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俺の彼氏は悪魔か何かなのかな?

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暫く待っていると、軽快な足音が近付いて来てピョコっと奥から顔を覗かせてきた。

あれ、頭の上にもふもふのケモ耳が、ない、ぞ?
まさか、まさか、ヒト族・・・?

「エディ、あれはもしかしなくてもヒト族かな!?」

俺は期待を込めてエディスを見上げた。
残念な事に同じくらいだと思ってた身長はエディスの方が高かったのだ。

「どうだろう。本人に確認してみたらどうかな?」

こくん

俺はエディスの返事に神妙に頷いた。

こ、ここで圧が強すぎて引かれたら台無しだよね。よし、こっち来てくれたらさりげなく聞こう。今日天気良いね、位の気持ちで、軽く軽く、うん。

「あの、お待たせしてしまってすみません。今日の夕方と聞いていたものですから・・・。」

う、もう声が可愛い。いや俺初めての俺以外のヒト族で何されても良い様にしか受け取れない自信あるし。うん、落ち着け俺。そして笑顔だ。

「いえ、俺も早く着き過ぎてしまったものですから。」

にっこりと笑顔を絶やさず言う。よし、本題だ。行くぞ!

「あの、ところで不躾で申し訳ないで、すが、あれ?」

俺はその時彼の顔の横についてる俺と似たような耳の先に髪色と同じような飾り気がツンツン生えているのに気が付いた。

俺は自分の耳をモミモミと揉んでみる。
当たり前だが俺には飾り毛はない。
・・・ん?どういう事だ?

髪色は赤茶色をもう少し濃くした感じの色味に同じ色のクリックリの可愛いお目目。鼻もお口も小さいが顔のバランスとしては悪くなく配置されている。
多分俺の方が身長は有る。しっぽは無さそうだ。

うん、有無を言わさず可愛い!可愛いよ彼!

ちらっと横にいるエディスを見る。
エディスは頭の上にふさふさの白ベースに2本の縦縞模様が走っている3角のお耳。髪色も白ベースだが所々ねずみ色。立派なシマハイエナの特徴だ。
顔に2つ付いてる目は濃いねずみ色で、丁度良い大きさの鼻と口がバランス良く配置されている。
しっぽは短めだけどもふもふ。最高。揉みたい。

エディスも可愛い系だ。
レスト副団長やリックステンやイルは顔がシュッとしててカッコイイ系。背も高いしね。

はっ。身長が顔の作りに何かしらの影響が・・・?

「え、イリィ、何・・・?」

俺がじぃっと見てたからか、エディスは俺に疑問符を飛ばす。

「エディの顔も可愛い系だなと思って。」
「「え?」」

ん?2人揃ってどうしたの?

「すみません。寝ずに馬を走らせてきたもので。ちょっと思考回路がおかしな事になってるみたいで。」
「ふふふ、仲良しさんなんですね。」
「はははは、は。」
「エディ、俺の思考回路は至ってふむぐっ」
「イリィ、ごめん。ちょっとお口閉じてようね。」

エディスが俺の口に手を翳して物理的に塞いできた。
まさかエディスにまでこんな事をされる日が来るとは・・・。

「ええと、欠けてしまった剣はこれですか?」
「あ、はいそうです。直せそうですか?」
「少し見ますね。」

そう言って彼は今まで見せてきた親方と同じようにクルクルと回しながら観察する。
ちなみにエディスの手は俺の口を塞いだままである。

「これは・・・。」

お兄さんの目が嬉しそうな色を宿す。

「これ、俺が初めて打ったやつだ!すごい大事に使って頂いて嬉しい。ありがとうございます!」

ぇ、彼が打ったの?剣ってさっきのクマさんみたいに筋骨隆々の如何にもな人が打つんじゃないの?
こんな細っこい可愛い系の彼が??嘘でしょ??

すっと俺は右手をあげて発言の許可を求めた。
するとエディスの手が口元から外される。

「あの、失礼ですが種族をお伺いしても?」

「ああ、俺ピグミーファルコンです。かの有名な猛禽類ですよ。」

ピグミーファルコン?猛禽類??
うわぁ、ごめんなさい。かの有名とか言われても全然分かんないです。

「あれ、同じ鳥類かなって思ったんだけど、違うみたいだね。飾り羽が無いや。」

彼はカウンター越しに俺の耳を手で触った。

「はいっ。そ、それ以上はダメです。」

エディスが俺の耳を触っていた彼の手を退けてくれた。

「イリィ、ダメなものはダメって言わないと。彼に浮気認定されちゃうよ?」
「あ、それはダメ。絶対だめ。」
「なんだぁ。彼氏さんいるのか、残念。」

あれ、この人可愛い枠なのにそっちの人???

