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♢『片想い』(SIDE 林崎 亜弥)※R-18 着物デザイナーXスタイリスト(リバ)

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~~~~登場人物~~~~

♢林崎 亜弥(はやしざき あみ) 45歳

茶髪ロングヘア。サイドを編み込んだ髪を後ろでゆるく一本にまとめている。スタイリスト。
外面がものすごく良いが、気を許した相手にだけ見せる顔はまるで別人。
二面性がある。二重人格、とさえ言われている。口うるさい毒舌家。
能力を買われ、イタリア人俳優の専属のスタイリストとして、イタリアと日本を行き来している。
同級生の須磨に対して厳しく、いつもガミガミ言っているが、子供の頃からずっと須磨に惚れている。


♢須磨 元就(すま もとなり) 45歳

和を基調とした航空会社の制服を手がけるデザイナー。
着物のデザイナー。和のデザインを得意とする。
表に出ることをあまり好まない、硬派で無口、人付き合いが嫌いなバツイチ。子供はいない。元妻もデザイナーで、同じ業界にいる。
亜弥、屋敷は小学校からの同級生。

♢屋敷 比呂久(やしき ひろひさ) 文学部教授  45歳

有名な大学教授で、何冊も本を出版している。
出版社の女性担当者から言い寄られるほどのイケオジ。
細身の長身。フェロモン漂う大人の男。垂れ目、茶髪で緩やかなウエーブのかかった髪。
研究以外のほとんどのことには興味がない。
亜弥、須磨は小学校からの同級生。


~~~~~~~~~~





日本に帰国すると、いつも激しい時差ボケに襲われる。

イタリアと日本を何百回行き来しようが、私の身体は変わらない。


俳優のアンドレアから熱烈なオファーを受けて専属スタイリストになってから、
早いものでもう10年経つ。


久々の帰国。
長時間のフライトでふらふらになった私は、空港からタクシーに乗り込み、
お土産のワインを片手にいつもの別荘へやってきた。

比呂久のマンション。

屋敷比呂久は小学校からの同級生で、今は超売れっ子の学者先生になり、TVに出まくっていた。

45歳でイケメン。独身。
イケオジなんて騒がれていても、この歳で独身バツ無しなんてろくなもんじゃない。

もちろん私も含めて。


同級生たちとは、日本に帰るたびにつるんでいる。

全員見事に独身。
まぁまぁのイケメンたち。
1人だけバツ付きの男がいる。



須磨元就。

着物のデザイナー。
最近では航空会社の制服のデザインを手掛けたり、幅広い仕事をしている。
海外からのオファーも多い。

純和風なイケメン。
黒髪短髪。地味な顔立ちだから昔は実年齢より上に見られることが多かったけれど、
そういうタイプは40過ぎても変わらない。
ある程度の歳を超えると逆に若く見える。



彼は私の初恋の相手で、実は今もずっと思い続けている。



アラフォーまでずっと思い続けるなんて、それはもう恋というより呪いに近い。

拗らせすぎていて、もう手がつけられない状態で放置している。



元就はバツイチで、奥さんとはとっくの昔に離婚している。

今はベルギー人の若い男の子をアシスタントにしていて、

その子が元就にベタ惚れで猛烈アピールしているので、なかなか隙がない。

海外の仕事が忙しいらしく、前回の集まりにも参加していなくて、しばらく会っていなかった。



比呂久と梓君の初々しい関係が羨ましかった。

2人を見ていると、学生時代、元就に抱いていた淡い恋心が蘇ってくる。

顔を見るだけでドキドキしてしまうような、初々しい恋心を久々に思い出させてくれた。




CM撮影で日本からシンガポールに飛んで、

ホテルのレストランで少し早い夕食を取ろうとしていたら、よく知っている声が聞こえてきて驚いた。


まさか。


声の元をたどる。

壁で区切られた半個室のような席に、見知った顔があった。




「嘘でしょ・・・・」



「なんだ、お前も来てたのか。」




シンガポールで遭遇したというのに、

