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♧『支援者』(SIDE 蓮乗 志信)※R-18 一級建築士X一級建築士
しおりを挟む~~~~登場人物~~~~
♧蓮乗 志信(はすの しのぶ) 32歳
東雲龍牙建築事務所の社員。
一級建築士の資格も持ちながら、インテリアデザイナーとして活躍している。
デザイン系に強いマルチな能力の持ち主。雑誌の取材も多い。
営業力もあり、企業とのコラボなど、次々と新たな企画を立ち上げる。
フェロモン系。泣き黒子が色っぽい印象を与える。ロングの緩いウェーブヘア。黒髪。
龍牙のことが好きで、彼のためならなんでもやる。龍牙の優秀なビジネスパートナーであり、精神的支えでもある。
龍牙と半同棲のような生活をしている。
♧東雲 龍牙(しののめ りゅうが) 29歳
東雲家長男。黒髪、肩より少し長いくらいのロン毛。
茶道家元の長男だが、お茶には全く興味がない。
伝統を生かした日本家屋を専門に扱う一級建築士。茶室の設計を得意とする。
建築事務所を経営する若きやり手社長。周りにはいつも彼を支えたいという支援者が現れる。
家のことは弟の総一郎に任せきり。
~~~~~~~~~~
♧『支援者』(SIDE蓮乗 志信)
俺の名前は蓮乗 志信。
一級建築士の仕事をしている。
デザイン関係の仕事が得意だ。
ビジネスパートナーの東雲龍牙が社長を務める建築事務所で、手広く仕事を展開させてもらっている。
「志信、このデザイン見てくれ。」
「完成したんだ。想像してたよりずっといいね。」
今は海外に日本家屋を売り込むための、デザインや企画をまとめる仕事に追われている。
東雲龍牙は、多彩な男だ。
初めて会った瞬間に、俺は龍牙の才能に惚れ込んだ。
運命を感じてしまった。
スピリチュアルなことは信じるタイプじゃないが、自分の直感には自信がある。
龍牙は不思議な魅力のある男で、ここぞという時にいつも良い支援者が現れる。
支えたくなる魅力がある。
俺もまた彼の支援者の一人だと言える。
「龍牙、こんなところで寝てると風邪ひくよ。今日はこの辺にして帰ろうか。」
龍牙は仕事人間で、何より仕事優先。
事務所で寝落ちすることもしばしば。
龍牙と俺は仕事だけではなく、私生活も共にしている。
残念ながら恋人というポジションにはまだ手が届いていないけれど、
海外進出の成功と同時に必ず手に入れられると思っている。
この仕事は、俺たち2人じゃなければできないことだ。
一緒に成功させることができれば、彼は俺のことを唯一無二のパートナーとして、
認めざるを得なくなる。
彼を支え、彼が世界で活躍することが、俺の夢だ。
「志信、このデザインとこれ、どっちがいいと思う?」
お風呂から上がると、先にシャワーを浴びた彼がソファーの上で難しい顔をしていた。
龍牙の頭の中は、いつでも仕事のことでいっぱいだ。
俺は龍牙のそういうところに惚れたんだ。
仕事に夢中でいつでも新たな夢に向かって邁進する姿。
「そうだな、こうするのはどうかな?」
タブレットの上で操作すると、彼は目を輝かせて見つめている。
「お~!!すげぇ!さすが俺の志信・・・!」
悪気なく発せられる彼のそういう一言に俺は弱い。
「大袈裟だな。龍牙は。」
「本心で、いつもそう思ってる。」
彼の真剣な眼差し。
俺の濡れた髪を、指で撫でる。
龍牙は俺の髪が好きで、綺麗だとよく言ってくれる。
彼は自分が色男であることにまるで気付いていないから、こういう行為にまるで自覚がないんだ。
いつの間にか相手を夢中にさせてしまう。
「お前は本当に綺麗だ。髪も、顔も。スタイルだっていいし、」
ガウンを着ている俺の、太ももに触れてくる。
こんなこと普通恋人同士じゃなきゃしないだろう。
龍牙の普通は、普通じゃない。
「龍牙、これ以上太腿をそんな風に撫でられたら、いくら俺でも欲情するよ。」
「志信でも欲情なんてするのか?」
まるで色気のない龍牙の言葉。そんなこと聞かないでもらいたい。
いつものことで慣れてはいるけれど、龍牙は俺のことをどう思っているんだろう。
俺は何事もゆったりと余裕を持って進めたいタイプだから、
今すぐどうこうなろうと焦ってはいないけれど。
ただの「支援者」としておとなしくしているのは、そろそろ飽きてきた。
「一体俺をなんだと思ってるの?俺もただの男だよ。」
「志信はフェロモン出しすぎなんだよ。俺は心配だわ。」
腰に腕を回して、俺の髪に顔を寄せる。
彼はこうして俺の髪に顔を埋める仕草をよくする。
冗談なのか、本気なのか、いつもわからない。
俺を翻弄するなんて、龍牙くらいなものだ。
勝手に俺のフェロモンにやられて近づいてくる男はたくさんいるけれど、俺が欲しいのは龍牙ただ一人。
「はいはい、髪乾かしてくるから、避けて。」
「志信、もう少し。」
立ち上がろうとしたら、グイと腕を引かれてソファに戻された。
「どうしたの?今日の龍牙は甘えっ子だね。」
「志信でも、欲情するのか?」
「それさっきと同じ質問。」
どうせ龍牙は本気にはならない。
俺は長年の経験でそれを知っている。
散々期待させて焦らしておいて、彼はおもちゃに飽きた子どものように俺を置いて仕事に戻る。
そういう彼が好きだけれど、大人の男の身体は、欲望に忠実でコントロールには限界があった。
「確かめさせてくれよ。」
珍しい。誘うような、低い声音。
今日仕事中に、俺が彼をからかったから仕返ししようとしているのか?
