【※R-18】振られた恋の復讐で、組織の男を全員味見させていただきます。

橘 嶺二

「俺は、あなたと寝るつもりはない。」

元恋人である司令官が、私の寝室へ送り込んだ男。
橘たちばな  嶺二れいじは、困ったように笑いながらそう言った。

（え・・・復讐の手始めに、あなたと寝る予定だったんですけど・・・？！）

気だるい雰囲気を強調するセクシーな部屋着を身につけて待っていた私は、彼の言葉に肩透かしを食らったような気分になる。

「あなたの能力は知っています。俺がその相手に選ばれたことは光栄ですが、そんな気はないんです。」

彼は私の寝室にやってきたけれど、それはあくまでも上官命令に従ったに過ぎなかった。
真正面から断れば上官に楯突くことになり、命令通り私を抱けば信念を曲げることになる。

やる気満々で妄想を膨らませていた自分が、バカみたいだ。

「オーブの増大・・・その程度のメリットでは私を抱く気にもなれませんか？」

私は、やさぐれていた。
信じていた恋人に裏切られ、女として一番大事にされたい部分を踏み躙られた傷は深い。


「そういうんじゃないです。」

橘という男は、私の言葉に意外そうな顔を見せる。

「俺はあなたをよく知りません。オーブのために女性を抱くなんて、俺には考えられない。」

（何この男・・マジで人格者じゃん・・！筋が通っててかっこいいんですけど・・・♡）

橘の色男ぶりに、ますます逃したくない気持ちになる。


「私・・女としての魅力がないですよね・・・。」

「あなたを抱きたいと思っている男は、俺の周りにたくさんいますよ。」

できればその名前をリストにして渡して欲しい。
私と寝たい男なんて、もう現れる気がしなかった。

「オーブを増強すれば、生き残れる確率は高くなります。命に関わることなのに、拒むなんて損じゃないですか？」

「俺は俺の力で勝つ。それでダメなら、そこまでの男ということです。」

なんとか抱いてもらおうと食い下がったけれど、彼の信念は固い。

（これじゃあ私の復讐計画が・・・あ～もうどうすればいいの・・っ）


「ですが・・・これも何かの縁ですし、茉由まゆさんさえ良かったら、毎週土曜の夜・・・一緒に過ごしませんか？」

控えめにそう提案した橘の顔が、うっすらと赤い。
こうして私たちは今時珍しいほどに清く正しい男女交際の第一歩を踏み出した。