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モテない女
しおりを挟む伊吹は表情が乏しく、何を考えているのか想像できないミステリアスな男性だ。
彼のパートナーである千畝が、やり手の仕事人間なので、仕事はほとんど任せきり。
仕事をサボって私の部屋で読書をして過ごすことが多い伊吹は、すっかり私に気を許しているように見える。
当然のように私の膝に頭を預け、読書に耽る彼の顔はとても美しい。
あまり多くを語らないけれど、私を気にかけてくれているのがわかる。
伊吹との距離感はとても心地よく、彼と過ごす時間が私は好きだった。
「千畝って、本当に素直じゃないんだよね。」
言葉を発するだけでも面倒だと言うように、彼は省エネモードでゆっくりと話す。
「まぁ、わかりにくい人ではありますね。」
「ユミは、千畝のことどう思ってるの?」
真剣な声色に驚いて彼を見ると、彼は本を閉じてソファーに置き、じっと私を見上げていた。
心臓がドクンと大きな音を立てたので、慌てて目をそらす。
伊吹の綺麗な瞳に見つめられると、何故だか後ろめたい気持ちなった。
私はこの組織のイケメンたちに、毎日翻弄されている。
誰か一人を特別に想うことなんて、出来そうにない。
相手が千畝でも伊吹でも、彼らの美しい顔に見つめられ求められば、NOと言える自信がなかった。
私はイケメンという生き物に弱い、ただのモテない女なのだから。
ましてや私は監禁されているただの人質で、誰かに一途な想いを抱いて良い立場ではない。
「誰かがユミをいじめたり困らせたりしたら、いつでも俺に言って。」
起き上がった彼は、私の手を握ってそう言った。
「伊吹君・・・」
「ユミは、俺が守ってあげる。」
小さな子どもが母親に愛を告げるような、優しい口調。
純粋な、伊吹の告白。
「俺は、ユミのことがすごく気になる。」
「い・・伊吹君・・・」
私の指に、彼の指が絡んで、思わせぶりに動いた。
じっと見つめる彼の瞳の奥。
こんなに至近距離にいるのに、彼の思考はやはり読めない。
私は彼の瞳に翻弄されて、ただドキドキと胸を高鳴らせるしかなかった。
「俺が、ユミの欲求不満を解消してあげるね。」
ゆっくりとした口調でそう言うと、彼は私に唇を重ねる。
「そう約束したでしょ?」
彼の唇が首筋を優しく啄むように動き、私は快感に身震いした。
「伊吹・・君・・・っ・・・」
彼に手を引かれベッドまで移動すると、もう一度お互いの唇を重ねる。
リードされるがままベッドに横たわると、私は彼に身を委ねた。
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