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♧『不貞行為』(SIDE 四条 理)※R-18 航空管制官X航空整備士

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~~~~登場人物~~~~


♧四条 おさむ(しじょう おさむ)

航空整備士。作業服がブカブカで合うサイズがないほど細身。
無口で無表情。色の無い目をしている。抑揚のない淡々とした喋り方。
サラサラの茶髪、襟足が長い。童顔で可愛い顔立ちだが、目に力がなく暗い印象。
人にひどく裏切られた過去があり、人を信用できず何も期待していない。
パイロットの城と恋人同士で溺愛されているが、優しすぎる相手に物足りなさを感じて浮気に走る。


♧城 隼人(じょう はやと)

ジェット機のパイロット。正統派の色男。一途で誠実な性格がルックスにもにじみ出ている。
がっしりとした体型、長身で、日本人離れしたスタイル。
顎くらいまでの長さの黒髪、ウェーブ。国際便のパイロットなので、海外フライトでよく留守にする。
整備士の西とは恋人同士。l溺愛し、大切にしている。


♧香月 怜二(こうづき れいじ)
管制官。超ドSの変態。
艶黒髪、色白のイケメンだが、表情がない。高身長で、体格が良い。
血が通っていないと言われるほど、淡々と顔色を変えずに仕事をこなす。
優秀な仕事人間だと思われているが、乱れた私生活を送っている。


♧前旗 列(まえはた れつ)

