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第14話 『合格』
しおりを挟む『京極 豊の相手役オーディション・・・・合格しました!!』
休日、真白は事務所からの電話で目が覚めた。
「へ・・?!え・・・嘘、ですよね。」
今日はエイプリルフールじゃないよな?とカレンダーを見る。
先日のオーディションは最悪だった。京極 豊本人が相手役を選ぶ、というオーディション会場で真白は緊張しきってしまい、台詞は間違えるわ、愛の告白めいたことを口走るわ、最悪だったのだ。
『だって・・・俺、俺・・・京極さん(誠さん)のことが好きなんです・・・・!!』
思い出すたびに恥ずかしくて死にそうになる。
誠さんって言わなきゃいけない台詞を、京極さんの名前にしてしまって、ファンによる単なる愛の告白になってしまったのだから。
『嘘じゃないです!京極豊さん本人から先ほどお電話いただいて、ぜひ真白君に恋人役をとのことでした。』
スマホの向こう側、事務所のスタッフさんの興奮が伝わってくる。
「え・・・?ほんとに・・・?」
「ちょっと真白、朝からうるさい・・・。」
隣で眠っていた蒼士が目を覚ます。
「お、俺・・・ご・・合格した・・・・っ」
「はぁ?・・・・え?・・・嘘・・・?!」
俺と蒼士は朝から抱き合って喜びの声をあげた。
♢♢♢
二日酔いの頭を抱えている蒼士に、ミネラルウォーターのペットボトルを手渡す。
「まさか本当に受かってたとはね。」
「信じられない!!マジで・・・マジで・・・?!?!!」
嬉しすぎてすぐに変なテンションになってしまう。
「ちょっと大きい声出さないでくれる・・?」
蒼士は休日には必ず真白の部屋に泊まりに来るようになっていた。
彼といると落ち着く。なんでも話せるし、お互い遠慮がいらない間柄。
またスマホが鳴り始める。
着信の相手は、暁だった。
「はい。」
『真白、聞いたよ。オーディションの件。おめでとう。』
「ありがとうございます!マジで俺、びっくりして。え・・・これ、ドッキリとかじゃないですよね?受かったって言ったけど、実は落ちてました~的な。仕掛け人は暁リョウ的な・・・」
『そんなわけないでしょ。』
「そうですよね!よかった~!!」
『・・真白、これから会える?お祝いしない?』
スマホに耳を当てて会話を聞いていた蒼士が、指で丸サインを出して真白に「行け」と言っている。
「あ~・・はい。行けます。」
あれから暁とは仕事以外で一度も会っていない。
彼の方からなんとなく避けられているような気がしていたので、誘われたことは嬉しかった。
今日こそあの日聞けなかったことを聞いてやる!
真白は意気込んで、彼との約束の場へ向かった。
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