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僕の母様と父様
20.魔術師ルナ?
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「はい、じゃぁお臍の辺りに手を当てて目を瞑って下さい。」
ノア様に言われた通りお臍に手を当てて目を瞑る。
「そのままお臍の辺りに意識を持っていって、温かくなる場所を感じ取ってー。」
お臍の辺り、暖かい場所、暖かい場所、どこだろう・・・?全部同じに思える、温かい?暖かい?どこ?ここ?違うな。
部屋がシィンと静まり返って皆が集中しているのが分かる。
温かくなる場所が分からなくて声には出さず、頭の中でうんうん唸る。
しばらくすると隣から「あ!分かったかも!」と声が上がった。
「「え、嘘!?」」
僕と母様の声が重なった。
「お、ルナ君は魔術師の適性があるのかな?どれどれ、その温かいのを体の違う場所に移動させてみようか。」
「違う場所?」
「そう、先ずはお腹の上の方、首元まで持って来てみようか。」
「うん、やってみる。」
ルナは目を瞑ってお臍に充てた両手をゆっくりと、時には少し戻りつつ、首元までゆっくりと持って行った。
「ふぅー。出来た!」
「凄いねルナ君!大きくなったら是非王立魔術塔においで。」
「僕レオンみたいに格好良い騎士様になるから無理!」
「そっかぁ、ルナ君は騎士様になるのが夢なんだね。」
「うん!」
「うぉー、危ねぇ。ルナまで取られるところだった。」
「え、僕はリオン様のところには行きませんよ?」
「はい、そこの2人!お喋りの前に丹田は見つかりましたか?」
「「いえ、全く。。。」」
母様と2人でシュンとする。
なんでルナは出来たんだ?僕の魔力量は少ない判定されてないから僕にも出来るはずなんだけど。
その後も母様と2人でいくらやっても分からない。
そのうちに、ルナは熱の塊を自在に身体中に移動させられるようになっていた。
「「・・・ 。」」
「まぁ、向き不向きが有りますからね。これが出来なければ魔術が使えない訳では無いですし。」
ノア様がフォローしてくれるが、ルナは出来るのに僕に出来ないことが只々悔しい。
「あのね、目を閉じて何も考えないでお腹の辺りをずっと気にしてるとじんわーって温かい所があるの!やってみて!」
「「うん。」」
ルナに言われた通りにやってみるがやっぱり分からない。
「分かんない。」
「無理。」
僕と母様はそうそうに根を上げた。
「じゃぁ、次は外に出て魔術を使ってみましょうか。」
「よっしゃ実技なら任せろー!」
途端に母様がやる気を出した。
「あ、ガイウス君はイルヴェス様からダメって言われてるので見学です。」
「ガーン!」
母様が落ち込み様を言葉でも表現する。
しかし、落ち込んだのも束の間、直ぐに立ち直って「じゃあ俺ソラの事見る!同じ匂いがするからきっといける!」と僕に向かって宣言した。
同じ匂いってどういう事なんだろう?
後ろで見守っていたクーグゥ叔父様達と一緒に外に向かった。
空には雲が所々かかっていて、照りつける陽射しを時々遮ってくれる。夏の匂いを風が運んできて、外で活動するには良い季節なんだと思う。
「では先ず。魔術には想像力も大事です。」
ルナと一緒にうんうんと首を縦に振る。
想像力、大事。
「掌を上に向けて、水玉を思い浮かべて手の上に浮くように想像して、さっきの温かいのがそれを作るように、掌に出すイメージで。」
ノア様はパッと掌の上に水球を作った。
すごい!でもちょっと待って、僕さっきの温かいのさっぱり分からなかったんだけど!
「僕、属性は火……。」
ルナもちょっと困惑してる。
それに対してノア様はババン!と宣言した。
「属性は気にしなくで大丈夫です!自身の属性は何が扱いやすいかというもですので!あ、全く使えない属性も人によってはありますが、先ずは基本の水で試してみましょう!」
先程の母様の宣言の為か、ルナにはノア様、僕には母様が付いてくれる事になった。
「よっし、ソラなら出来る!出来なくても練習あるのみ!さぁ、言われた通りにやってみよう!」
あれ、もっと具体的にとかそういうの無いんだ…。
うーん、想像力が大事、ね、よし。
掌を上に向けて手を広げる。
目を瞑って集中。小さくていい。僕にだって魔力はあるんだ。掌に水の球を作る、体の何かを使って、それを掌から出して、丸めながら水になるように想像しながら念じて、丸く、丸く……
「すごい!ソラ出来てるよ!」
母様がはしゃいだ声を上げたので、その状態を維持する事に意識を傾けながらゆっくり目を開ける。
僕の掌の上には、ビー玉位の小さな水球がプカプカ浮いていた。
「出来た!」
嬉しい!と思った瞬間、水球は壊れて僕の手を濡らした。
「ソラ君凄いですね!中々形作るのは先程の丹田が分かっても難しいんですよ。」
ノア様も褒めてくれる。
単純に素直に嬉しい!
