8 / 32
8.いっぱいいっぱい
しおりを挟む
風が気持ちいい。
火照ったからだを冷んやり冷やしてくれる。
「ん、んぅ。」
あれ、僕いつの間に寝ちゃったんだろう。
確か昨日はブレア様と一緒に体の洗いっこして、そして湯船で、こ、ここ、告白、されて、それから、き、ききききキス!そう!キスされて!
全身に再度血が駆け巡って、身体中がぼっと発熱したような感覚を受けて飛び上がった。
突然、起き上がったので立ちくらみならぬ起きくらみか、頭がくらぁっとする。
「おい、キーリーいきなり起き上がるな。ほら水。」
近くに居たらしいブレア様にそれを咎められて、水を渡される。
水を目にした途端、体は水を欲していたらしくてゴクゴクゴクと一気にお水を飲み干した。
「ぷはぁ、染み渡るぅ。」
「おじさんか。」
ブレア様の適切な突っ込みに、だって本当にじわぁって染み渡る感覚がするんだもの、と思ったけど笑って誤魔化した。
「すまない、長く浸かりすぎていたようで逆上せさせてしまったみたいだ。」
「・・・逆上せ??」
逆上せってなんだ?シャワーや水浴びじゃこんなのなった事ないし、それに原因ってブレア様にきききき、キス、されたから、だと思った。
う、うわ、今思い出しても顔に熱が集まってくる気がする。
「逆上せる、な。暖かい湯に長い間浸かっていると、体が温まりすぎてしまう事なのだが、ふ、どうやらそれだけじゃ無さそうだな?」
ブレア様が意味深に、しかもなんだかしてやったりな顔をして僕の様子を伺ってくる。
「いや、えっと僕は逆上せただけです。」
あ、あんな事を言われて、あんな事をされた所為か、上手くブレア様の顔が見れなくてそっぽを向いて答える。
「そうか。」
顔は見てないけれど半ば嬉しそうな返事が返ってきたと同時に、ギシっと僕の寝そべってるベッドが片側に軋む。
「え?」
そちらを見ると、ブレア様がベッドに乗ってきて、俺の隣にゴロンと横になった。
「え?なんで?」
「なんでとはなんでだ?私はお前を嫁として呼んだのだ。一緒に寝るのは当たり前だろう?」
「・・・当たり前なんですか。」
知らないよ僕!恋人もいた事ないし、好きな人だって出来たことも無いし!そういうの全く分からないんだから!
「今日は疲れただろう。私の事は気にせずゆっくり休むが良い。」
と言いながら、俺を引き寄せ頭にすりすりと匂い付けを始めたブレア様。
「いや、気にせずって無理なんですけど。」
本来匂い付けは、親子や家族 、恋人など親しい間柄ではよく行われるありふれた行為だが、残念ながら僕は母親や父親にしてもらった記憶が無い。
「じゃぁ、慣れてもらうしかないな。」
そして止める様子も無くスリスリと匂い付けを続けた。
ゴロゴロ……とそのうちブレア様の喉が鳴り出した。
ワイルドキャットも喉鳴るんだ・・・。
僕はあまり鳴らしたことが無いんだけど、リラックスすると鳴るらしい。他にも鳴る理由があるらしいけど、これが一般的に言われてる理由だ。
匂い付けされながらゴロゴロと喉を鳴らされているこの状況が今までに無くてかなり不思議な感じがする。
でも、不快感は無い。寧ろ僕でリラックスになっているのか不思議だけど、それなら嬉しいなとも思う。
石鹸の匂いかこの行為のせいか分からないけど、なんだか良い感じの匂いもするし。
気がついたら僕も目の前の大きな胸板をクンクン匂いを嗅いでいた。
うぅん、この匂い結構癖になる・・・。
僕の喉が鳴ることは無かったけど、ブレア様の匂い付けと喉鳴らしも次第に心地よいものになって、いつの間にか寝てしまっていた。
☆。.:*・゜☆。.:*・゜
次の日、僕はブレア様よりも早く起きた。
ハープ子爵家でも貴族の子息としての生活では無かったから、朝早く起きて自分の事は自分でしてたから癖になっているだけだけど。
あれ、よく考えたら僕自分の部屋じゃなくてブレア様の部屋で寝てた?
