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♡『罪悪感』(SIDE 渡里 優羽)
しおりを挟む~~~~登場人物~~~~
♡渡里 優羽(わたり ゆう) 24歳
道原鍼灸整骨院で働いている、鍼灸師。
学生時代のあだ名は「王子」。
色素の薄い茶色のサラサラヘア、整った顔立ち、王子様のようなキラキラした見た目。
緑色の瞳が綺麗で、神秘的な印象。真面目で融通が効かないところがある。
モテモテなのに本人はまるで自覚なし。天然っぽいところがある。恋には奥手。
おっとりとしたスローペースの口調。物腰が柔らかく、感情を顕にすることが滅多にない。
自分の感情に鈍感。幼なじみの仁の前でだけは素直になれる。
♤沢渡 仁(さわたり じん) 25歳
ロックバンドSAWのドラマー。
ワイルド系。筋肉質、高身長。グレーの短髪。
無口でクールな印象だが、心は優しく面倒見が良い。
情に厚い男。年下から慕われることが多い。何かと頼りにされる、兄貴肌。
同じバンドの年下男子の保護者代わりとして一緒に暮らしている。
幼なじみの渡里優羽を、子どもの頃からずっと一途に想っているが、気持ちを伝えようとは思っていない。
♡相原 拓也(あいはら たくや) 27歳
道原鍼灸整骨院の若き院長。
仕事に厳しく、優秀な院長。愛想が無い。かなりの硬派。馴れ合わず、媚びず、妥協しない。
仕事対する真摯な姿勢が評価され、医師、同僚、患者から信頼される男。
タレ目で甘いマスクだが、目力があり、芯が強い。
~~~~~~~~~~~
♡『罪悪感』(SIDE 渡里 優羽)
色々あったけれど、相原院長との交際はうまくいっている。
彼は言葉通り、水沢さんとの関係にきっちりとケジメをつけてくれた。
以前水沢さんと一緒に暮らしていた彼の部屋。
その部屋が嫌いなわけではなかったけれど、水沢さんが同じマンションに引っ越してきたこともあり、
お互いに良くないからと、拓也さんはすぐに引越しを決め、行動に移してくれた。
新居に引っ越しの日。
新しいマンションは、僕の家の最寄駅からすぐ近く。
以前より距離が縮まった。
今までの部屋よりも、一つ部屋が増えて広くなった。
僕と暮らすことを視野に入れて選んでくれたという彼の言葉は、純粋に嬉しかった。
「拓也さん、このダンボール地下に置いてきますね。」
「重いだろ。後で俺が行く。」
拓也さんはいつだって優しい。
仁とラブホで過ごしたことを怒らずに、僕を信じてくれた。
硬派であまりイチャイチャしないタイプだけれど、以前より率直に愛の言葉をくれるようになった。
嬉しい、けど。
あの夜から、僕は仁のことばかり考えている。
『抱いて・・・』
弱っていたとはいえ、どうして僕はあんなことを言ってしまったんだろう。
相手が仁じゃなかったら、きっとあんなことは言わなかった。
仁に抱きしめられた身体が熱い。
あんな風に困った彼の顔は初めて見た。
欲望を、必死に抑えようとしているように見えた。
子どもの頃から一緒に育ってきた彼の、知らない顔。
僕の知らない彼の顔をもっと見てみたい。
あの夜から、僕は変わってしまった。
拓也さんに抱き締められている時も、仁のことを想ってしまう。
拓也さんとセックスする時、
仁はどんな顔でセックスするんだろう、と想像している自分に気が付いて驚いた。
仁の逞しい腕。
優しい眼差し。
先日、仁のバンドが音楽番組に出ているのを見た時も、
心臓がドキドキして止まらなかった。彼を見るだけで、ドキドキしてしまう。
彼の全てが、僕の身体を熱くする。
拓也さんの部屋に戻る途中、
エレベーターから降りたところで、上着のポケットに入れっぱなしにしていたスマホが震えた。
仁からの着信。
ディスプレイに表示された彼の名前を見て、心臓がギュッと縮むように痛んだ。
バクバクと破裂しそうな鼓動が襲ってくる。
仁から電話が来ると、以前ならとても安心した気持ちになったのに。
「はい。」
「優羽、今大丈夫か?」
「うん、大丈夫。どうしたの?」
声が上ずる。
仁と話す時、僕はいつもどんなふうに話してた?
思い出せない。
「急なんだが、今夜会えないか?」
ドクン、と心臓が脈打った。
「今夜?」
声が震える。
今夜は拓也さんとの引っ越し祝いでお蕎麦を食べる予定だ。
仁に会いたい気持ちが優っていることに、ひどい罪悪感を覚えた。
拓也さんは僕のために引っ越ししてくれた。
仁に会いに行くなんて出来ない。
「今夜は予定があって・・・」
「明日の夜はどうだ?」
「明日なら、大丈夫。」
「じゃあ明日の夜、迎えに行く。」
なんだろう。
この気持ちは。
僕を信じてそばにいてくれる拓也さんが大事なのに、仁に会いに行きたい衝動が
今にも僕を突き動かしそうで怖かった。
胸が苦しい。
部屋に戻ると、僕が迷ったのではないかと心配していた拓也さんが抱きしめてくれた。
「遅いから心配した。大丈夫だったか?」
「はい、すみません。迷ってしまって。」
胸がちくりと痛む。
彼に嘘は付きたくない。
「優羽は、方向音痴だからな。」
甘い、拓也さんの声。
僕を愛おしく見つめる、彼の瞳。
胸が苦しい。
優しい恋人がそばに居て、愛されている。
全てが順調なはずだ。
幸せ、を手にしているはずだ。
なのにどうして。
僕は、自分の気持ちがわからなくなっていた。
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