悪の組織のイケメンたちに捕まったのですが、全員から愛されてしまったようです。

雄の本能

目の前に迫る、千畝ちうねの顔。
イケメンは、ドアップで見ると本当に心臓に悪い。

（カッコイイ・・・千畝さんの顔・・・私すごく好きかも・・・）


「美波みなみ君が、一番雄の本能が強いって、言いましたよね。」

「うん？それが何？」


「じゃあ・・・千畝さんは？」

ふと頭に浮かんだことが、どうしても気になって口に出さずにはいられなかった。


じっと睨にらむように、彼を見つめる。
気を抜くと殺されるかもしれないという恐怖心は、まだほんの少しだけあって、それがまた良い刺激になっている。
彼といると、ハラハラドキドキして、脳がフル回転しっぱなしだ。


千畝から、目が離せなかった。
彼の深い瞳の色に吸い込まれて、まるで縛り付けられているように、身動きひとつできない。



「俺を煽あおってるつもり？・・残念だけど、その程度じゃ俺は興奮しないよ。」

彼の指が、美波につけられたキスマークをひとつひとつなぞる。


「俺を煽あおりたいんなら、もっと上手くやらないと。」


耳元で囁く。
千畝の吐息がふっとかかって、くすぐったい。


「ん・・・っ・・・」

身体が勝手に反応して、熱くなる。


唇が触れるか、触れないかの距離感。
耳元から、首筋、鎖骨へと、唇がゆっくりと吐息を漏らしながら移動していく。


「んっ・・あ・・・・」

（くすぐったい・・・気持ちイイ・・・・声が、出ちゃう・・・・）


「ほら、もっと上手く煽あおってみろよ？」

「や・・・やめ・・・っ・・・」

ビクン、と大きく身体が震えた。


（何これ・・・っ・・・）

まだ触れられてさえいないのに、身体が熱くて息があがる。

嘲笑しながら私を見下ろす千畝の顔は、たまらなく官能的だった。


唇が重なる。
一度離れて、彼の目が私をじっと見つめた。



ーーー雄の本能。

千畝が言っていた言葉が、蘇ってくる。

彼が本能に翻弄ほんろうされている姿を見てみたい。
どうしてかわからないけれど、強烈にそう思った。


私は彼に惹かれているのだろうか？



深く唇が重なる。
彼の舌が、私の口内をじっくり確かめるように動いた。

舌が絡む。
熱い。苦しい。

それなのに、身体中が気持ちイイ。



「お前が、煽あおられてどうするんだ？」


彼の声が、耳元で響いた。
私はそれだけで絶頂してしまいそうなほど、すでに興奮している。

彼の声はまるで媚薬びやくのように、私の身体の中をじわじわと巡っていった。



「お前の、本能は？」

彼の唇から覗く、舌が官能的に私を誘う。


「お前の・・・雌めすの本能・・俺に見せてみろよ。」


（やっぱり千畝さんって、ドSだよね・・・？）


目の前に迫る、千畝のエロさに私は完全にノックアウトされていた。