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準備体操となんちゃって魔術講習

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その日の夕方、日勤の人の退勤時間の1時間ほど前。
俺とミッキィは人払いのしてある騎士団訓練場①にて準備体操をしていた。

「はぁ、まぢで今回デスクワークばっかりはダメだなって思ったんですよ。思ってたより体力落ちててビックリです。」
「っていうか団長3ヶ月連勤記録更新中で派遣に同行したんですよね?それ体力よりも絶対疲れですよぉ。」
「いや、体力あったら疲れてないし!絶対体力ですって。」
「その考えオカシイですって。体力あっても走り続けたらいずれは疲れますし、風邪だってひくし、体力だけで物言っちゃいけないですよ~。」
「それ言われちゃうと何も言えないです・・・。」

そんな雑談をしながら準備体操を終えた。


ここにミッキィと2人きりで来た理由は言わずもがな、体力と筋力のトレーニングの為である。

団長だしさ、いつもは身体強化でちゃちゃっとやっちゃうんだけどね、まずもって今回体力なさが浮き彫りになってしまった事と、俺が疲れ果てた時に下剋上とかされても適わないので人払い済みなのである。

「ところで団長、身体強化で強くなれるんだったら別に解いた状態の素の体力とかは付けなくても良いんじゃないですか?」
「そこが全く良くないんですよ~。」

ちっちっちっと指を振ってカッコつけてみたけどスルーされた。・・・悲しくなんかない!

「すごく簡単に説明するとね、例えば元の体力3の人に3の強化をしたら単純に6になるでしょ?それが元の体力1の人に3の強化をしたら4なんですよ?ほらまずここで大分差がついちゃうんです!」
「なるほど!団長とてもわかり易いです!」
「ふふふ~。それ程でも~。」

俺単純だから褒められると嬉しいんだよね!
単純は正義!ふふふん♪

「あと実はまだありまして。」
「まだあるんですか?」
「はい。魔術って身体強化とかね、出来ない人からすればすげぇ便利!とかって思われちゃうんですけど、これ術を解いたらかけた分の負荷が戻って来るんですよ。」
「え、そーなんですか!?」
「そうなんです!さっきの例えを持ってくると、単純に3の魔術をかけたので返ってくる負荷は3です。」
「はい。」
「体力3の人に3の負荷がかかったら残る体力は0です。じゃぁ、1の人に3の体力がかかったら??」
「マイナス!」
「そうです、正に今回の俺ですね・・・。」
「!」
「という訳ですので、俺には体力筋力増進が重要なのです。」
「分かりました!私でよければとことん付き合いますよ!団長!」
「ミッキィ!!ありがとうございます!」
「で、まず何をやるんですか?」
「身体強化を解いて筋トレします!」
「・・・あの、今、身体強化してますか?」
「少しですけど。団内に居る時はいつもしてますよ。」
「わ、私もしかして、団内初の素の団長にお目にかかれるのでは!?」
「うん?元団長以外ではそうかも、ですね?」

なんでミッキィのテンション上がったんだ?

「はい!」

そしてミッキィが元気に挙手をした。

「はい。何でしょう?」
「早速、身体強化解いてくださいっ」

言われて早速解くために軽く集中する。
ふぅ、体に流してた魔力を完全に止める。ぐっぱーぐっぱー。良し完全に抜けてるな。

「今、全部解きました。見た目はあんまり変わらないですよね?」

にへらっとミッキィに笑いかけるがミッキィはじぃっと俺の事を観察していた。

「?・・・なんか変わりました?」

「ぃぇ、あの。・・・なんか柔らかくなりましたね。」
「うん?」

まぁイルには良く柔らかいって言われるけど、あれは触って言われるのであって、・・・見た目で分かるものだっけ?

「・・・触ってみても良いですか?」
「はい、・・・ぁ!多分ミッキィが思ってるよりもポンコツなので優しくお願いします。」
「ぽんこつ・・・。」

そこは繰り返さなくても良いんだけど。

そしてミッキィは最初はさわさわと慎重に撫でるように触れてきた。

イルも最初の頃触るのめっちゃビビってたっけ。懐かしいなぁ。いつも通りガシッとやられてボキッと折られるよりは全然いいしね。そもそも大型獣人とは骨の太さからして違うからね、筋肉の量も付き方も基礎値がかけ離れてる訳だしね、うんうん。

それから力加減が分かってきたのか、揉み揉みと腕の筋肉を確かめるように揉んで来た。

「団長。」
「はい。」
「筋肉何処ですか?」
「え。今、ミッキィが揉んでるところ、です。」
「え!?・・・柔らかすぎますっ!」
「1か月後にはムキムキマッチョの予定です。」
「ぶふっ。それは流石に無理ですよ~。・・・他も触って良いですか?」

それからミッキィは反対の腕、脚、背中など大きな筋肉を うんうん、ふむふむと確認していく。

「それでトレーニングってどんな事をやる予定ですか?」
「先ずは訓練場を10周してから、腕立て背筋腹筋スクワットを100回ずつと~あとミッキィと時間が良ければ軽く組手を。」
「なるほどですね~。では取り敢えず走ってみますか!」
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