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♡『レーサー』(SIDE 角 静)

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~~~~登場人物~~~~


♡角 静(すみ しずか) 34歳 整形外科医 

ベージュ色のサラサラヘア。腰までの長髪を後ろで一つに纏めている。
女性のようにきめ細かい白肌、繊細で綺麗な顔立ち。細身の高身長。
若き天才心臓外科医として脚光を浴びていた。
道原院長に見染められしつこいアタックの末、引き抜かれ整形外科医として勤務している。
いつまでも妻と別れない道原に嫌気がさしている。
普段は敬語で穏やかに話すが、本性は毒舌で攻撃性がある超ドS男。


♡佐野 徳栄(さの とくはる)

レーシングドライバー。整形外科の角と仲が良い。
腰痛予防のために整形外科に通う。相原のことが気に入る。
ゆるくウェーブした前髪をサイドに流している。黒髪ミディアムヘア。
背が高く鍛え上げられた身体。長身なのですらりと細く見えるが、パーツが大きくがっしりとした身体つき。
タレ目で、色気のある目元。男気があり、さっぱりとした性格。細かいことは気にしない、大人の男。レースで世界中を飛び回っている。


♡水鳥川 小春(みどりかわ こはる)

レーシングドライバー。佐野の後輩。
いつでもテンションが高く、騒がしい男。女みたいな名前がコンプレックス。
イカれた走りをする、レースの天才。集中力、度胸がずば抜けている業界ではトップクラスの若手。
オンザ眉のパッツン前髪。耳が隠れる長さのレディシュヘア。
角に一目惚れし、猛アタックする。



~~~~~~~~~~


♡『レーサー』(SIDE 角 静)



長く生きていると、色々な人種に出会う。
医者という特殊な職業に就いていたら尚更。

普通の仕事をしていたら、出会うはずもなかったような
色々な職種の様々なタイプの人間に、否応なしに出会ってしまう。

水鳥川 小春もその一人。
彼は、私の友人であるレーサー 佐野 徳栄の後輩として、診察室に入ってきた。


彼を見た時、あぁ嫌いなタイプの人間だ、と一目でわかった。

キンキンと頭に響くうるさい声で喋るに違いない。
生意気で、自信家。
人の話を聞かず、我が道を行く、誰の助言も聞かない身勝手な若造。


医者は毎日、多い時は百人以上の人間に会う。
一目見て性格やどんなタイプの人間なのか、ということが自然とわかるようになるのだ。



「角先生って、めっちゃくちゃ美人ですね!!!」

案の定、彼は診察中であることを全く考慮せず、うるさく騒ぎ立てた。
私の読みは、よく当たる。


「佐野、その後腰痛はどうなってる?」

水鳥川の言葉を無視して、佐野の診察に入る。


この男は冷たくされるのがお好みらしい。
無視して淡々と診察を進める私の顔を、キラキラとした眼差しで見つめてきた。


面倒くさい。



「おかげさまで、痛みは全くないよ。腰痛防止トレーニングの効果はすごいな。」

「良かった。じゃあこの前と同じプランで進めようか。」


佐野は学生時代に友人の紹介で出会い、私が道原整形に転職したタイミングで、腰痛を診て欲しいと訪ねてきた。

レーサーは腰痛持ちが多い。痛みが出ないようにきちんとケアしていくことがレース結果に影響を与える。
彼の専属トレーナーと、うちの理学療法士が連携してサポートしていた。


「はいは~い!!俺も、角先生に治療してもらいたいで~す!」


水鳥川は物怖じせず、思ったことはなんでも発言する空気の読めない男らしい。
若き天才レーサーと周囲からもてはやされ、自分の才能に酔いしれている。


「小春、お前ちょっと静かにしていような。」

まるで子どもをあやすように、佐野が彼をなだめる。


水鳥川はムッとした表情を隠そうともせずに、先輩である佐野をじっと睨みつけた。



「佐野さん、名前で呼ぶのやめてっていつも言ってるでしょ。」

小春、という名前がコンプレックスらしい。



「角先生、恋人いるんですか?」


そうかと思えば、すぐこちらに向き直り、ニッコリと満面の笑みを浮かべた。

くるくると忙しなく変わっていく彼の表情にうんざりする。



「そういう君はどうなんです?」


こういう相手は、こちらが何を言っても同じことなのだ。

自分の気が済むまで、身勝手に喋り続ける。
最近はそういう患者が多い。


「恋人いるけど、別れる!俺、角先生のこと好きになっちゃった。」


一体どういう神経をしているのだろう。
初めて会ったばかりだと言うのに、私のどこを好きになったというのか。

彼の思考回路は短絡的すぎて、私には理解不能だった。


「おいおい、小春、いい加減にしろよ。」

佐野の口調は相変わらず穏やかだ。

長い付き合いだが、彼が怒ったところを私は一度だって見たことがない。

どんな状況でも、どんな相手でも、彼は終始穏やかで、感情を乱さず、常に冷静だ。
精神が強靭でなければ、死に直結するようなスピードを出すことは出来ない。
レーサーというのは、良くも悪くも普通の神経では務まらない職種なのだ。


「佐野さんだって、相原院長のこと狙ってんでしょ?俺に隠そうとしても無駄だよ。」


医者の世界にも自信過剰な後輩というのはいるが、ここまではっきりと先輩に大きな態度をとる者は珍しい。


「小春、お前鋭いな。」

佐野は怒るでも、呆れるでもなく、後輩の観察眼の鋭さに感心している。


「相原?」

鍼灸治療をしてみたいと佐野に頼まれて、先週相原院長に治療を依頼した。
佐野は私生活に謎が多い男で、一度も恋人の存在について聞いた記憶がない。

相原拓也。
タレ目の甘いマスクからは想像できない硬派な仕事人間。真摯で誠実な男。

ああいうのが好みなのか。知らなかった。


「あぁ。この前鍼治療してもらっただろ。彼、若いのにしっかりしてるな。」

「うわ、いやらしい~。佐野さん、エロい顔になってる。」


騒ぎ立てる水鳥川と、全く動じずニコニコしている佐野。

これはこれで良いコンビなのかもしれない。




「角先生、俺は欲しいもんは絶対手に入れる。アンタを落とすから、覚悟してて。」

診察室を出ていく間際、水鳥川が振り返って不適な笑みを浮かべた。



生意気で、自信家。


やはり私の読みはよく当たる。





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