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隠居生活のススメ?
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お見舞い、という名の調書は3日間続いた。
3日間、俺はクーグゥ義兄様と打ち合わせた通りに「龍には会ってない」「ただ真っ白な空間を歩いてただけ」とだけ答えていた。
だからか3日目に「これ以上は何を聞いても同じようですね」と捨て台詞を残して帰って行った。
俺は王宮から来た4名のうち、誰1人として知らなかったけど、というか余計な人は覚えないようにしているんだけども、一緒に立ち会ってくれた義父様だけは扉がしまった後に親指を立てたグーサインから、親指を真っ逆さまにして「二度とうちの敷地に入んじゃねぇ」とぼそっと呟くのを聞いた気がした。
俺のせいですみません。そうだよね、大人の世界も皆がみんな仲良しこよしな訳無いもんね。派閥とか色々あるんだろうなぁ。義父様、お疲れ様です。
「さてガイウス君。疲れたからお茶にでもしようか、さぁおいで。」
義父様は俺に振り向いた時にはいつもの穏やかな笑顔で俺を抱き上げる。
「俺もう歩けますっていうか歩かないと。あと義母様にバレたらまた怒られますよ?」
「ははは、最近中々ガイウス君との時間が取れなかったからね。それに今日はエイデンと執務室に篭っている予定だから大丈夫。」
ほ、本当かなぁ。
義父様、2週間前もそう言ってお茶休憩に出てきた義母様に鉢合わせて怒られてたと思うんだけど。
あ、でも前にイルが「中には好きな人に怒られるのが好きって言う人も居る」って言ってたからいっか。
きっとこれも沢山ある愛の1つの形ってやつかな?
結局、サロンに行く途中でまた義母様達と鉢合わせして、前回と同じような小言を言われる羽目になった。
俺には「楽しないできちんと歩きなさい」で終わったけど義父様には「自分の欲望を律する事」「俺の健康を考えること」「親としての立ち居振る舞い」等ちょっと余計かな?と思うことまで小言を言われていたけど、でも義父様も義母様もまんざらではないようで、見ていて微笑ましかった。
「ふふふふっ」
「何が面白いんだい?ガイウス。」
「仲が良くて和むなぁ、と思いまして。」
「ああ。いつもの事なんだけどね。」
その後は前回と同じくまた4人でお茶の時間を楽しんだ。
その後は自室で今後の予定を立てることにした。
明日、レスト副団長をはじめとする騎士団の団員が来てくれるみたいなので、とりあえず元気な姿を見せる。
よし、騎士団はこれでOK。
ええーとあと大事なのは体力作りと体内魔力生成である。
体力は日常生活なら何ら問題は無い。ので、まずはえーと走り込みでもしようかな。スヴァルさん達に混じってやったら絶対確実に怒られるよね。
まぁ、でも1人でやるより誰かと一緒の方がモチベーションも保てるし、今度直談判してみよう。
んで、肝心の魔力。
とりあえずこっそりと魔力の基礎知識っていう本を義父様の書斎から持ってきた。魔力や魔術に関する本が俺の手の届かないところや地味に片付けられてるのに気づいてからちょっと機会を伺ってたんだよね。
まぁ、気持ちはわかるよ?俺もきっと義父様や義兄様の立場だったらこいつ絶対魔力に関して無茶な事やるだろうって思うよね。うん、やるよ?バレないように無茶するよ?バレなきゃいいんだもんね?
とりあえず、基礎知識を身につけようと思うのでこの魔力の基礎知識っていうタイトルのを他のに混ぜてこっそり持ってきた。カモフラージュの為近くに別の本も置いておく。
とりあえずペラペラとページを捲る。
ふむふむ、なるほど、へぇ。
そろそろ侍従のジャックが戻ってくるかと思って本を隠して、違う本を開く。
俺はその後も平然と就寝時間まで過ごした。
「では、お休みなさいませ。」
ジャックが夜の挨拶とともに扉を閉めた。
静寂が部屋を包む。正真正銘の俺以外部屋には誰もいない。
ふっふっふ。ようやく1人になったぜ。
俺は今から夜中の魔力特訓を始めます!
