上 下
19 / 21
番外編

秘め事は隠された小部屋の中で ②

しおりを挟む
 恭吾の手が莉緒の髪の中に差し込まれ、後頭部を掻き寄せた。首を傾けて互いの唇を密着させ、激しく貪りあう。
 ひっそりとした密室。カーテンの隙間から零れる、わずかばかりの明かり。三十年ものあいだ時が止まったこの場所で、ふたりの吐息が淫靡な色に染まる。
 気がつけば、莉緒の背中はドアのすぐ脇の壁に押しつけられていた。
 彼の手はすでにスカートの中にあり、お尻の丸みを淫らに撫で回している。
「ん……恭吾さん、誰か来ちゃいます……っ」
 激しい口づけから逃れた莉緒が、恭吾の胸を押し返す。しかし、その時ふいに彼の手がショーツの中へと滑り込んできて、抵抗する気持ちは霧散した。敏感な秘芯を滑らかに撫でまわされて、びくびくと身体が震えてしまう。
 恭吾が切なげな吐息を洩らした。
「もうこんなになっているではありませんか。しばらく助けは来ないでしょう。夕食の時間にはまだだいぶあります」
「は、あっ……でも――」
「観念してください。こうなってしまったからにはもう止められない」
 低く囁いた恭吾の瞳が、ほの暗い室内でぎらりと光る。
 いつも穏やかすぎるくらいの彼は、結婚が決まってからというもの、愛を交わすことに貪欲になった。いや、もしかしてこれが本来の彼の姿だったのかもしれない。恭吾の外見や物腰から、彼はいつでも紳士なのだと莉緒が思い込んでいただけで。
 恭吾の手の動きに従って、莉緒の脚のあいだからは、粘度の高い蜜を混ぜるような音が響いていた。抗うことのできない快感。なけなしの理性を振り絞り、太腿をぎゅっとあわせる。
 こうしているあいだにも、誰かが急にドアを開けやしないかとはらはらした。
 いくら建てつけが悪いとはいえ、鍵も掛けていないし、業者を呼んだことは屋敷の誰もが知っているのだ。室内の掃除をしようとメイドがやってくる可能性もある。
 莉緒の身体からいったん離れた恭吾が、窮屈そうに張ったトラウザーズの前を寛げた。重たげに揺れる欲望の証をスカートの中に潜りませ、挑むように見詰めてくる。
「後ろと前と、どちらがいいですか?」
「う……前」
「いいでしょう」
 にやりと口角を上げた彼が、莉緒の片脚を持ち上げてショーツのクロッチをずらした。あたたかいものが濡れた谷間に押しつけられる。そして一気に侵入してきた。
「ん……、ん、あ……きつ、い……!」
 思わず腰が引けてしまうほどの質量と、鋼鉄のような力強さ。骨盤が砕け散りそうな圧迫感に、莉緒は息を詰めて彼の腕にしがみつく。
「大丈夫? 痛くはない?」
 先端をのみ込んだところで、恭吾が尋ねてきた。優しい声だ。莉緒が首を横に振ると、彼は妖艶な笑みを浮かべて莉緒の顎を持ち上げる。
「では、私のことだけを見ていてください。ほら、今あなたの中に入っていますよ。どんな感じですか?」
 彼は煽るような瞳で問いつつ、入り口で止まっていたものをさらに奥まで突き入れてきた。二度、三度。波のうねりの如く腰を回して、そのまま最奥の壁に先端を優しくこすりつける。獰猛な快感が背筋を駆け上り、莉緒は仰け反った。
「ああっ……は、すごく、気持ちいい……んっ……!」
「莉緒さん……素敵だ。自分で動いてみて」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

ウブな政略妻は、ケダモノ御曹司の執愛に堕とされる

Adria
恋愛
旧題:紳士だと思っていた初恋の人は私への恋心を拗らせた執着系ドSなケダモノでした ある日、父から持ちかけられた政略結婚の相手は、学生時代からずっと好きだった初恋の人だった。 でも彼は来る縁談の全てを断っている。初恋を実らせたい私は副社長である彼の秘書として働くことを決めた。けれど、何の進展もない日々が過ぎていく。だが、ある日会社に忘れ物をして、それを取りに会社に戻ったことから私たちの関係は急速に変わっていった。 彼を知れば知るほどに、彼が私への恋心を拗らせていることを知って戸惑う反面嬉しさもあり、私への執着を隠さない彼のペースに翻弄されていく……。

元彼にハメ婚させられちゃいました

鳴宮鶉子
恋愛
元彼にハメ婚させられちゃいました

捨てられた彼女は敏腕弁護士に甘く包囲される

あさの紅茶
恋愛
老舗のカフェを引き継いだ莉子。 一緒に頑張りたいと言った同級生の雄一。 それなのに、雄一のモラハラと、まさかの裏切り―― 「うち、来ますか?」 救ってくれたのはカフェの常連客である弁護士の石井穂高。 甘くて優しい言葉が、傷心の莉子を癒していく―― 佐倉莉子(28) × 石井穂高(31) ***** このお話は他のサイトにも掲載しています。

ハイスペ男からの猛烈な求愛

鳴宮鶉子
恋愛
ハイスペ男からの猛烈な求愛

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にエタニティの小説・漫画・アニメを1話以上レンタルしている と、エタニティのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。