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僕の母様と父様
4.直感ってことかな
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僕の父さんと母さんは2年前に亡くなった。
ルナがまだ3歳の時だった。
原因は家の火災。
ルナを連れて避難してきた父さんは、母さんが家にまだ残ってると知って戻ってから僕たちのところに来ることは無かった。
真夜中の出来事で、火の気なんてありっこしないから、村長の相談役として村でも上の方の立場だった父さんを羨んで、或いは恨んで誰かが火を放ったのでは無いかと大人の誰かが話してるのを聞いたことがある。
真相は分からないけれど。
それでも当時の村長は情に厚い人で、父さんに沢山相談に乗って貰っていたからと、住むところと仕事を提供してくれた。
住むところは納屋を改築してくれて住めるようにしてくれたし、仕事はヤクを8匹飼ってる老夫婦のお手伝い。
ヤクという動物は牛の一瞬なんだけど、毛がもっさり生えていて、暑くなってくると毛を刈ってその毛で布を作って服などにできるし、尖った角は定期的にヤスリをかけて危険の無いように滑らかにしてるんだけど、その時に出る粉は野菜を育てるのに土に混ぜると栄養になって作物が良く育ったり、乳も絞れるし、増えたら絞めてお肉にもなる。
性格も穏やかで飼いやすい、村では大切な畜産物なのだ。
基本は自分たちで必要な分を取って、残りを村の人と物々交換をする。
元々自給自足の村だったから、それで生活は成り立っていた。
お世話になってる老夫婦もルナの面倒を見てくれたり、他にも色々教えてもらったり、両親が居なくても僕たち兄弟は何とかやっていけた。
たまに夜中泣き通されたりした事もあったけど、周りの人達が助けてくれたから孤独になる事も無かったし、何より親が居ないのは僕たちだけじゃないから、それで不幸だなんて思うことは全く無かった。
村長が亡くなるまでは。
両親が亡くなってから1年半程たった頃村長の体調が悪くなって、村長の息子さんが村長の代理として動くようになった。
それから村の雰囲気がガラッと変わってしまった。
まず商人の荷馬車が来るようになった事。
元々、村の中で生活は完結するようになってたから、行商人は春と冬に1回ずつしか来なかったのに、それがやたらと来るようになった。
時々いつもと違う変な商人が来て、親のいない子供が消えていくので村はざわついた。
でも誰かが声を上げると、その人は体調不良で亡くなっていく。
そんな事が続いて、明るかった村の雰囲気も陰湿な雰囲気に変わっていき、誰もが目を付けられないように仕事以外で外を出歩く事が無くなった。
それから暫くして村長が亡くなった、らしい。
本来なら村長が亡くなったら村全体で弔うのだが、それが無く、村長が亡くなったという噂だけが流れてどのように弔われたのか誰も分からない。
そしてそれから数日経ったある日の夜、僕たちと数人の子供たちが目隠しされて荷馬車に乗せられた。
**********
「ソラ君たちはそうやって奴隷商に…。分かりました!ガイウス様の所がダメでも手に職があればやって行ける!俺が鍛えて将来は騎士団にでも入団しましょう!それとも見習い枠できちんとお給料が出るようにして、それから」
「レオン、何言ってるんですか。ソラ君たちがどうしたいのかも考えてるあげないとダメでしょう。」
「いえ、僕たちの事情にお心を砕いて頂いてありがとうございます。」
でも、同じような境遇の人たちは僕たちだけじゃないから。僕たちだけ特別に対応してもらう訳にはいかない。
「ねぇところで今に話でルナくんが5歳ということは分かりましたが、ソラくんはおいくつなんです?」
「僕は今年で12歳です。」
「「12!!??」」
ミッキィさんとレオンさんが揃えて声を上げた。
そんなに驚く事かな?
「待って待ってうちの弟たちに爪の垢でも飲ませたいくらい落ち着いてるんですけど!」
「12歳って本当に?落ち着きすぎてません!?」
「落ち着いてるんじゃなくて、落ち着かざるしか無かったって事でしょ。そういう環境に置いていかれてたって事。ところで飯食った?」
僕の頭を後ろからぽんぽんしながららガイウスさんが口を開いた。
いつの間に僕の後ろに?
