仮題)僕の母様は元騎士団長

れると

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僕のやるべき事

24.笑顔は時と場合によっては怖い

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僕と母様が提出した企画書を父様が目を通してる間、今までにない緊張感が執務室を満たす。

「うん。悪くないと思うよ。」

「「やったー!」」

父様の言葉に母様と声を合わせてハイタッチをする。

「じゃあ、あとはガイと動くから、ソラはここまでだね。」

え?

「あ、あの!僕が気になるって言って孤児院に連れて行ってもらったんです!僕、もっとこの件に関わりたいです!出来る範囲でいいので!だ、ダメですか?」

ここまでだなんて酷すぎる!確かに、これから先は大人の、領主としてのお仕事かもしれないけれど、でも僕だって何かしたい!だってこの件を持ち帰ってきたにも僕なんだから、せめて一緒に見届けても良いんじゃないの?

という気持ちで僕は父様に訴えた。僕の気持ちが上手く伝わったか分からないけども、精一杯訴えたつもりだ。最後の方吃っちゃったけど。

「うーん、」

「母様!母様はダメですか?」

父様がダメなら母様なら!と母様にお願いをした。

「あ、あー、えっと、じゃぁ、もし、もし許可が降りればだけど、一緒に結果伝えに行ったりとかなら良いんじゃない?ねぇ、イル?」

母様からも上目遣いで父様にお願いしてくれる。
悩みに悩んだ父様はゆっくりと口を開いた。

「わかった。偶にならね。ただしソラ、勉強の他にもいざとなったら自分の身は自分で守れるようにする事、良いね?」

「っはい!ありがとうございます!」



それから僕は忙しくなった。
今までの勉強に、魔術と武術の勉強も入ったからだ。

武術といっても、僕は人に痛い思いをさせるのは正直苦手だ。だって殴られたら痛いし、刃物で傷付けられたら血も出るし血は見るのも嫌だし、そういう事を自分の手で誰かにするのが嫌なのだ。

なので、相手と戦うというよりは、隙を作って逃げる、というのを重点的に教えて貰う事になった。

「多分、こういうの1番得意なのはガイウス様だと思いますけどね。」と言ったのはミッキィだ。
何でも相手の意表を突くのが上手いらしい。

騎士団時代の大会で、砂かけとか膝かっくんとか、まぁ普通の大会では見かけない技をここぞとばかりに繰り出したらしい。
当時は場を騒がせたらしいが、母様のこの形にハマらない戦い方が騎士団を強くしたとも言っていた。
さすが母様だ。やる事が少し?ズレている気がする。

そして、この武術についての僕の先生はリンクス領騎士団員のカミューだ。

カミューは緑青色っぽいさらさらの長い髪を後ろで一纏めにしている。この国で緑色の髪色は珍しい 。全く居ない訳じゃないけど数は少ない方なのだ。彼の瞳の色も黒に近い濃緑だけど、光が当たると綺麗な緑色が見える。

「さて。ではまずソラ様に今1番身につけて欲しいものですが、」

「はい。」

彼が溜めるので、ドキドキしながら答えを待つ。

「ソラ様に今1番必要なものは、」

ゴクリ。

「体力ですね!」

「・・・え?」

「体力です!」

「た、体力です、か?」

予想だにしなかった答えに拍子抜けする。
あれ、僕、体力無かったの?

「体力は無いよりあった方がいいです!今よりももっと付けれるならその方が断然良いのです!」

「・・・はぁ。」

「ではまず、準備体操をしましょう!準備体操して体を温めて、怪我をしないようにするのですよ。」

恐らく僕は困惑顔をしていたのだろう。理由も併せて教えてくれた。

カミューは僕と一緒に準備体操をしてくれた。
「準備体操も手を抜かずにしっかりやらねばいけませんよ。」と言われたのでしっかりやってみると体がポカポカして、先程言われた通りに体が温まったのを実感する。

「では次に鬼ごっこをしましょう!」

「へ?」

「今日は私1人で申し訳無いですが、明日からは声を掛けて何名かでやりましょう!」

「2人で鬼ごっこ?」

「はい!逃げる体力大事です!じゃあ私から逃げてくださいね。3秒数えるので逃げてください。3、2、」

「ええっ!?」

2秒消えたよ!と考えながら遠くにと思い後ろに走り出す。

「1!!じゃあ追いかけますねー!」

騎士団員から逃げれるわけないじゃん!
と思いながらも必死に逃げていく。
きっと小回りなら小柄な僕の方が得意のはず!と思ったが、小回りを生かせる場所に鬼ごっこで入っていいのかが分からない。

視界の先にあるのは庭園。
あ!庭園なら通路がくねくねしてるから良いかも!?でもでも庭園に誰か居たら危なくない!?

と考えているうちに走り過ぎてしまう。

その次は邸の入口が近付いてきた。邸内では鬼ごっこしちゃダメでしょ、っていうかその前に玄関ドア開けてる間に捕まっちゃうよ!

どうしよう、どうしよう。

そのまま邸の角を曲がって裏手に向かって走る。

このままずーっと走れば裏の森に行けるはず!

ただ、僕の体力と足は限界だったようで、角を曲がって直ぐに少し窪んだ地面に足を取られて転けてしまった。

「はい、捕まえました。」

ずっと一定の距離を保って走って来たカミューの、息も服装も乱れていない姿に少しムッとした。

「はぁ、っはい!はぁ、はぁ、カミューは僕をっ、はぁ、捕まえたら勝ち、だけど、僕も何か勝つ、条件が、欲しい、はぁ、はぁ、です!」

息が上がりすぎて沢山息継ぎしちゃったけど、カミューにはきちんと伝わったようだった。

「出来れば体力のある限り逃げ続けて欲しいですが、そうですねぇ、毎回それだとやる気の問題に繋がりますし、考えておきますね。」

やったぁ!と思いながらゴロンと土の上に体を投げる。今日、凄い頑張って走ったよ。一定の距離を開けて笑顔で追いかけてくるカミューはある意味怖かったけど。

今日の訓練は終わりだー!

「では、最後にトレーニングしてストレッチして終わりましょうか!」

「えー!終わりじゃないのー!?」
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みんなの感想(1件)

ノア吉
2023.12.01 ノア吉

また見たいと思っていた2人に会えた(>︿<。)
そして新たにお話書いたくださってたのに気づくの遅れてすみません💦
ソラくんルナくんの兄弟が増えてどんな風に家族になっていくのかこれから増々楽しみにしてますね😊
寒い日が続きますのでご自愛くださいませ

れると
2023.12.02 れると

ノア吉様、お読み頂きありがとうございます!
いえいえ掘り出して頂き感謝です!
これから家族の関係も変わっていく予定なのでお付き合い頂けますと嬉しいです(*^^*)
コメントありがとうございました♪

解除
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