぎません」
「そうだよ、ボクはこれでも偉い悪魔の一人なんだ。そんな目で見ないでくれるかな、背筋が寒くなるよ」
確かにエドガー・ブラックストンのルルを見る目には、私には理解できない感情を込められているように見えます。
それもルルがここへやってきた時の青年の姿になると、その感情はどこかへ消えてしまいましたが。
「そういうわけですので、私の邪魔はしないようお願いします。執事としての仕事は今のところ飽きてはいませんので、このまま続行させていただきます。シャリア様をお守りするという業務も滞りなくこなしますので、ご心配には及びません」
「……君は何を望んでいるのだ。本当にそれほどの力があれば、今の世界の理すら覆すことが可能なはずだ」
私に裏などないのですが、この顔はどうみても私を疑っていますね。
なぜ執事を続けるのか、それを問いているのでしょう。
人間とはつくづく面倒な生き物のようです。
力があるからといって、それをどう使おうが個人の自由だと思うのですが、力のあり方を決めつけてくる者が非常に多い。
「私は世界になど興味はないのですよ。そんな大層なものを手に入れたところで管理が大変なだけでしょう。私はただ一つ、人間というものを理解したいのです。執事の仕事をしていればそれが見つけられるかもしれないのですよ――――ですよね、ヴィレン少将」
「あ、ああそうだ。ロイドは人との関わり合いがなさすぎるのでな。この仕事をキッカケに、人間の感情に触れることで変わるものもきっとあるはずだ」
「そういうことです。これは私にとっての学びそのもの。エドガー・ブラックストン、あなたも協力していただけるというのなら悪いようにはしません。娘さんの安全も保証されるのですから、お互いの利益にしかならないと思うのですが」
あまり反応がよくないですね。
まだ引っかかる部分があるのでしょうか?
「では尋ねるが、さっき話していた組織が今後襲ってこない保証はあるのか? いくら安全だとはいえ、君の目をかいくぐって問題が起きないとは限らないはずだ。すぐに壊滅させると言っていたが、どうやってするのか説明を聞かせてもらおう」
「そういうことですか。ではヴィレン少将、組織に繋がる情報、物、どんな些細なものでもいいので出していただけないですか? 軍では証拠足り得ないもので構いませんので」
「さっきも言ったが、手がかりになるものは……いや、本当に何でもいいのなら一つだけあるにはある。拠点を襲撃した時に幹部と思われる者が残していった血液が付着した服だ」
血液とはまた興味深い。
人間にはあまり意味がない物証なのでしょうが、魔法使いにとってはこれ以上ない手がかりと言っても過言ではありません。
血液は魔法において契約に使う重要なもの。
性別や年齢は当然のことで、それ以外のことも使い魔を使えば匂いでわかるのですから。
「十分ですよ。ありがとうございます」
隣に座るルルがかなり嫌そうな顔をしていますね。
仕事が増えるのは決定していますから、諦めていただかないと。
「ルル、少将から血液が付着した服を受け取ったら組織について調べてください。その間に私は炭鉱へ視察に行っておきますから」
「はぁ……わかったよ。だけど組織を壊滅するときはボクもおこぼれ貰うからね」
「ええ、いくらでも持っていってください。いい情報を期待して待っていますよ」
自分の足を使ってここへ来たのは始めてかもしれません。
大戦時ですらアレクシス・ヴィレン少将、当時は大佐でしたが、彼が直接私の下へ赴いたのですから。
「執事という立場になってしまった以上、こちらから足を運ぶのがマナーでしょう。あなたもそう思いますよね、ルル」
「どうしてボクまで付いてこなくちゃいけないんだよ。それもこんな面倒な方法でさ。何度もこんな場所に来たくないんだよね、この都市は臭いから」
確かに猫の姿のルルにはキツいかもしれませんね。
この都市自体が軍の訓練施設ばかりですから、都市全体が硝煙の匂いに包まれているように感じますし、何よりあちこちで訓練しているため発砲音で煩いと言わざる得ません。
「ここからは人間の姿に化けてもいいのですよ。そちらのほうがまだマシでしょうから」
「だったらそうさせてもらおうかな。目立たない人間のほうがいいよね」
目立たない人間、それがその異様に顔が整った青年ですか。
