悪の組織のイケメンたちに捕まったのですが、全員から愛されてしまったようです。

aika

文字の大きさ
上 下
49 / 63

大人の男

しおりを挟む

「アイツら、好き勝手やりやがって・・・本当に、しょうもねえな。」


そう大我たいがの言い争いに巻き込まれ、3人でベッドインしようとしたところで、この組織の大ボスが部屋に乗り込んできた。
あのイケメンコンビは、本日、今年一番の大事な仕事が控えていたらしい。

それを無視して女とベッドインとは何事かと、ボスに一通り説教された後、二人は渋々仕事に出かけて行った。


(この組織の男ども・・・・本当に大丈夫なのかな・・・仕事そっちのけで、3Pとか・・・)

3Pなんて、先日男を知ったばかりの女には、難易度が高すぎる。

変態拷問調教師が、大我の前で何をしでかすか、不安しかなかった。
邪魔が入ったことに安心しつつも、残念な気持ちがあることを否定出来ない。

(あんな経験すれば、何回も思い出しちゃうのは仕方ないよ・・・宗さんのことが好きなわけじゃないんだから、大丈夫。)

何が大丈夫なのかわからないが、心の中で何度も繰り返す。
恋人同士として宗と過ごしたこの数日間は、濃厚で刺激が強すぎて、忘れられない出来事ばかりだった。

出会った時から、彼の歪んだ性格は露呈していたはずだ。
あんな変態拷問男、好きになるわけがないと、何度も自分に言い聞かせる。


「お前も嫌なことは嫌と、はっきり言うことだな。アイツら揃いも揃って、お前に夢中だろ?よほど魅力的な女なんだろうな。お前・・・」

ぐいと身を乗り出した親秋ちかあきは、至近距離でじっと私を見つめてきた。
品定めするように一通り眺めると、ふうん、とそっけなく呟く。

(親秋さんって・・・実はものすごいイケメンじゃん・・・・♡)

悪人を従わせている「怖い男」、というイメージが強すぎて、きちんと向き合ったことがなかった。

黒いワイシャツに、黒いネクタイ、黒いスーツ。
スタイリッシュで知的な男性だ。
落ち着いた雰囲気が漂う、大人の男。
銀色の髪がよく似合う、彫りの深い、整った顔立ち。

今日は、黒縁の眼鏡をかけている。
眼鏡があるのとないのとでは、全く印象が違って見えた。


「なんだ?ジロジロ見るな。俺の顔に何かついてるか?」

「いえ、親秋さんって、眼鏡してると全然雰囲気違うなぁって思って。」

「そうか?仕事の時は、いつもかけてる。」

「すごく似合いますね!!悪の組織の親玉感が薄れて・・・職場にこんな上司がいたら絶対好きになっちゃいますよ。」

(あ・・・人質の分際で・・・余計なこと言っちゃったかも・・・・・)

「・・・・・・・・。」

彼が黙り込んだので、ビビる。
悪の組織の大ボスに、なんという口の利き方をしてしまったのか・・・自分が人質であったことを思い出して、恐怖に震えた。

「お前な、年上の男を揶揄からかうもんじゃない。」

彼の頬が、うっすらと赤い気がする。

(え・・!照れてる・・・?!嘘でしょ・・・これ照れてるよね?絶対、照れてるよね・・・?!ボスが、褒められて照れるとか・・・かわいすぎる・・・・何この組織・・・・!!)

あからさまに目を逸らした親秋は、ねたような顔で、うつむいていた。


「親秋さん・・・可愛い・・・・」

「はぁ?お前・・・っ、大人の男相手に、可愛いとか・・・言うもんじゃねぇよ。」

ついポロリと漏れた言葉に、彼が反応する。

「お前、うちの穂高ほだかに、プロポーズされたんだろ?あいつを泣かしたら、承知しないからな。」

突然の息子溺愛発言に、身が引き締まった。
私にプロポーズしてくれたあのウブな穂高は、親秋が目に入れても痛くないという可愛がり方をしているパートナーなのだ。
二人の関係は親子のようでもあり、親秋が穂高を見る目は、いつも愛に溢れている。

「穂高が惚れた女だ。お前のことは、一応信用している。」

眼鏡の位置を直すように指先で動かした彼は、私を試すようにじっと見つめると、部屋を出ていった。


(眼鏡かけてる親秋さん・・・・かっこよすぎ・・・・・♡)

監禁生活が始まって以来、イケメンに言い寄られることが多かった私にとって、親秋のそっけない態度はやけに新鮮に感じる。
そっけなく、大人の距離感を保つ彼の、甘い一面が見てみたい。


(親秋さん・・・好きな女性には、どんなふうに触れるんだろう・・・・?)

そんな妄想に取り憑かれながら、照れたような彼の表情を何度も思い出していた。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~

恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん) は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。 しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!? (もしかして、私、転生してる!!?) そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!! そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

明智さんちの旦那さんたちR

明智 颯茄
恋愛
 あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。  奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。  ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。  *BL描写あり  毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。

旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハー異世界ラブコメ〜

ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉 転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!? のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました…… イケメン山盛りの逆ハーです 前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります 小説家になろう、カクヨムに転載しています

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【R18】人気AV嬢だった私は乙ゲーのヒロインに転生したので、攻略キャラを全員美味しくいただくことにしました♪

奏音 美都
恋愛
「レイラちゃん、おつかれさまぁ。今日もよかったよ」 「おつかれさまでーす。シャワー浴びますね」 AV女優の私は、仕事を終えてシャワーを浴びてたんだけど、石鹸に滑って転んで頭を打って失神し……なぜか、乙女ゲームの世界に転生してた。 そこで、可愛くて美味しそうなDKたちに出会うんだけど、この乙ゲーって全対象年齢なのよね。 でも、誘惑に抗えるわけないでしょっ! 全員美味しくいただいちゃいまーす。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

女性の少ない異世界に生まれ変わったら

Azuki
恋愛
高校に登校している途中、道路に飛び出した子供を助ける形でトラックに轢かれてそのまま意識を失った私。 目を覚ますと、私はベッドに寝ていて、目の前にも周りにもイケメン、イケメン、イケメンだらけーーー!? なんと私は幼女に生まれ変わっており、しかもお嬢様だった!! ーーやった〜!勝ち組人生来た〜〜〜!!! そう、心の中で思いっきり歓喜していた私だけど、この世界はとんでもない世界で・・・!? これは、女性が圧倒的に少ない異世界に転生した私が、家族や周りから溺愛されながら様々な問題を解決して、更に溺愛されていく物語。

目が覚めたら男女比がおかしくなっていた

いつき
恋愛
主人公である宮坂葵は、ある日階段から落ちて暫く昏睡状態になってしまう。 一週間後、葵が目を覚ますとそこは男女比が約50:1の世界に!?自分の父も何故かイケメンになっていて、不安の中高校へ進学するも、わがままな女性だらけのこの世界では葵のような優しい女性は珍しく、沢山のイケメン達から迫られる事に!? 「私はただ普通の高校生活を送りたいんです!!」 ##### r15は保険です。 2024年12月12日 私生活に余裕が出たため、投稿再開します。 それにあたって一部を再編集します。 設定や話の流れに変更はありません。

処理中です...