色々なことが頭をめぐる。
彼の真顔を至近距離で見るのは身体に悪い。
俺はもう欲望の崖っぷちに立っているのだから。
「確かめるって、どうするの?」
動揺は見せない。
鼓動は馬鹿みたいに高鳴ってドキドキうるさいし、
彼の挑発的な眼差しに、身体の奥が疼いて仕方ないけれど。
年上の男の余裕を崩すわけにはいかなかった。
「全身触って確かめるのはどうだ?」
「・・・ッ・・」
彼の指は、俺のロングヘアを器用に避けて、つぅっとうなじをなぞる。
今夜の龍牙は、悪ふざけがすぎる。
「こら、俺に叱られたい気分なの?」
指を退かそうと手をやると、逆に手首をがっしりと掴まれた。
「志信、触らせろよ。」
「龍牙・・っ。」
ソファに押し倒されて、視線を上げると、龍牙が俺を見下ろしていた。
欲情した男の顔。
「龍牙・・・怒らせたいの?」
龍牙と交わりたいと、何年も何年もその瞬間を夢見てきた。
それなのに、どうして俺はこんなに動揺しているのだろう。
心の準備なんて、はるか昔にできているはずだ。
「志信に触りたいだけだ。嫌がることはしねぇよ。・・嫌なら嫌って、今言ってくれ。」
俺を試しているのか?
いつから俺たちはこんな風にお互いを探り合うような仲になったんだろう。
「嫌なわけないだろ。わからないか?」
俺に覆いかぶさっている龍牙の腰を手で思い切り引き寄せた。
彼の下半身が反応しているのがわかって、思い切りスイッチが入ってしまった。
俺と同じように彼もスイッチが入ってしまったのだと、目を見てすぐに悟った。
「はぁ・・・っ、志信・・・っ、」
俺の首筋にキスをしながら、体を弄る。
息が完全に上がっている。
こんな龍牙は初めて見た。
男の顔。激しく欲情して、理性を保てなくなっている余裕のない顔。
俺はこの顔がずっと見たかった。
ゾクゾクと下半身から背筋にかけて、快感が駆け抜ける。
「龍牙・・っ、」
この数年間、龍牙だけを想って誰とも交わらなかった俺の身体は、
少しの刺激でも叫んでしまいそうなくらいに敏感に反応する。
「・・・龍牙・・・?」
龍牙は、いつの間にか俺の上からおりて、ソファに座り直していた。
「龍牙、どうした・・・?」
心配になって、起き上がると、彼は俺に背を向ける。
耳まで真っ赤だった。
「悪い。志信に触りたいっていうのは本心だけど、この仕事が終わってからにしたいんだ。いいか?」
すっかりいつもの口調に戻った龍牙は、勢いよくこちらに向き直った。
「このまま志信を抱いたら、仕事に集中できなくなりそうな気がして・・。」
「大事な仕事も控えているしね。」
理解ある大人の男を演じる。
「海外進出が無事成功するまでは、ビジネスパートナーとして、清い関係でいようぜ。」
「清い、関係ね。」
龍牙らしいと思いながら、俺は笑ってうなずいた。
♢♢♢♢♢♢♢♢♢
翌日、龍牙は何事も無かったようにいつも通り仕事に打ち込んでいた。
「志信、打ち合わせ行ってくる。戻りは15時くらいになる!」
「了解。」
慌てて事務所を出ていく龍牙に、手を振る。
俺たちは清い、ビジネスパートナー。
今のところは。
これでいい、と俺は深くうなずいて、仕事に戻った。
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