服装も執事である私よりも上等なものを羽織って目立っているようですし、私が付き人かと思われること間違いなしですね。
「貴様たち見かけない顔だな、ここから先は帝国軍司令本部の敷地のため一般人は立ち入り禁止だ」
「あなたは衛兵ですね、ご苦労さまです。私のことはお構いなく、任務を続行していただいて構いませんよ」
「ふざけるな! それ以上足を進めれば、ただちに俺の銃が貴様の胸に風穴を開けるぞ」
どうやら本気のようですね。
殺意がヒシヒシと伝わってきます。
「私はロイド・バーンです。今日はアレクシス・ヴィレン少将に話があって参上したのです」
「ロイド・バーン? そのような報告は受けていない」
これは困りましたね。
ルルは首を横に振っていますし、ちゃんと伝えているようです。
となると、こちらに落ち度はないでしょう。
「では少将に取り次いでください」
「少将はお忙しいのだ。貴様のような無頼漢と関わっている暇などない!」
「私は構いませんが、私をここで足止めしていてはあなたの首が飛びますよ。いえ、少将の首が飛んでしまうかもしれません」
「戯言を!」
私の忠告を聞き入れるつもりはないようですね。
壁に掛かっている通信機を使って応援を呼びますか……冷静さも持ち合わせている。
実にしっかりしている衛兵です。
ですが、私の邪魔をするというのなら壊れるのもやむなしです。
「ストーップ! ストップだロイド!」
「おや、ヴィレン少将ではありませんか」
応援を呼んだのかと思っていたのですが、一応上に報告していたのですね。
――と思ったのですが、驚いている衛兵を見る限り想定外だったようです。
「表が騒がしいと聞いて急いでやってきて正解だったな。こんなところで何をやっているのだ」
「衛兵が私を中へ入れてくれないのですよ。あなたへの取り次ぎも拒否されましたので、少し強硬手段に出るしかないかと思っていたところです」
「それは君が突然正面からやってくるからだろうが。どうして以前のように突然目の前に現れんのだ。こんな面倒な方法でやってこなくてもいいだろう」
「今はただの執事ですから、正規の方法で訪れたまでですよ。それに本部は初めてですし、敬意を表するほうがいいかと思ったまでのこと」
「……で、隣の男は誰だ? 流石に見知らぬ者まで中に入れるわけにはいかんぞ」
少将のルルを見る目は、完全に不審者扱いですね。
確かにこのルルは人間とは違う異質な雰囲気がありますから、仕方がないことかもしれません。
「これはルルですよ。今はこの姿を取っているだけですから心配はいりません」
「これが、あの使い魔の猫なのか……使い魔というのは実に奇妙な存在なのだな。だったら話は早い、さっさと中へ入るがいい」
さっきの衛兵の目は点になってしまいましたか。
まさかヴィレン少将と本当に接点があるとは思っていなかったのでしょう。
それ以上に少将の態度に驚いているようですね。
「少将は普段、部下からどう見られているのですか。衛兵が驚いていましたよ」
「ははははっ、私が自ら迎えに来ることなどないからだろう。これで君の顔が周知されれば言うことなしか。次からはこんな騒動は御免被りたいところだ」
「本部の最奥部に位置する部屋とは、随分念入りなのですね」
おそらく本部で最も危険が少なく、一部の者しか使えない部屋なのでしょう。
調度品が全て高級品なのは、そういうものに疎い私でもわかります。
壁に掲げらた人物画は歴代の軍のトップでしょうか。
私のセンスでは理解できませんが、きっと需要があるのでしょう。
革張りのソファも座り心地は悪くありません。
「ブラックストン氏は重要人物であり、軍の生命線でもあるからな。彼がいなければ一気に武器の供給が滞ることになる」
少将でも気を遣うとは、本当に大物のようですね。
どのような人物なのか、興味が湧いてきましたよ。
「ブラックストン氏はまだのようですね。では、ルルから聞いているアントライオンという組織、それについて知っていることを全て提供してください」
「そのことだが、君がどうして犯罪組織に興味を抱く。軍でも追ったことはあるが、奴らは常に拠点を変えるため、居所が掴めんのだ。組織の末端の者を捕縛し拷問にかけてみたが、幹部の名さえ知らぬ始末」
