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俺は見習いの新人団員です

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崖崩れも1日半あれば馬が一頭余裕で通れるくらいの幅が確保出来た。

俺達の仕事は現場復旧ではなく災害調査なので通れるようにしたら次の災害現場へと向かう。




「あれは・・・」

夕方近く、おそらく橋の崩落現場に近付いたであろうジェントルドが何かを見て呟いた。

「獣人が4人居ますね。あと何か、犬ですかね?」

コルテスも大きい耳を前方に向けて集中している。

「あー。盗賊じゃ無いと思うのでこのまま進みましょう。」

ジェントルドとコルテスが目線で指示を仰いできたので答えた。
向こうもこちらに気付いてる感じがするし、害を成そうとする意思も感じられないし大丈夫だろう。

それにしても凄いなー、俺ここからじゃ景色しか見えないし、遠くの音は水の流れるの音くらいだし。

近くの村の人が流されちゃった橋を直しに来てくれたのかな?雨も止んで危険が少なそうならわざわざ王都の人達待たなくても良いもんね、余計に時間かかるし、ここ通れないままだと色々困るしねぇ。

そんな事を思いながら近づいていくと。

ぉ、ぉぉぉ。皆デカイな。
馬耳っぽい人が2人と兎耳っぽい人とあれは、何だろ?初めて見る獣人の人と・・・毛の生えた岩かなアレは。

明らかに生き物だっていうのは分かるんだけど、何あれ知らない!初めて見た!
今多分後ろ姿?かな、座ってるっぽいっのに俺の身長より高いぞってことは二足歩行だったら滅茶苦茶デカいんじゃない!?


「ふふふ。そんなにキラキラした目であの子の事見る子なんてそうそう居ないよ?」

ピグから降りてこっち向かないかなぁと期待を込めて見詰めていたら、馬耳の人に話しかけられた。
もう1人の馬耳さんはジェントルドと話している。
よし、騎士団としての対応は任せた!

「やっぱり大きいから怖がられちゃうんですか?穏やかそうなのに勿体ない!」
「ふふ、君凄いねぇ。確かに大きいし色が黒いから怖がられちゃうことの方が多いよ。性格もすごい穏やかなんだ。なんでそう思ったの?」
「感、というか雰囲気ですかね?」
「へーえ。君意外と鋭いのかな。」

これでも騎士団団長やってますからね~。という事は伏せておいて、多分見習い新人か何かだと思われてるっぽいのでその体で行こうかな!

「これでも騎士団で鍛えられてますからね!」

嘘は言わないようにだけ心がける。
ん?団員の目線が気になるけど気にしないよ?

その後も見習いを装って色々聞いた。あの魔獣はシャギーマウントといって雪山に群れで住むんだとか、威嚇の声が地面に響くほど低音なんだとか、毛で隠れていて目は殆ど見えないけれど耳が超良いとか、危機察知能力が凄い高いとか、もう1人の馬耳さんが飼っていて名前をブルガと言うとか。

すごいすごい、そんな魔獣が居たなんて知らなかった!是非ともワンタッチくらいさせてもらいたい、もし宜しければぎゅぎゅっとその毛並みを肌で感じさせて欲しいと思っていたら後ろから  ん゙ん゙っと咳払いが聞こえた。

「ぁ、すみません。俺呼ばれたので行ってきますね。」

駆け足で機嫌良くなさそうなジェントルドの方へ向かう。チラッと遮音の魔道具を見せられたので口の中で小さく詠唱して、遮音魔法をかける。

「ぇぇと、どうでした?」

にへらっと聞いたら、はぁぁぁああ、とすごい溜息を吐かれた。

「私に対応任せて何やってるんですか、全く。とりあえず彼らは近くに村の有志の自警団だそうです。」
「へぇ。橋を直しにですか?」
「それもあるみたいですが、なんでも大きなクマみたいな魔獣とも魔物とも判断が付かないものが狩りに山を降りてくるそうで、それの確認と可能であれば討伐にと仰っていました。」
「依頼は受けました?」
「いえ。俺では判断できませんのでって一応保留にしてます。」
「そうですか。じゃぁ俺あの黒いの触ってきても良いですかね?」
「ダメです。・・・って言っても行くんでしょう?あんまり変なのに懐かないでくださいよ、」

そう言ってまた盛大に溜息を吐かれた。

俺は懐いて貰うほうじゃないかな?俺が懐くの?うん、違うよね?


とりあえず馬一頭問題なく通れくくらいの橋を仮設して何事もなければ帰るかなーっと。

今後の予定をさらっと立てておく。

魔獣とも魔物とも判断つかないのって何だろうな?気になるから調査に行きたいけど、正式な依頼でもないのに余計なことすると怒られるからなぁ、ま、怒られても国民が危険に晒されてるなら少しくらいの個人行動は大目に見て欲しいよね、そうだよね、うんうん。
一応騎士団も国営だしね?終わり良ければ全て良しだよね、うんうん。


さっきの馬耳お兄さんにブルガを触らせて貰えないか頼んだら快くOKして貰った。


んふふふ、もふもふ堪能するぞー♪

「ブールーガくんっ触らせて貰ってもいい?」
「ブルルルッグルゥ」

か、カッコイイ。
なんだかまるで 「良い、存分にモフりなさい。」 と言われてるみたいだ。

ブルガはさっき見えてたのはやはり後ろ姿で顔の方も毛で覆われている。近くで見るとその毛もドレッドレックス状になっていて正にモジャモジャ!目が毛で隠れてしまってどこにあるか分からない!鼻はパッと見ボアみたいな感じで下顎からニョキっと牙が左右に生えている。

ぉぉ、この牙でグサッとやられたら致命傷だね!

その牙は見た目と違って思ったよりざらついていて、ドレッドなモジャモジャは凄く極厚だった。めっちゃ手が埋まる!肘近くまで埋まってしまった!本体は見た目より案外小さいかもしれない!?顔の周りのモジャの中に耳が埋もれてた。埋もれてたっていうか、垂れ耳なんだけどもパッと見耳が分からない。ちょっと太めのドレッドがあるぞ?って思ったら耳だったんだ!雪山で耳の穴が剥き出しだったら雪が中に入っちゃうもんね?考えてるね?

「なぁ、他の人たち野営の準備始めてるけど君は良いのか?」

飼い主の方の馬耳さんがやって来た。
もしかして飼い主が注意するほど堪能しちゃった?

「ぁ、ぇぇと、俺役立たずなんで邪魔扱いされちゃうんです。昨日もお願いだから何もしないでと言われてしまって。」
「ぁぁ、得手不得手は誰にでもあるからな。そんなに落ち込むな。」

落ち込んでは無いけどね。ただみんなが仕事してるのに1人でぽけーってしてるのは申し訳ないんだよね。

「・・・そういえば魔獣か魔物か判断が難しいものが居るって聞いたんですけど」

俺は俺で情報収集でもしてよっと。

野営の準備が終わってブルガにまたねって挨拶したら手のひらをベロンって舐められたんだけど、それを見てた馬耳のお兄さんがビックリしてた。何でも、舐める行為は愛情表現の1つでなかなかしない行動らしい。

ほら、俺は懐かれる方なんだってば。
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