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♢『初めての』(SIDE 南川 梓) ※R-18

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~~~登場人物紹介~~~



♢南川 梓(みなみかわ あずさ) 大学院生 24歳

男女ともにモテる人たらし。ふわふわと動きのある茶髪、クリっとした大きな目。
可愛い系の顔で、明るく元気な性格。裏表のない、単純明快な性格、喜怒哀楽が激しく、ドジな一面もあり目が離せない。純粋で人を疑うことを知らない。素直で可愛いが、幼なじみの遥にだけは素直になれず口喧嘩ばかり。
幼い頃から本が好きな、文系男子。運動神経もよく、アウトドアも好きでアクティブ。
大学院で教授の助手をしながら、文学について学んでいる。



♢屋敷 比呂久(やしき ひろひさ) 文学部教授  45歳

有名な大学教授で、何冊も本を出版している。
出版社の女性担当者から言い寄られるほどのイケオジ。
細身の長身。フェロモン漂う大人の男。垂れ目、茶髪で緩やかなウエーブのかかった髪。
研究以外のほとんどのことには興味がない。




~~~~~~~~~



♢ 『初めての、、』(SIDE 南川梓) ※R-18   




優羽、仁、遥。
幼なじみの3人は、小さい頃からずっと一緒だった。


学生時代は毎日のように集まって同じ時間を共有してきた。


その中でも遥は特別で、人とは波風立てず良好な関係を築きたい事なかれ主義の俺が、

唯一本気で喧嘩出来る貴重な存在だった。



俺は文系、遥は理数系。

考え方から好きなものまで、何もかもが正反対だった。

共通点を探す方が難しいくらいだ。




大学に入学した時も、遥が就職した時も、俺たちの関係は変わらなかった。



付かず離れずの距離で、いつも真っ向から喧嘩していたし、


遥の部屋で何をするでもなく同じ空間で過ごすのが、週末のルーティンだった。


悔しいけれど、遥の助言はいつもとても的確なんだ。


俺のことを誰よりわかっているというのは、奴だと認めざるを得ない。


そんな関係。




子供の頃から本を読むのが大好きだった。

物語の中に入り込むと、自分がなんでも出来るような気持ちになった。


本と同じくらい好きなのが、人。

俺は人も大好きだから、いつも周りにはたくさん友達がいた。


サッカーをしたり、野球をしたり、チームワークが必要なスポーツが大好きで、ジュニアのサッカーチームに所属していたこともある。




大学は文学部に行くと、中学生の頃から決めていた。


好きなだけ文学を学んで、毎日本を読む。


それが俺の理想の大学生活だった。






進学先には、憧れの教授がいる大学を選んだ。


屋敷 比呂久(やしき ひろひさ)教授。





40代で文学に関する本を何十冊も出版していて、メディアにも多く出演している若き天才。



「ミーハーな進路決定だな」と遥に言われた時はムッとしたけど、

俺は屋敷教授が大好きで、どうしても彼のゼミ生になりたかった。



そして夢を叶えてゼミ生になってからは、ますます教授のことが大好きになった。





現在の俺は就職せずに大学院へ進み、

屋敷教授のアシスタントとしてバイトをしながら学ばせてもらえている。


俺はとてつもなくラッキーだ。




幼なじみの中で、未だ学生なのは俺一人だけ。


遥たち3人はそれぞれの仕事に就いていて、

それに対する焦りも、出遅れてしまった劣等感もあるけれど、

それでも教授の元で学べる時間が延長されたことが、俺にとっては喜びだった。






「南川、この後ちょっといいかな。」

いつものように教授に頼まれた資料をまとめていたら、声をかけられた。




イケオジという言葉がぴったりの40代。


近くでみるとさらにカッコ良くて、大人の色気を感じて、俺はドギマギしてしまう。


彼の前ではいつも、挙動不審になる。



そんなことは初めてだった。




誰か特定の人に対して、緊張したり、何を話していいのかわからなくなるなんて、生まれて初めてで、どう対処していいかわからない。



教授はTVや講演の時はいつもビシッと細身のスーツで決めていて、最高にカッコいいんだけど、

大学構内ではネクタイを外して、緩めのニットカーディガンを着ていたりするから、

そのギャップにやられそうになる。




黒縁のメガネをかけて、緩めのニット姿はヤバイ。



こんなにかっこいい40代、俺は見たことがない。




カラーしているのか、地毛なのかわからない絶妙な色合いの茶髪も、


彼のセクシーさを際立たせている。



ミーハーな自分をなんとか抑えながら、彼の前に立った。