「それは困りましたね。組織の規模によっては少将にこの件はお任せしようかと思っていたのですが。末端しか捕縛できていないのでしたら軍に期待はできませんね。アントライオンの頭領の名はブライアン・ハート。この名に覚えはありませんか?」
答えを聞くまでもないですか。
表情が物語っていますね。
「聞いたことはないが……どこからその名を掴んだんだ」
「今回、組織の者がメイドにちょっかいを出しまして、少し可愛がってあげただけですよ。人間を吐かすのは私のほうが得意なのかもしれません」
「なぜブラックストン家のメイドを……」
――――コンコンコンッ――――
「失礼いたします、エドガー・ブラックストン様がおいでになりました」
「こちらは問題ない。どうぞ入ってもらえ」
少将の声の若干の震えは、緊張からくるものでしょうか。
扉を開けて入ってきたのは、少将よりも年下ながら威圧感のある男性。
キリリとした眉に娘と同じ金髪、間違いなくシャリア・ブラックストンの父親でしょう。
「初めまして、お初にお目にかかります」
「君がロイド・バーンかね。私に話があると伺ってきたのだが」
彼の目がルルへと向けられましたね。
猫は嫌いなのでしょうか?
「猫はお嫌いですか?」
「いや、この場になぜいるのか疑問に思っただけだ」
ルルは私の横でお行儀よく座っているだけで害はありません。
流石に無関係の人の姿のままでは警戒されるかと思ったのですが、どちらにしても駄目だったようです。
「お気になさらず。これは少将のペットですよ」
「ほう、ヴィレン少将にこのような可愛い趣味があったとは存じ上げなかった。で、用件というのはこの可愛い猫と関係あるのかね? これでも私は時間がなくて手短にお願いしたいのだが」
「では単刀直入に申し上げます。ブラックストン家所有の炭鉱で事故が多発しているため、資金を投入し事故を防止していただきたいのです。事故で親を失った子が孤児院にあふれてしまい、運営に支障をきたしているようですので」
ブラックストンの表情は芳しくありませんね。
どうにも私の指摘が気に入らないようです。
怒りまでは見せていませんが、眉間に深く刻まれたシワは不快からくるものでしょう。
「話はそれだけかね? だったら君にいくつか忠告しておかなくてはいけないな。一つ、君はただの執事であり、いらぬことに首を突っ込むことが仕事ではない。二つ、被雇用者である君が雇用主である私に意見することは許されない。三つ、炭鉱での事故は私も把握しているが、軟弱地盤ゆえこれ以上金をかけていられないということだ。理解できたかね?」
「では私からもいくつか発言することをお許しください。一つ、孤児院の負担が増えますと、それはシャリア様のご負担にも直結するのです。ゆえに執事である私の仕事の範疇かと思われます。二つ、炭鉱にこれ以上資金を投入できず、問題を解決できないのでしたら私が解決いたしましょう」
「ふむ、一つ目は理解できるが、二つ目はただの戯言でしかないな。君一人で何ができるというのだ? ヴィレン少将、あなたが執事に相応しいからと推薦した者がここまで愚かだとは思いませんでしたよ。私はこの者をこのまま執事として雇うのは問題があると判断します」
少将も困った顔をこちらに向けるのはやめてもらいたいですね。
そこはハッキリと反対していただかないと。
まあ、反対してもこの男は受け入れないでしょうが。
「一つ言い忘れておりました。勘違いされているようなのでお伝えしておいたほうがいいでしょう、私は自分の意思で執事をやってあげているのです。雇用主だからと私に命令することは許しませんよ」
「これは面白い。見た目に似合わずなかなか豪胆な男のようだが、それを私に言うのは愚の骨頂だと理解できなかったのかね。ヴィレン少将、この男をつまみ出していただけませんか。執事の職をとき、今ここでクビとしますので」
眉一つ動かさないのは絶対的な自信の表れか。
しかし、その自信も今日この時をもって失っていただきましょう。
「ヴィレン少将、私とブラックストン氏、どちらの言葉が正しいのか答えていただけますか。言うまでもないと思いますが私は短気ですので、くれぐれもお間違いなきよう」
少将の答えは最初から決まっているのですから、少々意地悪が過ぎたでしょうか。
彼は間違うことができない。