にへにへ笑ってたらルナから視線を感じた。
じとーっと睨まれる。
さっきは自分だけ出来て得意そうだったじゃないか、と思ったけどルナを不機嫌にしたい訳じゃないので口には出さない。
「ルナ、多分さっきの温かいの?を掌に集めてそれを丸くして、水になれ~ってやったら出来るかも?」
果たしてこの説明で分かってくれるのか分からないけど、伝えてみる。
ルナは魔術の素質があるのか、何回かうんうん唸って練習した後、僕の水球より少し大きめの水球を作ってどやあとドヤ顔を見せた。
ルナって負けず嫌いだったんだね。
ここに来て初めて知るルナの顔がいっぱいだ。
ノア様に言われた通りお臍に手を当てて目を瞑る。
「そのままお臍の辺りに意識を持っていって、温かくなる場所を感じ取ってー。」
お臍の辺り、暖かい場所、暖かい場所、どこだろう・・・?全部同じに思える、温かい?暖かい?どこ?ここ?違うな。
部屋がシィンと静まり返って皆が集中しているのが分かる。
温かくなる場所が分からなくて声には出さず、頭の中でうんうん唸る。
しばらくすると隣から「あ!分かったかも!」と声が上がった。
「「え、嘘!?」」
僕と母様の声が重なった。
「お、ルナ君は魔術師の適性があるのかな?どれどれ、その温かいのを体の違う場所に移動させてみようか。」
「違う場所?」
「そう、先ずはお腹の上の方、首元まで持って来てみようか。」
「うん、やってみる。」
ルナは目を瞑ってお臍に充てた両手をゆっくりと、時には少し戻りつつ、首元までゆっくりと持って行った。
「ふぅー。出来た!」
「凄いねルナ君!大きくなったら是非王立魔術塔においで。」
「僕レオンみたいに格好良い騎士様になるから無理!」
「そっかぁ、ルナ君は騎士様になるのが夢なんだね。」
「うん!」
「うぉー、危ねぇ。ルナまで取られるところだった。」
「え、僕はリオン様のところには行きませんよ?」
「はい、そこの2人!お喋りの前に丹田は見つかりましたか?」
「「いえ、全く。。。」」
母様と2人でシュンとする。
なんでルナは出来たんだ?僕の魔力量は少ない判定されてないから僕にも出来るはずなんだけど。
その後も母様と2人でいくらやっても分からない。
そのうちに、ルナは熱の塊を自在に身体中に移動させられるようになっていた。
「「・・・ 。」」
「まぁ、向き不向きが有りますからね。これが出来なければ魔術が使えない訳では無いですし。」
ノア様がフォローしてくれるが、ルナは出来るのに僕に出来ないことが只々悔しい。
「あのね、目を閉じて何も考えないでお腹の辺りをずっと気にしてるとじんわーって温かい所があるの!やってみて!」
「「うん。」」
ルナに言われた通りにやってみるがやっぱり分からない。
「分かんない。」
「無理。」
僕と母様はそうそうに根を上げた。
「じゃぁ、次は外に出て魔術を使ってみましょうか。」
「よっしゃ実技なら任せろー!」
途端に母様がやる気を出した。
「あ、ガイウス君はイルヴェス様からダメって言われてるので見学です。」
「ガーン!」
母様が落ち込み様を言葉でも表現する。
しかし、落ち込んだのも束の間、直ぐに立ち直って「じゃあ俺ソラの事見る!同じ匂いがするからきっといける!」と僕に向かって宣言した。
同じ匂いってどういう事なんだろう?
後ろで見守っていたクーグゥ叔父様達と一緒に外に向かった。
空には雲が所々かかっていて、照りつける陽射しを時々遮ってくれる。夏の匂いを風が運んできて、外で活動するには良い季節なんだと思う。
「では先ず。魔術には想像力も大事です。」
ルナと一緒にうんうんと首を縦に振る。
想像力、大事。
「掌を上に向けて、水玉を思い浮かべて手の上に浮くように想像して、さっきの温かいのがそれを作るように、掌に出すイメージで。」
ノア様はパッと掌の上に水球を作った。
すごい!でもちょっと待って、僕さっきの温かいのさっぱり分からなかったんだけど!
「僕、属性は火……。」
ルナもちょっと困惑してる。
それに対してノア様はババン!と宣言した。
「属性は気にしなくで大丈夫です!自身の属性は何が扱いやすいかというもですので!あ、全く使えない属性も人によってはありますが、先ずは基本の水で試してみましょう!」
先程の母様の宣言の為か、ルナにはノア様、僕には母様が付いてくれる事になった。
「よっし、ソラなら出来る!出来なくても練習あるのみ!さぁ、言われた通りにやってみよう!」
あれ、もっと具体的にとかそういうの無いんだ…。
うーん、想像力が大事、ね、よし。
掌を上に向けて手を広げる。
目を瞑って集中。小さくていい。僕にだって魔力はあるんだ。掌に水の球を作る、体の何かを使って、それを掌から出して、丸めながら水になるように想像しながら念じて、丸く、丸く……
「すごい!ソラ出来てるよ!」
母様がはしゃいだ声を上げたので、その状態を維持する事に意識を傾けながらゆっくり目を開ける。
僕の掌の上には、ビー玉位の小さな水球がプカプカ浮いていた。
「出来た!」
嬉しい!と思った瞬間、水球は壊れて僕の手を濡らした。
「ソラ君凄いですね!中々形作るのは先程の丹田が分かっても難しいんですよ。」
ノア様も褒めてくれる。
単純に素直に嬉しい!
にへにへ笑ってたらルナから視線を感じた。
じとーっと睨まれる。
さっきは自分だけ出来て得意そうだったじゃないか、と思ったけどルナを不機嫌にしたい訳じゃないので口には出さない。
「ルナ、多分さっきの温かいの?を掌に集めてそれを丸くして、水になれ~ってやったら出来るかも?」
果たしてこの説明で分かってくれるのか分からないけど、伝えてみる。
ルナは魔術の素質があるのか、何回かうんうん唸って練習した後、僕の水球より少し大きめの水球を作ってどやあとドヤ顔を見せた。
ルナって負けず嫌いだったんだね。
ここに来て初めて知るルナの顔がいっぱいだ。
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