ええーと、まずは。
俺は頭の中ではこれまでに読んだ魔力の基礎知識を思い出す。
よし、脳内シュミレーションは完璧だね。
ベッドの中では仰向けになり、お腹に両手を添えた。
精神を集中して自分の魔力溜りを探す。
暫く集中してお腹に意識を向けるとポカポカと暖かい塊があった。
これが魔力溜りかな。だとしたらこれが体に巡るように血管みたいな管がここから全身に流れてるはずだから、次はそれを感じ取る。
・・・・・・・・・・。
はぁ、難しいな。
今まで溢れるほどあったからこんな事したこと無かったし。
ふぅー。よし、もう一度。
息を吐いて、目を瞑って、もう一度集中する。
・・・。
・・・・・・。
だぁっ、分からん!くっこうも早く行き詰まるとは。
よし、じゃぁこれはすっ飛ばして魔力を練ってみよう。
これは前もやってたから楽勝だね。
さっきの暖かい塊に意識を集中して、よし、そこから柔らかい粘土みたいにコネコネして、少し風船みたいに膨らませて、もう一度粘土みたいにこね、て。
「はぁはぁ。」
あれ?魔力練るのってこんなに、体力使うっけ?
でも、うん、少しだけだけど魔力増えたね?
よし、とりあえずこれ毎日続けよう。
と思って続けて3日目にエイデン義兄様に「最近寝不足じゃない?ちゃんと寝てる?」と言われてしまった。
「え゙っ寝てますよ??」
って答えたのが間違いだった。
その時は「ふぅん?」で終わったけど、夜、寝る時にエイデン義兄様が部屋を訪ねてきた。「たまには一緒に寝ようか!」って。
このおかげで俺は魔力増量計画から体力増量計画に強制変更しなくてはいけなくなってしまった。
さて、俺はいつ騎士団に復帰出来るんですかね?
っていうかこのままだと復帰不可能じゃない?
3日間、俺はクーグゥ義兄様と打ち合わせた通りに「龍には会ってない」「ただ真っ白な空間を歩いてただけ」とだけ答えていた。
だからか3日目に「これ以上は何を聞いても同じようですね」と捨て台詞を残して帰って行った。
俺は王宮から来た4名のうち、誰1人として知らなかったけど、というか余計な人は覚えないようにしているんだけども、一緒に立ち会ってくれた義父様だけは扉がしまった後に親指を立てたグーサインから、親指を真っ逆さまにして「二度とうちの敷地に入んじゃねぇ」とぼそっと呟くのを聞いた気がした。
俺のせいですみません。そうだよね、大人の世界も皆がみんな仲良しこよしな訳無いもんね。派閥とか色々あるんだろうなぁ。義父様、お疲れ様です。
「さてガイウス君。疲れたからお茶にでもしようか、さぁおいで。」
義父様は俺に振り向いた時にはいつもの穏やかな笑顔で俺を抱き上げる。
「俺もう歩けますっていうか歩かないと。あと義母様にバレたらまた怒られますよ?」
「ははは、最近中々ガイウス君との時間が取れなかったからね。それに今日はエイデンと執務室に篭っている予定だから大丈夫。」
ほ、本当かなぁ。
義父様、2週間前もそう言ってお茶休憩に出てきた義母様に鉢合わせて怒られてたと思うんだけど。
あ、でも前にイルが「中には好きな人に怒られるのが好きって言う人も居る」って言ってたからいっか。
きっとこれも沢山ある愛の1つの形ってやつかな?