管制官。優等生で、潔癖症。曲がったことが大嫌い。正義感が強い。
パイロットの城に片思いをしている。
無口で扱いにくい上司の香月をロボットみたいなやつだと思っている。



~~~~~~~~~~


♧『不貞行為』(SIDE 四条 理)



どこか遠い場所へ逃げ出してしまいたい時がある。

一ヶ月のうちに20回は、そんな風に現実逃避して想像してみるけれど、
結局この日常から抜け出すことは出来ない。

恋人が運転する車の中で、窓の外を流れていく景色をぼんやりと眺めながら、
俺はいつもここではない何処かへと繋がる扉を探していた。

退屈が一番嫌いだ。



「隼人、ありがとう。」

「次に会えるのは5日後だな。」


寂しそうにキスする彼は、映画のワンシーンを演じる俳優のように完璧。

恋人の城隼人は、国際便のパイロットとして活躍している。
かれこれもう5年の付き合いになる。

誠実で、人に優しく、頭も切れる人格者。
ルックスも抜群で、人にはできない仕事をしている。

周りに羨ましいと言われるし、俺にはもったいない人だと思う。

それでも俺の心は全く満たされない。

どんな男が相手でも同じだ。
何年も付き合っていると飽きてしまう。

隼人と知り合う前に俺は恋人からひどい仕打ちを受け、人間不信に陥っていた。

過去の傷も全てを包み込むように愛してくれた彼には感謝している。
彼だけは信じられる、そう思っているのに。

彼を裏切り、不貞行為を繰り返す自分自身に心底嫌気がさす。




俺は空港で、航空整備士として働いている。

気の抜けない仕事だ。
一人のちょっとしたミスが大惨事に繋がることがある。

仕事中だけは生きている実感があった。
どんな仕事であれ、誰かの役に立ってそれなりの充実感は得られると思うけれど、
航空整備士という仕事は、俺の転職だと思う。



「四条、こんなところでどうしたの?」

管制棟の近くで待ち合わせ。相手を待っていたら、同期入社の前旗列にばったり会った。
彼は優等生気質丸出しの、真面目君。苦手なタイプだ。
頼んでもいないのに世話を焼いてくる性格は、隼人と少し似ていた。


「人を待ってる。」

「誰?」

「・・・香月さんって人。」

「香月?香月怜二?」

「知ってるの?」

「知ってるも何も俺の上司だよ。」


まずいところを見られたと思った時にはもう遅かった。

俺の浮気相手は、前旗の上司らしい。


香月怜二は、最近知り合った俺のセフレの一人で、お互い自分のことはあまり詳しく話していないから全然知らなかった。


「理、待たせたな。」

香月の登場に、前旗が思い切り振り返る。

どうやら二人の仲はあまり良くないらしい。


「香月さん、四条とどういう知り合いなんですか?」

最初から食ってかかるような前旗のトゲのある言い方。

ややこしいことになった。


「お前に関係ないだろう。それより前旗、お前明日までの書類今夜まで仕上げて俺の机に上げておけ。明日一番で処理することになった。」

「はぁ?そんなの今言われても困ります!」

「じゃあ頼んだぞ。理、行こう。」

香月さんは俺の肩に手を置くと、前旗を無視して歩き出した。





「前旗の上司だったんだ・・・あんた。」

「それが何か問題か?」


香月の部屋。

キングサイズのベッドの上で、身体を重ねる。


「そうじゃないけど・・・」

「ならいいだろう。集中して。」


香月怜二との出会いは先月。

この関係は空港の廊下ですれ違い、目があったことから始まった。





♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢




「君、整備士か?」

「そうですけど。」

深夜の空港。
提出書類のことで上司に散々いびられた後、訂正した資料をなんとか完成させた時にはすでに日付が変わっていた。

廊下ですれ違った、長身の色白男。
白い肌に濡れたような艶のある黒髪。
冷酷な印象を与える表情の無い顔。目が据わっている。

職質でもされたように、俺は警戒していた。
得体の知れない、イカれた色男。というのが第一印象。

本物は見たことがないけれど、殺し屋みたいだ、そう思った。



「ちょっと顔を貸してくれないか。」

明らかに怪しいその男の誘いに、どういうわけか俺はすんなり乗ってしまった。

退屈で飽き飽きしていた。

ゾクゾクするような、彼の色のない瞳に、俺は性的な魅力を感じてしまったのだ。




「あ・・・ッ!痛・・ッ」

深夜の更衣室。

ロッカーに乱暴に俺の身体を押し当てた彼は、前髪を掴んで顔を上げさせた。

痛いと言うこちらの言葉にはまるで反応がなく、言葉が通じない獣のような目で俺を見る。


「お前、イイ顔してんなぁ。」

こいつの何に魅力を感じたのだろうと、ついてきたことを後悔していたら、
その言葉が耳に届いて「声」だとわかった。

低く、下半身に直接響くような、渋い声。

喉を震わせるような、彼の独特の発声。脳内まで入り込んで侵していくような、
凄みのある重い声だ。


「痛くされるのがすきなんだろ?」

そんな風に思ったことはなかった。心当たりはまるでなかった。

恋人の隼人は優しいセックスしかしない。
