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aika

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♤『後輩と恋人の境目』(SIDE 桃山 林太郎)※R-18 先輩X後輩

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~~~~登場人物~~~~


♤桃山 林太郎(ももやま りんたろう)

宍戸黒衣の高校時代の後輩。
金髪、サラサラ。背が高くルックスも良い。女友達が多く、いつも数人の女の子に囲まれて歩いている。
淡々としていて、口数が少ない。表情が乏しく、何を考えているのか読みにくいタイプ。
テンションが常に低く、感情の波がない。


♤宍戸 黒衣(ししど こくえ)

桃山林太郎の高校時代の先輩。
黒髪、ツーブロック 、一見怖そうに見えるルックスだが、根は優しく芯のある男。
スケボーが趣味。目つきが悪いので、よく喧嘩を売られる。
喧嘩は強く、肝が座っている。
あまり人と馴れ合わないが、蛍とは意気投合してすぐに仲良くなった。
蛍に告白して振られ、傷心。



♤月野 蛍(つきの けい)19歳 

ロックバンドSAWのキーボード担当。
顎くらいまでの長さ、センター分け、サラサラの金髪。猫目。
人見知りで、無口。小柄な体型。
同じバンドで同居している仁のことを一途に想っている。
家庭環境が複雑で、両親は海外暮らし。



~~~~~~~~~~~



♤『後輩と恋人の境目』(SIDE 桃山 林太郎)



黒衣さんは、俺に興味がない。

彼の想い人は、ロックバンドのキーボード。
月野 蛍。

写真を見せてもらった時は驚いた。
俺はロックが好きで、SAWの曲はよく聴いている。

キーボード担当の蛍は、小柄で金髪、猫目が印象的な幼い顔立ちをしている。

黒衣さん、こういうのが好みなんだ。

写真の中、黒衣さんの隣で笑う彼を見て、妙に納得してしまった自分がいた。



「前にも言ったけど、俺黒衣さんのことが好きだから、恋人になってほしい。」

公園で久々の再会を果たしてすぐに、黒衣さんに告白した。

前にも好きだと告白したのに、その時はあっさりスルーされた。
好きだと告げたのは、黒衣さんが高校を卒業する前日。
ありがとう、と言って振り返った彼の笑顔に、俺がぼんやり見惚れているうちに、
その話はなかったことになったらしい。

身に覚えがない、というようなポカンとした彼の顔を見て、やっぱりと思った。

黒衣さんは、俺に興味がない。




♢♢♢♢♢♢




「・・・っ・・・あ、桃・・・・ッ、イク・・・出すぞ・・・っ」


「・・・ん・・ッ・・・・・!!」


俺の上で一心不乱に腰を振る黒衣さんは、煽情的だ。



俺には興味がないくせに、黒衣さんは俺を抱く。


公園で告白した夜、久々に彼の部屋に遊びに行ったら、流れと勢いで関係を持ってしまった。
アルコールが入ったせいか、黒衣さんは膨れ上がった寂しさに心が折れてしまったんだと思う。
振られたばかりだと、自嘲気味に語っていた。


黒衣さんとは体の相性が良い。
俺は女の子も抱くけど、黒衣さんが俺の中に射精する瞬間が一番気持ちいい。

すごく感じているし、興奮しているんだけど、俺はあまり表情が豊かじゃないからか、黒衣さんはいつも心配そうに俺を見る。

ちゃんと気持ちいいし、彼に抱かれるだけで最高に幸せなんだけど。



「相変わらず、桃は色気ねえな、」

俺の中から黒衣さんが出て行く、この瞬間はいつも寂しい。

ずっと俺の中に居て欲しい。
黒衣さんと、ずっと繋がっていたい。



隣に寝転んだ彼が、俺の頭を撫でながら言った。

「気持ちよかったか?」

「ちゃんと気持ちいい・・・俺が射精したの見たでしょ。」



最初に抱かれた夜、喘ぎ声が少ないって指摘があったし、
俺がちゃんと気持ち良くなっているのかを黒衣さんはいつも気にしている。


気持ち良くなかったら射精なんて出来ない。


「それは見たけど、お前ほんと色気ねぇな。」


俺の態度に彼が笑い出す。


久々に見た。
黒衣さんが大笑いしているところ。


彼のことが好きだ。大好きだ。


初めて会った時からずっと。



「そろそろ俺のこと、アンタの恋人にしてよ。」


彼と何度も寝たけれど、恋人同士という称号はまだ手に入れてなかった。
告白の返事は、まだ聞かせてもらってない。


俺の目を真っ直ぐ見て、彼は決意したように頷いた。


「正直、俺はまだ蛍への気持ちを完全には吹っ切れてない。」

「わかってる。」

「それでもいいか?」

「良いから抱かれてる。わかんない?」



黒衣さんは俺にしか弱さを見せない。

それがわかっているから、俺は全然構わなかった。


蛍さんの前では、彼はいつも強い自分で居るんだろう。

俺の前でだけ、彼は弱くなったり、ずるい部分もちゃんと見せてくれる。


想いが吹っ切れていないのに抱いたのは、相手が俺だからだ。

それだけで充分。


「お前は大丈夫なのか?」

「何が?」


黒衣さんが言いにくそうに、俺の目を見る。


「取り巻きの女子たち。」

「ああ、あの子たちとは寝てない。ただの友達。」

「なんだ、そうなのかよ。」


彼が心底安心した、って顔をする。


なんだ。俺に執着心あるんじゃん。



「それにしてもこの髪色、すげー色だよな。」


派手、と言いながら、俺の前髪を指で弄ぶ黒衣さんに、キスをした。


「・・・っ・・・急になんだよ。」


何度も俺の中に射精しているくせに、今更ただのキスで赤くなる彼が愛おしい。



「不意打ち。」


後輩と恋人の境目に立っていた俺は、今ようやく愛する人を手に入れた。

彼の赤い顔を見ていたら、唐突にそう実感して嬉しくなる。





「黒衣さん・・・もう一回シよ。」

もう恋人なのだから、こんな我儘だって言えるんだ。



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