なんだか昨日は色々あって大変でそんな所まで気が回っていなかった。
周りをキョロキョロ見回すと、昨日案内された部屋では無いことは明確だ。
ふと思い立って寝ているであろうブレア様の顔を覗く。
うん、寝てる。
僕よりしっかりした体つきで、骨太というのだろうか。そもそもの体の厚みが違うんだと思う。腕も脚もガッシリしてる、首も太いし、しっかりした鼻筋に、厚めの唇。少しタレ目だった瞳は今は閉じていて、寝ている今は昨日よりも少し幼く感じる顔だ。
「これで僕より1つ年下なの?」
「正確には半年位な。」
「っ!!?起きてたの!?」
「そりゃあ、ベッドの上で体を跨いで顔を覗かれれば誰でも起きるだろう?」
「あっ、ごめんなさい。」
慌ててその場から退こうとする寸前にガシッと掴まれる。
「へ?」
「キーリーから寄ってきてくれたんだ。逃がすわけなかろう?」
「え、えぇぇー。」
それかまたブレア様のスリスリ匂い攻撃が始まって逃げ出せなくなってしまって。
その後部屋に来た侍女のお姉様達が真っ赤な顔をして「失礼いたしました!」って急いで部屋から出て行ったのは恥ずかしかった。
いや恥ずかしかったのはその後廊下から「きゃあきゃあ」と「仲が良すぎるわ!」とか聞こえてきたのだったのだけれど。
っていうかブレア様、部屋にノックが響いた時に普通に返事してたから多分見せびらかしたかっただけだ。
まだ2日目だけど、この人はきっとそういう人なんだと思う。
今日の夜は1人でゆっくり寝れるかな。
火照ったからだを冷んやり冷やしてくれる。
「ん、んぅ。」
あれ、僕いつの間に寝ちゃったんだろう。
確か昨日はブレア様と一緒に体の洗いっこして、そして湯船で、こ、ここ、告白、されて、それから、き、ききききキス!そう!キスされて!
全身に再度血が駆け巡って、身体中がぼっと発熱したような感覚を受けて飛び上がった。
突然、起き上がったので立ちくらみならぬ起きくらみか、頭がくらぁっとする。
「おい、キーリーいきなり起き上がるな。ほら水。」
近くに居たらしいブレア様にそれを咎められて、水を渡される。
水を目にした途端、体は水を欲していたらしくてゴクゴクゴクと一気にお水を飲み干した。
「ぷはぁ、染み渡るぅ。」
「おじさんか。」
ブレア様の適切な突っ込みに、だって本当にじわぁって染み渡る感覚がするんだもの、と思ったけど笑って誤魔化した。
「すまない、長く浸かりすぎていたようで逆上せさせてしまったみたいだ。」
「・・・逆上せ??」
逆上せってなんだ?シャワーや水浴びじゃこんなのなった事ないし、それに原因ってブレア様にきききき、キス、されたから、だと思った。
う、うわ、今思い出しても顔に熱が集まってくる気がする。
「逆上せる、な。暖かい湯に長い間浸かっていると、体が温まりすぎてしまう事なのだが、ふ、どうやらそれだけじゃ無さそうだな?」
ブレア様が意味深に、しかもなんだかしてやったりな顔をして僕の様子を伺ってくる。
「いや、えっと僕は逆上せただけです。」
あ、あんな事を言われて、あんな事をされた所為か、上手くブレア様の顔が見れなくてそっぽを向いて答える。
「そうか。」
顔は見てないけれど半ば嬉しそうな返事が返ってきたと同時に、ギシっと僕の寝そべってるベッドが片側に軋む。
「え?」
そちらを見ると、ブレア様がベッドに乗ってきて、俺の隣にゴロンと横になった。
「え?なんで?」
「なんでとはなんでだ?私はお前を嫁として呼んだのだ。一緒に寝るのは当たり前だろう?」
「・・・当たり前なんですか。」
知らないよ僕!恋人もいた事ないし、好きな人だって出来たことも無いし!そういうの全く分からないんだから!