地元の喫茶店でばったり会ったというような気軽さで、元就は言った。




「お互い来てるって知らなくて、シンガポールの同じホテルに滞在してて、ばったり会う確率ってものすごいと思うんだけど。普通もっと驚かない?」



「お前となら、どこで会っても不思議じゃない。」




昔からさらりと凄いこと言っちゃう系のやつだった。


最悪なのは、こいつにまるで自覚がないってところ。




元就はシンガポール発のブランドから依頼された仕事で、一ヶ月ほど滞在しているらしい。

ベルギー人アシスタントのサハラが、警戒するように私をじっと睨んでいた。




「たまには2人で飲むか。」


あいつから提案してくるなんて珍しい。

二人きりなんていつ以来かわからないくらい、久々だった。

腰巾着みたいにいつもまとわり付いているサハラ君を部屋に戻して、
21時に最上階のバーで待ち合わせ。



お互いに海外の仕事が多いけれど、実際に会えたのは初めてで、

私は少し浮かれていた。



私は男も女もいけるから、今まで色々な恋人がいたけれど、結局いつもダメになってしまうのは、

「相手が元就じゃないから」っていう単純な理由に最近気付いてしまった。



シンガポールで有名なそのホテルには、仕事で何度か泊まったことがある。

最上階のスカイデッキで夜風にあたりながら、スパークリングワインを飲む贅沢。

デッキのすぐ横にはプールがあり、カップルたちが幸せそうに身体を寄せ合っている。



高層ビルでひしめき合う街の夜景を、さらに高い位置から見下ろす。



「地震が起きたら崩れそうよね、ここって。」



「安心しろ。日本と違って地震は少ない。」



顔色一つ変えずに、強い酒を飲みながら夜景を見下ろしている元就は、いつもの調子だ。


ほとんど変わらない表情。言葉足らずな会話。

愛想というものを知らない男。



こんな奴のどこがいいんだか。




ほとんどが何度もしたような話だけれど、

久々に共有する時間はあっという間に過ぎていく。



「あんた、離婚してもう10年になるでしょう、新しい恋人はいないの?」


「居ないな、残念ながら。」


どうでもいい、という態度で彼は苦笑した。

サハラ君の猛アピールにも全く気付いていない鈍感野郎。



「比呂久は若くて可愛い恋人出来てたわよ。」


「そうか。それは良かった。」



ウイスキーのグラスを呷る。

本当にこいつはアルコールに強い。


カラン、という小気味の良い音が響いた。



「お前は、あのイタリア男とどうなってる。」



「だから、何度も言うけど・・知ってるでしょ?私がビジネスの相手とは寝ないって。」


「そうだったな。」


「仕事がやりにくくなるの、嫌なのよね。」



あまり飲むと明日に響く。

そろそろ終わりにしなきゃと、手に持て余しているワイングラスをゆらゆらと

揺らしながら、彼を見る。



元就と目があった。
真剣な顔でこちらを見ている。



「俺はビジネスの相手じゃないから、良いってことだよな?」



心臓が止まるかと思った。

胸が高鳴る、というよりは、胸が苦しい、に近い。

緊張感。


元々そんな冗談を言うタイプじゃないし、アルコールが顔に出ないから

酒が回った影響なのかどうかもまるで想像がつかなかった。



30年以上の付き合いで初めてのパターンに、内心警戒する。




「俺の部屋で、飲み直さないか?」



元就の目は真剣そのもので、有無を言わせぬ男の迫力があった。





♢♢♢♢♢♢♢♢♢




のこのこ着いてきてしまった。

最上階の一つ下の階。
1人で宿泊するには、広すぎる部屋だ。

窓から見える夜景は圧巻で、この景色を一人で眺めるのは勿体無いし、寂しすぎる。



いつもと違う雰囲気の元就に、調子が狂う。


「そういえば今日は和装じゃないのね。だからなんだか変な感じがしたのね。今わかった。」


彼は着物デザイナーという仕事柄、和装が多い。

漆黒の瞳に、綺麗な艶のある黒髪。

地味だけれど、精悍な男らしさを感じさせる顔立ち。