「なんですか?」



「今夜、食事に付き合ってもらえないかな。」



予想外の教授の誘いに、俺は思わずフリーズしてしまった。






屋敷教授は、私生活が見えないミステリアスな男として、大学では有名だった。


40代、どこからどう見ても色男、独身、インテリ、人生の成功者、ミステリアスなイケオジ。



敷地内に止めている車は、車に詳しくない俺から見ても高級車とわかる海外のスポーツカーで、

高台にある高層マンションに住んでいる、というところまでしか情報はなかった。




この大学内では教授に一番近しい生徒であると自負している俺も、私生活については何も知らないままだった。





まさか屋敷教授の運転する車で、助手席に座らせてもらえる日が来るなんて。



信じられない気持ちで、運転中の教授をちらりと盗み見る。



カッコ良すぎて思わずはぁ、とため息が漏れた。





高級車で連れて行かれるような店に、俺が普段着で入れるのだろうかとハラハラしていたら、

家族連れや女性同士のお客さんが多い、レトロな雰囲気のトラットリアだった。


気さくな雰囲気の店主と、その奥さん。

二人で切り盛りしているようなこじんまりとしたお店の、一番奥の席に通された。


教授は常連らしい。



「古い友人の紹介で、学生時代から通ってる店なんだ。」


店主と楽しそうに話をしているのをじっと見ていた俺に、教授は普段とは違う柔らかい笑顔でそう言った。


見たことのない、教授の表情に心臓がドクンと大きな音を立てる。



「そうなんですね。すごい美味しそうなにおいがして、俺一気に腹減ってきました。」


顔が赤く熱っているのを、はははと大袈裟に笑って誤魔化す。


何が食べたいかと聞かれたけれど、普段イタリアンはあまり食べないので、教授に全てお任せした。




「教授はワインとか似合いそうですね、普段はお酒飲みますか?」


普段教授と話す内容は、文学のことばかりだ。


教授は仕事中いつも口数が少なく、集中しているだけなのだが、

その雰囲気に近寄りがたいという生徒もいるほどで、なかなか雑談をする機会がない。


ここぞとばかりに色々聞き出す。




「ワインは好きだよ。車じゃなければ飲むけど、ここは車がないとなかなか来れない店だから。」


「何ワインが好きですか?」


「自分で選ぶ時は、赤ワインばかり飲んでるな。友人がワインに詳しくて、海外のワインをもらうことが多いから、

白ワインもスパークリングもなんでも飲むよ。」




なるほど。教授のことならなんでも知りたい。




「南川は、アルコール飲めるのか?」


「飲めます!弱いけど、飲むのは好きです!」


「ワインでも頼もうか。」


「え!いやいやいや、大丈夫です。教授が飲まないのに、俺だけって訳には、」


「どういうのが好み?スパークリングはどうかな。」



正直ワインなんてほとんど飲んだ経験がない。


甘いジュースみたいな味のカクテルばかりで、それで酔ってしまう自分はかなり弱い方だと思う。


遥には、子どもが酒なんか飲むなって取り上げられる。




教授が俺のために選んでくれたスパークリングワインは、ほろ苦い大人の味がした。



「わ~!このパスタ、すごく美味しい~。俺これものすごく好きです!!」



「私が好きでいつも頼むものなんだ。味の好みが合いそうだな。」



教授が目を合わせて嬉しそうに笑う顔がカッコ良すぎて撃沈しそうになる。





なんでこの人はこんなにかっこいいんだ。


こんなにスマートでカッコ良くて、セクシーな大人を俺は今まで一度も見たことがない。






「そういえば、今日、俺を誘ってくれたのって、どうしてですか?」



教授が、あぁ、と何かを思い出したように苦笑した。



もしかして、仕事で何かミスをしていたのだろうか。説教されるとか?



助手をクビにされるとかだったらどうしよう・・・。



酔いが回っているせいで、喜怒哀楽がコントロールできない。嬉しかったり、不安になったり、気持ちがコロコロ変わって忙しい。




「たまには誰かと一緒に食事したいと思ったから、誘ったんだ。急に声かけてしまって、悪かった。」



教授の言葉に、息が詰まるような気持ちになった。


ぎゅうっと胸の奥が苦しくなって、動悸が激しい。



「俺に・・っ、俺に声かけてくれて、めちゃくちゃうれしかったです!!」



ありがとうございます!!と想像以上にデカイ声を出した自分に驚くと、


同じく驚いた表情の女性客が顔を見合わせてクスクス笑っていた。


急に恥ずかしくなる。




「いつもは一人で食事することが多いんですか?」



「そうだな。ほとんど一人だし、適当に済ませることが多い。」




教授は独身だけれど、恋人はいないんだろうか?


