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夜のお供

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王宮の中は見たこともないほど煌びやかな装飾品で溢れている。
幾何学模様の壁や床、動物を模した立派な彫刻、噴水。

「こちらが真美様のお部屋です。」

天蓋付きの大きなベッドは、今までの生活で見てきたものとは全くの別物だった。
綺麗な月明かりが差し込む大きなアーチ型の窓。
ベッドの奥には窓に囲まれた空間があり、景色を見下ろしながら寛げるようになっている。豪華な幾何学模様のベンチにはクッションが置かれ、つるりとした材質の床の上にも分厚いクッション生地で出来た腰掛けが並んでいる。
豪華な装飾があしらわれたテーブルには、たくさんのフルーツ。

ウサギ小屋と揶揄される日本家屋で生まれ育った真美には、まさにここは天国に思えた。スケールが違いすぎる。
さらに奥へ進むと、石で出来たプールのような大きさの内湯まで備えられている。
天井には色とりどりの淡い光を放つ、美しいランプの数々。

映画で見るような世界。まさにアラビアンナイトの世界そのものだった。


「ここが私の部屋・・・?」

「ゆっくりお休み下さい。必要なものがあれば、なんでもおっしゃってください。」

「アザト、ありがとう。」

お礼を言うと、彼は心から嬉しそうな笑顔を浮かべて頭を下げた。


自分の一言で、誰かの心をこんな風に満たしたことなんて今まで一度もなかった。
こちらが感動してしまうくらいに笑顔の彼は幸せそうだ。
自分の言葉の影響力の大きさ。なんとも言えない満足感、高揚感が心を包む。


「真美様、今夜のお供は如何いたしますか?」

「え?お供?」

「はい。今夜は寝室に誰を呼ぶか、もうお決まりでしょうか?」

(寝室に呼ぶお供・・・・?!)


死ぬ直前に買ったBLゲームの内容を思い出す。
砂漠の王国の王子である総モテの主人公が、たくさんのイケメンたちを夫として迎え、夜の遊戯を楽しみまくるという腐女子丸出しのプレイ内容。


(もしかしてイケメンよりどりみどりの総モテ設定?!)

「アザト、あなたを選んでもいいの・・・?」

(褐色の肌のこの美少年と、ベッドインできるってこと?!)

期待を込めたいやらしい眼差しで見つめる私に、彼は目を細めて眩いばかりの笑顔を見せるとコクリと頷いた。


「もちろんでございます。今夜は僕をお選びいただけるのですね。ありがとうございます、真美様。」

(ヒャッホー!!!!)


この美少年がベッドの上でどんな遊戯を見せてくれるのか・・・真美の頭の中はいやらしい妄想でいっぱいだった。

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