ワイシャツに黒のパンツ姿は新鮮だ。



「変な感じって?」


サイドボードからグラス2つとウイスキーを取り出し、氷をグラスに落とす。

乾いた氷の音。

瓶から注がれるウィスキーの音が続く。



「いつもと違う感じ。」



努めて素っ気なく返す。

煌く夜景、キングサイズのベッド、間接照明のオレンジ色が効いたムードたっぷりのスイートルーム。



この雰囲気に飲み込まれて、変な気を起こしてしまいそうだった。




ウイスキーグラスを手渡す、元就の男らしい手。


彼の指が触れる。




「亜弥、」


「な、なによ、」




いつもと違う彼の視線に、私は怖気付いていた。



片想い歴30年以上。





拗らせすぎて、今更行動を起こすなんて気にはなれなかった。


これまでの関係を壊したら、どこへ向かうのかわからない。



それほど長い年月を経て、熟しすぎた感情はどう処理するべきなのか。






「会いたいと思っていたら、お前が現れたから驚いた。」




会いたい・・・・?

元就が、私に・・・?



彼の口からそんな言葉が出るなんて、信じられなかった。


驚いて、返す言葉が見つからない。



この男が私に会いたいなんて思うことがあるのだろうか?

想像できなかった。



元就の指が、髪に触れてくる。


緩く編み込んだ髪を、指でなぞる。





「もうそろそろ、終わりにしないか?」



「なんの話・・・?」



ドキドキと、鼓動のリズムが早まっていく。




「片想い。」



耳元で囁いた元就の声が、今まで聴いたことのない

大人の色香を含んでいて、ぞわり、と全身の毛が逆立った。










ちゅ、ちゅっ、とついばむようなキスを繰り返す。


中学生がするような、プラトニックなキス。


どう求めていいのか、お互いに探り合い、確認するような距離感。





大人の男同士だと、すぐにスイッチが切り替わる。





深く、求め合う、遠慮のないディープキス。





「亜弥、いいのか・・・?」



「今更何言ってんのよ、誘ったのはあんただからね。」



止められるわけ、ない。



30年もずっと欲しくてたまらなかった。





それなのに、ただ見ることしか許されなかった、元就の唇。


首筋、手、背中。


全てに触れる許可を出したのはあんただ。





元就が私を抱き抱えるようにして、ベッドになだれ込む。



あぁ、元就は欲情している時、こんな顔をするのか。



今まで何度となく想像してきた。

妄想の中の彼より、100倍エロい。



彼の上に乗って、ワイシャツを脱がす。

元就の上半身。
ほどよく鍛えられた肉体。



私はもう待てなかった。

着ていたラフなTシャツを脱ぎ捨てて、元就と直に肌を合わせる。




あぁ、私がずっと欲しかったものだ。




鈍感だとばかり思っていた元就が、私の気持ちに気付いていたなんて。





彼が私のお尻をまさぐるように触ってきた。



元就の、雄の顔。

初めて見る。

興奮が抑えられない。



彼は私のデニムのジッパーを下ろすと、すでに勃ち上がったモノを、

大きな手のひらで擦るようにしごいた。



「あ、ッ、元就・・・ぃ」



彼の息が上がっているのを見ていると、たまらなく興奮してしまう。


彼の膨らみに手を触れると、熱に浮かされたような視線が返ってきた。


自らジッパーを下ろして、下着まで全て脱いだ彼の下半身をまじまじと見つめる。




元就は結婚歴があるから、勝手に女しか愛せないのだと決め付けていた。



私相手に勃ち上がっているモノを見て、腰が揺れる。


ゾクゾクする。




アレが、ここに入るのかと思おうと、興奮で達してしまいそうだった。


自分の指で後ろをほぐしながら、もう片方の手で彼のモノを握る。




興奮でおかしくなりそうだ。




「亜弥・・・」


元就の手が、私のモノを握って激しくしごく。


「ダメ・・・っ、そんなにしたら、出ちゃう・・・」


「・・っ、亜弥、」


「元就・・っ、」


