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独占欲
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目が覚めると、私はまだ宵闇の宮殿の中にいた。
ぼんやりとしていた意識が、徐々にはっきりと世界を捉え始める。
「気がついたかい?」
赤髪の彼が、赤い液体を飲みながら私を見下ろしていた。
ベッドに彼と二人きり。
熱い抱擁を交わした彼は、何も纏わず裸のままだ。
(しなやかな身体・・・・彼にめちゃくちゃに抱かれたのよね・・・)
思い出して、赤面する。
彼は私を見て、ふっとミステリアスな笑みを浮かべていた。
ベッドサイドに置かれた豪華な彫刻が施された台に、腕を伸ばす。
コトリと小気味よい音を立てて盃を置くと、彼はベッドに身を沈めた。
「君との交わりは、この世のどんなものよりも素晴らしかったよ。」
私の隣、気だるそうに横たわっている彼は、妙に色っぽい。
彼の青い瞳は、吸い込まれてしまいそうなほど深く、魅力的な色彩を放っていた。
一度目が合ってしまうと、そらすことが出来ない。
(なんて美しい瞳なの・・・・永遠に彼の瞳を見つめていたい・・・・)
激しい情事で乱れた私の髪を、彼の綺麗な指が優しくかき上げる。
「こちらの世界に来る決心は、ついたかい?」
彼の言葉に、何故だか後ろめたい気持ちになった。
現実世界の宮殿にいる彼らと、夢の中にいる彼ら。
天秤にかけているようで、胸が苦しい。
どちらも大好きで、どちらも必要。
それが私の答えだった。
アザトやカラム、ハクトが与えてくれる穏やかで優しい時間。
ザインやハーシム、ルーブルが与えてくれる、ミステリアスで刺激的な時間。
どちらも欲しいと願うことは、間違いなのだろうか。
「君が迷う気持ちもわかるよ。どちらかを選ばなければならないなんて、酷な話さ。」
ルーブルは、弦楽器を奏でている時と同じような、軽い口調でそう言った。
まるで詩を読んでいるように、さわやかで軽快なリズム感。
「どちらかを選ばなければ、ならないの・・・?」
「あちらの宮殿の連中は、こちら側の人間を嫌っているから・・・君を共有しようなんてのは、難しいだろうねぇ。」
「どうして、嫌っているの?昔、何かあったとか・・・?」
「自分と違う属性を持つ者を警戒し、忌み嫌う。人間とは、本来そういう生き物なんだよ。」
彼の瞳に一瞬悲しい色が浮かんだように見えて、ハッとした。
「僕は無意味な争いは好まないけれど、人間ってのは大事なものを共有するのが苦手な生き物でねぇ。単純明快だろう?大事なものは独り占めしたい。誰にも渡したくない。」
わかる気がする。
大好きだからこそ、自分だけのものにしたい。
独占欲。
それは最も純粋で激しく、わかりやすい欲求に思えた。
「こちら側の連中は、単純で野生的、好戦的な輩が多くてねぇ。人は肉体的な力を持つと、それを誇示したくなる。まぁ、君を独り占めしたいという気持ちは、僕にもよぉくわかるけどね。」
彼は眩しそうに目を細めて、私を見る。
挑発するような視線で、しばらく私を煽ったあと、ゆっくりと唇を重ねた。
「欲しいものは、力づくで奪い取る。ただ単に、雄の本能なのかもしれないね。」
彼の手が、がっしりと私の腰を掴んだ。
下腹部を温めるように、彼の手が覆う。
「君のここに、自分という生命体の存在を知らしめてやりたい。」
太ももの間に、彼の身体が入り込んできて、グンッと私のお腹の中に彼の本能が差し込まれた。
「あっ・・・んぅぅ・・・っ・・・」
彼らと繋がる快楽に、私は溺れている。