これほどのイケメンであれば、引く手数多だろう。


恋人の一人や二人、いてもおかしくない。むしろいないほうがおかしい。



「俺で良ければいつでも付き合います。教授のこと大好きなんで、いつでも誘ってください。」



ドキドキしたせいで血行が良くなったのか、一気にアルコールが体内を暴走しているみたいだ。


呂律が回らないし、顔は熱くて目はぼやけているし、気分が高揚して、自分が何を言っているのか半分わからなくなっていた。



「南川はすごく美味しそうに食べるから、また連れて来たいと思ってしまうな。」



視線を外して恥ずかしそうに笑った教授の顔が、ひどく印象的に頭に焼き付いて、

俺は今死んでも良いと思えるくらい幸せな気持ちになった。



間接照明のオレンジ色のライトが、背景でキラキラと綺麗に回っている。まるでメリーゴーランドみたいだ・・・・

ぼんやりと気持ちよく、回っている光を眺めながら、そんなことを考えていた。







♢♢♢♢♢♢♢♢♢




次に気が付いた時、


俺の視界には、見知らぬ天井が飛び込んできて、


殺風景な部屋のカーテンの隙間からは、真っ白な光が差し込んでいた。




「え・・・?え?」




茶色のカーテンに、茶色の寝具。

ベッド以外は何もない部屋。


一瞬自分がどこの誰なのかさえ忘れてしまったように、茫然としている頭に、少しずつ記憶が蘇ってきた。




俺は、屋敷教授と一緒にご飯を食べに行って、それで、・・・あれ?

その後どうやって帰ってきたんだっけ?



とりあえずベッドから起き上がると、ガンガンと頭の中で鐘が鳴るように激しい頭痛に目が眩む。


カーテンをそっと開けてみると、地上からのあまりの高さにまた目が眩んでしまった。





ここは、屋敷教授のマンション・・・??!!


もう、朝ってことだよな?え?お泊まり・・??教授の家に?


俺、一体何をしでかしたんだろう・・・・




記憶がないだけに、昨夜の失態を思うと、さぁっと一気に血の気が引いた。





ドアを開けると、これまた殺風景なリビングにオープンキッチン。


どう見ても高級な作りのマンションに場違いにもテンションが上がる。


うわ~スッゲー高級そうなコーヒーマシンがある!!



冷蔵庫も大きいし、ワインを入れるケースまである。


生活感があまり無い、片付いた部屋。





ドクン、とまた心臓が大きく、鼓動を刻む。


グレーの大きなソファーの上に、パジャマ姿の屋敷教授が横になっていた。



「教授・・・」



頭痛なんて吹っ飛んでしまう。



憧れの屋敷教授の寝顔。彼の寝室で目を覚ます日が来るなんて、信じられなかった。






教授の寝顔、、ヤバすぎ・・・・。



かっこいい・・・・・!!!





文学部が聞いて呆れる語彙力の無さだな、と遥に言われたことを思い出した。


でも、これはヤバイとしか言いようがないよな・・・





触れたい。


そう思った。


この人の特別に、なりたい。


一度でいいから、特別な目で、俺のことを見て欲しい。





誰かに対してそんなふうに思うのは、生まれて初めてだった。




誰とでも仲良く出来るのが、昔から俺の特技だった。


人が好きだから、自分のことを嫌いだという人間のことも、全く嫌いになれなかった。


その分、誰かのことを特別好きだと思うこともなかったんだ。


みんな同じくらい好きで、一緒にいて楽しい。


一人のことを特別好きになったことが、一度もなかった。





屋敷教授が初めてだ。




年齢も、立場も、まるで違うけれど、

俺は、屋敷教授が好きなんだ。






彼の寝顔を見て、俺は急激にそう確信してしまった。






「南川、」


突然教授が目を開けて、俺の名前を読んだ。


「わ!!あ、おはようございます・・っ!」


「・・・おはよう。」


教授は目をこすりながらソファから起き上がり、スマホで時間を確認した。




「もうこんな時間か。体調はどうだ?」



彼の手がこちらへ伸びてきて、俺の額に触れた。


冷たくて、綺麗な、教授の指。



「あ・・っ、あの、」



俺はもう笑えるくらいドギマギしてしまって、あの、とか、えっととか、

言葉にならない声を上げるのが精一杯だった。




「昨日飲ませすぎてしまったみたいで、すまなかった。頭痛くないか?」



俺の手首を、教授の細くて長くて綺麗な指が掴んで、俺はされるがままに教授の横に座った。



緊張しすぎて、てのひらが汗で滲んで、どうしたらいいのか身の置き場に困る。




パジャマ姿の教授が、俺の手を掴んで、今、目の前で、見つめて・・・





「コーヒー入れるから少し待っててくれ。」


ポン、と俺の頭を撫でて、彼は見たことのない甘い笑みを向け、立ち上がった。






・・・・!!?!?!