結局、サロンに行く途中でまた義母様達と鉢合わせして、前回と同じような小言を言われる羽目になった。
俺には「楽しないできちんと歩きなさい」で終わったけど義父様には「自分の欲望を律する事」「俺の健康を考えること」「親としての立ち居振る舞い」等ちょっと余計かな?と思うことまで小言を言われていたけど、でも義父様も義母様もまんざらではないようで、見ていて微笑ましかった。
「ふふふふっ」
「何が面白いんだい?ガイウス。」
「仲が良くて和むなぁ、と思いまして。」
「ああ。いつもの事なんだけどね。」
その後は前回と同じくまた4人でお茶の時間を楽しんだ。
その後は自室で今後の予定を立てることにした。
明日、レスト副団長をはじめとする騎士団の団員が来てくれるみたいなので、とりあえず元気な姿を見せる。
よし、騎士団はこれでOK。
ええーとあと大事なのは体力作りと体内魔力生成である。
体力は日常生活なら何ら問題は無い。ので、まずはえーと走り込みでもしようかな。スヴァルさん達に混じってやったら絶対確実に怒られるよね。
まぁ、でも1人でやるより誰かと一緒の方がモチベーションも保てるし、今度直談判してみよう。
んで、肝心の魔力。
とりあえずこっそりと魔力の基礎知識っていう本を義父様の書斎から持ってきた。魔力や魔術に関する本が俺の手の届かないところや地味に片付けられてるのに気づいてからちょっと機会を伺ってたんだよね。
まぁ、気持ちはわかるよ?俺もきっと義父様や義兄様の立場だったらこいつ絶対魔力に関して無茶な事やるだろうって思うよね。うん、やるよ?バレないように無茶するよ?バレなきゃいいんだもんね?
とりあえず、基礎知識を身につけようと思うのでこの魔力の基礎知識っていうタイトルのを他のに混ぜてこっそり持ってきた。カモフラージュの為近くに別の本も置いておく。
とりあえずペラペラとページを捲る。
ふむふむ、なるほど、へぇ。
そろそろ侍従のジャックが戻ってくるかと思って本を隠して、違う本を開く。
俺はその後も平然と就寝時間まで過ごした。
「では、お休みなさいませ。」
ジャックが夜の挨拶とともに扉を閉めた。
静寂が部屋を包む。正真正銘の俺以外部屋には誰もいない。
ふっふっふ。ようやく1人になったぜ。
俺は今から夜中の魔力特訓を始めます!
ええーと、まずは。
俺は頭の中ではこれまでに読んだ魔力の基礎知識を思い出す。
よし、脳内シュミレーションは完璧だね。
ベッドの中では仰向けになり、お腹に両手を添えた。
精神を集中して自分の魔力溜りを探す。
暫く集中してお腹に意識を向けるとポカポカと暖かい塊があった。
これが魔力溜りかな。だとしたらこれが体に巡るように血管みたいな管がここから全身に流れてるはずだから、次はそれを感じ取る。
・・・・・・・・・・。
はぁ、難しいな。
今まで溢れるほどあったからこんな事したこと無かったし。
ふぅー。よし、もう一度。
息を吐いて、目を瞑って、もう一度集中する。
・・・。
・・・・・・。
だぁっ、分からん!くっこうも早く行き詰まるとは。
よし、じゃぁこれはすっ飛ばして魔力を練ってみよう。
これは前もやってたから楽勝だね。
さっきの暖かい塊に意識を集中して、よし、そこから柔らかい粘土みたいにコネコネして、少し風船みたいに膨らませて、もう一度粘土みたいにこね、て。
「はぁはぁ。」
あれ?魔力練るのってこんなに、体力使うっけ?
でも、うん、少しだけだけど魔力増えたね?
よし、とりあえずこれ毎日続けよう。
と思って続けて3日目にエイデン義兄様に「最近寝不足じゃない?ちゃんと寝てる?」と言われてしまった。
「え゙っ寝てますよ??」
って答えたのが間違いだった。
その時は「ふぅん?」で終わったけど、夜、寝る時にエイデン義兄様が部屋を訪ねてきた。「たまには一緒に寝ようか!」って。
このおかげで俺は魔力増量計画から体力増量計画に強制変更しなくてはいけなくなってしまった。
さて、俺はいつ騎士団に復帰出来るんですかね?
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