「はい。頂きました。・・・あれ?」
「ん?どした?」
言っても良いのかな?イルさんと話し合いしてきたんだよね?話し合い、の割にはイルさんの匂いめっちゃ付けられてない?
当のイルさんはガイウスさんの後ろで腕を組んでそっぽを向いている、が、なんだか満足そうだ。
え、話し合いしてきたんだよね?
「ガイウス様~、話し合いしてきたんですよね~?なんでそんなにイルヴェス様の匂い付けられてるんですかぁ~?」
「っ!・・・知らない!」
ミッキィさんが代弁してくれると、ガイウスさんはぼっと一瞬で顔が真っ赤になった。
話し合いってなんだろうね?
ぁ、イルさんもイルヴェスさんって言うのか。きちんと覚えておかなくちゃ。
「そんな事より、ルナ寝ちゃったの?じゃぁ俺抱っこしたい。」
「ガイウス様~それより先に、」
「ガイ、ご飯が先でしょ。」
ミッキィさんの言葉を遮り、イルヴェスさんが周りの人からスープの器を受け取ってガイウスさんにずいっと押し付けて、それをガイウスさんは嫌な顔をしならがらも受け取って口を付けている。
「ところでガイウス様、他にも子供は沢山居たのにどうしてこの兄弟なんですか?」
あ、それは僕も気になる。
「あー、えーと、勘?勘っていうか、なんかこうビビっとさぁ、ねぇ?あ、この子達だ!、みたいなさぁ、ねぇ?」
「ねぇ?って言われても分かりませんよ~。」
僕も分からないや。少なくとも僕は何も感じなかったし。
ちらっとイルヴェスさんを確認しても、ガイウスさんの隣に陣取っては居るものの無表情で分からない。
「それでさぁ、俺達だけで決める事じゃないからってなってさぁ。んで、ソラはどうしたい?」
ルナがまだ3歳の時だった。
原因は家の火災。
ルナを連れて避難してきた父さんは、母さんが家にまだ残ってると知って戻ってから僕たちのところに来ることは無かった。
真夜中の出来事で、火の気なんてありっこしないから、村長の相談役として村でも上の方の立場だった父さんを羨んで、或いは恨んで誰かが火を放ったのでは無いかと大人の誰かが話してるのを聞いたことがある。
真相は分からないけれど。
それでも当時の村長は情に厚い人で、父さんに沢山相談に乗って貰っていたからと、住むところと仕事を提供してくれた。
住むところは納屋を改築してくれて住めるようにしてくれたし、仕事はヤクを8匹飼ってる老夫婦のお手伝い。
ヤクという動物は牛の一瞬なんだけど、毛がもっさり生えていて、暑くなってくると毛を刈ってその毛で布を作って服などにできるし、尖った角は定期的にヤスリをかけて危険の無いように滑らかにしてるんだけど、その時に出る粉は野菜を育てるのに土に混ぜると栄養になって作物が良く育ったり、乳も絞れるし、増えたら絞めてお肉にもなる。
性格も穏やかで飼いやすい、村では大切な畜産物なのだ。
基本は自分たちで必要な分を取って、残りを村の人と物々交換をする。
元々自給自足の村だったから、それで生活は成り立っていた。
お世話になってる老夫婦もルナの面倒を見てくれたり、他にも色々教えてもらったり、両親が居なくても僕たち兄弟は何とかやっていけた。
たまに夜中泣き通されたりした事もあったけど、周りの人達が助けてくれたから孤独になる事も無かったし、何より親が居ないのは僕たちだけじゃないから、それで不幸だなんて思うことは全く無かった。
村長が亡くなるまでは。
両親が亡くなってから1年半程たった頃村長の体調が悪くなって、村長の息子さんが村長の代理として動くようになった。
それから村の雰囲気がガラッと変わってしまった。
まず商人の荷馬車が来るようになった事。
元々、村の中で生活は完結するようになってたから、行商人は春と冬に1回ずつしか来なかったのに、それがやたらと来るようになった。
