【※R-18】イケメンとエッチなことしたいだけ

外の世界のオトコ

褐色肌に、綺麗な黒髪。
腰まであろうかという長い黒髪を靡なびかせて、彼は現れた。


月明かりが優しく寝室を照らす、静かな夜。

気配もなく現れたその男は、窓の淵ふちに立って私を見下ろしていた。


顔の前に垂れ下がっている黒いヴェールのせいで、彼の素顔は見えない。
青い瞳だけが、こちらをじっと見つめている。



「お前はいつも守られているな。」

想像していたより高い彼の声。
若い男の声だ。


「あなたは・・・誰・・？」

不思議と身の危険は、感じなかった。
それよりも、彼は誰なのだろうという好奇心が優まさっている。



「私は・・・お前をいつも見ている。ここよりもっと良い世界があることを、お前は知っているか？」


（ここより良い世界・・・！？さらにたくさんイケメンがいる・・・とか？！）

目の前の男から漂う、イケメンの香り。


ハクトやエイトに外の世界のことを聞いてから、私はずっと気になっていた。
この宮殿の外側の世界が。



「良い世界・・・？」


「お前の肌に触れたいと願う男は、何もこの宮殿にだけ居るわけじゃない。」


（え・・・！？嘘・・・！？さらにオイシイ世界が・・・？！）


女の欲望は尽きない。
悪い男に惹ひかれてしまう女の心理というものを、前世では実感できなかったが、今まさにそんな心理に陥おちいりそうな自分がいる。

丁寧に扱われることに慣れている私は、「お前」と呼ばれるだけでキュンとしてしまうような心の隙すきがあった。



「私と、一緒に行かないか？・・・もっと大きな外の世界へ。」



窓の近くまで歩いて行く私のことを、彼は青い瞳でずっと見つめていた。

近寄ると彼はタンと軽やかに床に着地し、窓の淵に腰掛ける。


薄く透すける生地で出来たヴェール。
至近距離だと、その下の彼の素顔がよく見えた。

くっきりとした二重瞼ふたえまぶた。
彫りの深い顔立ち。射るような力強い、青い瞳。

こちらへ伸ばした彼の腕。
ベールの下から現れ、露あらわになる筋肉質で逞たくましい腕。


綺麗な褐色の肌が、私を誘う。


（綺麗・・・綺麗な顔・・・何・・？何なの・・？！このイケメンは・・・・！_）



「あなたは誰・・・？」