「今日は疲れただろう。私の事は気にせずゆっくり休むが良い。」
と言いながら、俺を引き寄せ頭にすりすりと匂い付けを始めたブレア様。
「いや、気にせずって無理なんですけど。」
本来匂い付けは、親子や家族 、恋人など親しい間柄ではよく行われるありふれた行為だが、残念ながら僕は母親や父親にしてもらった記憶が無い。
「じゃぁ、慣れてもらうしかないな。」
そして止める様子も無くスリスリと匂い付けを続けた。
ゴロゴロ……とそのうちブレア様の喉が鳴り出した。
ワイルドキャットも喉鳴るんだ・・・。
僕はあまり鳴らしたことが無いんだけど、リラックスすると鳴るらしい。他にも鳴る理由があるらしいけど、これが一般的に言われてる理由だ。
匂い付けされながらゴロゴロと喉を鳴らされているこの状況が今までに無くてかなり不思議な感じがする。
でも、不快感は無い。寧ろ僕でリラックスになっているのか不思議だけど、それなら嬉しいなとも思う。
石鹸の匂いかこの行為のせいか分からないけど、なんだか良い感じの匂いもするし。
気がついたら僕も目の前の大きな胸板をクンクン匂いを嗅いでいた。
うぅん、この匂い結構癖になる・・・。
僕の喉が鳴ることは無かったけど、ブレア様の匂い付けと喉鳴らしも次第に心地よいものになって、いつの間にか寝てしまっていた。
☆。.:*・゜☆。.:*・゜
次の日、僕はブレア様よりも早く起きた。
ハープ子爵家でも貴族の子息としての生活では無かったから、朝早く起きて自分の事は自分でしてたから癖になっているだけだけど。
あれ、よく考えたら僕自分の部屋じゃなくてブレア様の部屋で寝てた?
なんだか昨日は色々あって大変でそんな所まで気が回っていなかった。
周りをキョロキョロ見回すと、昨日案内された部屋では無いことは明確だ。
ふと思い立って寝ているであろうブレア様の顔を覗く。
うん、寝てる。
僕よりしっかりした体つきで、骨太というのだろうか。そもそもの体の厚みが違うんだと思う。腕も脚もガッシリしてる、首も太いし、しっかりした鼻筋に、厚めの唇。少しタレ目だった瞳は今は閉じていて、寝ている今は昨日よりも少し幼く感じる顔だ。
「これで僕より1つ年下なの?」
「正確には半年位な。」
「っ!!?起きてたの!?」
「そりゃあ、ベッドの上で体を跨いで顔を覗かれれば誰でも起きるだろう?」
「あっ、ごめんなさい。」
慌ててその場から退こうとする寸前にガシッと掴まれる。
「へ?」
「キーリーから寄ってきてくれたんだ。逃がすわけなかろう?」
「え、えぇぇー。」
それかまたブレア様のスリスリ匂い攻撃が始まって逃げ出せなくなってしまって。
その後部屋に来た侍女のお姉様達が真っ赤な顔をして「失礼いたしました!」って急いで部屋から出て行ったのは恥ずかしかった。
いや恥ずかしかったのはその後廊下から「きゃあきゃあ」と「仲が良すぎるわ!」とか聞こえてきたのだったのだけれど。
っていうかブレア様、部屋にノックが響いた時に普通に返事してたから多分見せびらかしたかっただけだ。
まだ2日目だけど、この人はきっとそういう人なんだと思う。
今日の夜は1人でゆっくり寝れるかな。
応援ありがとうございます!
27
お気に入りに追加
164
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる