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僕の母様と父様
3.2人だけの兄弟
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「だってソラに着いてくるか?って聞いたらうんって言ってくれたよ?」
キョトンとした顔でガイウスさんは答える。
「待って、待って待ってガイ。着いてくか?って聞いただけなんでしょ?それに対しての肯定の返事はイコール家族になるとは違うでしょ。ねぇ、ソラ君?」
「ぼ、僕もそういう意味だとは全く思いませんでしたっ。」
「えぇぇぇぇ。うそーん。」
僕とイルさんの言葉を聞いてずぅぅうんと落ち込む仕草を見せるガイウスさん。
だって、まさか、さっきのやり取りでそんな意味が込められてるなんて誰も思わないと思うけれど。
「んっ、・・・んぅ?」
少し賑やかにしてしまっていた所為か、ガイウスさんの腕の中ですやすやと寝ていたルナが起きてしまったみたいだ。
「おはよう、ルナ。それから初めまして。ふふっ、俺はねぇ、君の新しいお母゙ん゙~っ!!!」
すかさずガイウスさんがルナに自分が新しいお母さんだと紹介しようとして、イルさんに脳天チョップを食らっている。
あまりの痛さに、ルナを落とさないようにしながらも必死に悶えているようだ。
うぅ、痛そう・・・。
「ガイ、ちょっと俺達には話し合いが必要だと思うんだけど?ミッキィ、ルナ君を!」
「あっはい!!」
ミッキィさんがルナを受け取ったあと、イルさんは綺麗な笑顔を貼り付けてガイウスさんを半ば引き摺るように奥に入っていった。
ガイウスさんが「待って助けて!」「俺お腹すいたからご飯にしよう!」「名前で呼んでるからイルも認めてるじゃん!?」「誰か助けてってばぁ!」と言いながら引き摺られて行ったけど、誰も助ける事はせずに見送っていた。
見えなくは無いけど、話し声が聞こえないくらいの距離で2人が止まって、ガイウスさんが縮こまっていくのを確認してからミッキィさんは僕たちに向かってご飯にしようと提案してくれた。
「さてルナ君、お腹空いてる?ソラ君も。あのお二人はすぐには戻って来ないと思いますので、ご飯でも食べて待ってましょうか。」
「ごはんっ!」
村を出てからまともに食べることが出来ていなかったからルナはお腹がペコペコだったのだろう 。ご飯の言葉にキラキラと目を輝かせている。
先程から炊き出しの美味しいそうな香りが漂って来ていたので、実は僕もお腹がペコペコだったので嬉しい。
「はい、ソラ君、ルナ君。沢山あるからゆっくり食べなね。」
ナイスタイミングでレオンさんがスープを運んできてくれた。それにお礼を言って口を付ける。
「っ!美味しい。」
良く煮込まれた野菜とお肉は柔らかく、シンプルな味付けだけどとても美味しい。
「にいに!僕も!」
「ルナ君は私と一緒に食べましょうか。」
ミッキィさんはルナの為に一口ずつふぅふぅと冷ましてから与えてくれた。
「おいしー。やらわかい、おいしー。」
「慌てなくても大丈夫ですよ。ゆっくりよく噛んで食べてね。」
ミッキィさんは慣れた手付きでお椀のスープを全部食べさせてくれた。
ガイウスさんは明らかに慣れてない感じの抱っこではあったけれど、ミッキィさんは物凄く慣れているのが分かる。
「ミッキィさんには小さなお子さんが居るのですか?」
「ぶふっ!」
「ちょっ、レオンっ、笑いすぎです!ええと、私は独身です。私は長兄で下に弟がわんさか居たので自然と面倒を見るようになっていたので、それで小さい子の扱いには慣れているのですよ。」
「え、わっ、す、すみませんっ!あまりにも手つきが慣れていたものでっ、」
やばい、間違えた!どど、どうしよう、怒ったり機嫌を損ねちゃったりしたらどうしよう!