「ここに、入れてくれ、」




え・・?!




手を取って、導かれた部分に私は絶句してしまった。


信じられない気持ちで彼を見る。




「亜弥のを、入れてくれ、頼む・・」



潤んだ漆黒の目が、私を見つめている。





え・・?

え・・・?!




私が入れるの?!


元就は辛そうな表情で身を捩らせた。





「望むところよ。」


自分の中の雄の欲望がピークに達するのを感じる。

ぶち込む快感を想像しながら、唇を舐めた。





「うっ・・・う、あっ・・・」


元就を四つん這いにさせて、アナルを堪能する。



彼の穴はキツく食いちぎるように締め付けてきて、

私はすぐに達してしまいそうだった。



元就の中に挿入できるなんて。

夢みたいだ。



彼の意外性に私はたまらなくクラクラしていた。




あー、気持ちイイ、

すぐに出ちゃいそうだわ



男らしい元就の中に、挿入する快感。


元就の男らしい広い背中。肩甲骨。

屈服させているようで、雄の支配欲が満たされていく。


腰をゆっくり打ち付けると、彼は腕に顔を伏せて、苦しそうに耐えている。



彼のモノが、先ほどとは比べ物にならないほど、大きく膨れ上がっていた。


「あ、亜弥、もうダメだ、」


早くイカせてくれと懇願する姿が見られるとゾクゾクしていたら、彼は私の腰の動きを手で制止した。




「亜弥に、挿れたい」


私はその瞬間に、射精してしまいそうだった。



元就の中にぶちまけてしまいたい願望があったけれど、両方楽しめるなんて最高、と歓喜した。


「亜弥、挿れるよ。」


「きて、早く、」


元就の先端が入ってくる。



元就の、、大きい・・・・!!



私に挿れられてパンパンに腫れ上がったモノを、今度は私の奥深くに挿入する。




「う~っ、う、あぁ、うぅ、うッ」


私の最奥に腰を打ち付けるたびに、獣のような呻き声をあげる彼が、

たまらなく私の興奮を煽った。


太腿を手のひらでがっしりと掴まれて、大きく脚を広げた状態で最奥に入り込んでくる元就。

頭がおかしくなるほどの快感が迫ってきた。




初めて見る元就の気持ちイイ時の顔。


射精する直前の、元就の表情。


切羽詰まった、彼の声。



「あ、亜弥、、もう出る、」


「元就・・っ、私も、出るぅ・・!」


「うっ、あ、、あぁ、イク・・・・出る・・ッ!!」


「あーっ、元就ぃ・・イクぅ、イク・・・・!!」



ビュビュッ!!ビュル!!!!



今までしたどんなセックスよりも、

最高に気持ち良かった。




♢♢♢♢♢♢♢♢♢




私たちは一睡もせずに朝まで何度も求め合って、

朝食を一緒に食べた。





「全然いつもと変わらないし、あんたって本当わけわかんない。何考えて生きてるの?」



元就は、一睡もしていないなんて微塵も感じさせない涼しい顔で、フルーツを食べている。



「お前とヤりました、って顔してて欲しかったのか?」



「・・っ、あんたってほんとサイテー。」



朝まで抱き合っていたのに、今の一言でまた欲情している自分に驚く。


他のスタッフたちと別のテーブルで食事をしているサハラ君が、こちらを睨んでいる。



これまで30年以上友人としてやってきた元就と、こんなことになってしまって、

私はどうしたら良いかわからなかった。


このまま一夜の相手として、何も無かったことになるのか、
それとも。




「来月の初めに日本に帰る。」


「あっそう。」


「亜弥、お前の予定は?」


「月末から数週間、日本で仕事。」


「じゃあ俺の部屋に泊まれよ。」


「え・・・?」


「比呂久に恋人が出来たんだろ?」


「ちゃんと聞いてたのね。」


「今夜、鍵を渡す。」




コーヒーをがぶ飲みしながら瞬きを繰り返す。


夢じゃない。




30年止まったままだった想いが、急に動き出した。



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