時々いつもと違う変な商人が来て、親のいない子供が消えていくので村はざわついた。
でも誰かが声を上げると、その人は体調不良で亡くなっていく。
そんな事が続いて、明るかった村の雰囲気も陰湿な雰囲気に変わっていき、誰もが目を付けられないように仕事以外で外を出歩く事が無くなった。
それから暫くして村長が亡くなった、らしい。
本来なら村長が亡くなったら村全体で弔うのだが、それが無く、村長が亡くなったという噂だけが流れてどのように弔われたのか誰も分からない。
そしてそれから数日経ったある日の夜、僕たちと数人の子供たちが目隠しされて荷馬車に乗せられた。
**********
「ソラ君たちはそうやって奴隷商に…。分かりました!ガイウス様の所がダメでも手に職があればやって行ける!俺が鍛えて将来は騎士団にでも入団しましょう!それとも見習い枠できちんとお給料が出るようにして、それから」
「レオン、何言ってるんですか。ソラ君たちがどうしたいのかも考えてるあげないとダメでしょう。」
「いえ、僕たちの事情にお心を砕いて頂いてありがとうございます。」
でも、同じような境遇の人たちは僕たちだけじゃないから。僕たちだけ特別に対応してもらう訳にはいかない。
「ねぇところで今に話でルナくんが5歳ということは分かりましたが、ソラくんはおいくつなんです?」
「僕は今年で12歳です。」
「「12!!??」」
ミッキィさんとレオンさんが揃えて声を上げた。
そんなに驚く事かな?
「待って待ってうちの弟たちに爪の垢でも飲ませたいくらい落ち着いてるんですけど!」
「12歳って本当に?落ち着きすぎてません!?」
「落ち着いてるんじゃなくて、落ち着かざるしか無かったって事でしょ。そういう環境に置いていかれてたって事。ところで飯食った?」
僕の頭を後ろからぽんぽんしながららガイウスさんが口を開いた。
いつの間に僕の後ろに?
「はい。頂きました。・・・あれ?」
「ん?どした?」
言っても良いのかな?イルさんと話し合いしてきたんだよね?話し合い、の割にはイルさんの匂いめっちゃ付けられてない?
当のイルさんはガイウスさんの後ろで腕を組んでそっぽを向いている、が、なんだか満足そうだ。
え、話し合いしてきたんだよね?
「ガイウス様~、話し合いしてきたんですよね~?なんでそんなにイルヴェス様の匂い付けられてるんですかぁ~?」
「っ!・・・知らない!」
ミッキィさんが代弁してくれると、ガイウスさんはぼっと一瞬で顔が真っ赤になった。
話し合いってなんだろうね?
ぁ、イルさんもイルヴェスさんって言うのか。きちんと覚えておかなくちゃ。
「そんな事より、ルナ寝ちゃったの?じゃぁ俺抱っこしたい。」
「ガイウス様~それより先に、」
「ガイ、ご飯が先でしょ。」
ミッキィさんの言葉を遮り、イルヴェスさんが周りの人からスープの器を受け取ってガイウスさんにずいっと押し付けて、それをガイウスさんは嫌な顔をしならがらも受け取って口を付けている。
「ところでガイウス様、他にも子供は沢山居たのにどうしてこの兄弟なんですか?」
あ、それは僕も気になる。
「あー、えーと、勘?勘っていうか、なんかこうビビっとさぁ、ねぇ?あ、この子達だ!、みたいなさぁ、ねぇ?」
「ねぇ?って言われても分かりませんよ~。」
僕も分からないや。少なくとも僕は何も感じなかったし。
ちらっとイルヴェスさんを確認しても、ガイウスさんの隣に陣取っては居るものの無表情で分からない。
「それでさぁ、俺達だけで決める事じゃないからってなってさぁ。んで、ソラはどうしたい?」
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