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お約束

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千畝ちうねさん、この前の一件は感謝してますけど、俺まだアンタを味方とは思ってないんで。」

「へぇ。大我たいがも言うようになったね。」

ライバル心き出しの表情で見つめる大我に、千畝は不敵に微笑む。
この二人が並ぶと、映画のワンシーンでも見ているような迫力がある。

ルックスの良い色男二人が、視線を交わすバチバチという音が聞こえてきそうだった。


「じゃあ、しっかり見張り頼んだよ。大我。」

千畝はそう言い残すと、部屋を出て行く。



「ユミちゃん、あの夜、千畝さんに変なことされてないよな?」

私の肩をがっしりと両手で掴んで問い正す大我は、とてもカッコいい。


(私のことでこんなに必死になってくれてるなんて・・・嬉しい・・・・♡)


「されてないよ。むしろ変なことしてきたのはそうさんの方・・・・」

「俺がなんだって?ユミ。」

「きゃーー!!」
(い、いつから部屋の中に・・・?!全然気配感じなかった・・・!!)

突然後ろから現れた宗に、思わず叫んでしまった。


「ちょっとユミ、俺に会えて嬉しいからって、いくらなんでも悲鳴はやりすぎでしょ。」

よしよしと頭を撫でてくる彼の目は、笑っていない。
頭を撫でる手も、威圧的に重くのしかかっている。



とてもやり辛い空気の中、テーブルを囲んで大我が淹れてくれたコーヒーを飲む。
コーヒー好きな私のために、彼はわざわざコーヒーセット一式を取り寄せてくれた。
美味しい淹れ方まで、勉強してくれたようだ。

(大我君って意外と、尽くすタイプなのかもしれない・・・♡)


「そうそう、このスマホ、メール機能もあるから、いつでも俺にメールしてきていいぜ。」

私にスマホを持たせることについては、宗を説得したらしい。
親分からも正式にOKが出たと、言っていた。

悪の組織のくせに、監禁している人質の扱いがこんなにゆるくて良いのだろうか。



「大我君、俺の恋人と堂々と浮気するのやめてくれないかな?」

宗が深いため息を吐き出しながら、大我を見た。


「はぁ?恋人ってなんだよ。まさか・・・この前、何かあったのか?」

大我が怪訝な顔で、私と宗に視線を送る。

(まぁ・・あったと言えば、あったんだけど・・・・)



「ユミの中・・・最高だったなぁ・・・」

宗の爆弾発言に、私は飲んでいたコーヒーを思い切り吹き出した。


「は・・・はぁ・・・!?ユミちゃん、俺というものがありながら・・・宗さんとヤッたのか?!」

「ち、ちが・・・、ヤッてません!!!」


宗は何も言わず、私と大我を交互に見て、意味深な笑みを浮かべている。


(この顔・・・!こいつ・・・私と大我君の仲を引き裂こうとしてる・・・・!!)



「宗さん・・・アンタ、俺のユミに一体何したんだよ?」

「ナニって・・・俺の口からは言えない・・大我君、ごめんね。君の気持ちを知っていたのに俺は・・・」


「おい、昼飯の時間・・って、何騒いでんだ?」

不運にも、今度は穂高ほだかが私のランチを持って現れた。



「何で、俺のユミとヤッたんだよ?!」

「大我君、いい加減目を覚ましたらどう?大我君に色目使ってたくせに、簡単に俺に身体を許すような女なんだよ?ユミは。」




「な・・・ど、どういうことだよ・・!ユミさん・・・・!?」


宗と大我の言い争いを聞いて、赤面した穂高は、パクパクと口を開きながら動揺している。

(あ~もう・・・何で毎回こうなるのかな・・・!!)


「穂高君、違うの・・これは誤解で・・・!」


宗と大我の刺激的な言い合いに、ウブな彼はあっという間にキャパオーバーを迎え、バタン!と勢いよく倒れ込んだ。


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