「いえいえ、大丈夫ですよ。ん?ルナ君はお眠かな?沢山食べれたものね。」
僕の失言にあまり気にしていないみたいでホッとした。
隣でうとうとし始めたルナをミッキィさんが抱っこして背中を優しくとんとんと叩いて寝かしつけ始める。
「ぁ、僕がやりますっ。ずっと見て頂いていてすみませんっ。」
「大丈夫ですよー。君たちはまずゆっくり休んで体力付けないとですからねー。」
申し訳なくて交代を申し出ても、やんわりと断られてしまった。
うとうとしているルナが僕の方を見て尋ねてくる。
「にぃに、お母さん、出来る?」
「ん!?おか、お母さんっ、かぁ。どうかな、出来るかな、難しいかな?」
忘れかけていたのにルナの一言で思い出させられた。
ちらっと2人の方を見るとまだ話し合い中みたいだ。
イルさんの反応から見るに、うん、無いよね。ないない。
「にぃに、僕、お母さん欲しい、なぁ。」
うとうとしながらそう言ってルナはミッキィさんの腕の中で眠ってしまった。
そっか、ルナはお母さん居なくて寂しいよね。
父さんと母さんが亡くなってからルナの面倒は僕1人で見てきたから、誰かが見てくれているこの状況が不思議で、でもとても嬉しい。
それにルナは突然見知らぬ男の人たちに拘束されて、視界も奪われて荷馬車で攫われて恐怖の渦の中に居たと思うのに、優しい雰囲気の皆様に少しも怯える様子も無い。
トラウマにならなかった様でホッとする。
「言いたくなかったから大丈夫ですけど、ソラ君とルナ君のご両親はどうされたのですか?」
ミッキィさんが、ルナを起こさない様に、声を静かに聞いてきた。
僕はミッキィさんに、僕たちの両親の事、僕たちの育った村のこと、村長のこと、どうして奴隷商に売られてしまったのか、それらを説明することにした。
キョトンとした顔でガイウスさんは答える。
「待って、待って待ってガイ。着いてくか?って聞いただけなんでしょ?それに対しての肯定の返事はイコール家族になるとは違うでしょ。ねぇ、ソラ君?」
「ぼ、僕もそういう意味だとは全く思いませんでしたっ。」
「えぇぇぇぇ。うそーん。」
僕とイルさんの言葉を聞いてずぅぅうんと落ち込む仕草を見せるガイウスさん。
だって、まさか、さっきのやり取りでそんな意味が込められてるなんて誰も思わないと思うけれど。
「んっ、・・・んぅ?」
少し賑やかにしてしまっていた所為か、ガイウスさんの腕の中ですやすやと寝ていたルナが起きてしまったみたいだ。
「おはよう、ルナ。それから初めまして。ふふっ、俺はねぇ、君の新しいお母゙ん゙~っ!!!」
すかさずガイウスさんがルナに自分が新しいお母さんだと紹介しようとして、イルさんに脳天チョップを食らっている。
あまりの痛さに、ルナを落とさないようにしながらも必死に悶えているようだ。
うぅ、痛そう・・・。
「ガイ、ちょっと俺達には話し合いが必要だと思うんだけど?ミッキィ、ルナ君を!」
「あっはい!!」
ミッキィさんがルナを受け取ったあと、イルさんは綺麗な笑顔を貼り付けてガイウスさんを半ば引き摺るように奥に入っていった。
ガイウスさんが「待って助けて!」「俺お腹すいたからご飯にしよう!」「名前で呼んでるからイルも認めてるじゃん!?」「誰か助けてってばぁ!」と言いながら引き摺られて行ったけど、誰も助ける事はせずに見送っていた。
見えなくは無いけど、話し声が聞こえないくらいの距離で2人が止まって、ガイウスさんが縮こまっていくのを確認してからミッキィさんは僕たちに向かってご飯にしようと提案してくれた。
