わけあって極道の妻になりました

ととりとわ

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番外編

龍臣さんのはじめてをください②

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 夜景が素敵なレストランで食事をしたのち、ふたりはホテルに移動した。
 予約していた最上階のスイートルーム。窓辺に置かれたソファからは、色とりどりの星屑をちりばめたような都心の夜景が望める。いちかと龍臣はソファに寄り添って座り、シャンパンで乾杯したのち、ワインを開けた。龍臣と違って酒に弱いいちかは、たった二杯でほろ酔いだ。
 グラスをテーブルに置き、龍臣が優しい目をいちかに向ける。
「いちか。誕生日おめでとう」
「ありがとう、龍臣さん。……んっ」
 彼がいちかの左手を握ってきたかと思うと、そっと口づけが舞い降りた。
 大切なものを慈しむようなキス。ちゅ、と軽やかな音を立てては離れていき、角度を変えて戻ってくる。だんだんと深くなる唇への愛撫に酔いしれていると、左手の薬指を何かが通過した。
 龍臣のキスを受けながら、いちかは唇の端を持ち上げる。
 これはきっと、ふたりで選んだエンゲージリング。彼が退院してきてすぐにショップへ見に行き、サイズ調整に出していたものだ。
 唇がなごりおしそうに離れて、いちかは目を開けた。かざした手に燦然と輝く大粒のダイヤを眺めて、ほう、とため息をつく。
「ありがとう。……すごく嬉しい」
「まだ続きがある」
 龍臣はスーツのポケットに手を突っ込み、得意そうな笑みを浮かべて何かを取り出した。きらきらと輝くものが目に入った瞬間、いちかは両手で口を押さえる。
「えっ……嘘でしょ?」
「嘘なもんか。髪、上げてくれるか」
 戸惑いながらも従うと、龍臣がうなじに手を回してネックレスをつけてくれた。首に触れるひやりとした感触と、確かな重み。すぐにバッグからコンパクトミラーを取り出す。
「うわぁ……!」
 鏡に映ったいちかの首元には、まばゆい光を放つ大粒のダイヤが輝いていた。ショップを訪れた際、リングとセットでディスプレイされていたものだ。素敵だとは思ったけれど、分不相応だからとおくびにも出さなかったのに。
「夢みたい……私もう、幸せすぎて何がなんだか――でも、どうして?」
 顔を上げると、龍臣の形のいい唇が弧を描いた。
「お前に似合うと思ったからだよ。それに、仕事の時は指輪を外すだろう?」
 いちかがこくりと頷く。
「なくしたら困るもん」
「だろうな。だからこれはお守りだ。お前に変な虫が寄りつかないように」
「もしかして、妬いてくれてるの? 今日のこととか……」
 いちかはいたずらっぽい笑みを浮かべた。尾田はもちろんのこと、龍臣以外の男なんて眼中にない。けれど、妬いてくれたのならすごく嬉しい。眉間に指を当てて唸っていた龍臣が、しばらくして顔を上げる。
「ああ、あの若造のことか。俺はあんなクソガキに嫉妬なんかしない」
「ええ……」
 期待していたいちかはがっくりと肩を落とした。龍臣はくすっと笑い、いちかを軽々と持ち上げて膝にまたがらせる。
「不満そうだな。え?」
「だって……いつも私ばっかり妬いててずるい。たまには妬いてほしいじゃない」
 龍臣の大きな胸に顔をこすりつける。二十八歳にもなって子供みたいだとは思うけれど、素直な気持ちだ。
 彼がくすくす笑いながらいちかの身体を起こした。ワンピースのボタンが外され、むき出しになった肩に、そっと口づけが落ちる。
「お前はまだ俺という男がわかっていないようだな。俺が嫉妬する対象はガキなんかじゃない」
「じゃあ、相手が若くなければ妬くの?」
 龍臣はスーツのジャケットとシャツのボタンを手早く外しながら、まあな、と答えた。
「お前みたいに気が強い女は、包容力のある年上の男に弱いだろう」
「そんな勝手に決めて……」
「そうか? じゃあ俺は?」
 龍臣が期待を込めた目つきで片方の眉を上げる。いちかは少し考えて、もごもごと口を開いた。
「包容力のある……年上の男性です」
 くっくっと笑いながら、龍臣が唇を寄せてくる。
「かわいすぎか」
「もうっ。……ん――」
 尖らせた唇を、ちゅ、と吸われた。一旦離れたものの、またすぐに戻ってきて、今度は貪るような口づけが始まる。
「ん……ぁ」
 龍臣の節くれだった指が、いちかの顎を強引にこじ開けた。口内へ侵入してきたあたたかな舌が歯列をなぞり、さらに奥へと忍び込んでくる。
 すぐに夢中になって、いちかは龍臣のうなじを手で引き寄せた。
 逃げる舌を追い求め、食み、吸って、また追われて。
 そうするあいだにワンピースがするすると脱がされ、気づけばショーツ一枚になっていた。
「待って……まだシャワー浴びてない」
「それがいいんだろう?」
 唇をくっつけたまま低く囁かれて、頭がとろけそうになる。
 龍臣は、零れ落ちたいちかのバストをすくい、柔らかさを味わうように指を滑らせた。そして、最後に薄く色づいた突起をキュッと摘む。
「んんっ……!」
 いちかはびくりと身体を震わせた。乳首に感じた甘い痺れが、脚のあいだに切ない刺激をもたらしたからだ。
「素肌にアクセサリーか……すげえエロいな」
 龍臣が焦がれた表情でいちかの全身を眺める。わずかに寄せられた眉。切れ長の三白眼はすっと細められ、濡れた唇の端に舌が覗いている。
(龍臣さん、色っぽい)
 いちかは頬を染めて、もうすぐ夫となる目の前の男に胸を高鳴らせた。
 何度抱かれても足りない。そう思っているのが自分だけじゃなかったら嬉しいのだけれど……
 龍臣は膝にのせたいちかの胸を弄びながら、ベルトを緩め、硬く張った前をくつろげた。黒のボクサーショーツの中央が尖って、先端の色が濃くなっている。彼がショーツを下ろした途端に飛び出したものを見て、いちかは自分の蜜洞がきつく締まるのを感じた。
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