声にならない声が、二日酔いの頭の中で炸裂していた。









♢♢♢♢♢♢♢♢♢





まるで恋人同士みたいな時間だった。


いや、恋人同士なんて経験がないから、あくまで俺の妄想の世界なんだけど、


屋敷教授がものすごく甘い口調で、大学とはまるで違った様子で話すものだから、


俺は勝手に変な期待をしてしまう自分を抑えられなかった。




二日酔いのせいもあるのか、きちんと働かない頭でああだこうだ考えるから、ちっともまとまらない。




教授に送ってもらって帰宅した後も、昨夜のことが信じられなくて、

俺は何度も思い出してはその余韻に浸っていた。





「お前のくだらないミーハー話を聞いてる暇は、俺にはない。」


屋敷教授に連れて行ってもらったイタリアンの店の話を遥に聞かせたら、うるさいと一蹴されてしまった。


今日の遥はなんだか機嫌が悪い。


早々に部屋を追い出され、自宅に戻るとベッドに寝転んだ。






はぁ、と深いため息を吐く。



熱があるみたいに、身体が熱い。



ズクン、と下半身に重だるい痛みを感じて、手を伸ばす。






最近処理していなかったせいなのか、

下半身が固く変化して、欲求を主張していた。




いつもなら、ただの生理的欲求として、処理できる。


だけど、今日は教授のことで頭がいっぱいだった。





「南川・・・・」


俺の名前を呼ぶ、教授のいつもより甘い声。


俺を見る教授の熱っぽい視線。





ただの酔っ払いの妄想だったんだろうか?

彼の視線に、俺への特別な感情を感じたのは。

ただの、俺の願望なのか・・?




「教授・・・ッ」



下着ごとズボンを下ろすと、俺の先端からはすでに先走りがいやらしく光り、つうっと溢れ出して流れた。


グッと根本を強く握って、その刺激に身体がビクッと震える。





ふと、テーブルの上に置いてある屋敷教授の本が目に入った。


本の帯には教授の写真が載っている。俺のお気に入りの本。






教授の目。



デスクに向かっている時の無防備な、うなじ。



ニットのカーディガンから覗く、鎖骨。



骨が浮き出ている男らしい手の甲。



程よく筋肉のついた、締まった太腿。





研究室で盗み見ている教授の体のパーツを思い返しながら、



股間の熱を昂めるように、上下にシゴく。





「あ・・・っ、」





気持ちイイ。



教授の寝顔。



寝起きの、色っぽい表情。




気持ちイイ。





「・・・ッ、教授・・・・ッ、」





カリの部分に、握った指の内側が引っかかり、下半身全体が快楽に震え、



腰を振りたい衝動が襲う。






教授の唇。


触れてみたい。


どんな感触なんだろう。





教授の首筋。


思い切り噛み付いてみたい。





教授の、腰。お尻。


触れてみたい。





教授の、、


妄想が、頭をめぐる。





「あッ、あ・・・ッ、」



ギュッと拳を握り込むように、先端をシゴくと、



思わず腰が逃げてしまうほどの刺激が伝わる。







あ~、出そう。


射精したい。





気持ちイイところに触れたら、

教授はどんな顔で、感じるんだろう。




どんな顔で、、



「あ~・・・ッ、、」



中に出す時、どんな表情で、、、




激しく上下にシゴキながら、

上り詰めた快楽に

声が抑えられない。



「あ~、出る・・・っ・・・あ~、あ~、ううッ・・・!!」




ティッシュを先端に当てて、思い切り射精する。



腰のあたりがビリビリ痺れて、先端から出ていく快感に支配される。




ビクビクっと何度も震えたペニスから全てを出し切ると、


すぐに気怠さが訪れた。




屋敷教授のことを考えながら、オナニーしてしまった自分に、少しだけ罪悪感が残る。






教授に触れたい。



触れて欲しい。





こんな欲求は生まれて初めてだった。





どう処理したら良いかわからない欲求に、俺は戸惑うしかなかった。





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