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第10話 『演技のはずが・・』
しおりを挟む「蒼士君・・・本気・・・?」
「冗談でこんなことすると思う?」
ポーカーフェイスの彼は、本気なのか冗談なのかわからない。
いくら演技のためとはいえ、今日初めて会った人とキスするなんて、恋愛経験がない真白には難易度が高過ぎる。
「できないなら、僕が攻め、やろうか?」
(蒼士君は本気だ・・・俺ってプロ根性が足りないのかも・・・)
蒼士の気迫に中途半端な気持ちで演技している自分が恥ずかしくなる。
真白は深呼吸をして覚悟を決めた。
「なんで・・・そんな可愛い顔すんの?・・俺、我慢してたのに・・・」
(う~~、俺だってプロの声優だ・・!!やってやる・・・・!)
彼の唇に、自分の唇を重ねる。
「え・・っん・・・んぅ・・・・」
彼の腰に手を回して、舌を差し込んだ。
その瞬間暁の顔が浮かんできて、真白は息を飲む。
暁にキスされた時の感覚が体に蘇る。
体が熱くなって、疼きだす。
「航・・・・急に・・・あ・・・っ何・・」
「お前が悪い。そんな可愛い顔されたら・・俺我慢できなくなっちゃうよ。」
彼のシャツの中に手を差し込んだ。
「ん・・・や・・・やだ・・・」
驚いたように身を離そうとする彼に覆いかぶさる。
「んぁ・・・航・・っ、・・・んん・・・ッ」
蒼士が潤んだ目で真白を見た。
いつものポーカーフェイスとは全然違う。
「蒼士・・・好きだよ・・・・」
もう一度唇を重ねる。
「真白君・・・・今、蒼士って・・・」
役の名前を言うはずが、彼の名前を読んでしまったらしい。
身体が熱くて、頭がぼーっとする。
(蒼士君、こんな顔できるんだ・・・)
ガタン、と背後で大きな音がして振り返る。
我に返って振り返ると、玄関に暁リョウが立っていた。
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