私を選ばないということは、このエルペイン帝国そのものが消滅することを意味するのですから。
武器を供給しているというブラックストン氏も大切かもしれませんが、その比ではありません。
「申し訳ない。今回ばかりはミスターブラックストン、あなたを支持することはできない。軍にとって、このエルペイン帝国にとって彼を失うわけにはいかぬのだ」
予想外の答えに一瞬言葉を失ったようですが、すぐさまそれも戻りましたか。
エドガー・ブラックストンにとってこの返答はありえないものだったというのに、なかなか落ち着いていますね。
「私の聞き間違いかな? このブラックストン家の力がなくとも他国とわたりあえると? この男がそれほど重要だと言うのですね?」
かなりの怒気が含まれていますね。
この程度で感情が高ぶるとは、私以上に短気な人物なのかもしれません。
当然の結果だというのに、何が不満なのでしょうか。
「それは私のほうからお答えしましょう。このロイド・バーンに歯向かうことは基本許されることではないのですよ。それはたとえこの国の皇帝であろうとも。エドガー・ブラックストン、あなたは黙って私の行動を見守ればそれでよいのです。さもなければ、殺しますよ」
「――私を殺すだと? 皇帝であろうと歯向かえないなどと大ぼらを。雇われ風情が調子に乗るなよ」
脇のホルスターからから取り出したのは見たことがない拳銃ですね。
最新型なのかもしれませんが、それがどういう意味を持っているか理解できないというのはそれだけで罪なのですよ。
「私に銃口を向けるということは、死にたいのだと受け取りますがよろしいですか? 先日も屋敷にとある組織の者が侵入してそれらを私に向けてきましてね、結果は言わなくともわかっていただけると思いますが」
「なんだと!? それでシャリアは無事だったのだろうな!」
「問題はありませんよ。そもそも侵入者はメイドの一人を狙っての犯行でしたので」
「シャリアではなくメイドだと?」
「ええ、メイドの一人が元暗殺者らしく、組織から追われていたようです」
おや、表情に焦りが見えますね。
そこまで焦ることではないと思うのですが。
結果がわかっているというのに、どうしてそこまで過程にこだわるのか。
「そのメイドはどうしたのだ。まさか、まだ屋敷にいるのではないだろうな」
「当然いますよ。私が許したのですから。言っておきますが、あなたの指図は受けません。彼女にはメイドとして働いてもらうことで話はついているので。組織のことが気になっているのでしたら、すぐに私が壊滅させますからご心配には及びません」
銃口を下げたのはいいですが、もう私に対する敵愾心は隠すつもりがないようですね。
「ヴィレン少将、この男は何者なのですか。銃口を向けても何の反応も示さない。雇用主の私に対しても引かないどころか絶対的優位性を示す。イかれているのか、それとも裏があるのか、彼がこのまま執事を続けるというのなら私にはそれを知る権利があるはずだ」
少将も板挟みになって大変ですね。
ここは私から助け舟を出して差し上げましょう。
「私のことなら話していただいて結構ですよ。ただし、エドガー・ブラックストン、あなたにはここで知り得た情報は漏らさないことを誓ってもらいます」
これで少将も安心して私のことを話せるでしょう。
問題はそれを聞いて尚、エドガー・ブラックストンが私に対して敵愾心を持ち続けるようなことがあった場合、私の取れる行動が限られてしまうこと。
まあ、こればかりは考えるだけ無駄というもの。
少将の話が終わるまで待つとしましょう。
「――――――というわけでして、このロイド・バーンはこの世における唯一の魔法使いにして、世界を滅ぼす力を持つ男なのですよ。我が帝国は何があろうと彼を敵に回すことはできないのです」
「にわかには信じられませんね。魔法使いなど過去の遺物であり、既に存在しないただのおとぎ話ですよ。あの大戦を終わらせたのがこの男だというのですか」
「灰の魔女のことはご存知でしょう。彼はその灰の魔女が生み出した最高傑作なのです」
「灰の魔女などと……あれは魔法使いが現存すると思わせるための伝承にすぎない。魔法使いは疾うの昔に地上から消え去っているのだ。ヴィレン少将、私を騙すならもう少しリアリティのある話にしていただかないと」