この世界の争いごとも、これから先の戦いも、どうでも良いと思えるほどに、私は彼らの肉体に夢中になっていた。
ぼんやりとしていた意識が、徐々にはっきりと世界を捉え始める。
「気がついたかい?」
赤髪の彼が、赤い液体を飲みながら私を見下ろしていた。
ベッドに彼と二人きり。
熱い抱擁を交わした彼は、何も纏わず裸のままだ。
(しなやかな身体・・・・彼にめちゃくちゃに抱かれたのよね・・・)
思い出して、赤面する。
彼は私を見て、ふっとミステリアスな笑みを浮かべていた。
ベッドサイドに置かれた豪華な彫刻が施された台に、腕を伸ばす。
コトリと小気味よい音を立てて盃を置くと、彼はベッドに身を沈めた。
「君との交わりは、この世のどんなものよりも素晴らしかったよ。」
私の隣、気だるそうに横たわっている彼は、妙に色っぽい。
彼の青い瞳は、吸い込まれてしまいそうなほど深く、魅力的な色彩を放っていた。
一度目が合ってしまうと、そらすことが出来ない。
(なんて美しい瞳なの・・・・永遠に彼の瞳を見つめていたい・・・・)
激しい情事で乱れた私の髪を、彼の綺麗な指が優しくかき上げる。
「こちらの世界に来る決心は、ついたかい?」
彼の言葉に、何故だか後ろめたい気持ちになった。
現実世界の宮殿にいる彼らと、夢の中にいる彼ら。
天秤にかけているようで、胸が苦しい。
どちらも大好きで、どちらも必要。
それが私の答えだった。
アザトやカラム、ハクトが与えてくれる穏やかで優しい時間。
ザインやハーシム、ルーブルが与えてくれる、ミステリアスで刺激的な時間。
どちらも欲しいと願うことは、間違いなのだろうか。
「君が迷う気持ちもわかるよ。どちらかを選ばなければならないなんて、酷な話さ。」
ルーブルは、弦楽器を奏でている時と同じような、軽い口調でそう言った。
まるで詩を読んでいるように、さわやかで軽快なリズム感。
「どちらかを選ばなければ、ならないの・・・?」
「あちらの宮殿の連中は、こちら側の人間を嫌っているから・・・君を共有しようなんてのは、難しいだろうねぇ。」
「どうして、嫌っているの?昔、何かあったとか・・・?」
「自分と違う属性を持つ者を警戒し、忌み嫌う。人間とは、本来そういう生き物なんだよ。」
彼の瞳に一瞬悲しい色が浮かんだように見えて、ハッとした。
「僕は無意味な争いは好まないけれど、人間ってのは大事なものを共有するのが苦手な生き物でねぇ。単純明快だろう?大事なものは独り占めしたい。誰にも渡したくない。」
わかる気がする。
大好きだからこそ、自分だけのものにしたい。
独占欲。
それは最も純粋で激しく、わかりやすい欲求に思えた。
「こちら側の連中は、単純で野生的、好戦的な輩が多くてねぇ。人は肉体的な力を持つと、それを誇示したくなる。まぁ、君を独り占めしたいという気持ちは、僕にもよぉくわかるけどね。」
彼は眩しそうに目を細めて、私を見る。
挑発するような視線で、しばらく私を煽ったあと、ゆっくりと唇を重ねた。
「欲しいものは、力づくで奪い取る。ただ単に、雄の本能なのかもしれないね。」
彼の手が、がっしりと私の腰を掴んだ。
下腹部を温めるように、彼の手が覆う。
「君のここに、自分という生命体の存在を知らしめてやりたい。」
太ももの間に、彼の身体が入り込んできて、グンッと私のお腹の中に彼の本能が差し込まれた。
「あっ・・・んぅぅ・・・っ・・・」
彼らと繋がる快楽に、私は溺れている。
この世界の争いごとも、これから先の戦いも、どうでも良いと思えるほどに、私は彼らの肉体に夢中になっていた。
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