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第17話 『恋人役』
しおりを挟む「そんな・・・俺、困ります・・・っ豊さん・・・っ・・・あ・・・」
「もうこんなになってるぞ・・・?真白・・・お前、エロ過ぎだ・・・っ」
「あ・・っ!ダメ・・・っ、そんな・・・そんなとこぉ・・・ッ・・・」
「もっと広げて・・そう、俺に全てを見せてみろ・・・・」
「ダメ・・・ダメェ・・・もう・・っ・・・俺、変に・・なっちゃうから・・・ぁ」
真白は、無我夢中で声を振り絞る。
全身が汗ばんで、足はガクガクと震えて、立っているのがやっとだった。
「うん。真白、やっぱりうまいな。」
ポンポンと、頭を撫でられて、真白は急激に脱力した。
お酒が入った身体で、こんな演技をするのは正直しんどい。
「あ・・・ありがとう・・ございます・・・っ」
飲み会の後、京極に誘われるまま彼の部屋についてきた真白は、即興でBLの恋人役を演じてみようという彼の提案に、必死で対応した。
京極の部屋はマンションの最上階で、夜景が綺麗だ。
市内を見下ろせる大きな窓の方へ向けて、ソファーを置いている。
バーのようなカウンターまであり、さすが天才声優の自宅、とあちこち見回して感動してしまった。
「真白はBLに向いているな。声質も、声の出し方も、すごく良い。」
「そうですか・・・?」
真白は緊張しっぱなしで、落ち着かなかった。
憧れの京極を目の前に、恋人役の演技までして、彼の声の色香に当てられて身体が熱くなっている。
(こんなことなら、お酒なんて・・・飲まなきゃよかった・・・)
ただでさえバクバクとうるさい心臓が、彼の部屋に二人きりという状況にもう破裂しそうなほど酷使されていた。
水をどれほどがぶ飲みしても、酔いは覚めそうにない。
「真白、大丈夫か?体調、悪い?」
京極のアップは、心臓に悪い。
彼は真白の腰に手を回して、焦点の定まらない瞳を見つめる。
(今近づかないで・・・・!ほんとに・・・俺もうダメ・・・!!)
真白はぐるぐるとひどい眩暈がして、ぼんやりとした意識の中ゆっくりと重たい瞼を閉じた。
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