仕方がありませんね。
彼はその目で見なければ理解しない類いの人間で間違いありません。
てっとり早く納得させるには、よほどインパクトのある証拠を見せるべきでしょう。
「ルル、人間の姿になってください。魔法使いには立派な使い魔がいるということを証明するのが、かような人間を納得させるには一番効果的です」
「仕方ないなぁ……じゃあこの姿でどう?」
これはまた意地悪な姿になりましたね。
エドガー・ブラックストンが目を丸くして固まってしまいましたよ。
「……シャリア……どういうことだ。一体どんなマジックを使ったのだ。こんな場所に娘を連れてくるとはどういう了見だ」
「聞いていなかったのですか? これは使い魔のルルです。今はシャリア様の容貌ですが、これは彼の気まぐれでなった姿にすぎません」
「そうだよ、ボクはこれでも偉い悪魔の一人なんだ。そんな目で見ないでくれるかな、背筋が寒くなるよ」
確かにエドガー・ブラックストンのルルを見る目には、私には理解できない感情を込められているように見えます。
それもルルがここへやってきた時の青年の姿になると、その感情はどこかへ消えてしまいましたが。
「そういうわけですので、私の邪魔はしないようお願いします。執事としての仕事は今のところ飽きてはいませんので、このまま続行させていただきます。シャリア様をお守りするという業務も滞りなくこなしますので、ご心配には及びません」
「……君は何を望んでいるのだ。本当にそれほどの力があれば、今の世界の理すら覆すことが可能なはずだ」
私に裏などないのですが、この顔はどうみても私を疑っていますね。
なぜ執事を続けるのか、それを問いているのでしょう。
人間とはつくづく面倒な生き物のようです。
力があるからといって、それをどう使おうが個人の自由だと思うのですが、力のあり方を決めつけてくる者が非常に多い。
「私は世界になど興味はないのですよ。そんな大層なものを手に入れたところで管理が大変なだけでしょう。私はただ一つ、人間というものを理解したいのです。執事の仕事をしていればそれが見つけられるかもしれないのですよ――――ですよね、ヴィレン少将」
「あ、ああそうだ。ロイドは人との関わり合いがなさすぎるのでな。この仕事をキッカケに、人間の感情に触れることで変わるものもきっとあるはずだ」
「そういうことです。これは私にとっての学びそのもの。エドガー・ブラックストン、あなたも協力していただけるというのなら悪いようにはしません。娘さんの安全も保証されるのですから、お互いの利益にしかならないと思うのですが」
あまり反応がよくないですね。
まだ引っかかる部分があるのでしょうか?
「では尋ねるが、さっき話していた組織が今後襲ってこない保証はあるのか? いくら安全だとはいえ、君の目をかいくぐって問題が起きないとは限らないはずだ。すぐに壊滅させると言っていたが、どうやってするのか説明を聞かせてもらおう」
「そういうことですか。ではヴィレン少将、組織に繋がる情報、物、どんな些細なものでもいいので出していただけないですか? 軍では証拠足り得ないもので構いませんので」
「さっきも言ったが、手がかりになるものは……いや、本当に何でもいいのなら一つだけあるにはある。拠点を襲撃した時に幹部と思われる者が残していった血液が付着した服だ」
血液とはまた興味深い。
人間にはあまり意味がない物証なのでしょうが、魔法使いにとってはこれ以上ない手がかりと言っても過言ではありません。
血液は魔法において契約に使う重要なもの。
性別や年齢は当然のことで、それ以外のことも使い魔を使えば匂いでわかるのですから。
「十分ですよ。ありがとうございます」
隣に座るルルがかなり嫌そうな顔をしていますね。
仕事が増えるのは決定していますから、諦めていただかないと。
「ルル、少将から血液が付着した服を受け取ったら組織について調べてください。その間に私は炭鉱へ視察に行っておきますから」
「はぁ……わかったよ。だけど組織を壊滅するときはボクもおこぼれ貰うからね」
「ええ、いくらでも持っていってください。いい情報を期待して待っていますよ」
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