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第1章 移動動物園でつかんだもの
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O市内にある「移動動物園」はお客さんの入りの少ないことを園長は気にしていた。
どうにかしてお客さんを取り戻そう・・・
動物園のスタッフ達も頭を悩ませていた。
先日の市民動物園会議でも、それぞれの園の課題や
動物個々の問題点を話し合ったりするのですが、その中でも真剣に聞いて問題点を「洗い出す」人がいました。××サーカスの新井さんです。
「秘かにイベントをやってみたい。」園長の願いがありました。
沢山のお客様に動物の持つ「得意技」を見てもらいたい。移動動物園で、実現したいと思っているのですがチンパンジーのもんと、熊のサトルは動物芸が得意ではなかったのです。いつも優等生「象」イチの後ろ姿ばかりを見つめていました。
サーカスの新井さんのブレの無い動物愛と、芸を教える真面目さや、謙虚な姿勢に尊敬の念をいだいていました。
会議のあったお昼休み、「移動動物園」のお客さん離れの問題、それを解決する方法として「芸」を考えていること。そんな現状を新井さんに話しました。
新井さんは暫く考え込み、「得意芸」を仕込んでみよう。そう提案してくれました。
象のイチは飼育員のお姉さんと懸命に、長い鼻のてっぺんに小さなボールを乗せる芸をしていました。
もんとサトルは、象の芸が眩しく見えました。
元気の無い、もんとサトルに園長は自信をもってもらいたくて、一度サーカスで練習して来たら、と言いました。
何だか分からないけど、「僕たちを元気にしてくれる。」
と言う事だけは理解できました。
二頭は元気になりたくて、団長さんに訓練を受ける事にしました。
2本足で立つ事が得意な、クマのサトル。
首に輪を通す役をする、チンパンジーのもん。
二頭は毎日練習し、輪投げの出来る2頭になったのです。サーカスの団長も褒めてくれました。
来る日も来る日も練習し、輪投げが上手くなり
自信をつけた2頭は「移動動物園」に帰りました。
園長はニコニコ顔で迎えてくれました。
これでお客さんの問題を解決できそうです。
二頭の顔もいきいきしています。
いよいよショーのはじまりです。
二頭の「輪投げ」ショーの評判は上場・・・
お客さん、子供たちの表情も輝いています。
ショーになれた頃、もんは、輪投げを外してしまったのです。
お客さんの声も残念そう・・・
もんは落ち込みました。勿論サトルも同じ気持ちです。
舞台裏では園長が困り顔・・・
「もう出来るから大丈夫。」
そんな心の油断が引き起こした失敗でした。
2頭の気持ちを一番知っているお姉さんは、「もう一度ショーの仕切り直しをしよう、必ず成功させよう。」
もんとサトルも賛成しました。
会場のお姉さんも明るい声で言いました。
「もう一回チャンスが来ました。」
軽快な音楽と共にモンはさとるに真剣な目で訴えました。「イクからね、」サトルも輪を首に受け止めました。嬉しさのあまり2頭は駆け寄りました。
次の公演迄3時間余り。
二頭の挑戦はこれからも、続きます。
どうにかしてお客さんを取り戻そう・・・
動物園のスタッフ達も頭を悩ませていた。
先日の市民動物園会議でも、それぞれの園の課題や
動物個々の問題点を話し合ったりするのですが、その中でも真剣に聞いて問題点を「洗い出す」人がいました。××サーカスの新井さんです。
「秘かにイベントをやってみたい。」園長の願いがありました。
沢山のお客様に動物の持つ「得意技」を見てもらいたい。移動動物園で、実現したいと思っているのですがチンパンジーのもんと、熊のサトルは動物芸が得意ではなかったのです。いつも優等生「象」イチの後ろ姿ばかりを見つめていました。
サーカスの新井さんのブレの無い動物愛と、芸を教える真面目さや、謙虚な姿勢に尊敬の念をいだいていました。
会議のあったお昼休み、「移動動物園」のお客さん離れの問題、それを解決する方法として「芸」を考えていること。そんな現状を新井さんに話しました。
新井さんは暫く考え込み、「得意芸」を仕込んでみよう。そう提案してくれました。
象のイチは飼育員のお姉さんと懸命に、長い鼻のてっぺんに小さなボールを乗せる芸をしていました。
もんとサトルは、象の芸が眩しく見えました。
元気の無い、もんとサトルに園長は自信をもってもらいたくて、一度サーカスで練習して来たら、と言いました。
何だか分からないけど、「僕たちを元気にしてくれる。」
と言う事だけは理解できました。
二頭は元気になりたくて、団長さんに訓練を受ける事にしました。
2本足で立つ事が得意な、クマのサトル。
首に輪を通す役をする、チンパンジーのもん。
二頭は毎日練習し、輪投げの出来る2頭になったのです。サーカスの団長も褒めてくれました。
来る日も来る日も練習し、輪投げが上手くなり
自信をつけた2頭は「移動動物園」に帰りました。
園長はニコニコ顔で迎えてくれました。
これでお客さんの問題を解決できそうです。
二頭の顔もいきいきしています。
いよいよショーのはじまりです。
二頭の「輪投げ」ショーの評判は上場・・・
お客さん、子供たちの表情も輝いています。
ショーになれた頃、もんは、輪投げを外してしまったのです。
お客さんの声も残念そう・・・
もんは落ち込みました。勿論サトルも同じ気持ちです。
舞台裏では園長が困り顔・・・
「もう出来るから大丈夫。」
そんな心の油断が引き起こした失敗でした。
2頭の気持ちを一番知っているお姉さんは、「もう一度ショーの仕切り直しをしよう、必ず成功させよう。」
もんとサトルも賛成しました。
会場のお姉さんも明るい声で言いました。
「もう一回チャンスが来ました。」
軽快な音楽と共にモンはさとるに真剣な目で訴えました。「イクからね、」サトルも輪を首に受け止めました。嬉しさのあまり2頭は駆け寄りました。
次の公演迄3時間余り。
二頭の挑戦はこれからも、続きます。
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