乱暴にしてくれと頼んだところで、彼の性格では難しいだろう。


「そんなわけ・・・っ」

首を押さえつけられて呼吸が苦しい。

声が出ない。


「気付いてねぇのかよ。お前。」

首筋に噛みつかれる。痛くて、怖くて声が出なかった。

「開花させてやるよ。」

彼の声が脳内にこだまする。


逃げたいと思うのに、怖いもの見たさが勝っている自分が不思議だ。


力尽くで俺を床に倒す。

つるりとしたタイル貼りの床が、背中に当たって痛い。

彼は俺の服を捲し上げて、乳首に噛みついた。


「痛い・・ッ、何・・・すんだよ・・ッ」


歯と歯の間で、圧をかけるように乳首をいたぶる。

痛いのと気持ちいいの間を行ったり来たりする刺激に、喘ぎ声が漏れた。


「う・・・ッ、痛・・・っ」

「こんなもんじゃ足りないだろ。」

「やだ・・ッ、痛い・・・ッ、」


抵抗しようと暴れる俺を、抑える。

彼の手は俺の顎を掴んで、動きを封じる。


逃げ出そうと四つん這いになると、そのまま背後から押さえつけられた。

ズボンと下着を一気に下ろされ、秘部に乱暴に指を突き立てられた。


「うう・・っやめ・・・ッ」

「こんなに勃たせておいて、説得力がまるでないな。」


彼の言葉通り、俺の下半身は硬く欲望を主張していた。


「な・・・なんで・・・っ」

「お前は痛くされるのがすきなんだろ?」


スパン、と思い切り尻を打たれて、思わず声が出た。


「あぁッ・・・!!」

「気持ちイイか?・・・聞くまでもねぇな。」

後ろから俺の中心を手で握った彼は、鼻で笑う。


「うぁ・・ッ触るな・・・ッ」

「触られたらすぐに出そうか?」


嘲笑しながら、俺のペニスを扱く彼は悪魔のような笑みを浮かべている。


「やめ・・っ、」

「だから説得力がねぇ、って言ってんだよ。」


耳元で脳内に突き刺さるような衝撃。彼の低い声。

中をグリグリと指でかき回される。

彼の太くごつい男の指が、俺の内部を荒らして、さらに欲望を膨らませていった。

カチャカチャとベルトを外す音がして、まずい、と思った次の瞬間。


「あぁっ・・・・!!!!!」

彼の極太のペニスが、俺の中に突き刺さるように入り込んできた。


「うぁ・・ッ・・痛い・・ッ抜いて・・ッ」

太い。俺の内壁をえぐるように入り込んだ彼のペニスは、今まで経験したどの男より
大きく存在感があった。

「・・・ッ、狭いな。」

彼の声に色香を感じて、ペニスが震える。

痛くて逃げ出したいのに、どうして俺はこんなに興奮しているんだ・・?


「あ・・ッ、ダメ・・・ッ、」

彼のペニスが最奥に当たった瞬間、俺は達してしまいそうで、情けない声を上げてなんとか耐える。


「ここからだろ。気持ちイイのは。」

腰が打ち付けられる。

パンパン、と乾いた音が更衣室中に響く。


「あ~ッ、あぁッううぅッ、あ~!!やだ、ヤダァ・・・ッ!」

俺は正気を失って、ただの快楽に溺れる獣に成り下がった。


夢中で彼との快楽を貪る。


「あっ、ダメっ、イク~っ、イクイクイク・・・・ッ!あぁ~ッ!!!!」

更衣室の床に思い切り射精する。


「まだだ。楽しませてくれよ。」


射精したあとも容赦無く、彼のペニスが打ち付けられ、俺は何度も何度も射精させられるハメになった。

尻を平手で叩かれるたび、感じたことのない快感が身体をめぐる。

脳内麻薬のように、意識を失いそうなほどの快楽が、身体を支配していた。


「う~っ、ぅあ、あ~~ッイイ・・イイッ・・・!!」

いつの間にか目には涙が溢れ、自分からお尻を彼の腰骨に打ち付けるように腰を振っていた。


「また・・・イク・・ッ、あぁ~っ、気持ちいいッ、気持ちイイ~~~ッ!!!」


何度射精したかわからないほど快楽に溺れ、更衣室の床を精液で汚した。


「おら、イクぞ、あぁ・・ッ、うッ・・・・!!」


最後の数回、力強く奥に突き付けたペニスを勢いよく抜くと、
俺の髪を手で乱暴に掴む。


ビュッビュッ、ビュルビュッビュッ!!!

何度かに分けて、彼は俺の顔に思い切り精液をぶちまけた。


顔になま温かい液体が、勢いよくかかる。


お互いのペニスは、まだ勃ち上がったままだった。




彼とのセックスは刺激的で、まさに俺の世界を変えてしまうような体験だった。

乱暴に扱われることが、これほど自分を興奮させるとは夢にも思わなかった。




♢♢♢♢♢♢♢♢



香月さんとのセックスは最高だ。


自分が自分じゃなくなるような、興奮を与えてくれる。

俺はすでに彼の虜になっていた。



「前旗には俺たちのこと絶対言わないで。」


「彼が気になるか?安心しろ。彼とは仕事の話しかしない。」


俺は知っている。


前旗は俺の恋人である隼人にずっと片思いをしているんだ。


俺と香月さんの関係を知ったら、彼の持ち前の正義感で何か告げ口されるかもしれない。

そんな不安が頭を支配していた。


「ねぇ、もう一回。」

それでも、我慢できない。


香月さんとのセックスの気持ちよさに、俺はもう一度彼の上に馬乗りになった。


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