「さてルナ君、お腹空いてる?ソラ君も。あのお二人はすぐには戻って来ないと思いますので、ご飯でも食べて待ってましょうか。」
「ごはんっ!」
村を出てからまともに食べることが出来ていなかったからルナはお腹がペコペコだったのだろう 。ご飯の言葉にキラキラと目を輝かせている。
先程から炊き出しの美味しいそうな香りが漂って来ていたので、実は僕もお腹がペコペコだったので嬉しい。
「はい、ソラ君、ルナ君。沢山あるからゆっくり食べなね。」
ナイスタイミングでレオンさんがスープを運んできてくれた。それにお礼を言って口を付ける。
「っ!美味しい。」
良く煮込まれた野菜とお肉は柔らかく、シンプルな味付けだけどとても美味しい。
「にいに!僕も!」
「ルナ君は私と一緒に食べましょうか。」
ミッキィさんはルナの為に一口ずつふぅふぅと冷ましてから与えてくれた。
「おいしー。やらわかい、おいしー。」
「慌てなくても大丈夫ですよ。ゆっくりよく噛んで食べてね。」
ミッキィさんは慣れた手付きでお椀のスープを全部食べさせてくれた。
ガイウスさんは明らかに慣れてない感じの抱っこではあったけれど、ミッキィさんは物凄く慣れているのが分かる。
「ミッキィさんには小さなお子さんが居るのですか?」
「ぶふっ!」
「ちょっ、レオンっ、笑いすぎです!ええと、私は独身です。私は長兄で下に弟がわんさか居たので自然と面倒を見るようになっていたので、それで小さい子の扱いには慣れているのですよ。」
「え、わっ、す、すみませんっ!あまりにも手つきが慣れていたものでっ、」
やばい、間違えた!どど、どうしよう、怒ったり機嫌を損ねちゃったりしたらどうしよう!
「いえいえ、大丈夫ですよ。ん?ルナ君はお眠かな?沢山食べれたものね。」
僕の失言にあまり気にしていないみたいでホッとした。
隣でうとうとし始めたルナをミッキィさんが抱っこして背中を優しくとんとんと叩いて寝かしつけ始める。
「ぁ、僕がやりますっ。ずっと見て頂いていてすみませんっ。」
「大丈夫ですよー。君たちはまずゆっくり休んで体力付けないとですからねー。」
申し訳なくて交代を申し出ても、やんわりと断られてしまった。
うとうとしているルナが僕の方を見て尋ねてくる。
「にぃに、お母さん、出来る?」
「ん!?おか、お母さんっ、かぁ。どうかな、出来るかな、難しいかな?」
忘れかけていたのにルナの一言で思い出させられた。
ちらっと2人の方を見るとまだ話し合い中みたいだ。
イルさんの反応から見るに、うん、無いよね。ないない。
「にぃに、僕、お母さん欲しい、なぁ。」
うとうとしながらそう言ってルナはミッキィさんの腕の中で眠ってしまった。
そっか、ルナはお母さん居なくて寂しいよね。
父さんと母さんが亡くなってからルナの面倒は僕1人で見てきたから、誰かが見てくれているこの状況が不思議で、でもとても嬉しい。
それにルナは突然見知らぬ男の人たちに拘束されて、視界も奪われて荷馬車で攫われて恐怖の渦の中に居たと思うのに、優しい雰囲気の皆様に少しも怯える様子も無い。
トラウマにならなかった様でホッとする。
「言いたくなかったから大丈夫ですけど、ソラ君とルナ君のご両親はどうされたのですか?」
ミッキィさんが、ルナを起こさない様に、声を静かに聞いてきた。
僕はミッキィさんに、僕たちの両親の事、僕たちの育った村のこと、村長のこと、どうして奴隷商に売られてしまったのか、それらを説明することにした。
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