「あ、えと剣の方は?」

話を戻そう、そうしよう。

「ふふふ、あからさま過ぎて可愛いね。首都で噂のヒト族様かな?」
「噂のって、多分俺しかヒト族居ないと思うけど・・・。」
「ねぇこの子超可愛い。欲しいんだけど、彼氏さんって首都の人?ねぇ、エディさん知ってる?」
「し知っては居ます。が、怖くて僕の口からはとても。」
「ふぅ~~~ん。」

いや、俺を物みたいに話すの止めてくんないかな?
この猛禽類さんちょっと苦手かも。

「あのう、ところで俺の剣は??」
「ああ、これね。直せると思うよ。ただちょっと欲しい材料があって。」
「何ですか??俺大体の素材なら持ってるよ。言ってみて。」
「Bランクの魔物の魔石、魔力空っぽの、ぁ、君の魔力で満たして粉にしてくれる?そしたらもっと君に馴染んだのが作れるよ。それから何でもいいから硬化剤の粉、痺れ草の新芽の粉。あと粉骨もあるといいかな。」
「あるよ、全部。魔石の粉ってどうしたら良いかな?風で粉々にする?魔力飽和させて粉状にする?」
「「え?」」

ふふふ、驚け驚け~。俺ってば結構すごいんだぞ~?

「魔力飽和ってまじ?夢物語じゃないの?できる人居るんの?粉にしてって冗談だったんだけど。」
「ここに居ますとも~!見る?」
「ま待ってイリィ。寝てないんだから魔力使うのダメ。禁止だよ。既に粉になってるのないの?」
「あぁ、そっか、そうだね。見せてあげられなくてごめんね。粉コレくらいで足りるかな?」
「余裕だよ!今度機会があったら見せてね?」
「うん!あと~」

とりあえず言われた材料をカウンターに並べた。痺れ草の新芽は乾燥したものだったのでその場で粉状にして渡した。硬化剤の粉、粉骨は幾つか種類を持ってたので選んでもらった。硬化剤は樹液から作った液体のを粉状に加工したヤツ。粉骨はブルーウルフのリーダーの物。

「イリィなんでそんなもの持ってるの?」
「ああ、俺ね首都に来るまで修行しながら森や山で色々狩ってたから。そのまま置いていくのも勿体ないから特に珍しいのは持ってきてて、そのまま鞄の底で眠ってるよ。」
「へぇ。君すごいね!」
「いやぁ、それほどでも?ふふふ。」

褒められるって気分いいよね!
エディスはまたなんか絶句してるし。

「どれくらいで取りに来たら良いですか?幾らかかります?」
「2週間から3週間くらいで出来ると思うよ。値段はそうだな~、考えとくよ。」

それから俺たちはおすすめの宿を聞いて鍛冶屋を後にした。

剣が何とかなって良かったなぁ。安心したら途端に眠くなって来た。

が、宿屋にてトラブル発生。

「ベットが2つの部屋の空きがない??」
「残ってる部屋のベッドって俺たちふたりじゃ無理そうですか?」
「あんた達なら余裕だよ。悪いけどそこで我慢してくれないか?朝食代はおまけするからさ!」
「じゃぁそこで!」
「待って待って、イリィ無理だよ。別に宿探そう?同じはさすがにちょっと、」
「えーでもいいじゃん別に。だってここ部屋にシャワーついてるし楽だよ色々と。女将さんそこでお願い、はいお代。早く受け取って!」
「あいよっ。確かに受け取ったから、はい鍵。2回の突き当たりね。」
「ありがとう、女将さん。はい、決まったからいこいこ。エディ、行くよー!」

「なんで!僕絶対後で殺されちゃうじゃん!絶対イリィと同じベッドはダメだってばぁ!ちょっと聞いてる!?僕の命がかかってるんだけど!」

「聞いてません!聞こえませーん!!」
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