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『浮気』(SIDE 泰莉)
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嫌な予感の大半は当たるものだ。
不幸なことは、連続して起きる。
大好きでたまらない人は、自分以外の誰かを想って生きている。
あぁ、人生ロクなことがない。
仕事が終わって事務所の後輩と飲みに行ったら、信じられない噂を耳にした。
「immoralの二人って、デキてるらしいよ。」
んなわけねぇだろ!と思うのと同時に、突然全てが腑に落ちたような感覚に襲われる。
綺麗な水にたった一滴黒い液体が落ちて、どこまでも広がっていくような不快感。
やがて全てはドス黒い色に満たされていく。
ざわりと嫌な予感が、胸の中で蠢いている。
「それはねぇだろ、流石に。」
平静を装って答えてみても、不穏に鳴り響く心臓の音がドクドクうるさい。
後輩が二人を目撃したのだというホテルの名前を聞いて、俺はもう自分を誤魔化すことが出来なくなった。
何度も弥弦さんの部屋で、ルームキーを見たことがある。
打ち合わせでよく使うホテルなのだと聞いていた。
なんとなく気になって部屋番号を覚えていたのだ。
彼は常時その部屋を借りている。
ホテルまで来てみたものの、そこからどうしようかは全く考えていなかった。
タイミングよく誰かが出てくる気配がして、扉が開く。
「先に出るけど、明日遅刻しないように起きろよ?」
俺の不安は見事に的中した。俺の勘も捨てたもんじゃないなと自嘲する。
弥弦さんの浮気相手は、美影さんだった。
「ほんとにもう帰んの?どうせ帰ってから夏弥とヤリまくるんでしょ?俺のことめちゃくちゃにしたくせに、夏弥のとこに帰るんだ。」
聞いたこともない、甘ったるい弥弦さんの声。
美影さんを引き留めようと必死に縋る彼の声は甘く、俺の怒りを煽る。
敗北は最初から決定していたのだと、思い知った。
「お前ら・・最初からデキてたのかよ。」
姿を見てギョッとしたのは、彼らじゃなく俺の方だった。
美影さんは驚くでもなく、あぁバレちゃったんだ、と涼しい顔をしているし、弥弦さんは素っ裸で身体中に真っ赤なキスマークをつけてぼんやり俺を見ている。
「なんでお前がここにいんの?」
弥弦さんの第一声はそれだった。
不幸なことは、連続して起きる。
大好きでたまらない人は、自分以外の誰かを想って生きている。
あぁ、人生ロクなことがない。
仕事が終わって事務所の後輩と飲みに行ったら、信じられない噂を耳にした。
「immoralの二人って、デキてるらしいよ。」
んなわけねぇだろ!と思うのと同時に、突然全てが腑に落ちたような感覚に襲われる。
綺麗な水にたった一滴黒い液体が落ちて、どこまでも広がっていくような不快感。
やがて全てはドス黒い色に満たされていく。
ざわりと嫌な予感が、胸の中で蠢いている。
「それはねぇだろ、流石に。」
平静を装って答えてみても、不穏に鳴り響く心臓の音がドクドクうるさい。
後輩が二人を目撃したのだというホテルの名前を聞いて、俺はもう自分を誤魔化すことが出来なくなった。
何度も弥弦さんの部屋で、ルームキーを見たことがある。
打ち合わせでよく使うホテルなのだと聞いていた。
なんとなく気になって部屋番号を覚えていたのだ。
彼は常時その部屋を借りている。
ホテルまで来てみたものの、そこからどうしようかは全く考えていなかった。
タイミングよく誰かが出てくる気配がして、扉が開く。
「先に出るけど、明日遅刻しないように起きろよ?」
俺の不安は見事に的中した。俺の勘も捨てたもんじゃないなと自嘲する。
弥弦さんの浮気相手は、美影さんだった。
「ほんとにもう帰んの?どうせ帰ってから夏弥とヤリまくるんでしょ?俺のことめちゃくちゃにしたくせに、夏弥のとこに帰るんだ。」
聞いたこともない、甘ったるい弥弦さんの声。
美影さんを引き留めようと必死に縋る彼の声は甘く、俺の怒りを煽る。
敗北は最初から決定していたのだと、思い知った。
「お前ら・・最初からデキてたのかよ。」
姿を見てギョッとしたのは、彼らじゃなく俺の方だった。
美影さんは驚くでもなく、あぁバレちゃったんだ、と涼しい顔をしているし、弥弦さんは素っ裸で身体中に真っ赤なキスマークをつけてぼんやり俺を見ている。
「なんでお前がここにいんの?」
弥弦さんの第一声はそれだった。
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